姿月あさと、65年ぶりに新しく作られた宙組は、 「道なき道を行く。歴史を自分たちで作っていかなければいけなかった」

　収録が行われたのは、緊急事態宣言が解除される前。外出ができない中、自宅での過ごし方について話が及ぶと――。

姿月　自宅の整理などをしていましたね。ずっと開けていなかったノートパソコンの充電でもしようかなと思って、久しぶりに開いてみると、2016年から開けてないことが発覚して……。

要　4年ぶり！（笑）

姿月　びっくりしましたね。一から設定しなおして、何千件もメールが溜まっていました……。

要　では、ちょっとずつ再開を？

姿月　まだ充電しただけですね（笑）。要さんは、そういうのってお得意ですか？

要　僕は、結構好きですね。今だったらオンライン飲み会が流行っているじゃないですか。ちょこちょこやっています。

姿月　私、全然そういうのやったことないんですよ。

要　これを機会にちょっとずつやってみたらどうです？

姿月　充電が100％になりましたからねぇ（笑）。いつか要さんともオンライン飲み会をしてみたいですね。

要　ホントですか!?　うれしい！　

姿月　それを頼りに頑張ってみようかな。ははは。

要　宝塚に入ることは、夢というかあこがれだったんですか？

姿月　昔、「宝塚ファミリーランド」という遊園地兼動物園があったんですけど、そこへ行くときに舞台を見る機会があって。子どもの頃からバレエを習っていたので、歌ったり踊ったりしている姿を見て、「きれいだな」と思ってあこがれたんですね。

要　かなりの競争率ですから、受かったときはやっぱり嬉しかったですか？

姿月　受かるとは思ってなかったんですよね。でも、中学校卒業から高校卒業まで計4回受けるチャンスがあったので、何回でも受けようとは思ってました。

要　15歳で入団……ということは、1回で受かったんですか!?

姿月　そうなんですよ。 背が高いからだと思います（笑）。要さんも身長がお高いんですよね？

要　185センチあります。

姿月　ほほ～ぅ！　私は172センチ。

要　背が高いって、良い反面とちょっと不便なとこもありませんか？

姿月　しっかりしているように見られがち……、あまり「大丈夫？」とか言われないですよね。

要　ははははは！　大きいから頼りにされがちという。そんなことないのに。

姿月　私、生まれたときから大きくて、体重が4350グラムだったんですよ。

要　えぇぇ～！

姿月　だから、ずっと“しっかりした子”みたいな感じで育ってきてしまいまして……見かけだけ。

要　いえいえ、でも高身長だったこともあって宝塚へ。姿月さんはずっと男役。24歳のときに、『風と共に去りぬ』の主役に抜擢される。

姿月　私は、「宝塚歌劇団に入りたい」ということが夢だったので、「主役になりたい」なんて思ったことがなかったんです。


1998年、姿月さんは宙組の立ち上げメンバーに選ばると、『エクスカリバー／シトラスの風』で初代トップスターに就任する。しかし2年後、『砂漠の黒薔薇／GLORIOUS!』で退団する。


要　なぜ退団しようと？

姿月　次の人生に向けての第一歩……卒業という認識ですね。トップスターになってからは2年ほどだったかもしれませんが、宝塚歌劇団に入団して初舞台を踏んでから十何年間が経過していました。宝塚人生で考えたら、決して短いとは思わなかったんですね。悔いの残らない形で、卒業させていただきました。

要　宝塚人生の中で、印象的だった出来事って何でしょう？

姿月　自分が在団しているときに、宙組ができたこと。宝塚は、ずっと4組だったんですけど、まさか新しい組ができるとは思っていませんでした。（宙組は）65年ぶりに新しくできた組なので、そういう時期に自分が在籍していたことに運命的なものを感じました。誰も上の方がいない組ですから、道なき道を行くというか……組の歴史を自分たちで作っていかなければいけなかった。

要　なるほど。どういう風に作られていったんですか？

姿月　宙組は、既存4組から抜擢された方々が集まってできた組。各組によって決まりごとも違うので、みんなで話し合って一つずつ決めていきましたね。新しい宙組ならではのルールだったり。まずはそこからでしたね。

要　宙組のオリジナルの決まりごとって、どんなものが？

姿月　挨拶の仕方であったりとかお稽古の仕方であったりとか。組によって全然違うんです。