昨年のアナ雪のものすごさは今もなお記憶に強烈に残るところ。それを歌ったMay.J.は今年もまたモンスター的なヒットとなったこの曲とともに歩んできた。子供のころからディズニーの歌を歌いたいと願ってきたという彼女はその夢を最高の形で叶え、これからもこの曲を歌い続けていくだろう。本作は抱いてきた夢に真正面から向き合ったともいえる。彼女のディズニー愛の起源ともいえる『アラジン』から『ホール・ニュー・ワールド with クリス・ハート』、『ピノキオ』の『星に願いを』、『ライオンキング』の『愛を感じて』など日本語で歌う。[2CD][2CD+DVD]盤は英語で歌唱したバージョンもある。
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歌声がココロにしみる…「25」Adele
英国出身の女性シンガーソングライターのアデル。彼女が約5年前にリリースしたアルバム『21』は今世紀最も売れたアルバムになっているなど、他に代えのきかないシンガー、ソングライターとして確固たる地位を築いた彼女が、最新アルバムを完成させた。本作の完成までの期間は、大ヒットした『21』の熱は収まるところを知らないといったふうで、一個人としては母にもなり、ミュージシャンとしてもプライベートでも充実しているように見える。さて最新作は本人いわく「償い」のアルバムだという。叙情的で、エモーショナルでフレーズの一つひとつが心身に染み込む。アルバムのリリースに先立ち発表された『Hello』を聞くだけで本作の世界観、そしてこのアルバムが新しいアデルの伝説を作ることがビビッドに伝わってくる。収録曲は、この曲を筆頭に全11曲。日本盤にはボーナストラックが3曲収録されている。秋の夜長のみならず、彼女が次回作をリリースするまで、さらにその後もまた聞き続けられるアルバム。
秋の夜長はロックミュージックをじっくりと「Fading Frontier」Deerhunter
米バンド、ディアハンターの最新作。通算7作目のアルバムとなる『フェイディング・フロンティア』はジャケットワーク同様に美しい作品だ。リリースを控えてバンドは本作のコンセプトマップを公開。殴り書きのようでありつつも整然と構成されたこのマップには、本作へのちょっとした影響と説明が加えられ、INXSやR.E.M.といったアーティスト名などが散りばめられ、陶器の修理法のひとつである「金継ぎ」も含まれていた。美しいメロディーを軸にソフトに響くサウンドで構成されている本作は、温かみと明るさにあふれる。言うなれば、彼ららしいポップ・アルバム。この秋、最もチェックしておきたい作品のひとつだ。
秋の夜長はロックミュージックをじっくりと「BLOOD AND LOVE CIRCUS」The Birthday
結成10周年を迎えて、先月ベストアルバムをリリース。それに続いてオリジナルアルバムを完成させた。本作が放つのはギラギラとしたロックンロールの魅力、そしてそれを響かせる彼ら自身から匂い立つカッコ良さだ。メンバーも言うように、血沸き肉踊るような感覚、聴く人を何かへと突き動かすグルーヴ、リズム。そして、ボーカル。そして、独特な世界観。ロックンロールってかっこいい——。ただシンプルにそれが伝わってくる作品だ。初回限定盤のDVDにはレコーディング風景やメンバーによるアルバム全曲のセルフライナーノーツムービーも収録している。メンバー自身が語る楽曲への想いは貴重。本作はもちろん、バンドへの関心は否応なく深まるだろう。
秋の夜長はロックミュージックをじっくりと「Dodge and Burn」The Dead Weather
ホワイト・ストライプスやザ・ラカンターズで世界を圧倒してきたジャック・ホワイト、そしてザ・キルズのアリソン・モシャートらによるバンド、ザ・デッド・ウェザーによる最新作。いけないものとは知りながらも引き寄せられてしまう、そんな妖艶さは、ジャックが関わる音楽プロジェクトに共通するところ。本作もその例外ではなく、ボーカル、サウンド、グルーヴ、楽曲を構成する要素が絡みついてくるような感覚を聴く人すべてが感じるだろう。ゴシック、ファンタジックな世界をそこはかとなく感じさせつつも、ストレートで荒々しいロックサウンドで訴えかける。ジャックとアリソンのコンビネーションはいうまでもなくベストマッチ。ジャックにとっては新たな代表作となりそう。
秋の夜長はロックミュージックをじっくりと「JUNGLE 9」ザ・クロマニヨンズ
注目を集めたドラマ『ど根性ガエル』の主題歌となった『エルビス(仮)』が街中に鳴り響いても、飄々とした雰囲気で、自分たちのペースでロックし続けるザ・クロマニヨンズ。毎年、とてつもない数のライブを行うことで知られる彼らだが、そのツアーをまもなくスタートするというタイミングで、最新アルバムが完成した。『エルビス(仮)』を含む全12曲を収録。『生活』『やる人』『生きてる人間』『オバケのブルース』……最後の曲『今夜ロックンロールに殺されたい』まで、並んだ曲のタイトルだけを見ているだけでもワクワク。プレイボタンを押した後はその気持ちが高まるばかりだ。カッコ良さにしびれたり、行間の間を読み取ろうとしてみたり…。ザ・クロマニヨンズはじっくり聞きたい。