【インタビュー】しみけんが語る独自の「仕事論」と新型コロナ禍における自分磨き

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言の発令により、多くの人が不要不急の外出の自粛を要請され、日常の生活や仕事に大きな変化が起きている。思うに任せない状況の中、戸惑い立ち止まる人もいる。その一方で耐え忍びながら、アフターコロナの暁には大きな飛躍を遂げるべく、この日常を有意義に過ごしている人もいる。人気セクシー男優のしみけんもその一人。3月に新著『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』を上梓したしみけんに、その仕事論、そして現在のコロナ禍での日常について聞いた。
3月に『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』を上梓したしみけん

ライバルは絶対にコロナ明けに強くなって出てくる


 まずは現在、緊急事態宣言下でどのような生活を送っていますか?
「今は極力、人と会わないようにしています。特定の少数の人としか会わない生活ですね。読書をしたりしています。出かける時も、部屋から自宅の駐車場に行って、車に乗ってそのままスタジオなどに行っています。そこからまた車で自分の家に戻るので、すれ違う人を合わせても、1日10人も会っていないかもしれません」

 いくつかの大手メーカーでは撮影がストップしているという話も聞きます。
「僕も4月の撮影はゼロでした。5月の中旬くらいから少しずつ少数精鋭で再開するところが出てきているようです」

 3密を避けるためにスタッフさんも絞ってという感じですか?
「あとは男優の人数もですね。僕の場合はいつもは1現場ひとからみで帰れたんですが、次の撮影では最後のシーンまでスケジュールが押さえられています。今までは5シーンがあったら男優さんが5人必要だったんですけど、それを1人ないし2人でやってしまおうということになっているようです。“男優蟹工船時代”が来るんじゃないかっていう感じです」

 しみけんさんはこれまで男優については新人が入って来ても、その分引退する人もいることから「男優70人説」を唱えていますが、もっと減ってしまうかもしれない?
「その可能性はかなりありそうですね。複数でのプレイもかなり減ると思います」

 著書の中では「AVの撮影は撮影日から1カ月以内の性病検査が必要となる」と書かれていました。新型コロナによる医療崩壊が叫ばれるような現在の状況だと緊急事態宣言が明けても本格再開への流れが見えない状況なのでは?
「性病検査はそれ専門の所があるんです。実は僕、今日、性病検査をしてきたんですけど、性病検査所は普通に機能していてガラガラでしたので、その点での心配はないかと思います」

 
『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』が出版された。文字通りAV業界で長くトップクラスとして活躍してきたしみけんの成功の裏にあった思考や方法論などが描かれている。


 初の著作となる『光り輝くクズでありたい』から5年。このタイミングでこういった内容の本を出そうと思ったのはなぜ?
「単純な理由としては“ネタがたまった”ということがありました。あと今になって前著を読むと“情報が古いな”と思うところがいくつかあったので、新しく出そうかなと思って出版社の方と話しをしていたら“エピソードの中にAVにおけるプロフェッショナル論”があるということで、単にエピソードを並べるだけでなく仕事論のほうにも話を広げたらどうでしょうということになりまして、こういう内容になりました。前著は古い情報があったとは言いましたが、それはそれで今では書けない黒歴史とかが書いてあるので貴重な本ではあるなと思います。現在、女優さんに対する強要問題があるなかでは絶対にあってはならないようなことを記したのは意味があることだったと思います」


 前半に業界のエピソードを持ってきて興味を引き、後半の章で仕事論につなげる作りとなっているのだが、エピソードの部分でもいくつかの金言が散りばめられており、笑いながらもハッと気づかされる場面がさりげなく差し込まれている。頭でっかちの「仕事論」ではない実践の伴った生々しい「仕事論」だ。


 ちょっとだけ紹介すると「どんな女性にもいいところは絶対にある。それを見つける能力がないとAV男優は務まらない」「その場のスタッフさん全員を気持ちよくさせる」といったことが書かれているのだが、こういった考え方は撮影現場で体得してきたこと?
「女性のいいところを見つける、というのは高校時代にナンパをしていて、そういうところを増幅して喋るほうが口説ける率が高いというのは身をもって分かっていたことなので、昔からついている癖なんでしょうね。そして撮影現場で女性のいいところを増幅するということをしていると、それを見ているスタッフさんもうれしそうにしていたんです。“人は笑顔に集まる”ではないですが、僕は“上機嫌が人に与える最大のプレゼント”だと思っているので、それからはスタッフさん全員がニコニコできるように、ということはすごく意識するようにはなりましたね」

「6つの行動習慣」という形で自らが心掛けている具体的ものを上げているのだが、これはどういう形で編み出されたもの?
「6つのうちの2つは人から言われて気づかされました。ひとつは高橋尚子さんがテレビで言っていたことで、もうひとつはマツコ・デラックスさんにレストランで言われた言葉なんですが、どちらも胸に刺さった言葉でした。どちらも実践してみると、本当にその通りだなと思いました。高橋さんの言葉は“何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ、やがて大きな花が咲く”というものなのですが、これは今の新型コロナによる緊急事態宣言下にも言えることだと思うんです。ただ暇つぶしをしているのか、それとも粛々と自分がスキルアップできることをするのかで、コロナ明けに実力の差が出てくると思うんです。僕も“ライバルは絶対にコロナ明けに強くなって出てくる”ということを紙に書いて壁に張っています。だから今は読書、自宅トレーニング、SNSのコンテンツをためるということをルーティンワークにしています」

 現在はさまざまなフィールドでも多くの仕事をこなす中で、この6つの習慣は他の仕事の現場でも実践できる普遍的なものですね。
「特に5番目に挙げさせてもらった“人のやらないことをやる”というのはそう思います。一般のテレビやYouTubeのトークライブなどに呼ばれた時に“いい子ちゃん”を演じたわけではないんですが、一般の現場だからという意識があって、あまりハチャメチャなことはしないようにしていたら、やはりディレクターさんや他の事務所のマネジャーさんなんかに“そこはしみけんが思いっきりやらないと呼んでいる意味がないから”といったことを言われました。“やってはいけないことは編集でカットするからめちゃくちゃやってくれ”と言われるようになってから、どんな大物女優さんだろうが、女性がいたら僕は地面に寝っ転がってパンツを見ようとしたり、僕に背中を見せたら、すぐにバックで腰を振る体勢を取るようにはしています」

 しみけんさんだから許されることですね。
「ぎりぎりですよ(笑)。ぎりぎりアウトかな?というときもありますけどね。でもそれも、やらないよりはやったほうがいい」

 テレビなどでも非常に気遣いができる人という印象。そういうことの積み重ねで女優さんやスタッフさんから「また一緒に」ということも多いのでは?
「そういうのは自分ではよく分からないんですけど、僕がいつも仕事が終わった時に思うのは“ギャラ以上のお得感が与えられたかな?”ということなんです。他の同じギャラの男優に比べてお得感はあったかな?と。そういうふうにしていくと仕事は回ってくるのかなとは思います。プラス勃起力ですね(笑)」
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