ロックからクラブフロアまで幅広い層から絶大な支持を集める米アーティスト、トロ・イ・モアの最新作。アルバムを発表するたびに異なる印象を与えてくれることで知られるアーティストだが、本作もまた例外ではない。制作にあたってインスピレーションを受けたアーティストに、ビッグ・スターやトーキング・ヘッズ、トッド・ラングレン、ブラジルのサイケデリックソウルの大御所であるチン・マイアらを挙げ、心地よいロックでファンキーなサウンドで構成した。チルでありながらも、前のめり。聞く人すべてに新しいことにトライする気持ちを与えてくれそうだ。
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新生活にエネルギー注入!「+- 」MEW
水晶のような透明感のある歌声とサウンド、さらにはノイズマスターとも称されるデンマーク出身のロックバンドのミュー。本作は彼らが約5年半ぶりにリリースするフルアルバム。本作はまた、一時脱退していたベーシストのヨハンが復帰したことで、バンドが新しい一歩を聞かせてくれる作品といえそう。ロックからプログレまでをカバーする豊かな音楽性が反映され、ダイナミックかつポップなアルバムになっている。日本盤はボーナストラックを含め10曲を収録。また、ブロック・パーティーのギタリスト、ラッセル・リサックがゲスト参加している。今夏はサマーソニックで来日が決定。
新生活にエネルギー注入!「ONENESS」miwa
透き通る歌声でロックするmiwaの最新アルバム。かき鳴らされるギターと耳に残るキャッチーなメロディーからなる楽曲がラインアップされた。収録曲は全14曲。昨年末に出演した紅白歌合戦で歌い、昨年のユーキャンCMソングとして全国に響き渡った『Faith』、タイトルトラックで進研ゼミCMソングの『ONENESS』、日本テレビ『ウーマン・オン・ザ・プラネット』のテーマソング『super heroine』など前向きなメッセージが詰まった楽曲を収録。全収録曲のうち11曲がドラマの主題歌やCMソングでおなじみの楽曲。
新生活にエネルギー注入!「The Others」MIYAVI
圧倒的なギターサウンドでリスナーの度肝を抜き続ける、MIYAVI(みやび)が放つニューアルバム。前作から約2年ぶりとなる本作でもまたハートを射抜くギターリフがさく裂している。人とは違い、異端であること、カテゴライズできない存在で、孤独。そんなコンプレックスを「らしさ」として受け入れつつ活動を展開してきた彼の気迫を込めた作品であることがタイトルからも伝わってくる。全編から響き渡るのはギター・ロック・ダンス・ミュージックの新機軸。ダンスフロアにいるのでもないのに、自然と体を突き動かすリズムとグルーヴが詰まっている。
彼のギターは海外アーティストの心も揺さぶる。本作にはフジロックフェスティバルで出会い交友を深めたという、元THE MUSICのロブ・ハーヴェイが参加した『Unite』を収録。制作陣にもグラミー賞を受賞したプロデューサーのDREW & SHANNONを始め、ブライアン・マロウフなどが名を連ねている。タイトル曲を含め全11曲を収録。エネルギーを注入される1枚だ。
アーティストがシーンを作る「STARLIGHT」 吉井和哉
先日リリースしたシングル『クリア』ではオープンさとともに、変わらない美声を響かせた吉井和哉。ソロになってからはもちろん、バンド時代に遡ってみてもその圧倒的な歌唱の魅力は輝きを増し続けているように感じるが、前作から4年ぶりとなる最新作もまた、それを裏付けるような仕上がりだ。パワフルなロックサウンドに乗せてうねるボーカルは耳に絡み付き、まるでギターソロを思わせる魅力がある。その一方で、『(Everybody is)Like a Starlight』『You Can Believe』の伸びやかでまっすぐな歌声もまた、頭と心にストンと入ってくる。『クリア』のほか、話題のドラマ『山田孝之の東京北区赤羽』エンディングテーマ『TOKYO NORTH SIDE』など10曲を収録している。
アーティストがシーンを作る「ヒンターランド」ローンレディ
英マンチェスターのホームスタジオから自身の音楽を発信する、新世代のアーティスト、ローンレディ(LONEDADY)。その名が示すように、彼女はひとりスタジオでリズム・マシンとセッションしながら音楽を作る。サウンドはディスコ・ノット・ディスコやニューウェイヴ・ファンク、インダストリアル・ミュージックからの影響を強く受けた踊れるサウンドが詰め込まれている。懐かしさと新鮮さを同時に感じさせるのは、スライ・ストーンのミキシング卓やクラフトワークやプリンスが使ったドラムマシン、ヴィンテージのシンセサイザーを使っていることも関係がありそう。さまざまなアーティストを生み出し、音楽シーンを作り出してきたマンチェスター。彼女はその遺伝子を確実に受け継いでいる。
アーティストがシーンを作る「L.O.K」久保田利伸
R&BやHIP HOP、ファンク。現在のJ-POPシーンでは人気というよりも定番となっているジャンルだ。90年代からアーティストとして、または楽曲提供者として、今も歌い継がれる多くの楽曲を生み出し続けている久保田は、日本におけるこのジャンルのパイオニアであり、生けるレジェンドだ。近年は自身の楽曲とともに、後輩たちとのコラボワークも目立つが、約3年半ぶりにオリジナルアルバムを完成させた。感謝の気持ちを込めたという本作には、久保田のファンクネスが満ちあふれ、メロウでセクシーな大人の男の魅力を感じさせる楽曲もふんだんだ。人生を重ね、酸いも甘いも噛み分ける彼だからこそ、書き、歌うことができる楽曲の数々とグルーヴに腰砕けにされる。
アーティストがシーンを作る「ヴァルニキュラ」ビョーク
カリスマという使い古された言葉では形容しがたい唯一無二の存在、来日公演する際にも“光臨”という言葉がフィットする、ビョーク。作品で、そしてライブで、その一挙手一投足から驚きが生まれる彼女。今年も新年早々から最新作を全世界のiTunesで同時リリースするというサプライズでスタートさせた。本作はその最新作をCDフォーマットに落としたもの。このアルバム、内容もまたいい意味での驚きに満ちている。近作は国どころか世界、地球も飛び出すような壮大な作品のイメージが強かったが、本人曰く「ハート・ブレイク・アルバム」。長年のパートナーでアーティストのマシュー・バーニーとの破局が大きく関連している。フェミニンで繊細で、シンプルな言葉と美しいメロディーが連なっている。
タ今、ココロを揺さぶるのは女性たちが作る音。『イトル』メーガン・トレイナー
グラミー賞主要2部門でノミネートされるなど大きな期待をぽちゃっとした体で背負っている、メーガン・トレイナー。本作は彼女の日本デビューアルバム。アメリカはマサチューセッツで生まれ子供のころから音楽と密接に暮らしてきたシンガーソングライターだ。等身大な楽曲が魅力で、『タイトル』という表題は肩書きの意。
同じ表題の収録曲ではあいまいな態度を取る男性に対し「友達なんて呼ばないで。(ガールフレンドの)肩書きをちょうだい」と訴える。全米で8週連続1位を獲得した『All About That Bass』など、女子のハートをわしづかみにする曲ばかり。
今、ココロを揺さぶるのは女性たちが作る音。『ときめき』隣の女
10周年のアニバーサリーイヤーを迎えて、リリース、ツアー、主催フェスなど話題の多いチャットモンチー。彼女たちの最新シングルとなる本作は、福岡晃子とユニットを組む女性ミュージシャン2人を加えた女性4名の新編成で制作されている。
『ときめき』は福岡の書く印象的な歌詞が突き刺さるとともに反響していくギターサウンドに心を揺さぶられるミディアム、『隣の女』はピアノとともに高揚していくバンドサウンド。両方合わせてチャットモンチーの魅力がさく裂している印象だ。変化しながら深化していく彼女たちにノックアウトされること間違いなし。
今、ココロを揺さぶるのは女性たちが作る音。『レベル・ハート』マドンナ
全音楽シーンのトップに立ち、サウンドの先進性はもちろん、音楽を見せるというスタンスにおいても、クイーン・オブ・ポップとして常に最前線にいて、リスペクトを集め続けるマドンナ。本作は、前作から約3年ぶりとなるオリジナルアルバムだ。
収録曲には、何があろうと愛のために生きていると連呼するリードシングル『Living For Love』の他、ハイファッションブランドやガガまで固有名詞が次々飛び出す『Illuminati』など、良い意味で攻撃的。作品やパフォーマンスを通じてメッセージを投げかけ続けるマドンナならではの作品といえる。タイトルが示すように、反骨精神にあふれている。