感染症と生きなければいけないこの時代に、相性最悪の“生”の演劇をするということ【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記番外編】

こんにちは、黒田勇樹です。
三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.9「首領(ドン)ちゃん騒ぎ」が全16公演、無事終了しました。
企画が立ち上がってから、稽古、小屋入り、初日、そして千秋楽と節目節目でいろいろなことがありました。とにかく無事に終わって良かったです。
この時期にこんな作品ができたこと、関わっていただけた皆様に感謝します。
今回は番外編として、ちょっとだけ今回の舞台のことを書かせていただきます。
では始めましょう。

「読み物」という商品として書かせて頂いているこのコラムで、自分の作品について書くのは“プロモーションもどき”になりかねないので禁忌にしているのですが、このご時世なので今回だけちょっとだけ。

7/23~8/2まで、プロデュース・作演出として、演劇の公演を行っていました。

僕は医学の専門家じゃないので、この時期に演劇をやるとしたら「皆が大笑いできるものを作ろう」と、思うワケです。

どこかの劇場では“演劇クラスター”が発生し、「演劇」という行為そのものが、感染症を拡大させる様な印象の報道をされる中、僕たちが頼ったのは

行政から指示されたガイドラインです。

だって俺たち、専門家じゃないから!

劇場が危険で、それでも演劇やっていいっていうなら、本来“感染症対策の専門家”を各劇場に設置しなくちゃいけなくて、そういう処置は“自主的”にではなく、一律に指示されなければ、判断が出来ないんです。

飲食店のなんちゃら衛生士みたいにね。

判断が出来ないというと誤解が生まれるかもしれませんが、「素人の判断に、命預けられる?」と言ったらわかってもらえるでしょうか?

行政に携わってる専門家に命預けるしかないでしょう!

全部、守りました。

稽古場もいつもの倍借りて密をさけ、客席を半分にし、経費は倍、利益は半分、それでも

「今後も劇場に来て頂く為」に、お芝居をしたわけです。

笑いの基本は大声とテンションなので、その結果巻き起こる大笑いをして頂かなきゃいけないので、キャストも観客も検温と消毒の徹底。お客様にはマスク必須。舞台面と客席をビニールシートで区切っての公演。

「これが安全だったのかどうか」は、僕らには分かりません。
でも、偉い人たちが言った「安全」以上の安全を図りしました。

俺らだけが偉いワケじゃなくて、あらゆる業種の人が、こういう戦いをしているんだと思います。

なんというか「業種ごとに善悪を判断する」んではなく、「あらゆる業種に、ちゃんとしてるヤツとしてないヤツがいる」という、冷静な目線を持っていただければと思う次第です。
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
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