江戸時代以来、隔年で行われている山王権現(日枝神社)の山王祭と神田明神(神田神社)の神田祭。江戸城内で将軍の上覧があったことから“天下祭”と呼ばれた両祭礼は、時代によってスタイルを変化させながらも、江戸から現代へと大切に受け継がれてきた。本展では、山車や絵巻、屏風、古写真、映像、かつて使われていた道具などを展示しながら、祭の成り立ちから現代の様子、祭を支えてきた人々の姿を紹介する。会場では、絵巻『山王祭礼之図 第一巻』(複製)や文政七年(1824年)に作られたとされる江戸天下祭図屏風など、貴重な資料を展示。また『東都歳事記』四巻に記録されたゾウの造り物の図を実際のゾウの大きさに近いサイズで出力展示したり、今なお山王祭で使用されている河鍋暁斎が描いた『御酒所幕』を高性能スキャンし実物に近い状態で展示するなど、祭を体感できる試みも多数。他にも、戦後の山王祭が撮影されたモノクロ映像や、大正時代から昭和に撮影された貴重な写真資料も展示する。
今年6月には日枝神社の山王祭が行われるので、合わせて本展で祭の歴史に触れてみよう。