卓球 張本智和『モンスター』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己 (2019年12月13日 ITTFワールドツアー・グランドファイナル 準々決勝)
「チョレイ!」

雄叫びが響き渡ると中国人で埋め尽くされた会場が大きくざわついた。
その気魄の凄さに地元鄭州市民は度肝を抜かれたようだ。

昨年12月に中国・鄭州で開催された卓球のワールドツアー・グランドファイナル。

世界のトップ16選手のみが出場できる2019年のツアー最終戦だ。

男子シングルス準々決勝。

日本のエース張本智和は世界ランク1位、地元中国の許昕(Xu Xin)とフルセットの死闘を繰り広げた。
会場は完全にアウェー。

勝利まであと1ポイントというところまで追い詰めたが最後は力尽きた。
しかし、この日ファインダー越しに見た張本の姿は、堂々として、とてつもなく大きかった。
そして試合に敗れた張本の表情は、悔しさを滲ませながらも、晴れやかだった。

進化し続ける16歳のモンスター。
今年、東京オリンピックという大舞台でどんな姿を見せてくれるのだろうか。


【カメラマンプロフィル】
撮影:西村尚
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑
戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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