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STAGE | TOKYO HEADLINE - Part 3
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人生の不条理さと青春の不条理さと パルコ・プロデュース公演『露出狂』

2016.09.12 Vol.674

 かねてから演劇界を牽引する新しい才能を次々と発掘してきたパルコ劇場が昨今注目しているのが劇団「柿食う客」の中屋敷法仁。

 その代表作ともいえる『露出狂』は2010年の劇団での初演時は女優14人による作品だった。それを2012年にパルコ劇場がプロデュース公演としてキャストを男優のみに大胆にリニューアルして上演。キャストの約半数がオーディションでの選抜とあって、熱気と野心にあふれた作品となった。

 今回はよりパワーアップしてオーディションで28人を選抜。総勢32人によるキャストで14人×3チームを結成。うち1チームは23歳以下の俳優だけとよりいっそう熱気と野心にあふれる作品となる。

 高校のサッカー部という濃密で複雑な人間関係で構築された閉鎖的空間を舞台に、さまざまな感情をぶつけ合いながら少しずつ成長していく姿を描き、「青春とは何か」という問いに愚直に挑んでいく。

人生の不条理さと青春の不条理さと RooTS Vol.04『あの大鴉、さえも』

2016.09.12 Vol.674

 東京芸術劇場の名物企画となった「RooTS」は「アングラ演劇・小劇場演劇」の草創期である1970年代前後に発表された戯曲を、現在活躍する若手演出家が演出することによって新たな魅力を発見し、刺激的な作品を生み出そうという試み。

 4回目となる今回は竹内銃一郎の『あの大鴉、さえも』をカンパニーデラシネラの主宰・小野寺修二が演出する。小野寺といえばマイムから始まりダンサー、振付といった場面での活躍が多く “フィジカルシアターの旗手”ともいわれる存在。最近は音楽劇や演劇などに振付で参加することも多いのだが、本格的なストレートプレイで演出を手掛けるのは初めてという。

 この作品は3人の男が客には見えない巨大なガラスを運んでいるというだけの設定の戯曲。場所はどこで、今がいつで、この3人の男の関係もよく分からない。『ゴドーを待ちながら』的な不条理劇だ。

 今回は上演台本をノゾエ征爾が担当。男性3人という登場人物を小林聡美、片桐はいり、藤田桃子の女優3人が演じる。小林、片桐ともに小野寺とは振付や演出で関わったことがあり、藤田と小野寺は長く一緒に創作活動をしてきた仲。

 ただでさえ強烈なナンセンスコメディーを演者の性別をひねることで、プラスどれくらいおかしなことになるのか楽しみだ。

個性豊かな若者たちの創作に注目 演劇系大学共同制作公演vol.4『昔々日本』

2016.08.23 Vol.673

 まず「演劇系大学共同制作公演」とはなにか?というと、2013年春に演劇の実技教育を行う都内の5大学(日本大学、桐朋学園芸術短期大学、多摩美術大学、玉川大学、桜美林大学)が集い設立した「東京演劇大学連盟」という組織による公演。今回で4回目となる。

 この連盟は公共劇場とも連携しながらさまざまな研究や企画を行い、大学の演劇教育のあり方や社会との関わりを検証・模索しているのだが、その中でもこの5大学による演劇系大学共同制作公演では、個性豊かな若者たちによる創作が、毎年注目を集めている。

 今年は、範宙遊泳の演出家・山本卓卓の新作書き下ろし作品をオーディションで選ばれた学生キャスト・スタッフ、新進演劇人、計62名により上演する。

 10日には山本と演劇ジャーナリストの徳永京子氏によるアフタートーク、公演後の9月25日には関連企画として「大学で演劇を学ぶとは?」(仮)というテーマで新国立劇場演劇研修所長の宮田慶子氏らを招いてのシンポジウムが桜美林大学で開催される。日本の今後の演劇事情を知る上でも公演と合わせて見てみたい。

演劇系大学共同制作公演vol.4『昔々日本』
【日時】9月8日(木)〜11日(日)(開演は木19時、金14時/19時、土13時/18時、日14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】東京芸術劇場シアターイースト(池袋)【料金】前売り・当日同一料金、日時指定、全席自由 一般2000円、大学生1500円、高校生以下500円【問い合わせ】東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296=休館日を除く 10〜19時 [公式HP] http://www.endairen.net/mukashi/ )【作・演出】山本卓卓(範宙遊泳)【振付】入手杏奈【出演】天野莉世、望月香菜子、大澤宝弘、野寄由莉、辻 奈々、中兼由依、中路わかな、本田楓花、大平純也、大塚龍馬、緒方壮哉、中村里佳、岩田里都、久保桃香、相澤友希、油井文寧、久保賢大、小林風花、丹司沙希、神田初音ファレル、小山優希奈、山根瑶梨、樋口 舞(大学生23名)/岡部ナノカ、高麗芙美子、梨瑳子、木場光勇(新進演劇人4名)【ムーブメント】島田萌、遠藤真結子、井上知優、井上弘菜、加藤結衣、山田茉琳、大久保望、大塚萌子、櫻井香純、岡田浩江、金原爽佳

今回も間違いなく外れナシ M&Oplaysプロデュース『家族の基礎 〜大道寺家の人々〜』

2016.08.23 Vol.673

 ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕を作・演出に迎えるM&Oplaysのプロデュース公演も今回で9作目。

 倉持が劇団公演で見せる作品とは一味違うコメディー色のより強い作風ががっちり観客の心をつかみ、2010年からは7年連続の公演。それもすべて新作で外れナシ。プロデューサーの確かな手腕と作家との強固な信頼関係がうかがえる。

 今回は倉持にとっては初めてのシアターコクーンでの公演。『孤独のグルメ』でおなじみの松重豊と鈴木京香が舞台初共演で夫婦役、その子供に林遣都と夏帆、お笑いトリオ「我が家」の坪倉由幸、六角精児が脇を固めるなど話題も豊富で、チケットも「劇場が大きくなったから」とおちおち油断もしていられない?

 今回描かれるのは「大道寺家」という風変わりな家族の物語。その中心にいる父親の気まぐれと、彼らを取り巻く個性豊かな人々との狂騒と混乱に翻弄され、大道寺家は一家離散に追い込まれてしまう。しかしそこから父親は一念発起し、なんとか家族の「絆」を取り戻そうとするのだったが…。

 家族の長〜い年月を描く中で、回想シーンでは松重が半ズボン姿で小学3年生に扮する場面もあるという。それだけでも見てみたいかも。

M&Oplaysプロデュース『家族の基礎 〜大道寺家の人々〜』
【日時】9月6日(火)〜28日(水)(開演は火金18時30分、水木日13時、土13時/18時30分、月15時。21日(水)は18時30分の回あり。12・20・26日休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】Bunkamuraシアターコクーン(渋谷)【料金】全席指定 S席 9500円、A席 7500円、コクーンシート 5000円/U-25チケット 4,500円(25歳以下対象・当日指定席券引換・枚数限定・要身分証明書・チケットぴあにて前売販売のみ取扱)【問い合わせ】M&Oplays(TEL:03-6427-9486=平日11〜18時 [HP] http://www.morisk.com/ )【作・演出】倉持 裕【出演】松重豊、鈴木京香、夏帆、林遣都、堀井新太、黒川芽以、山本圭祐、坪倉由幸、眞島秀和、六角精児、長田奈麻、児玉貴志、粕谷吉洋、水間ロン、山口航太、近藤フク

22年前、博多で上演された伝説の野外劇 風煉ダンス『スカラベ』を立川で再演

2016.08.22 Vol.673

 演劇の野外公演や音楽の野外ライブなどは時に“伝説”や“幻”という言葉を伴って後世に伝えられることがある。

 この演劇集団・風煉ダンスの『スカラベ』もそんな作品のひとつ。22年前の1994年、彼らはクソ暑い福岡・天神で1カ月半かけ警固公園全体を舞台に仕立て上げ、1週間ほどの公演を行った。今回はこの伝説の作品を再演することになった。再演といっても前回は10人程度だったキャストも増やし26人で作る「大改訂版」だ。

 主宰で作・演出を務める林周一は「実際のところ自分たちでもあれはなんだったんだろうという思いもある。あの公演はひとつの事件になった。それをもう1回掘り起こして、遊んでみるのも面白いんじゃないかと思った。それで読み返してみると、そこにはまだ若くてバブルの追い風と高度経済成長期に育ちポリティカルなものが全くない自分がいて面白かった。阪神淡路大震災やオウム事件が起こった95年以降、僕らもポリティカルな作品が多くなっていった。だからスカラベという作品は能天気でひたすらくだらないギャグで終始している。意味ありげでなにも言っていない。最近は時代と相まみえる作品が多かったので、そういうちょっといい加減なものもやってみたいなと思ったんです」

 太陽のない“闇市場”を舞台とした狂騒と混乱に満ちた物語。設定を見ると福島第一原発事故に伴う双葉町とか浪江町の状況を想起させるが、この設定は22年前の初演時に考えられたもの。「今回は枝葉の部分で多少そういう話は出てくるかもしれないが、あまり深いことは考えていない」という。

 初演時は博多ということで物理的に足を運べない人も多くいた。また今のように情報があふれかえった時代でもなく、公演後の記事で初めて知って、地団太を踏んだ者も多くいた。

 立川と聞くと遠いイメージもあるが、新宿から通勤快速だと約30分。公演期間中は土日祝日も多いので、ちょっと足を延ばして新たなる伝説の目撃者になってみるのもいい。

演劇集団・風煉ダンス 野外劇公演『スカラベ』
【日時】9月16日(金)〜25日(日)18時開演 【会場】立川市子ども未来センター 芝生広場(立川市錦町3丁目2番26号)【問い合わせ】風煉ダンス(TEL:080-3939-2020 〔HP〕 http://furen-dance.info )

ブレヒト×ヴァイルの問題作『マハゴニー市の興亡』

2016.08.07 Vol.672

 もともとジャンルや名前にとらわれることなく独創的なラインアップが並ぶKAATなのだが、今春、正式に白井晃氏が芸術監督に就任。今後ますますその傾向は強まりそう。

 そんななか上演される本作は、劇作家ブレヒトと作曲家ヴァイルが組んで作られた作品。ブレヒトらしく毒に包まれた内容で、1933年にはナチスが上演を禁止するほどの問題作。その後、1960〜70年代には多く上演されるようになり欧州では著名な作品となった。しかし日本ではほとんど上演されることはなく、今回はかなり貴重な公演となる。

 白井は時に、舞台上に限らず観客をも巻き込んだ大胆な演出を取り入れる。架空の街の隆盛と衰退を描く物語ということもあって、今回は劇場全体をひとつの街ととらえ舞台上に「マハゴニー市民席」という客席を用意するという。観客もいつも以上に油断のできない作品だ。

 また昨年、白井が演出した『ペール・ギュント』で音楽を担当し生演奏で舞台に参加したピアニストのスガダイローを今度は音楽監督として起用。ヴァイルの音楽とスガがどのよう化学反応を起こすのかにも注目が集まる。

『マハゴニー市の興亡』
【日時】9月6日(火)〜22日(木・祝)(開演は6・7・9・13・14・20・21日19時、10〜12・16・18・19・22日14時、17日14時/19時。8・15日休演。開場は開演30分前)
【会場】KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
【料金】S席8500円、A席7500円、B席5000円、3階席2000円、マハゴニー市民席(舞台上特設客席・自由席/入場整理番号付)5000円/U24(24歳以下)4250円/高校生以下1000円/シルバー(満65歳以上)8000円/プレビュー公演(6〜7日)一般5000円、マハゴニー市民席3000円【問い合わせ】チケットかながわ(TEL:0570-015-415=10〜18時 [公式サイト] http://www.mahagonny.jp/ )
【作】ベルトルト・ブレヒト
【作曲】クルト・ヴァイル
【演出・上演台本・訳詩】白井晃
【音楽監督】スガダイロー
【振付】Ruu【出演】山本耕史、マルシア、中尾ミエ、上條恒彦、古谷一行 他

劇場全体を宇宙空間に! 3.14ch『大型』

2016.08.07 Vol.672

 かつて役者としてさまざまな舞台に出演していたムランティン・タランティーノが「幻覚のような芝居が作りたい」と2010年に立ち上げたのがこの3.14ch。いわばムランティンがやりたいことを、やりたい放題やるために結成された集団。これまで「愛と宇宙とカオス」をテーマに8本の幻覚のような芝居を上演してきた。

 噂が噂を呼び、徐々に観客も増え、会場も大きくなり、今回はすみだパークスタジオ倉に進出。水とプロジェクションマッピングを使って劇場全体を宇宙空間にするという。

 主人公の女は市民プールに忍び込みプールサイドで3人の友人たちと夜な夜な乱痴気騒ぎをしていた。女はレズビアンで、友人の中の1人の女を愛していた。しかし、その友人に子供ができたことを知り、混乱しプールサイドを飛び出す。気がつくと、女は、宇宙空間に漂うプールの中にいた。そこに多種多様な神々が現れ奇妙な戦いが繰り返される…。

「宇宙派カオスエンターテインメント集団」と名乗るだけあって、かなりのぶっ飛び具合!!

3.14ch『大型』
【日時】8月25日(木)〜9月3日(土)(開演は19時30分。27・31・1・3日14時の回あり。30日は19時開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】すみだパークスタジオ倉(錦糸町)
【料金】前売4000円、当日4300円/初日割 (8月25日)3500円 ※他各種割引あり
【問い合わせ】3.14ch(MAIL: tegami@314ch.com [HP] http://www.314ch.com/ )
【作・演出】ムランティン・タランティーノ
【出演】内田龍、鵜沼ユカ、山川恭平(以上3.14ch)/石塚義髙、市川賢太郎、為成初音、上野山航、甲斐美奈寿、可児奈穂子、木村みちる(遠吠え)、國津ヒロ、熊崎久実(劇団東京蝉ヌード)、梢栄(劇26.25団)、榊原美鳳(ハダカハレンチ)、武井雷俊(劇団アッカパッラメント座)、田島慶太、堤千穂、根本和歌菜、野村亮太、橋本美優、羽田謙治、富士たくや、幕内里奈、山森信太郎(髭亀鶴)、吉見茉莉奈/藍沢彩羽(EgHOST)、青木祥子、阿部光貴、天野瑞希、服部峰夫、山中志歩(五十音順)

劇団初の平成が舞台の現代劇 劇団桟敷童子『夏に死す』

2016.07.25 Vol.671

 これまで社会の底辺で生きるような人々を描いた群像劇を多く発表してきた劇団桟敷童子。舞台は演出の東憲司自身が生まれ育った炭鉱町や山間の集落、荒々しくもちょっと気の弱い男たちに、耐え忍びながらも芯の強い女たちといった登場人物が織りなす物語は、昭和の日本の原風景を見るようなノスタルジックさを漂わせながらも、時代が変わっても変わらない人間の本質を映し出す。

 そんな彼らの世界観はそのままに、今回は劇団公演初めての平成が舞台の現代劇に挑む。テーマは家族。

 病院から失踪していた痴呆症の父親が自宅から20分ほどの山の中で2年ぶりに見つかった。父親は自然農園で保護されており、そこに向かった三兄妹は物乞いのように別人となっていた父親と出会う。しかし三兄妹には、痴呆を患っているのになぜ2年間も山の中で生活できたのか? なぜ家に帰ろうとしなかったのか? 本当に痴呆症だったのか?といったさまざまな疑問が浮かぶ。そしてやがて兄妹たちが知らなかった父親の別の一面が見えてくるのだった。

 人はその終焉をどのように迎えるのか。そしてその時の家族の振る舞いは…。演出の東憲司の実体験を基にした、どこの家庭にでも起こりうる身近で切実な家族の物語。

浦島太郎を独自の解釈で!『TARO URASHIMA』

2016.07.25 Vol.671

 日本の古くから伝わるおとぎ話『浦島太郎』をモチーフとしたオリジナルファンタジーミュージカル。
 浦島太郎のお話はおおまかなストーリーは納得できるものの、振り返ってみると実は「なぜ浦島太郎は亀を助けたのか?」「なぜ乙姫は浦島太郎に老人になる玉手箱を渡したのか?」「そもそも玉手箱ってなんだ?」といった謎がいくつも散りばめられた物語。

 脚本を担当するのは池田鉄洋。俳優として『TRICK』『医龍』などでユニークな役柄をこなす一方で、最近では脚本家としても高い評価を得る。そんな池田が独自の解釈で浦島太郎のさまざまな謎を解き明かす。

 昔々、世界は地上と海の2つの国に分かれていた。地上の国に住む漁師の浦島太郎は、ある日、漁の最中に出会ったカメと意気投合する。カメは竜宮で乙姫に仕える身。やがてそんなカメを間に挟んで浦島太郎と乙姫は互いに恋をするようになる。海の中では、継母の策にはめられ追放させられていた深海王子がクーデターを起こし、竜宮は混乱のまっただ中。一方、浦島太郎は貴族の策略にはまり意に反して竜宮に向かうこととなるのだが…。

 カメがいじめられていないあたりから、みんなが知っているストーリーから微妙に脱線し始め、思わずドキドキしてしまう。

今この作品を上演する意味とは… 虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』

2016.07.10 Vol.670

 この『天使は瞳を閉じて』は鴻上尚史が1988年に第三舞台で作・演出を手がけた作品。
 舞台は近未来。放射能に犯されて誰もいなくなった地球にはただ天使が残されていた。天使の仕事はただ人間を見つめることだったのだが、もう見つめる人間はいなかった。そんな時、天使は透明な壁に囲まれた街を見つける。そこでは壁に守られて人間が生活していた。喜び、傷つき、愛し、憎しみ生きる人々に感動した一人の天使は人間になる。もう一人の天使はただ黙って人間たちの人生を見つめていくのだが、時間が経つにつれ壁の中の生活も人間関係も徐々に変化していくのだった。

 1991年にはロンドン公演、2003年にはミュージカルとして公演するなど再演のたびに進化を重ね、東日本大震災があった2011年秋の再演では、当時の日本が置かれた状況を描いたような作品となった。

 かつて鴻上の舞台は常に時代を先取りし、ちょっと先のリアリティーのある近未来を描いてきたが、最近では時代が追いついてきて、この作品の世界観は限りなく“リアル”。

 今度はどんなふうに進化した作品になっているのだろうか。そしてそれを今上演する意味は果たして…。

虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』
【日時】8月5日(金)〜14日(日)(開演は19時。7・10・13日14時の回あり。※11・14日は14時開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】座・高円寺1(高円寺)
【料金】全席指定4800円(前売・当日共通)/学割チケット3000円(学生対象。当日劇場受付にて開演30分前から指定席券と引き換え。引き換え時に学生証提示。1人1枚まで購入可。チケットぴあでのみ取り扱い)
【問い合わせ】サードステージ(TEL:03-5772-7474=平日11〜18時 [HP] http://kyokou.thirdstage.com/ )
【作・演出】鴻上尚史
【出演】上遠野太洸、鉢嶺杏奈、伊藤公一、佃井皆美/小沢道成、杉浦一輝、三上陽永、渡辺芳博、森田ひかり、木村美月(虚構の劇団)

独自のスタイルで唯一無二の存在に 劇団鹿殺し15周年記念・怒パンク時代劇『名なしの侍』

2016.07.10 Vol.670

 2000年に大阪で旗揚げし、2004年に劇団員揃って上京し東京に拠点を移す。東京に来たばかりのころのこまばアゴラ劇場からやがて青山円形劇場、紀伊國屋ホールと劇場の規模も大きくなり、15周年記念公演となる今回はサンシャイン劇場に進出することとなった。

 この間に劇団員の顔ぶれも大きく変わり、それに伴ってか作風も大きく変化した。いつしか「音楽」という武器を手にした彼らは演劇に音楽を大胆に取り入れ、独自のステージを作り上げる。

 役者が楽器を持ち、そして歌う。

 今回はそんなこれまでのスタイルをよりパワーアップして、バンド隊を現役ミュージシャンで編成。そこに劇団の管楽器隊を融合させる。で、そこで何をするのかといえば「時代劇」。彼らのやり方でしかできないこの作品を彼らは「怒パンク時代劇」と名付けた。果たして今度はどんな舞台を見せてくれるのか…。

 Cocco、石崎ひゅーいといったミュージシャンたちに初舞台を踏ませてきた鹿殺し。今回は堂島孝平が「俳優」として参加するのも注目の的となっている。

劇団鹿殺し15周年記念・怒パンク時代劇『名なしの侍』
【日時】7月16日(土)〜24日(日)(開演は16・19〜22日19時、17・23日14時/19時、18・24日14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】サンシャイン劇場(池袋)
【料金】全席指定 S席6300円、A席5300円/学生券3900円(中高大学生対象)【問い合わせ】劇団鹿殺し(TEL:03-6285-8518 [HP] http://shika564.com/ )
【脚本】丸尾丸一郎【演出】菜月チョビ
【出演】菜月チョビ、丸尾丸一郎、オレノグラフィティ、橘輝、鷺沼恵美子、浅野康之、近藤茶、峰ゆとり、有田杏子、椙山さと美、メガマスミ、木村さそり(以上、劇団鹿殺し)/玉城裕規、鳥越裕貴、谷山知宏(花組芝居)、堂島孝平/piggy(Guitar 、ex.pocketlife)、奥泰正(Bass 、THEWELLWELLS)、辰巳裕二郎(Drums、花団)

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