『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2015』は、クラシック音楽をリラックスした雰囲気で気軽に楽しめることで人気を集めるとともに、ゴールデンウイークの定番として定着したクラシック音楽の祭典だ。
2005年に日本に初上陸して以来、毎年行われてきた。特徴は、特定の作曲家や時代、都市などをテーマに掲げ、それに寄りそうスタイルでさまざまなプログラムが企画されることで、これまで、ヴィヴァルディ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパンなど音楽の教科書にも登場する親しみのある音楽家を取り上げた。
昨年10回目のアニバーサリーを迎え、新たな10年に向けてスタートを切る今年から、「古今東西あらゆる文化を貫く普遍的なエレメントをテーマに、時代やジャンルを超えたプログラム」(アーティススティック・ディレクターのルネ・マルタン談)になる。
テーマは「PASSIONS(パシオン)」。ルネサンスから現代に至るまで、音楽のなかで情熱はどのように表現されてきたのかを探っていく。プログラムは、〈祈りのパシオン〉〈恋のパシオン〉、そして〈いのちのパシオン〉の3つの軸で構成。〈祈りのパシオン〉ではクラシック音楽の土台でもあるキリスト教音楽の受難曲の数々、〈恋のパシオン〉ではイタリアの古楽グループのラ・ヴェネクシアーナによるルネサンス時代の世俗曲マドリガーレ、あこがれの女優への愛憎入り乱れた感情をぶつけたベルリオーズの『幻想交響曲 op.14』、究極の愛の悲劇が描かれているワーグナーの『イゾルデの愛の死』などが聞きどころ。〈いのちのパシオン〉ではバッハの『2台のチェンバロのための協奏曲』、ベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』やピアノ・ソナタ第23番『熱情』など、エネルギーにあふれる楽曲が演奏される。
その他、ポルトガルの歌謡であるファドをベースにブラジル音楽やジャズなどからも影響を受けている歌手のアントニオ・ザンブージョや、アコーディオンの御喜美江、能管の一噌幸弘、ロックなアプローチで聞かせるドイツのクラシカルバンドのSPARK、そして、既にこのイベントには欠かせない存在ともいえる渋さ知らズオーケストラも登場。それぞれの情熱にあふれるステージを繰り広げる。
会期中に行われる公演は無料公演を含めて、約350公演に及ぶ。公式サイト(http://www.lfj.jp/)では、作曲家や出演アーティスト、タイムテーブルなどから公演を検索できる。