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STAGE | TOKYO HEADLINE - Part 11
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テイストは違えどどちらも”大人の芝居”

2015.02.08 Vol.636

MONO『ぶた草の庭』

 MONOの作品を言い表すとするなら“絶妙”という言葉がふさわしい。設定の妙と笑いを交えた良質な会話劇でいつも観客をうならせる。それでいてなんともいえないペーソスや、社会的な問題を想起させるようなテーマを押し付けがましくない絶妙なさじ加減で盛り込んでくる。MONOはいわば“大人の芝居”だ。

 今回の舞台は古民家を再生して作られたカフェのようなスペース。そこに集まる人たちにはある共通に抱える事情があった。それは詳細は解明されていないものの、突然死してしまう病気の患者ということ。この病気にかかった人に対しては隔離政策が取られ、このカフェもそんな施設のひとつだった。死と隣り合わせでありながら、比較的穏やかに暮らす彼らだったのだが…。

 病気と死、希望と絶望…。この手の題材は取り扱いが非常に難しく、やる劇団によってはどシリアスで笑えなかったり、重すぎて見終わった後にどんよりしたり、無駄な主張が入ってしまって乗り切れなかったり…といった作品に陥りがちなのだが、多分そうはならない。あくまできっちり喜劇として成立させるところがMONOならでは。

【日時】2月21日(土)〜3月1日(日)(開演は19時30分、土15時/19時30分、日15時。21日(土)は19時30分の回のみ。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】ザ・スズナリ(下北沢)
【料金】指定席4200円、ベンチシート(整理番号付自由席)3800円/早期観劇割引(21、22日) 指定席3700円、ベンチシート(整理番号付自由席)3300円/U−25チケット 2000円(対象25歳以下・要証明書提示。前売りのみ)
【問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337 [劇団HP]http://www.c-mono.com/
【作・演出】土田英生
【出演】水沼 健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生/山本麻貴、もたい陽子、高阪勝之、高橋明日香、松原由希子

シャッター通り商店街が舞台のハートフルコメディー 

2015.02.08 Vol.636

舞台『ア マンズ マン もしくは…』に出演するトクナガクニハルと芋洗坂係長。見た目は正反対(?)の2人だが、20年以上のお付き合いという気心の知れた仲間だ。出会った当時のことを聞くと…。

ト「係長になる前からの付き合いだよね」
芋「そう、平社員の時からの(笑)」
ト「当時はこんなフォルムじゃなくて、いろいろな変貌を経て、ここにたどりついた(笑)。これ、完成形?」
芋「生物の最終系だと思っています。人は進化したら太るんだと(笑)。寒さに耐えられ、暑さには…ちょっと弱いけど、食料が体にたっぷり蓄えられてる」
ト「暑さに弱いのに、最終系なんだ(笑)」

 今回2人が出演する作品は再演だとか。

ト「初演は2009年ですがキャラクターも含めてもう1回台本を見直して、今回のキャストに合うように作っているので、ほとんど新作のようなものですね」
芋「僕は初演には出ていないのですが、今回は濃いめのキャラクターをやらせていただきます(笑)。2つのキャラを融合させているというか、性別もカテゴリーもいろんなものが入り混じっている。“キモ・かっこ・かわいい”といった感じでしょうか(笑)」
ト「芋ちゃんのキレキレのダンスは…出るか出ないかお楽しみにということで(笑)。フランクエイジカンパニーは、ハートフルコメディーをテーマにずっとやってきていて、今回も笑いあり、涙ありのアットーホームな、ほっこりする作品です。鑑賞後は“こんな素敵な作品に出会えて良かった”と思っていただけるような舞台にしたいです」
芋「岩手県という設定ですが、舞台は全国のどこにでもある商店街。そこがシャッター通りになってしまい、それを地元の人がどうやって乗り越えていくかという話なので、田舎がある人は感情移入できると思います。東京の人は…田舎の切実な問題を感じてもらえれば(笑)」
ト「どこの人でも、どこに行っても、人は絶対誰かとつながっています。人は支えあって生きているんだということを再認識できる作品です」

 最後にお互いの素敵なところをひとつ。

ト「芋ちゃんはあったかい男です。体温的にも(笑)」
芋「トクさんは…飲まないと話が始まらない、本当にお酒が好きな人です(笑)」

平日だが下北沢演劇祭では「劇団ポニーズ」を見てほしい

2015.02.08 Vol.636

 2月1日から始まっている「第25回下北沢演劇祭」には今年は32の劇団が参加する。その中でも異色の存在なのが、劇団ポニーズだ。主宰で演出を務めるのは画家の青山健一。

「2011年に風煉ダンスという劇団の美術の作業中に役者さんと“こんな芝居やったら面白いね”というバカ話をしていたんですが、それがことのほか盛り上がりまして。結局やることになりました」

 というわけで、メンバーは基本的にはそのとき青山の作業を手伝っていた面々。2011年9月に『いきなりガンダーラ』という作品で旗揚げした。その作風は青山が「僕は“自由な茶番”って言ってます。気楽に、演劇って楽しいよねっていうことをやっていきたい」というように“ゆるふわ”な感じ。

 作品の作り方から稽古の仕方まで、通常の演劇の現場とは違うやり方のようで、そういう既存の演劇とは違った手法で仕上がった作品はまさに独特の“ポニーズワールド”。

 とはいっても舞台上はゆるゆるでも、それを作るためには稽古もしっかりしなければいけない。

「でもそのためにちゃんとしようとすると、脈々と続いている演劇のやり方で作らなきゃいけなくなってくる。僕の役目はその茶番感をどうキープできるか。そのために稽古の仕方なんかもいろいろ考えています」という。

 惜しむらくはこういうスタイルゆえに、先々まで劇場を取って公演をしようという発想にならないこと。今回で12回目の公演になるのだが、平日のカフェ公演が中心になってしまい、見逃す人が多くなってしまった。ぜひその部分だけは貪欲にやってほしいものだ。

ロードレースを題材にした人気コミックスを実力派俳優陣で舞台化

2015.01.25 Vol.635

 渡辺航による同名の人気コミックを舞台化した舞台『弱虫ペダル』の最新作がこの3月に上演される。

 舞台は、自転車競技のひとつであるロードレースを題材に、孤独なアニメオタクの少年が仲間と共にインターハイで全国優勝を目指す姿を描くもの。2012年に舞台『弱虫ペダル』シリーズ第1作目が上演され、その後も、『箱根学園篇』や『インターハイ篇』のさまざまな物語を重ねて、今回で第6作目となった。

 この舞台の魅力のひとつは、本当のレースさながらの熱気が味わえること。ハンドルを握って、一生懸命にペダルを踏み、ときに相手と勝負をし、ガードレールに激突しながらも、ゴールを目指す。スポーツで見られるような汗が舞台上に飛び散る。この迫力は、作・演出家の西田シャトナーが生み出した表現技法「パズルライドシステム」を駆使することで実現している。

 もちろん、注目の若手俳優がこぞって出演しているのもまた大きな魅力だ。主演の村井良大を筆頭に、実力派が勢ぞろい。カンパニーの団結もどんどん強くなって、コミックのなかに登場する高校の自転車競技部のようなチームワークを感じる。個性的なキャラクターそれぞれの成長が感じられるのも見どころだ。

 ローチケでは28日まで、抽選先行の受付を実施している。2月7日からの一般発売に先駆けてチケットを手に入れるチャンスだ。一足先にあなたの座席を確保しよう!

池袋の飲み屋を探しておかないと…『エッグ』NODA・MAP第19回公演

2015.01.25 Vol.635

 2012年に新装した東京芸術劇場の柿落とし公演として上演された『エッグ』が、初演のオリジナルキャストが再結集し再演が実現。舞台、映画、テレビとさまざまなジャンルで多忙を極める面々だけに、作品に対する並々ならぬ思いがうかがえようというもの。

 東京公演の後、パリに飛び、帰国後は大阪、北九州で上演する。

 物語の軸となるのは20世紀の大衆を魅了した「スポーツ」と「音楽」。架空のスポーツ種目“エッグ”に情熱を注ぎ、オリンピックで栄光をつかむ日を夢見続ける2人のアスリートと、彼らの間で心揺れる女性シンガーソングライターを中心に物語は展開される。

 エッグの謎が徐々に解けていくにしたがって表面上の物語の裏にあるもうひとつの真実が観客の目の前にさらされていくのだが、「過去を振り返り、そこから続く現在を直視し、未来へと語り継がなければいけない…」という気分にさせられる。

 当日券は必ず出るので、前売りが取れなかった人もあきらめずにぜひ足を運んでほしい作品。

池袋の飲み屋を探しておかないと…『狂人なおもて往生をとぐ〜 昔、僕達は愛した 〜』東京芸術劇場Roots Vol.2

2015.01.25 Vol.635

 野田秀樹が芸術監督に就任以降、若手劇団の積極的な登用、若手演出家の新たなる活躍の場の創出、優れたレパートリーの提供など、さまざまな斬新な企画を立ち上げている東京芸術劇場。今回の“Roots”シリーズは「アングラ演劇・小劇場演劇」の草創期である60〜70年代に発表された戯曲を、現在活躍する若手演出家が演出することによって新たな魅力を発見し、刺激的な作品を生み出そうという考えから生まれたもの。

 その第1弾ではポツドールの三浦大輔がつかこうへいの『ストリッパー物語』を演出した。今回は清水邦夫の1969年に初演された戯曲を緻密かつ大胆な演出で注目される熊林弘高が手がける。

 秘密を抱えたある家族が次第に破滅へと突き進むさまを静かな狂気と哀しみをたたえつつ、美しい言葉で描き出した珠玉の家族劇。

 誰の身近にもあるテーマといえる“家族”。46年前とはそのあり方もずいぶん変わり、エピソードから受ける印象も大きく変わったであろう中で、熊林はどういう解釈で作品を提示してくれるのだろうか。

常識を覆し見る者を挑発する作品『マーキュリー・ファー Mercury Fur』

2015.01.10 Vol.634

 イギリスの劇作家フィリップ・リドリーは日本ではポスト“デヴィッド・リンチ”といった評価をされている。その作品はその独自の美学に貫かれた世界観を持ち、人間の凶暴性や本能をむき出しにして「人間というのは結局、動物である」という真実を強調する。そんな彼の作品の中でも特にメッセージ性が高く、過激な表現を用いているのが10年前にイギリスで初演された本作。

 今回で世田谷パブリックシアターとシアタートラムにおいてリドリー作品を演出するのが4度目となる演出家の白井晃はかつてこの戯曲を読んだときに「エキセントリック過ぎて、日本では上演は難しいのでは」と思ったという。しかし最近になって改めて目を通し「ここ数年で日本を取り巻く環境や日本人の意識が急激に変わったことで、遠い話だと思っていたものがとても卑近なものに感じられた。今やらなければいけない戯曲なのではないかと思った」そうだ。

 白井は特にこの劇場の公演では、舞台と客席の境目を融解させるなど観客にも当事者意識を持たせるという演出をする。

 この作品を通じてリドリーと白井は観客に“今我々はどんな社会で生きているのか”という現実を突きつけ、“ではそんな世界でどう生きるのか!? ”と挑発する。受け止めるのか、目をそらすのか…。

常識を覆し見る者を挑発する作品『新宿版 千一夜物語』 Project Nyx

2015.01.10 Vol.634

 新宿梁山泊の水嶋カンナが2006年に立ち上げた実験演劇ユニットであるProject Nyx。これまで女性キャストだけによる“美女劇”をはじめさまざまな実験的な作品に取り組んできた。またジャンルを超えたアーティストとの出会いにより、演劇に限らない、音楽、舞踊、人形、アートなどが融合した新たなエンターテインメントを創造している。

 今回上演するのは1968年に寺山修司と宇野亜喜良によって発表された『千一夜物語』。この問題作が歌舞伎町を舞台に詩と幻想とエロティシズムとロックにまみれた“新宿版”アラビアンナイトとして繰り広げられる。

 今回は「ロックアンダーグラウンド爆裂シリーズ第一弾」と銘打つだけあって、出演者には寺山の劇団・天井桟敷の若松武史や、状況劇場の大久保鷹、、金守珍といったベテラン役者に、稲荷卓也といった若きアングラ俳優たちの名が並ぶ。そんななかでヒロインを演じるサヘル・ローズがどんなたたずまいを見せてくれるのか。そして音楽はロックバンドのSHAKALABBITSが生演奏。まさにジャンルレス。

全世界で2400万超の観客を動員した空前の大ヒット作が帰ってくる!

2014.12.21 Vol.633

 腰から上を動かすことなく、一糸乱れずに靴音を鳴らし、神秘的なアイルランド音楽でダンスする。そんな圧倒的なパフォーマンスで知られる『リバーダンス』は、本作が生まれたアイルランドを筆頭に、ヨーロッパや北米、ここ日本を含めたアジアなど全世界をツアーし、各地で絶賛されている作品だ。

『リバーダンス』の原型は、TVプロデューサーが温めていたアイデアを膨らませた約7分のパフォーマンス。1994年、アイルランドは、ヨーロッパ中が注目する音楽祭『ユーロビジョンソングコンテスト』のホスト国となり、その幕間の出し物として、アイルランド的、かつ、新しいアイルランドのイメージを打ち出すものとして作られた。シンプルなコスチュームをまとった24人のダンサーが横一列で凄まじいスピードで音楽に合わせ、タップとステップを刻む。一糸乱れぬ、群舞の圧倒的な迫力で視聴者を釘づけにし、驚愕と称賛の声は瞬く間にヨーロッパ全土に広がった。それがきっかけとなって現在のショーのスタイルへと磨き上げられてきた。

 人口500万にも満たないアイルランドが自国の歴史や伝統、民族の文化を色濃く織り込んで作り上げたショーは、そのすべてが“アイルランドそのもの”といった作品であるにも関わらず、世界中で熱狂的に受け入れられ、全世界で2400万人超の観客を動員。“ショー・ビジネスの奇跡”と評されるまでになった。

 今回のツアーでは新しい衣装、演出に加え、14年ぶりの新しい演目など、過去の来日公演を見たことがあるファンも見逃せない内容になっている。

 強烈に鳴り響くタップの靴音、手に汗握る驚異的なステップ、心洗われる聖なる歌声とどこか懐かしく、物悲しい音楽、そして観客の熱狂とステージが一体化する歓喜のクライマックス…その感動の瞬間をぜひ劇場で体験してほしい。

 ローチケでは現在、本公演のチケットを先行発売中!

年末年始もお芝居やってます『親族旅行記』親族代表 THE BEST LIVE

2014.12.20 Vol.633

 役者ならではの作りこんだコントで「コント職人」とも呼ばれる親族代表。彼らのコントは「真顔コント」なる言葉で表現される独特なもの。一度見たら病みつきになる彼らのコントはじわじわとファンを増やし、またさまざまなクリエイターからも注目を集めることとなる。最近ではそれぞれ外部公演に引っ張りだこになってしまい、今回は待ってました!の約1年半ぶりの本公演。そして初の全国ツアー。

 1999年に結成の彼らは今年で15周年。今回はこれまで上演した作品からネットによる一般投票で人気の高かった作品を上演する。今回の作品は「DVD化はしない」とのことなので、正月だからって横着こかないで劇場にGO。

 正月だけど喪服割引もあり。なお1月3、4日と22〜2月1日では劇場が違うので要注意。

年末年始もお芝居やってます『ろりえ』ろりえ

2014.12.20 Vol.633

 2007年に早稲田大学の演劇倶楽部から誕生した「ろりえ」。所属する俳優は4人の女優だけ。その劇団名、キャッチフレーズから、なにやらほんわかしたイメージが漂うが、舞台上はそんな一筋縄では収まらない。

 作・演出の奥山雄太が描く作品はセンチメンタルなエピソードを展開させ、その随所にシュールな笑いを交えていく。一瞬の健気さや切なさに浸りすぎると思わぬタイミングで毒が吹き出すので注意が必要。

 今回は“別れの物語”。再会を願ってエールを送るような作品なのだという。

 キャッチコピーの締めで「最後は笑って、さよなら」なんて言われて、こんなイメージビジュアルのチラシを作られたら、「解散!?」と思う人も多いだろうが、どうやらそういうわけではないらしい。ただ「ひょっとしたら…」という気持ちを持って見るのもいいかもしれない。

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