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STAGE | TOKYO HEADLINE - Part 19
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STAGE ジャンルは違えど心を揺さぶられる作品たち

2013.05.13 Vol.591

ハイバイ『て』
 演劇界の芥川賞ともいわれる「岸田國士戯曲賞」を受賞した岩井秀人が主宰する劇団、ハイバイが今年10周年を迎える。というわけでそれを記念して、伝説の作品と評価も高い『て』で全国6都市を回るツアーを行う。

 本作は岩井自身の家族をモデルとした自伝的作品。祖母の認知症をきっかけに久々に集合した家族が、過去の関係を清算しきれず、さらに大爆発する様子を描いたスーパー家族劇。

 わざわざ“スーパー”とうたうだけあって、家族間の感情の移ろいの描き方がハンパなく、笑っているつもりがいつしか目頭を熱くさせられる観客も多かった。

 その脚本はもとより、「同じ時間を視点を変えて2周する」という予想外の演出も含め高いレベルで結実した作品だ。
 21日、22日夜、25日夜、28日、30日昼には岩井自身によるアフタートークあり。

【日時】5月21日(火)〜6月2日(日)(開演は平日19時30分、土14時/18時、日14時。30日(木)は14時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演の1時間前)【会場】東京芸術劇場 シアターイースト(池袋)【料金】全席自由・整理番号付 前売(前半割 21〜26日)3000円、当日3500円/前売(28日以降)3300円、当日3500円/学生 前売・当日共2500円(受付で学生証呈示)、高校生以下 前売・当日共1000円(東京芸術劇場窓口のみ販売)【問い合わせ】quinada(TEL:080-6562-4520[劇団HP]http://hi-bye.net/)【作・演出】岩井秀人【出演】岩井秀人、上田遥、永井若葉、平原テツ/青野竜平、奥田洋平、佐久間麻由、高橋周平、富川一人、用松亮/小熊ヒデジ/猪股俊明

とびきりのライブエンターテインメント情報をお届け! HOT TICKET

2013.05.13 Vol.591

MUSICAL
5/16(木)23:59までローチケ先着先行実施中! 
ミュージカル ロミオ&ジュリエット

城田優がロミオとティボルトの二役に挑戦!

 誰もが知る悲恋の物語『ロミオとジュリエット』は、映画、ストレートプレイ、そしてミュージカルとさまざまなスタイルで語り継がれてきた。ミュージカルとしては、2001年、ジェラール・プレスギュルヴィックがアクロバティックな激しいダンスやロックミュージックを取り入れて新解釈した公演が、パリを皮切りに世界各国で上演され、大ヒット。2010年には宝塚歌劇団が上演し、大きな反響を得た。そのなかで翌2011年に宝塚歌劇団での同ミュージカル公演を成功させた演出家・小池修一郎が、日本オリジナル本格ミュージカルバージョンを上演。SMAP、安室奈美恵のコンサートツアーを手掛ける振付家・TETSUHARUによるダンスも加わり、話題も注目も集めた。

 そして今秋、熱望されていた再演が決定した。興味深いのが、ロミオ役のひとりである城田優が、ロミオに加えて、ロミオが親友を殺されたことで逆上し殺してしまうキャピュレット夫人の甥・ティボルトの二役を演じること。相対する存在である役どころを、ミュージカル役者として定着しつつある城田がどのように演じるのか楽しみだ。

 この秋、最も注目すべきミュージカルである本公演。5月18日に一般発売を控えて、ローチケでは、先着先行を実施中。

 良いお席はローチケでお早めに!

STAGE 演劇の幅広い可能性を感じさせる作品たち

2013.04.22 Vol.590

 ナイロン100℃の看板役者である村岡希美と、さまざまな作品に出演しては強烈な印象を残していくフリーの池谷のぶえという演劇界を代表する個性派女優が新ユニットを組んだという。
 その名も「酒とつまみ」……。お酒飲みのバイブルともいわれる雑誌と同じ名前。差し入れに悩まなくてすむ、ありがたい名前だ。

 記念すべき第1回にはペンギンプルペイルパイルズの倉持裕をゲスト作家として迎えた。倉持は2人のために新作を書き下ろし。

 都内の閑静な住宅街にある平屋に住む2人の女の物語。2人は他人なのだが、家主の桐江がバーで知り合った浜子を誘ったことから同居が始まった。周囲は浜子に出ていってもらうよう桐江に働きかけるのだが…。

 最近の小劇場界隈は「前評判を聞いてから…」といって前半はなかなかお客さんが来ないという。それで「安ければ来るのかい?」と前半のチケット代を半額にしたところ、すでに完売になってしまったとか。なのでこれからチケットを買う人はじっくり発酵・熟成された後半の舞台を見ることになる。

 13日は公演後、「酒とせんぱい」という謎のイベントあり。

STAGE 演劇の幅広い可能性を感じさせる作品たち

2013.04.22 Vol.590

 日本を代表する劇作家である井上ひさしが亡くなってもう3年が経つ。

 肉体は滅びても、作品は残る。その遺志は日本の演劇界に脈々と受け継がれている。

 こまつ座は井上の亡き後も井上作品を上演し続けているのだが、今回は今まで、というか執筆から55年間こまつ座で上演されることのなかった井上ひさしの原点である“幻のデビュー作”を上演する。
 昭和33年、作家への道を歩みだした井上は本作で芸術祭脚本奨励賞を受賞。初めて活字になった戯曲だという。

 東北のとある田舎の村はずれ。あばら家に住む賢く美しい働き者の娘ちかに一目惚れしたとのさまは、お侍医をお供に、桜の木に隠れて様子をうかがっている。優しいけれども気後れしがちのとのさまは、その想いをなかなか告げることができない。ひょんな事から、ちかに近づくことができたのだが・・・。

 最初の作品ながら、井上流ブラックユーモアも盛り込んだ井上エッセンス満載の作品。

STAGE 分かりやすいだけが芝居じゃない

2013.04.15 Vol.589

ティーファクトリー『カルデロン&ピュラデス(リーディング)』

 パゾリーニといえば日本では『ソドムの市』を撮った映画監督というイメージが強いだろうが、実は多くの戯曲も発表している。そのパゾリーニの戯曲のうち、『P.P.パゾリーニ戯曲集』に収められた代表作全6作品を、劇作家・演出家の川村毅の構成・演出で日本初演するという企画が本格スタートしたのが2011年。以降、『豚小屋』を皮切りに3作を上演してきた。今年はその最終年。今回、一番の大作といわれる『カルデロン』の上演と『ピュラデス』のリーディング公演を行う。

『カルデロン』は17世紀のスペインの劇作家カルデロンの戯曲『人の世は夢』をもとに書かれたもので、パゾリーニがキリスト教への懐疑を延々と描いたともいわれている作品。『ピュラデス』はギリシャ悲劇『オレステイア』をもとに書かれたもの。最終章ということで、川村毅のパゾリーニ愛が華々しく炸裂したエンターテインメントに仕上がっているという。

 なおピュラデスの回では終演後に川村によるポストトークが開催される。20日は翻訳を担当した石川若枝、21日は手塚とおるを迎える。

STAGE 東京芸術劇場『おのれナポレオン』

2013.04.01 Vol.588

 野田秀樹と三谷幸喜という日本の演劇界の2大トップランナーの初タッグが大きな話題を呼んでいる『おのれナポレオン』が9日、幕を開ける。

 2004年に三谷が脚本を手がけた大河ドラマ『新選組!』に野田が出演したことをきっかけに親交を深めた2人。2009年に野田が東京芸術劇場の芸術監督に就任するにあたり、自身が役者としてかかわる作品を三谷に打診しこの作品が実現した。

 三谷作品の系譜のひとつに“三谷版人物記”シリーズというものがあるのだが、今回は三谷が野田にあてて選んだのがナポレオン。このフランス史上最大の英雄の謎に満ちた人生が描かれる。

 2人の顔合わせにばかり目が行きがちだが、ナポレオンの愛人のアルヴィーヌに天海祐希、ナポレオンの仇敵のセント・ヘレナ島総督にハドソン・ロウ役の内野聖陽など、主役級の出演者が脇を固める豪華な顔ぶれ。

 チケットはもちろん完売なのだが、当日券は各回出るようなので、前売りが手に入れられなかった人にもまだチャンスはある。

STAGE 平田オリザ・演劇展vol.3 『この生は受け入れがたし』 『走りながら眠れ』『銀河鉄道の夜』

2013.04.01 Vol.588

 青年団を率いる平田オリザの隠れた名作を一挙に上演する企画も今年で3年目を迎える。今回は3作品。

『この生は受け入れがたし』は1995年12月〜1996年1月にかけて青年団が青森県に滞在し青森の老舗劇団・弘前劇場と合同で作り上げた作品。東日本大震災を受けて新たに書き換え、17年ぶりの再演。

『走りながら眠れ』は社会主義運動の中で虐殺された、大正時代のアナキスト・大杉栄と妻の伊藤野枝の壮絶な人生をたどる物語。1992年初演で、平田オリザ・演劇展vol.1に続いての上演となる。
『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治の同名小説を原作とする作品で、演劇展vol.1でリーディング公演を行った後、vol.2以降、全国各地で上演してきた作品だ。

 最近のファンにとっては『この生は受け入れがたし』は見逃せないし、『走りながら眠れ』は2年前に好評を博した作品。『銀河鉄道の夜』は平田が宮沢賢治をどう料理したのか…、などなどそれぞれ気になる作品が揃った。

STAGE コペルニクス的大転換!? 待たれている側からのゴドーの物語

2013.03.25 Vol.587

 サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』は、それ自体の上演はもとより、多くの作品のモチーフとなるなど、20世紀を代表する戯曲となった。

 ストーリーは2人の男が会ったこともない“ゴドー”という人物を待ち続けるというもの。ゴドーは何者なのかは最後まで分からず、見る者の解釈に委ねられるという摩訶不思議なお話だ。

 このお話をゴドー側から描くとどうなるのか? という画期的な考えから『ゴドーは待たれながら』という戯曲をいとうせいこうが書き下ろし出版をし、シティボーイズのきたろうがゴドーを演じたのが92年のこと。

 それから約20年。この傑作戯曲がケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)演出、ゴドー役・大倉孝二という魅力的な顔合わせでよみがえる。

 なにやらKERAが話を持ちかけても、大倉は10年以上も首を縦に振らなかったというエピソードも否応無しに、作品への期待値を高める。

STAGE 自信を持って薦められる高いレベルでの完成度!

2013.03.11 Vol.586

 MONOの作品には守備範囲が広い選手ゆえにファインプレーがファインプレーに見えないといった感じの安定感からくるじわじわ感と、手のひらで転がされている感があって、なんとも不思議な気分にさせられる。具体的にどこが面白かったか聞かれると、「う〜ん、全体」としか答えようのないような…。

 今回は約6年ぶりの劇団員だけの公演になるという。なにやらMONOのメンバーで集まる時の独特の空気の正体をきちんとした方法論で見せたいとのことで、5人だけでの作品になるらしい。
 客演がいるときだって十分に独特な空気なのだが、5人だけであうんの呼吸でそれをやられたらどんな作品になるのかとても楽しみだ。

 今回は架空の廃墟となった世界の中で、持てる者から物を奪い、持たない者へ配るという、この時代の「ねずみ小僧」的な存在の5人の窃盗団のお話。彼らは世界に爪跡を残そうと次々に悪事を働くのだが、どうにも手応えがなく、だんだんと迷っていくのだった…。

 25日には出演者によるトークイベント、27日にはゲストを招いてのアフタートークがある。

STAGE 東京芸術劇場リニューアル記念『マシーン日記』

2013.03.04 Vol.585

 昨年9月にリニューアルオープンした東京芸術劇場。これまでリニューアル記念としてさまざまな作品が上演されてきたが、最後を飾るのがこの作品。1996年初演の言わずと知れた松尾スズキの代表作だ。

 当時、大人計画の主宰としてさまざまな話題作、問題作を発表していた松尾の初めての外部への書き下ろし作ということで大きな話題を呼んだ。翌年、2001年と再演を重ねたのだが、今回は実に12年ぶりの再演となる。

 舞台は小さな町工場。登場人物は工場を営む兄アキトシと、ある理由から兄に監禁されている弟ミチオ、兄の妻サチコ、彼女の元・担任で工場にパートとしてやってきた女ケイコの4人。設定から展開から何から何まで突拍子もなく、過激で不条理な物語が繰り広げられる。松尾作品ならではの暴力、差別、悪意といったキーワードが渦巻くものなのだが、なぜか共感度は高い。

 もともと片桐はいり主演の公演への書き下ろしとあって、過去3回とも片桐がケイコを演じていたのだが、今回はキャストを一新。ケイコをナイロン100℃の峯村リエが演じる。またサチコを演じる鈴木杏は松尾スズキ作品初参加。ちょっと意外な感じ。そしてとても魅力的な遭遇。
 東京の後は新潟、北九州、パリでも公演される。

STAGE 新国立劇場演劇公演『長い墓標の列』

2013.03.04 Vol.585

 次世代の演劇界を担う舞台俳優の育成を目指し、2005年に開所された新国立劇場演劇研修所。これまで多くの俳優を輩出してきたが、新たな試みとして、その修了生とベテラン俳優たちによって作品を制作するシリーズが企画された。その第一弾となるのが福田善之の『長い墓標の列』。

 本作は東大経済学部の河合栄治郎事件をモデルとした作品。この事件は海外留学から帰国後、ファシズム批判の姿勢を強めた自由主義者の河合栄治郎が思想弾圧を受けたという事件。

 時は第二次世界大戦前夜。大学教授・山名はファシズム批判を唱えたため職を追われる。山名の奮闘虚しく、大学の自治は踏みにじられ、そして弟子からも裏切られ失意の底に落ちる。そんな彼を師と慕う者や家族の支えのもと、狂ったように研究を進める山名だったが、戦争の暗い影は日本を覆い始めていた。

 尖閣や竹島問題をきっかけに、妙な具合のナショナリズムの高まりが懸念される昨今。歴史的な出来事から思想、哲学、国家、自由といったふだんなかなか耳にしない事柄を振り返ってみるのもいい。

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