編集部が独断と偏見で見どころピックアップ「家でじっくり東京五輪」

 7月23日に開会式を迎える「東京オリンピック」では五輪史上最多となる33競技・339種目が行われる。今回の五輪は新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止のため、6月23日に東京2020組織委員会が観客数を「収容人員の50%以内で1万人」と発表した。同時に応援スタイルについても飛沫感染の防止の観点から、大声を出しての応援にも自粛の要請が出された。おまけに不要不急の外出については自粛の要請が出されていることから多くの人がテレビでの観戦となる。そんな中ではあるが、編集部が独断と偏見で注目競技をピックアップする。

6月25日、日本選手権の男子100mの表彰式。優勝の多田(左)と3位の山縣が五輪代表に内定した(写真:松尾/アフロスポーツ)

過去最強布陣で臨む男子100mと4×100mリレー

 まずは陸上。過去最強の布陣で臨むのが男子100mと4×100mリレーだ。かつて日本の陸上競技界はマラソンやフィールド競技の活躍が目立ち、短距離は欧米の選手にはかなわない時代が続いた。しかし1992年のバルセロナ五輪から4×100mや4×400mリレーで決勝進出を果たすようになる。それは個々のタイムでは劣るもののバトンワークの技術を磨いてのもの。日本ならではの勝利の方程式に基づく戦略が功を奏してのものだった。しかしメダルへの壁は厚く、2004年のアテネでは両リレーとも4位とあと一歩及ばなかった。そして長く日本の短距離界を支えてきた朝原宣治の最後の五輪となった北京では決勝で3位に入線し銅メダルを獲得。これはその後、1位となったジャマイカの失格で繰り上げで銀メダルに。2016年のリオデジャネイロでは堂々、銀メダルに輝いた。

 この時点でも日本では100mを9秒台で走る選手はいなかったのだが2017年9月に桐生祥秀がついに9秒98を出すと、その後、サニブラウン・アブデル・ハキーム、小池祐貴、山縣亮太が続々と10秒の壁を突破。代表を決める6月の日本選手権は史上まれにみる高レベルの戦いとなったが、多田修平が10秒01で優勝。多田と山縣、小池が代表の座を射止めた。

 4×100mリレーはこの3人に200メートル代表のサニブラウン、山下潤、飯塚翔太。そして桐生と日本選手権で2位に入ったデーデー・ブルーノの布陣で臨む。

 100mは決勝進出を、リレーは金メダルを狙う。

 

マラソンは沿道での観戦自粛で札幌の街並みも堪能?

 根強い人気を誇るマラソンは女子が8月7日、男子が最終日の8日に北海道の札幌で行われる。女子は長らく破られなかった野口みずきの国内最高記録を破った一山麻緒、前田穂南、鈴木亜由子、男子は中村匠吾、服部勇馬、大迫傑が出場する。日本陸連では東京五輪でメダリストを誕生させるための施策として2015年から2020年春にかけてマラソンで日本記録を更新した選手に1億円を授与する報奨金制度を導入。また今回の五輪から代表選考にあたって「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を開催。選考の透明性や公平性を確保し、選考過程が分かりやすくなることで、ファンも思い入れを持って五輪に臨めるようになった。

 東京の暑さを避け、札幌での開催となったが、札幌とて気温は30度を超える。日本人選手に地の利があるのは明白で、男子では1968年メキシコの君原健二、女子は2004年アテネの野口みずき以来のメダル獲得に期待が集まる。

 同じく札幌で開催される競歩については2019年の世界選手権で20kmの山西利和と50kmの鈴木雄介がともに金メダルを獲得しており、こちらは金メダルの期待大だ。

 ちなみにマラソンや駅伝といえば沿道で旗を振りながら応援する人、なぜか歩道をランナーに負けじと走る人などさまざまな姿がテレビを通じてみることが多いのだが、組織委などは6日に感染リスクを減らすためにマラソンと競歩について沿道で観戦をしないように呼び掛けているため、今回は多分そういう風景はなし。逆に札幌の街並みを堪能できそう?

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