「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」に見る“続編”のスタンス【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 本日(4月1日)で三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.8「世界は、猫と花と鳥と、蛇のもの」が幕を閉じます。

 本来でしたら5日までの上演予定だったのですが、新型コロナウイルスなどによる社会情勢を鑑みまして、4日早い千秋楽となりました。

 楽しみにして頂いた皆様、大変申し訳ありません。

 最後の1公演、しっかり務め上げてきます。そして2日以降にこれを読まれる方、しっかり務め上げて来ました。

 大変な時期でどこの劇団も苦労していますが、演劇は続きますので、これからもよろしくお願いします。

 今週は鑑賞記です。では始めましょう。
黒田勇樹
「リング」中田秀夫監督のミステリー映画「スマホを落としただけなのに」の続編に位置する「~囚われの殺人鬼」を鑑賞。

 前回は北川景子さんと田中圭さん演じるカップルがスマホを落としたことをきっかけに事件に巻き込まれて行くというお話。

 今回は前作で活躍した千葉雄大君が演じる刑事が主人公を務め、前回の真犯人であった成田凌君演じるウラノの師匠に当たる謎の人物「M」が起こした事件を追っていくというストーリーなのですが…とっても上手な“マイナーチェンジ(褒めてる)”をされていたので、今回はその辺を考察してみようと思います。

 そもそも、大団円で解決した傑作の後日談を見たい人がどれだけいると思いますか!? はい、僕もこないだまでそんな奴はいないと思ってたんですが、いっぱいいるんです! ディズニーだって、シンデレラとかリトルマーメイドとかラプンツェルとか「めでたしめでたし」で終わったはずの“お話”の続編、作りまくってます! 内容に納得できた続編はアナ雪ぐらいっすよ!?

 こういう続編映画の流れって、有名なのだと「バックトゥザフューチャー」の1がヒットしたから、2と3の制作が同時に決定した辺りが有名で、その後は続編ありきの「ロードオブザリング」「ハリーポッター」が成功し、今や「アベンジャーズ」を筆頭とする「世界観を共有した作品群」として、ウルトラマンや仮面ライダーといった日本の人気コンテンツも取り入れる、ビジネスモデルになっているワケです。

 ストーリーと同じぐらい“キャラクター”が重要視される世の中になったということでしょう。

 今回の「スマホを~」、前作が「大作に見せかけたB級映画」、いや、「大作の予算とノリで作ったB級映画」だとすれば、今作は「まごうことなく、B級映画!(褒めてる)」です!

 まず、最大の敵役であるウラノ。前回は真っ黒だった髪が真っ白になって見事なモデルチェンジを果たします。収監された死刑囚として刑事に助言をする姿は、まさにレクター博士から、踊る大捜査線のキョン2へと受け継がれた、もはや“テンプレサイコパス”の姿。

 なので、ストーリーも前回のミステリーらしさは薄れ、刑事ものっぽく進んでいき、なんとラストは、テレビの2時間サスペンスドラマの様な“そこまで真剣に観てなかった人にもわかる”丁寧で時間をかけた謎解きが展開されます!(褒めてる!)

 残念ながら、僕が前作で大好きだったガラケー刑事は、カメオに毛が生えた程度の出演でしたが、キャラクター映画としては千葉、成田の両名を楽しむという点でこの変更は大成功だったと言えるでしょう。ストーリー複雑すぎるとキャラを愛でる余裕が無くなりますから。

 中田ホラーのファンとしては、どんどん作風がかけ離れていく寂しさもありますが、まぁ、もうアキラ100%さんが出て来た時点でそういう映画なんだと諦められたので、そこからはとても楽しく観れる作品でした。

 公開から少し時間が経っていて、劇場上映はそろそろ少なくなってきそうですが、家でビールとポテチ片手に見るには最高の作品なので、皆様、首を長くしてソフト化をお待ち下さい。
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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