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ART | TOKYO HEADLINE
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倉本聰、衝撃を受けた巨匠・黒澤明の絵コンテ

2020.03.09 Vol.Web original

脚本家の倉本聰が9日、自身の絵画展「倉本聰 点描画とやすらぎの刻 展」の内覧会に出席。脚本を書く傍ら、十数年におよび描き続ける絵画について語った。

脚本家として知られる倉本だが、16年ほど前からはライフワークとして、点で絵を描く「点描画」を始めた。本展では、脚本家として多忙な日々を過ごす倉本が、富良野の自然に囲まれながら、日々感じたことを詩文と共に描きためた絵画約70点を展示。関東地方では初開催となる。

テレビの画素からアイデア

ひとつの作品完成までに約8万もの点を打つという繊細な倉本の絵画。点描画という手法を選んだのは、「テレビの画素」がヒントだったとか。「テレビは、点が集まって映像になっているでしょ。それで、点で描くのを思いつきまして。ボールペンは1.0、0.7、0.5…と太さに種類がある。その他にも、点の密度や、ペンを押し当てる強さを変えれば、違いが出せる。描いていると、段々と点で作られた絵が浮き上がってくるのが面白くて」と、点描画の魅力を語った。

絵を始めたのは、巨匠・黒澤明の影響

意外にも、絵を描こうと思ったきっかけは映画界の巨匠・黒澤明の影響。「役者に芝居のイメージを伝えるのに、絵コンテを描いて渡すんですが、あるとき黒澤さんのコンテを見たら、なんと、ひとつひとつ油絵で描いている。それに衝撃を受けました。僕もどうすればいいだろうかと思って」と、黒澤からの影響が、絵画を始めた理由だったと明かした。

芸術家の目を通して、世界を見る 池田学展「誕生」

2017.07.18 Vol.694

 緻密な筆で壮大な世界を出現させる作品が印象的な現代画家・池田学。今年1月からは、初となる大規模巡回展『The Pen?凝縮の宇宙?』がスタートし、最初の会場となった故郷の佐賀県立美術館では、来場者数9万5740人と同館の記録を大幅に塗り替え、大きな話題を呼んだ。現在、開催中の金沢21 世紀美術館でも、学生時代から現在に至るまで、今日までの画業をほぼすべて振り返る約120点を展示し、鑑賞者を圧倒させている。

 約7年ぶりとなるミヅマアートギャラリーでの今回の個展では、東京では初公開となる最新作《誕生》を中心に厳選した作品を展示。《誕生》は、縦3メートル×横4メートルという、池田にとって最大サイズの作品。本作は東日本大震災がきっかけとなって制作されたという。構想2年、制作3年という年月をかけて描き上げた、文字通りの大作だ。

 満開の花々を抱えた大木が中心にどっしりと構え、圧倒的な存在感でたたずむ。しかしその細部に目を向けていくと、秘められた物語が立ち現れるように、別の風景が見えてくる。

【時間】11?19時【休】日月祝【料金】入場無料【問い合わせ】03-3268-2500【交通】地下鉄 市ヶ谷駅出口5より徒歩5分【URL】 http://mizuma-art.co.jp/

芸術家の目を通して、世界を見る「ジャコメッティ展 」

2017.07.11 Vol.694

 細長く引き伸ばされた人物像で知られる、20世紀を代表する彫刻家ジャコメッティの大回顧展。日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶりの個展となる本展では、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点という数で、初期から晩年までの作品を網羅する。

 本展では、さまざまな表現に挑んだジャコメッティの各時代の代表作が揃うのも見どころ。キュビスムやシュルレアリスムなどに影響を受けた第二次世界大戦前の試み、モデルを前にして制作された彫像、わずか数センチの小さな人物像や複数の人物を組み合わせた群像、そして細長い人物像など、あらゆる時代の代表作を一度に鑑賞できる、またとない機会となっている。

 また、プロジェクト実現に至らなかった最晩年の3部作も登場。チェース・マンハッタン銀行からの依頼によりニューヨークの広場に設置するために制作が進められていた《歩く男Ⅰ》《女性立像Ⅱ》《大きな頭部》が揃って出品。会場では、幻のプロジェクトを壮大なスケールで体感することができる。

 世界3大ジャコメッティ・コレクションの一つ、マーグ財団美術館の全面協力により実現した本展で、知らなかったジャコメッティに出会えるはず。

【時間】10?18時(金土は20時まで。入場は閉館の30分前まで)【休】火曜【料金】一般1600円、大学生1200円、高校生800円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄千代田線 乃木坂駅改札6出口より美術館直結【URL】 http://www.tbs.co.jp/giacometti2017/

瞬間と永遠『東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館』

2017.06.27 Vol.693

 日本を代表する写真家・荒木経惟が、パリで行った大規模個展で発表した〈東京墓情〉を日本初公開する展覧会。

 官能的な花々や緊縛ヌード、愛してやまない東京の街、亡き妻を思い見上げ続けた空景や飼い猫チロなど、さまざまな対象を被写体にしながら、独自の死生観で生を鮮烈に描き出し、唯一無二の写真世界を創出してきた荒木。海外でもその評価は高く、昨年には東洋美術専門の美術館としてヨーロッパ最大規模を誇るパリのフランス国立ギメ東洋美術館において大規模個展『ARAKI』を開催し、大きな話題となった。その展覧会で、荒木がレトロスペクティブとともに発表したのが、撮り下ろしの新作〈東京墓情〉。大病を経験した荒木が濃密な“死”への意識を抱きながら自身の写真家人生を振り返った本作は、荒木経惟の現在地を知るうえでも非常に重要なものといえる。

 本展では、その〈東京墓情〉を日本初公開するとともに、ギメ東洋美術館所蔵の写真コレクションより、荒木自身がセレクトした幕末・明治期の写真作品を併せて出展。

 70代後半を迎えてなお精力的に活動を続ける荒木の最新作と、荒木が選んだ19世紀後半の日本文化を伝える貴重な古写真とともに鑑賞できる展覧会となっている。

瞬間と永遠「写真展「COLORS − 色は語る−」写大ギャラリー・カラー作品コレクションより」

2017.06.27 Vol.693

 東京工芸大学芸術学部写大ギャラリーが所蔵する約1万点のオリジナルプリント・コレクションのなかから“色”をテーマに、選りすぐったカラー作品約40点を紹介する。

 19世紀に発明された当初はモノクロのみの表現媒体だった写真。しかし、より見たままに写し取りたいという人々の欲求からモノクロの写真を手作業で着色するようになり、そこからさまざまなカラー写真技法の研究が続けられた。20世紀になり実用的な技法が開発されるも、一般化したのは1970年代のこと。それから約40年。現在ではカラーによる写真作品は当たり前になり、デジタル化によりさらに表現の幅は広がっている。

 写真において色の情報は大きな役割を果たしている。体験した世界を再現するため、美学的、感情的な効果を生むためなど、写真家は色による多用な表現を試みてきた。本展では、写真表現において“色が伝えるもの”を感じる作品が集結。出展は、海外作家ではラッセル・リー、アーヴィング・ペン、エルンスト・ハースら。国内作家では細江英公、森山大道、薄井一議 、本城直季ら。国内外の幅広い年代の作品が揃う

世界を見つめて。山本桂輔展「地底の雲」

2017.06.13 Vol.692

 彫刻と絵画という2つの領域を横断しながら作家活動を続ける山本桂輔の2年ぶりの個展。山本の作品では、植物や鉱物、天候などの自然界と、そこからイメージされた精霊めいた存在が同化し、見る者のイマジネーションをかきたてる不思議な世界が広がっている。とくに彫刻においては近年、捨てられたものやガラクタに親和性を見出しており、存在意義を失ってしまったモノたちを共存という形で再び“在るもの”へと蘇らせる試みとして、土着的要素の高い作品を制作。また今年4月に開催された草月創流90周年記念展「HANA SO」では、現代アート作家の一人として招待され、草月流家元・勅使河原茜とコラボ。その際に展示されたインスタレーション作品も大きな反響を呼んだ。

 本展では、昨年兵庫で開催された「六甲ミーツ・アート芸術散歩2016」で山中に展示された、六甲山の自然との対話の中から生まれた彫刻作品などを中心に、そこから派生した彫刻やドローイングなどを加え、新たな展示構成を展開。

 一見ファンタジックな異世界を想起させる山本の作品だが、それらは作家と現実世界との対話から生まれたもの。常に変化する世界と自分の関係性に真摯に向き合い、アートとしての表現を模索し続ける作家の思考に触れてみよう。

世界を見つめて。マーリア・ヴィルッカラ個展

2017.06.12 Vol.692

 フィンランドを代表する現代作家マーリア・ヴィルッカラの個展。ヴィルッカラは1954年、ヘルシンキでアーティストの両親の元に生まれ、美術を学ぶ。古い椅子や靴など不在を感じさせるモノを配置したインスタレーションをヴェニス・ビエンナーレやイスタンブール・ビエンナーレで発表した1990年代半ばから注目を集めるようになった。2002年にヘルシンキで行われた芸術祭での「So What」展では、国会議事堂に向かう電線の上に“動物たち”を歩かせで大きな反響を得た。日本でも妻有アートトリエンナーレや、瀬戸内トリエンナーレなどで、その場にしか成り立ちえない作品を発表。今年は現在長野で開催中の北アルプス国際芸術祭にも参加している。

 今回ギャラリーで展示されるのは、ブランコや注射器、乳母車といったモチーフが登場する映像を組み合わせた作品。屋外展示や、その土地と一体化する作品が印象的なヴィルッカラが、ギャラリー空間からどんなインスピレーションを受けたのか。静かに、しかし毅然として物質文明や消費社会の在り方を批判してきたヴィルッカラの問いかけに、向き合ってみたい。

[アートを通して世界に触れる]メルセデス・ベンツ アート・スコープ2015-2017─漂泊する想像力

2017.05.23 Vol.691

 原美術館が2003年からパートナーをつとめる、メルセデス・ベンツ日本の文化・芸術支援活動「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」。毎回、日本とドイツの間で現代美術アーティストを交換し、展覧会を行っている。本展では、日本から2名、ドイツから1名を紹介。泉太郎(2016年ベルリンへ派遣)は、ベルリン滞在中に撮影した動画素材や、渡航で得たアイデアによるどこか不思議な映像インスタレーションと映像作品を発表。佐藤時啓(1993年「アート・スコープ」に参加)は、90年代初頭に『光?呼吸』で撮影した東京の同じ場所を再度、異なる手法で撮影。それぞれの新旧を対照させる写真作品を出品。ドイツからは映像・写真・ドローイングなど多彩なメディアを扱うメンヤ・ステヴェンソン(2015年、東京へ招聘)が参加。東京滞在中に撮影した写真や、制作したモノタイプを中心に出品。初めて滞在した東京での発見や、異文化・日本の伝統と現在に注目した作品を紹介する。

[アートを通して世界に触れる]総合開館20周年記念「ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館」

2017.05.20 Vol.691

 今、世界で最も活躍する写真家の一人であるダヤニータ・シンの、日本の美術館では初となる個展。

 1961年にインド・ニューデリーに生まれたダヤニータ・シンは、国内のデザイン大学を経てニューヨークでドキュメンタリー写真を学び、欧米雑誌のカメラマンとしてキャリアをスタートさせた。しかし徐々に、外国人が望むエキゾチックで混沌とした貧しいインドのステレオタイプなイメージに疑問を持ち、1990年代後半にフォトジャーナリストを辞め、アーティストとしての活動を開始する。

 さまざまな風景をとらえる彼女の作品は一見、日常的でありながらつい引き込まれる物語性をはらんでおり、ドキュメンタリーとフィクション、夢と現実、不在と実在がない交ぜとなったユニークな世界を展開。詩的な美しさを持ち合わせる一方で、現代社会におけるさまざまな問題も示唆されている。近年は〈インドの大きな家の美術館〉と名付け、作品全体を移動式の“美術館”として展示するスタイルを考案した。

 本展では、初期の代表作から転機となった〈セント・ア・レター〉を展示する他、最新作を含めた彼女の“美術館”を日本初公開する。

“見れば見るほど、世界が広がる”ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展  16世紀ネーデルラントの至宝 — ボスを超えて —

2017.05.08 Vol.690

 旧約聖書の物語を題材にした、巨匠ピーテル・ブリューゲル1世の傑作『バベルの塔』をはじめ、16世紀ネーデルラントの重要作品が集結。『バベルの塔』は24年ぶりの来日となるほか、巨匠ヒエロニムス・ボスの油彩画2点『放浪者(行商人)』『聖クリストフォロス』も初来日。代表的な巨匠に加え同時代の作家たちも数多く紹介。宗教から風景や人々の暮らしまで題材を広げていった、16世紀ネーデルラント芸術の豊かさを知ることができる。

 本展では『バベルの塔』に、かつてない視点で迫ったプロジェクトも見どころ。今回、東京藝術大学COI拠点の持つ高精度の複製技術により制作された、実物比約300%の巨大複製画を展示。実物の鑑賞では見えにくい細部まで、じっくり堪能できる。また会場では『バベルの塔』のなかの見どころの部分をCGにし、動画で見せるスペシャル映像も上映。ブリューゲルより前にバベルの塔を題材にした作品なども紹介しながら、同作が傑作と呼ばれる理由を徹底解説する。

 また今回はブリューゲルにも影響を与えたとされる奇想の画家・ボスにも焦点をあてる。ボスの模写や、モチーフを借りた作品なども紹介。ボス作品の魅力だけでなくその影響力にも注目する。

“見れば見るほど、世界が広がる”エリック・カール展 The Art of Eric Carle

2017.05.08 Vol.690

 ベストセラー絵本『はらぺこあおむし』で知られる、アメリカの絵本作家エリック・カールの世界を、貴重な原画・作品で伝える展覧会。米国・マサチューセッツ州にあるエリック・カール絵本美術館の全面協力を得て、選りすぐりの絵本原画など約160点の作品を展示する。

 展覧会は2部構成。第1部では、カールが世に送りだした80タイトルにおよぶ作品の中から『はらぺこあおむし』や『こぐまくん こぐまくん なに みているの?』など、日本でもよく知られた絵本の原画を展示。第2部では、影響を受けたフランツ・マルク、パウル・クレー、交流のあったレオ・レオニらゆかりのある美術家、作家の作品や、日本の絵本作家いわむらかずおとの共作絵本の原画の他、舞台の衣装デザインや立体作品なども展示。カールのアーティストとしての側面に迫る。

『はらぺこあおむし』が生まれてからおよそ50年。今なお、その輝きは失せることなく、親から子へ受け継がれ続けている。永遠の名作絵本を生み出したエリック・カールの真髄に触れて。

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