前田拳太郎 THE INNER DEMONS ーー月刊EXILE

『仮面ライダー』シリーズ50周年の記念すべき年に誕生するのが《悪魔と契約する仮面ライダー》、その名も『仮面ライダーリバイス』!!  本作の主人公・五十嵐一輝役に抜擢されたのが前田拳太郎だ。演技経験の少ないなかで挑む大役について聞くとともに、21歳の素顔にも迫った。

《ATTACHMENT》のシャツ¥30,800、タートルネックカットソー¥19,800、 《CULLNI》のパンツ¥30,800(すべてSian PR) その他・スタイリスト私物 SC_ photography_Yumiko Taruki(TRON management) styling_Yamato Kikuchi(Rising Sun) hair&make_Shinya Shimokawa(BERYL) text_Masako Wakamatsu edit_Megumi Shishido

─令和第3弾の「仮面ライダー」作品となる『仮面ライダーリバイス』のヒーローに選ばれましたが、この世界に入ったきっかけは?

「僕は幼稚園から高校まで空手しかやってこなかったのですが、大学に入ってから『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』を受けまして。そのときは落ちてしまい一度諦めて、大学で社交ダンス部に入りました。将来どうしようかと考えたとき、やっぱり俳優になる夢をかなえたいなと。そこから事務所を探し、LDHさんにスカウトしていただいたんです」

─さらっと言いましたが、空手も社交ダンスもすごい成績を残しているんですよね。

「空手は全国中学生空手道選手権大会の団体で優勝。ダンスも学生競技連盟の種目別で優勝しました」

─何事も“極める”人なんですね(笑)。

「極めるというか、一度始めるとそれだけになってしまって(笑)。空手をやれば空手だけ、ダンスをやればダンスだけ。同時にいろんなことをするのが苦手で、結果ひとつのことを突き詰めてしまうんです。それはたぶん父の影響で、小さいころから『何でもいいから一番になれることを見つけろ』と言われてきたから、極めることにこだわってしまいます。だから俳優をやっている今はお芝居のことしか考えられない。そもそも俳優を目指そうと思った最初のきっかけは幼稚園のときで、将来なりたいものは? って聞かれると『仮面ライダーになりたい』と言っていたんです。弱虫だったのでライダーみたいに強くなりたかった」

─幼稚園からの夢をかなえるってすごくないですか?

「僕も本当になれるとは思っていなかったです(笑)。『仮面ライダー』のオーディションのときも“いいところまでいけたらいいな”ぐらいの気持ちだったので、終わったあとは『やっぱりダメだった』と落ち込んでいました」

─じゃあ、受かったと聞いたときは?

「最初は『打ち合わせをするから』って事務所に呼ばれたんです。怒られるのかな? とドキドキしていたら、マネージャーさんがカメラを回して部屋に入ってきて、『仮面ライダーに決まりました!』って言われて頭が真っ白に(笑)。もっと泣いたり、『よっしゃー!』という感じになるのかと思っていたけど、いざその立場になるとリアクションって意外に取れないんですよね。でも、そこからだんだん喜びや実感が湧いてきました。同時に、今回は『仮面ライダー』シリーズ50周年の記念作になるというプレッシャーや不安を感じて、うれしいだけじゃない、いろんな感情が入りまじっていきました」

─『仮面ライダーリバイス』は今までにないライダー像。主人公の五十嵐一輝(いがらし・いっき)が内に宿る悪魔・バイスと契約するという設定がおもしろいし、深いと思いました。

「なかなか特殊な設定ですよね。人間誰しも接する相手によっていろんな顔を使い分けたり“裏の顔”を持っているけれど、それを実態化するってちょっと思いつかない。しかも『仮面ライダー』っていつも孤独に戦っているイメージでしたけど、今回は実態化した悪魔のバイスが相棒になるという初めての設定なんですよ。あと、家族をテーマにしているところもこれまであまりなかったこと。兄弟や両親も出てくるんですけど、今って家にいる時間が長くて家族と接する機会が増えたじゃないですか。作品でも一輝と兄弟の関係性や家族愛を描いているので、共感や感情移入できる部分があるんじゃないかなと思っています」

─相棒・バイスとのコミカルなやり取りも楽しめそうですね。

「バイスは悪魔といっても怖いイメージはなくてよくしゃべるんです。基本、一輝がツッコミでバイスがボケるみたいな感じで、戦闘中もずっとしゃべりかけてくるから結構無邪気というか。暴れん坊のバイスに振り回されながら戦っていく姿もおもしろいと思います。ただ、バイスは一輝自身も気付いていない裏の自分ですからね。そこがどう展開していくか今は言えませんが、コミカルなだけじゃなくシリアスな部分も出てくるはず。そのギャップも見どころのひとつになると思います」

─一輝はどんなキャラクターの男の子ですか?

「大切な家族と一緒に守ってきた実家の銭湯が大好きで、そのためなら自分を犠牲するような強い心を持っています。とにかくまじめで真っ直ぐで一生懸命で、さっき言ったように僕もやるとなったら一点集中タイプだから、そういうところはちょっと似ているかもしれない。あと銭湯が好きなところも共通点。僕もサウナや岩盤浴が好きで、多いときは週4ぐらいで通っていたんですよ」

─多いですね(笑)。

「疲れたときも行くし、オーディションの前も絶対に行きます。ルーティンみたいな感じで前日にサウナに入って心身を整えてから挑む。実際、サウナに行ってから受けたオーディションは調子がよかったりするんですよね。今は撮影があるのであまり行けないけど、時間があればもっと行きたいです」

─「仮面ライダー」の撮影はハードだと聞きますが、実際どうですか?

「正直、大変です(笑)。スケジュールがタイトなので家に帰ってもご飯とお風呂、あとは寝るだけという感じで、そんな状態のまま炎天下でアクションとかをしないといけないから体力的にも精神的にもかなりヘビー。でも『仮面ライダー』は夢のひとつであり、将来もっと羽ばたいていくための道だと思っていて。これから先はもっと厳しいことも多いだろうから、ここを乗り切ればほかの現場に行ったときに役立つと思って今は頑張っています」

─ライダーの鑑! 撮影以外でもヒーローとして心がけていることはあります?

「子どもたちのお手本にならないといけないので、日ごろの生活から改めています。例えば道路を渡るとき目の前に目的地があって車も全然通っていなくても、100m先の横断歩道まで行ってちゃんと渡るとか(笑)。当たり前のことですけど、つい気を抜いちゃうときってあるじゃないですか。でも仮面ライダーの肩書は番組を卒業しても変わらないですし、これまでつないできた歴代ライダーの名前を汚さないよう、今もこれからも自覚を持って俳優人生を送っていくつもりです」

─目標にしている俳優像は?

「いわゆるカメレオン俳優と言われるような、何にでもなれる役者さん。若いうちは王道でいきたいと思うけど、年を重ねたら型にハマらずさまざまな役に挑戦して、いろんな自分を見てもらいたいです」

─楽しみです。そんな前田拳太郎の裏の顔=悪魔な部分もちょっと知りたいのですが(笑)。

「空手やダンスをやっているときはもっとストイックだったんですけど、自粛期間中に怠けてサボり癖がついてしまったんです。家にいるときにすぐベッドでゴロゴロしたり、アニメや漫画が好きなのでそれを何時間も見てしまいます。そういうときは自分のなかに悪魔がいるなって思います。でも最近はそんな悪魔と戦って勝てるようになってきて、時間を有意義に使えるようになってきました。元々根がビビリだから何もしないと不安になる。今も暇さえあれば台本を読んだりしていますけど、そのほうが気が楽なんです」

─俳優さんってそういうM体質の人が多い気がします。自分を追い込むことを楽しむというか。

「僕もつらい状況にいるほうが自分を好きになれるし、怠けている自分は許せない。ただ、悪魔が出てくるとつい許しちゃう。そこはまだまだダメなところですね(笑)」

© 2021 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

TV information
『仮面ライダーリバイス』
9月5日(日)より放送スタート  テレビ朝日系 毎週日曜9:00〜9:30

五十嵐家は、銭湯「しあわせ湯」を営むごく普通の家族。長男の一輝(前田拳太郎)は正義感が強く世話好きで熱い男。一輝にとって何よりも大切なのは家族であり、しあわせ湯だった。そんなある日、一輝たちは突然、デッドマンズ率いる悪魔崇拝組織の襲撃に遭遇! 一輝は大切なものを守りたい一心から、自身の体内に宿っていた悪魔の存在に気付き、そのささやきに耳を傾ける。そして、「毒をもって毒を制す」の精神で悪魔・バイス(声・木村昴)と契約を交わし、仮面ライダーに変身する─。

前田拳太郎 Kentaro Maeda
1999年9月6日生まれ、埼玉県出身。身長182cm。2021年、TXドラマ「ラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~」で俳優デビュー。特技は中学3年のとき全国大会で優勝した経験を持つ空手と、大学から始めた社交ダンス。

 

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