2011年に初演し、2014年には蜷川幸雄演出で『太陽2068』として上演された『太陽』を本家本元のイキウメが再演する。
夜しか生きられない進化した人類「ノクス」と太陽の下で暮らす旧人類「キュリオ」という2つのコミュニティーに分かれてしまった近未来を描く物語。
世界はバイオテロにより拡散したウイルスで人口が激減、政治経済は破綻し、社会基盤が破壊される。しかし数年後、感染者の中で奇跡的に回復した人々は人間をはるかに上回る身体に変異。それは頭脳明晰で若く健康な肉体を長く維持できるというものだったが、その反面、紫外線に弱く昼間は活動できなかった。やがて政治経済の中心はノクスに移行し、人口も逆転する。キュリオの中にはノクスにあこがれる者もいれば、ノクスを忌み嫌う者もいた。
壮大なSFの設定ではあるが、差別、嫉妬、郷土愛、自尊心といった感情は普遍的なものなのだと改めて感じさせる作品。
4月23日からは舞台に先駆け映画が公開。こちらは神木隆之介、門脇麦主演で、舞台とはまた違った雰囲気の作品となっている。2月に発表された小説と合わせてさまざまな角度から作品を味わってみるのもいい。