SearchSearch

世界へ飛び出せ! 日本の若き才能たち。舘鼻則孝 呪力の美学

2016.12.14 Vol.680

 レディー・ガガが愛用する「ヒールレスシューズ」のデザイナーとしても知られる舘鼻則孝が、アトリエなどを含む岡本太郎記念館全体をジャックし、太郎にオマージュを捧げる展覧会を開催。

 卒業制作の「ヒールレスシューズ」がレディー・ガガの目にとまり、一躍アートシーンに躍り出た舘鼻だが、それは才能や運によるものだけではなかった。高校時代に、世界に通用するファッションデザイナーになると決意した舘鼻は、服飾専門学校ではなく東京藝大で染織を学ぶ道を選択。高校生のころからコムデギャルソンに通いつめて8年がかりでプレゼンテーションのチャンスをつかみ、ヒールレスシューズを売り込むために膨大なメールを世界中にばら撒いたという。創造的な野心を持ち、戦略的なヴィジョンと戦術的なアクションによって才能を開花させてきた舘鼻。そんな彼が、情熱と論理、そして行動の人である岡本太郎に共鳴したのは、当然のことだったのかもしれない。

 本展では新作をはじめ、自身のガイコツを鋳造彫刻にした「TRACES OF A CONTINUING HISTORY」の一部を初めて一般公開。太郎と対峙することで、増幅する舘鼻ワールドのエネルギーを感じよう。

【時間】10?18時(最終入館17時30分)
【休】火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28?1/4)
【料金】一般620円、小学生310円
【問い合わせ】03-3406-0801
【交通】地下鉄 表参道駅より徒歩8分
【URL】 http://www.taro-okamoto.or.jp/

世界へ飛び出せ! 日本の若き才能たち。未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果

2016.12.13 Vol.680

 1967年度から文化庁が実施している「新進芸術家海外研修制度」は、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、若手芸術家が海外の大学や関係機関等で行う研修を支援する制度。そうした研修の成果を発表する機会として、1998年から開催されているのが「ドマーニ・明日展」だ。国立新美術館を会場とした大規模なグループ展に加え、2015年には、より小さな規模でキュレーションの度合いを高めた企画「ドマーニ・プラス展」もスタート。2つの企画で、多くの若手芸術家を紹介している。

 今回で19回目を迎えるドマーニ展では、研修を終えて比較的時間の浅いフレッシュな作家たちを主に選出。絵画、写真、映像、アニメーション、インスタレーション、陶芸、メディア・アートなど、多様なジャンルの作家が集う。また滞在先も、フランスやドイツ、アメリカといった欧米だけでなくカンボジアやフィリピンなど、アジアや南半球にまで広がっている。世界各地に飛び出した日本の若い芸術家の将来を期待しつつ、彼らが現地で芽吹かせた表現力を感じてみよう。

【時間】10?18時(金土は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
【休】火曜、年末年始(12/20?1/10)
【料金】一般1000円、大学生500円、高校生および18歳未満は入場無料
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】地下鉄 乃木坂駅 6番出口(美術館直結)
【URL】 http://domani-ten.com/

吉岡里帆、クリスマスは「お客さんと一緒に!」

2016.12.12 Vol.680

 女優の吉岡里穂が11日、上野の森美術館で開催中の『デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~』の夜間特別開館『クリスマス・ナイトミュージアム』オープニングイベントに出席した。

 アート好きで、美術館にもよく足を運ぶという吉岡。本展について「一生で一度しか観られないような作品が集まり、それぞれの作家の想いを感じることが出来ました」とコメント。クリスマス仕様に飾り付けられた展示室については「とてもラグジュアリーな気分を楽しむ時間が過ごせそう」と話した。

 自身のクリスマスの予定については「ミュージカルの公演真っ最中なので、お客様と一緒にお祝いします。ケーキを食べる時間があればいいですね」とのこと。

『クリスマス・ナイトミュージアム』は、12月17、24、25日の3日間で開催。

 
 

写真家が、見つめたもの『Flowers』写大ギャラリー・コレクションより

2016.11.29 Vol.679

 国内外の写真家の貴重なオリジナル・プリント1万点以上を所蔵している写大ギャラリー。そのコレクションの中から“花”をキーワードに作品をセレクト。モノクロ、カラー合わせて約50点の作品を展示する。

 世界中の文化において、古来より花は備えられ、身に着けられ、工芸品や日用品に描かれることで、人の日常に彩りと潤いを与えてきた。花はあらゆる文化圏において人の心と体に寄り添ってきた普遍的な存在であり、同時に芸術家たちにもインスピレーションをもたらしてきた。写真においても例外ではなく、19世紀の写真術発明当初から、花は被写体として写真家たちに好まれてきた。主題にも背景にもなり、作品に美しさを添えながら、写真家の視線や思考を現してきた。

 本展では、19世紀後半から現代まで古今東西の作品を幅広く紹介。花が写真に写されたそれぞれの時代や地域、文化の中でどのような意味を持っていたのか。そして写真家がどんな思いを込めて花を見つめたのか、思いを巡らせてみたい。

【時間】10?20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-3372-1321(代)【交通】地下鉄 中野坂上駅1番出口より徒歩7分【URL】 http://www.shadai.t-kougei.ac.jp

写真家が、見つめたもの 瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす

2016.11.29 Vol.679

 1936年、フォト・デッサン集『眠りの理由』で鮮烈なデビューを飾り、戦後日本の美術界に大きな影響を与えた芸術家・瑛九(えいきゅう、本名:杉田秀夫、1911?1960)の、若き時代に着目した展覧会。

 近年、新たに収蔵したフォト・デッサンやコラージュなど当時の作品約50点の他、友人への手紙を中心とした貴重な資料の数々を初公開。若き芸術家の苦悩と葛藤を、作品と彼自身の言葉の両面から追体験させる。特に手紙は、戦前の前衛アートシーンを語るドキュメント資料としても貴重で、今回は約60通をカタログに翻刻掲載という形で一挙公開する。他にも、エッチングやリトグラフなど戦後や晩年の作品10点も展示。計約60点のミニ回顧展として、瑛九の全体像に触れられる機会となっている。

 戦前、戦後の日本の前衛芸術のなかで、岡本太郎などとともに重要なアーティストのひとりである瑛九。当時、まだ若かった細江英公や池田満寿夫、河原温などにも影響を与えた、瑛九の個性的な芸術的センスに触れてみたい。

【時間】10?17時(金土は20時まで。入館は閉館の30分前まで)【休】月曜(1/2、9は開館)、年末年始(12/28?1/1)、1/10【料金】一般430円、大学生130円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄 竹橋駅1b出口より徒歩3分【URL】 http://www.momat.go.jp/

美術館の“お宝”コレクション大集合!開館30周年記念 コレクションの5つの物語

2016.11.17 Vol.678

 1986年に開館した世田谷美術館の、開館30周年を記念するコレクション展。

「生活空間としての美術館」をコンセプトに建築家・内井昭蔵が手掛けた独特で優雅な建築空間では、同時代の最先端の美術から古代の発掘品まで、幅広いテーマで多彩な展覧会が行われてきた。それに加え、同館では素朴派、現代美術、世田谷ゆかりの作家の3つのテーマを柱に収集活動も行っており、所蔵作品は現在1万6000点を数える。

 本展では、そんな同館のコレクションのなかから、フランスの素朴派を起点に、時代やジャンルを超えて優れた作品を一挙紹介。5つの“物語”を中心に全8パートで構成する。マックス・エルンストやアンリ・ルソー、セラフィーヌ・ルイといった海外の巨匠作家の他、横尾忠則、土方久功、桑原甲子雄ら、絵画、彫刻、写真作品など、同館選りすぐりの収蔵作品が集う。

美術館の“お宝”コレクション大集合!総合開館20周年記念 TOPコレクション 東京・TOKYO

2016.11.16 Vol.678

 東京都写真美術館リニューアル・オープン後、最初のコレクション展。今回は「東京を表現、記録した国内外の写真作品を収集する」という同館の収集方針の一つのもとに集められた作品の中から、戦後から現代の作品を中心に紹介する。

 一つのイメージに集約しきれない、多層的な大都市・東京を、写真家たちは、それぞれどんな視点で切り取り、表現してきたのか。本展では、石元泰博や東松照明といった戦後日本の写真界を代表する大御所から、荒木経惟、森山大道ら現代写真の代表的写真家、ホンマタカシ、本城直季といった若い世代にも人気の写真家など、40名以上の作家による作品が揃う。会場では「見えないものを覗き見る」「どこでもない風景」などの切り口で展示構成。見慣れた東京、見知らぬ東京の風景を歩いてみよう。

広い世界が、見えてくる「ラッキーワイド×のら猫クロッチ」展

2016.10.27 Vol.677

 目ヂカラ満点のキャラクター「のら猫クロッチ」と、造形作家集団ラッキーワイドのクリエイターたちによる展覧会。

 2007年に誕生して以来、ユニークな活動を続けてきたキャラクター「のら猫クロッチ」が、イベントやテレビセットなどの立体造形から、特殊美術造形までを手掛ける造形のプロフェッショナル・ラッキーワイドとコラボ。有志のアーティストたちがクロッチをモチーフに制作した、さまざまな作品を一挙展示。木、石、金属、FRP樹脂、カーボンファイバーなど、多彩な素材を駆使し、お面、時計、立体像、絵画やオブジェ、さらにはねぷたまで、多種多様な作品が勢ぞろいする。展覧会では、のら猫クロッチの原作品と世界観の紹介やコラボ作品の展示のほか、国内外で行ってきた非営利活動「のら猫クロッチと同行二人」プロジェクトも紹介。

 都会のとある住宅街の片すみで生きるのら猫クロッチが、さまざまな人と出会い、生み出した“縁”にふれてみて。

【時間】10?20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-3403-6604【交通】地下鉄 六本木駅3番出口より徒歩4分【URL】 http://striped-house.com/

広い世界が、見えてくる 山口晃展 「室町バイブレーション」

2016.10.26 Vol.677

 大和絵風などと評される画風で注目を集めている画家・山口晃の新作個展。

 全国各地での展覧会はもちろん、2013年には画家のユニークな視点から日本美術を読み解いた『ヘンな日本美術史』で小林秀雄賞を受賞、本年は山梨県立富士山世界遺産センターのシンボル絵画として5.4×7.7メートルもの壁画を制作するなど、目覚ましい活躍を続けている。

 本来は西洋絵画の素材である油絵具を使いながら、日本の伝統的絵画のスタイルを継承した山口の作品は、日本と西洋、古典と現代が同次元に存在する、時空を超越した世界を生み出していく。本展では、室町(から明治以前の)絵画と20世紀以降の現代美術の流れに共振性をみる、という観点で制作した作品を発表。複数の、一見まったく異なるモチーフが山口の中で共振し、立ち現れた絵画や立体、インスタレーションが会場内で展開する。

【時間】11?19時【休】日月祝【料金】入場無料【問い合わせ】03-3268-2500【交通】地下鉄 市ヶ谷駅5番出口より徒歩5分【URL】 http://www.mizuma-art.co.jp/

芸術の秋は、巨匠の名作も現代アートも楽しむべし 蜷川実花展「Light of」

2016.10.12 Vol.676

『六本木アートナイト2016』初日の21日に、六本木に新たにオープンするギャラリービルcomplex665ビルに、小山登美夫ギャラリーが北参道から移転。新たなギャラリースペースをオープンする。

 六本木での第一回目の展覧会は蜷川実花展。本展では今年、新作写真集を発売した「Light of」シリーズを展示。本シリーズは、花火や野外フェスなど暗闇できらめく光を、画面からあふれんばかりにとらえ、その場にいる人々の一瞬を見る者にも伝えていく、美しくも力強い鮮烈な作品。閃光を享受する人々が放つのは熱狂か欲望か、それとも陶酔か。一方で、闇に浮かび上がった花火に向かって伸ばされる多くの手は、まるで光に救済を求めているかのようにも映る。
 光を感じれば感じるほど、濃さを増す暗闇。光をとらえると同時に闇からも目をそらさない、蜷川のまなざしに視線を重ねてみては。

蜷川実花展「Light of」
【時間】11?19時【休】日月祝
【料金】入場無料
【問い合わせ】03-6434-7225
【交通】日比谷線 六本木駅出口1Bより徒歩3分 complex665ビル 2F
【URL】 www.tomiokoyamagallery.com  ※10月21日よりオープン

芸術の秋は、巨匠の名作も現代アートも楽しむべし「デトロイト美術館展 〜大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち〜」

2016.10.07 Vol.676

 アメリカを代表する美術館・デトロイト美術館の選りすぐりの名作たちが集結。6万5000点以上に及ぶ同館のコレクションのなかから、日本初上陸の15点を含めた全52点を展示する。

 その顔ぶれは、名作《自画像》に加え日本初上陸となる晩年の作品《オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて》も出展するゴッホやゴーギャンらポスト印象派の作家たちの他にも、ドイツ人館長ヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーの時代に収集された、カンディンスキーら20世紀のドイツ絵画、さらにはモディリアーニやピカソといった20世紀のフランス絵画の名作を紹介する。まさにヨーロッパ近代絵画を語る上で欠かせない作家の傑作が勢揃いする。

 同館は、アメリカでゴッホやマティスの作品を初めて購入した公共美術館でもある。2013年、市の財政破たんのため存続の危機に陥りながらも、国内外からの資金援助により美術品を売却することなく存続。危機を乗り越えた今も、6万5000点以上の作品を所蔵している。市民はもちろん世界中の美術ファンからこよなく愛される名美術館の選りすぐりの名画を堪能して。

デトロイト美術館展 ?大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち?
【時間】9時30分?16時30分(金曜および10/22は20時まで。入館は閉館の30分前まで)
【休】10月21日(金)
【料金】一般1600円 、高大生1200円、小中生600円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】JR上野駅 公園口より 徒歩3分
【URL】 http://www.detroit2016.com/

Copyrighted Image