舞台『画狂人 北斎』を終えて…【黒谷友香の「友香の素」vol.332】
舞台『画狂人 北斎』の全公演が無事終わって今日で3日が経つ。
2019年からの再演で、初演は東京と、北斎ゆかりの地である長野県小布施市の2カ所での公演。ちなみに私が演じたのは北斎の娘、お栄。今回、コロナ禍ではあったけれど、東京、小布施、そして大阪、高松、金沢とさまざまな土地を回る事ができた。
今までとは稽古から勝手が違っていて、稽古期間中はもちろんずっとマスク着用。休憩も稽古場の換気のために定期的にするから、普段なら休憩を入れないタイミングで入ったし、ゲネプロになってからやっとキャストはマスクを外して、目元だけしか見えてなかったお互いの顔の表情全部を、その時に初めて見る事ができたという通常なら考えられないような体験もした。
そんな状況の中でも、それぞれの土地でたくさんのお客様が生の舞台を観るために足を運んでくださった事、大千秋楽をキャスト、スタッフ全員で無事に迎えられた事、しかも演じたお栄は金沢で亡くなったとされる説もあるので、その金沢での大千秋楽は本当に感慨深かった。
それに今回、私の出身地である大阪で公演できた事もうれしかった。仕事で来たんだけれど、勝手知ったる大阪に居るからか、心のどっかがホッとしているのが分かる。帰る度に大阪やっぱり好きやなぁと思うけれど、今回はそれを新大阪駅に着いてからすぐに味わう事に(笑)。新大阪から劇場までのタクシーに乗ったんだけど、そのタクシー運転手さんの醸す雰囲気が、まるで中川家の礼二さんがコントでやる運転手さんに似過ぎてるから、私は心の中で「あんたは礼二さんかっ」と突っ込み、あまりのキャラ似過ぎに吹き出しそうになるのを堪えながら劇場入りをした。そんな出来事も今じゃ懐かしい話だ。
稽古が始まったのは2月、気が付いたらもう4月! 日が経つのはあっという間で早いけど、1日1日を大事にしていこうと思う今日この頃である。