注目の日本映画「ひとよ」で語りたい!とっぽい松岡茉優と木珠暖簾の妙!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 この前、舞台が終わったと思ったら、もうすでに次回作である四谷一武道会 黒田勇樹プロデュース「坪川内科メンタルクリニック」の脚本に取り掛かる日々となっています。

 初日が12月21日…って随分先だと思っていたら、もうすぐじゃないですか!

 すいません、一言だけ言わせてください。

 「おっぱい」

 では気を取り直して脚本に戻ります。

 今週は鑑賞記です。では始めましょう。 
黒田勇樹
 佐藤健主演、白石和彌監督「ひとよ」を観てきました。
 僕の中の白石監督の印象というと、言葉を選ばずにいえば、三池監督と並ぶ「量産型ファーストフード監督の最高峰」
 ガンガン新作作るし、クオリティの安定感も担保されてる(勿論、そうじゃない高品質な作品もあるけど)所謂“職業監督”と呼ばれるジャンルの方。
 ただ、最近の三池さんはガストやサイゼリヤのような「この値段だったらこんなもんだろ!」とやり切っている一方、白石さんはロイホやフォルクスのような「お値段もお味もそこそこ」という作りになり、悪く言えばどっちつかずで損しているというか、玄人向けになりがちな作品が多い気がしてたのですが、今作は「そう!この値段でこの肉厚でこの美味しさのステーキが食べたかった!」という良作でした。

 公開から時間も経っており、作品自体の考察や感想はそこら中に転がっていると思うので、僕が読者の皆様に理解してもらえるかどうかギリギリだけど、言わなければ批評として死ぬ気がする2点を紹介させて頂きたいと思います。

 それは!とっぽい松岡茉優と木珠暖簾!
「不良」「ギャル」「ヤンキー」「お水」…色々な表現があると思うのですが、この映画は、母親が家庭内暴力を繰り返す父親を殺し「これからは好きなことをしなさい」と子供たちに言い残すところから始まるヒューマンドラマなんですが結局、母親が殺人者になってしまったことで「好きなことが出来なくなった」子供たちが主役であり、その中で松岡茉優さん演じる美容師を目指していたが、母の件で夢叶わず今はスナックで働いている“とっぽい”女の子の演技!
 これね、なかなか出来る女優さんいないんですよ!
 片手に煙草のカラオケのシーンやら、敬語でイス蹴るシーンやら!
 2時間ドラマとか観て頂くとわかるんですけど「ギャル」とか「キャバ嬢」とか、しっくりこない演者さん多くないですか?
 それもその筈。一生懸命、演技の勉強してる時点で、そういう「とっぽい」人種と真逆の人間だから!筋肉とか顔つきとか喋り方が馴染まないんですよ!
 なんなら、この映画も佐藤健くん、鈴木亮平くんすら「頑張ってその人物を演じてる」って感じだったじゃないですか?そのくらいアングラな人物って演りづらいんだけど、松岡さんの完璧な表現ときたら!
 ここ最近、“とっぽい”役が上手だと思ってたら本当に悪い人で逮捕されちゃった人がいっぱいいる中で、宝物みたいな存在でなんです!いつか出会うことがあったらプロポーズするとともに役作りの秘密をしっかり聞いてみたいと切望している自分がいます。

 で、もうひとつ。その松岡さんと同じぐらいドラマのリアリティを盛り上げていたのが木珠暖簾。
 あの、あれです、昔の家によくあった、キッチンと居間の間にかかっているジャラジャラいうスダレというかノレンみたいなアレ。真ん中が山なりになってて、すっと通れたり、ぶつかるとジャラジャラいったり“空間を移動する”という映像の文学的に重要な要素を持つ行為に非常に的確なアクセントをつけていて、感動しました。
 監督のアイデアなのか、脚本や原作の指示なのか、はたまた美術さんや音響さんの提案なのか、こちらも関係者にお会いしたら秘密を伺いたい素晴らしい演出でした。
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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