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STAGE | TOKYO HEADLINE - Part 6
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「FAIRY TAIL」人気漫画を舞台化、目指すは世界

2016.02.07 Vol.660

 漫画やアニメ、ゲームなどの世界を舞台コンテンツとしてショーにする「2.5次元ミュージカル」。日本ならではのカルチャーとして、国内のみならず、海外からも熱い視線を集めている。

 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」はその最新舞台ともいえるもの。真島ヒロによる同名の漫画が原作だ。物語の軸となるのは、魔導士たちに仕事を紹介する魔導士ギルドのなかで、お騒がせな存在である「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」。さまざまな能力を持ち、個性たっぷりのメンバーが揃うフェアリーテイルでは楽しかったり、ヤバイことが次々に起こって……。

 注目の役者たちが集結し、同作の世界を舞台の上で立体的に描き出す。出演は、宮崎秋人(俳優集団D-BOYS)、愛加あゆ、白又敦(俳優集団D-BOYS)、佃井皆美、桃瀬美咲、郷本直也、古谷大和、山本一慶、伊波杏樹、荒木宏文(俳優集団D-BOYS)ら。

プレリクエスト先行:〜2/10(水)23:59まで
ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

【日程】4月30日(土)~5月9日(月) 
【会場】サンシャイン劇場
【料金】¥7,800(全席指定、税込)
【備考】未就学児童入場不可。一般発売は2月28日(日)10時から。
【チケットの購入および問い合わせ】 http://l-tike.com/

人間ドラマにどっぷりつかってみる『同じ夢』

2016.01.25 Vol.659

 劇作家、演出家、そして俳優という3つの顔を持つ赤堀雅秋。ここ数年は自ら主宰を務める劇団、THE SHAMPOO HATの公演はもとより、多くの外部公演から作・演出、そして俳優としてもひっぱりだこ。加えて映画のメガホンも握るなど多忙の日々のなかでも、年に1本は新作を書き下ろすなど、バイタリティーあふれる活躍っぷりには目をみはるものがある。

 赤堀の作品は特段センセーショナルな出来事が起こるわけではなく、むしろ地味な人々のよくあるお話が淡々と進行する。ただし、登場人物たちのダメな部分や闇の部分の描き方が絶妙。平々凡々に見える人物から見え隠れする凶暴性だったり、ユーモアあふれる人物の裏側にある物悲しさといったものが絶妙なタイミングとあんばいで顔を出し、その人々が抱えるドラマにぐいぐい引き込まれる。

 そんな赤堀の新作書き下ろしは、中年のおっさん4人に2人の女性が絡むお話。おっさん4人を演じるのは光石研、大森南朋、赤堀雅秋、田中哲司という一筋縄ではいかないベテランたち。ヒロイン役には昨年に続いての舞台出演となる麻生久美子。そしてデビュー5年目にして数多くの作品に出演し、若手演技派女優として頭角を現している木下あかりと豪華な顔ぶれとなっている。

『同じ夢』
【日時】2月5日(金)〜21日(日)(開演は平日19時、土13時/18時、日13時。※6日(土)、7日(日)は15時開演。11日(木・祝)は14時開演。10・17・18日は14時の回あり。火曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】シアタートラム(三軒茶屋)
【料金】全席指定 一般6800円、高校生以下3400円(世田谷パブリックシアターチケットセンター店頭&電話予約のみ取扱い、年齢確認できるものを要提示)、U24(18〜24歳)3400円(事前の会員登録が必要)、トラムシート5800円
【問い合わせ】世田谷パブリックシアター(TEL:03-5432-1515 [HP] http://setagaya-pt.jp/ )
【作・演出】赤堀雅秋
【出演】光石研、麻生久美子、大森南朋、木下あかり、赤堀雅秋、田中哲司

 人間ドラマにどっぷりつかってみる 北九州芸術劇場プロデュース『彼の地』

2016.01.25 Vol.659

 最近では地方の公共劇場がその土地ならではの視点や独自の座組で作品をプロデュースすることが当たり前になってきている。なかでも北九州芸術劇場は演出家が約1カ月北九州に滞在し、どこか北九州をイメージさせる作品を創作。出演者は地元の役者を中心にオーディションで決定、スタッフも同劇場の人材を中心に構成するなど、とことん北九州にこだわったスタイルで創設以来、多くの作品をプロデュースしてきた。なおかつ北九州での上演に終わることなく、東京公演も行い全国に発信し続けている。

 この『彼の地』もそんな作品のひとつ。作・演出にKAKUTAの桑原裕子を迎え、2014年2月に北九州と東京で上演し、高い評価を得た。今回は待望の再演となる。

 物語は、結婚のため東京から来たものの直前になってこの地で生活する決心が揺らぎ始めた女性、かつて新入社員としてこの地の製作所に入社し、この地で結婚し定年を迎えようとしている初老の男性、自分の居場所を求めて街をさまよい歩く青年など、北九州という土地で生きるさまざまな人々のドラマを描いたもの。

 街は人によって構成されている。そこに息づく人々を描くことで北九州という街の匂いや輪郭が自然と浮かび上がる作品となっている。

北九州芸術劇場プロデュース『彼の地』
【日時】2月12日(金)〜14日(日)(開演は金19時、土日13時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】あうるすぽっと(東池袋)
【料金】日時指定・全席自由 一般3000円/学生2500円(当日500円増し)
【問い合わせ】北九州芸術劇場(TEL:093-562-2655=10〜19時 [HP] http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/ )
【作・演出】桑原裕子(KAKUTA)
【出演】岩本将治、大神拓哉(企画演劇集団ボクラ団義)、尾﨑宇内、佐藤恵美香(飛ぶ劇場)、椎木樹人(万能グローブ ガラパゴスダイナモス)、上瀧征宏、高野由紀子(演劇関係いすと校舎)、高山実花(モンブラン部)、髙山力造(village80%)、寺田剛史(飛ぶ劇場)、服部容子、平嶋恵璃香(ブルーエゴナク)、美和哲三(14+)、吉田砂織(川笑一座)、リン(超人気族)、脇内圭介(飛ぶ劇場)/若狭勝也(KAKUTA)、佐賀野雅和(KAKUTA)、異儀田夏葉(KAKUTA)

今年は春から池袋『逆鱗』NODA・MAP

2016.01.11 Vol.658

 野田秀樹率いるNODA・MAPの約2年ぶりとなる新作。松たか子が7年ぶりのNODA・MAP出演、前作『MIWA』から瑛太と井上真央が連続出演など豪華なキャストが話題だが、いつにもましてなにやら深く考えさせられそうな作品となりそうだ。

 タイトルの『逆鱗』はチラシで見ると「逆」のつくりの部分や「鱗」の魚へんや米の部分を裏返しにするなど、随所に謎を散りばめ、なにやら意味ありげな表記になっている。

 物語は、かつて沈没船の窓越しに人間と交わした約束を果たすために人間のふりをして地上に現れた人魚と、海中水族館の「人魚ショー」で人魚のふりをする人間が出会い、大きく動き出す。

 タイトル表記の意味は多分この鏡合わせのような存在の2つのキャラクターに起因するものなのかもしれない。加えて、作品中に世相や政治的な出来事に対するメッセージを織り込むことの多い野田の今回のメッセージは「怒り」? それとも…と、初日の幕が開けるまでもいろいろ考えてしまう。チラシを手に取ったときから、すでに見る側の物語は始まってしまっているのかもしれない。

 前売りはいつもどおり完売だが、当日券もいつもどおり毎公演発売する。

今年は春から池袋『夫婦』ハイバイ

2016.01.11 Vol.658

 作・演出の岩井秀人が描く作品は引き込もり、家族ゆえに起こるさまざまな問題、不倫愛などといった、人間関係の綾とかこじれから発生する物語が多い。

 そのどれもが生々しく、時代をえぐるものになっているのは、引き込もりのように岩井自身で経験したことや、不倫のように体験者に綿密な取材を行った末に描かれたものだから。

 そんな岩井が今回取り上げるのは「人生の仕舞い方」。これは一昨年、実父の死に直面し、その時に長年連れ添った母と父の知らなかった関係性を知ったことがきっかけ。悪かったはずの父と母の仲が、父の容態が悪くなるにつれて日々溶解していく。そんな様子を見て、他人だった夫婦がどのようにして始まって家族になり、そして別れることになるのか、といった多くの人が体験する現実を描こうと思ったという。

 そんな夫婦の物語の半面、父は外科医であり、最新の手術を受けたにもかかわらず、医療ミス的な原因で死んでしまったことから、無念さややるせなさといったものを嫌でも感じさせる作品となっている。

 最近は舞台ばかりでなくドラマ、映画などでもその個性をいかんなく発揮中の山内圭哉がハイバイ初登場。

黒木華が樋口一葉を演じる『書く女』二兎社公演40

2015.12.28 Vol.657

 明治時代に活躍した女流作家・樋口一葉の半生を、彼女の創作の原点となった日記をもとに描いた作品。2006年に寺島しのぶ主演で上演され、朝日舞台芸術賞(舞台芸術賞)、読売演劇大賞(最優秀女優賞)を受賞するなど大きな話題を呼んだ。
 今回、それから10年が経ち、キャストを一新して再演する。

 樋口一葉を演じるのは2014年に『小さいおうち』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞、NHKの連続テレビ小説『花子とアン』にレギュラー出演するなど、舞台に映像にと活躍の幅を広げている黒木華。

 物語は19歳にして戸主となった一葉が小説家として成長していくさまを文学関係者だけでなく、吉原遊郭近くやさらに貧しい地域に住む人々との交流を通して描いていく。文学者として成功しながらも貧困からは抜け出せず、若くして病に倒れた一葉につきまとう女性としての問題や悩みは、今も日本では変わらぬものとして存在位している。

 そんな視点から見ると、この作品は一葉の物語でもあり、現在にも通じる日本の女性が直面する問題を描いた物語でもある。

青年団からまた新たな才能が『怪童がゆく』青年団リンク・玉田企画

2015.12.28 Vol.657

 平田オリザが主宰する青年団からは五反田団、サンプル、ままごとといった多くの劇団が生まれている。それは所属する劇団員すべてが公演企画を提出することができ、それを起点に「若手自主企画」「青年団リンク」といった形で作品を上演し、やがて劇団として独立するという道ができているから。

 この玉田企画は青年団演出部に所属する玉田真也によって2012年に若手自主企画として発足し、2014年から青年団リンクとして活動している。

 その作品はちょっとしたボタンの掛け違い、人間関係の亀裂などから起こる居心地の悪さを俯瞰した視点で描いたもの。例えば、リビングでの家族の団らん中にテレビでエッチな番組が流れてしまった時の居心地の悪さとか、修学旅行でお呼びでないのに女子の部屋に入ってしまったときの居たたまれない感といえば分かりやすいかも。

 今回の題材は「恋愛」。モジモジしたり、思わず「やっちまった〜」と頭を抱え込むような行動をしてしまったり…。ついつい自分に置き換えて「笑えねえ」と思いつつも、他人のことだと思えば笑えちゃう、そんなお話。

年末だろうが成人式だろうが芝居は上演されるのだった 劇団鹿殺し 活動15周年記念公演『キルミーアゲイン』

2015.12.13 Vol.656

 関西学院大学で演劇をしていた、座長で演出を担当する菜月チョビと劇作家の丸尾丸一郎を中心に劇団を立ち上げたのが2000年。来年、鹿殺しは15周年を迎える。

 当初は関西で活動を続けていたが、2005年に東京に拠点を移す。劇団員全員で一軒家に住み、東京ではまだまだ知名度が低い彼らは、演劇公演のかたわら路上パフォーマンス、ライブハウスへの出演など、さまざまな場所で表現活動を続けた。

 名前からキワモノっぽくとらえられることもあったが、丸尾の手による物語は情緒的で深く人間の感情を描くもの。そこにオリジナルの音楽をふんだんに使った演出が加わり、独自のエンターテインメントを構築した彼らの作品はやがて多くの観客の目に留まるようになり、人気劇団に数えられるまでに成長した。

 そのなかで丸尾は岸田戯曲賞に最終ノミネートされるなど、劇作家としての地位を確立。菜月は外部公演での演出の依頼も増え、2013年には文化庁新進芸術家海外派遣制度でカナダに派遣されるなど、一定の評価を得るに至った。

 今回は15周年の幕開けとなるこん身の新作。演劇にどっぷりつかった彼ららしく、演劇の現場を題材としたもの。
 ここで立ち止まることなくより高みを目指す彼らの挨拶代わりの作品だ。

年末だろうが成人式だろうが芝居は上演されるのだった 青年団リンク ホエイ『珈琲法要』

2015.12.13 Vol.654

 平田オリザが主宰する青年団は平田以外にも多くの劇作家・演出家が所属しており、自由に公演企画を提出することができ、審査に通った作品が「若手自主企画」として上演される。そこで観客から一定の評価を得ると「青年団リンク」としてユニット化され、やがて劇団として独立していく。

 ホエイは俳優の河村竜也がプロデューサーを務め、山田百次が作・演出を手掛ける、2013年に若手自主企画として立ち上がったユニット。
 今回はその第1作である『珈琲法要』を再演する。

 物語は文化4年、西暦1807年に北海道の斜里地方で起こった津軽藩士殉難事件を題材としたもの。ロシア帝国の襲撃に対する警護のため斜里に送られた津軽藩の藩士たちだったが、東北とは比べ物にならない寒さに多くの者が命を落とす。この事件は藩の恥部として闇に葬られていたのだが、約150年後に生存者が残していた日記が発見され明らかになった。この日記をもとに藩士たちの無念の闘いをアイヌの調べにのせて、全編津軽弁で描く。

 津軽弁に一部分からない部分があるかもしれないが、命を落とした者たちの無念さは十分伝わってくる。そして現在の日本の状況と照らし合わせると、事の重大さが身近な問題として認識できるかもしれない。

絶望とか鬱屈の先に何が見える!? ナイロン100℃ 43rd SESSION『消失』

2015.11.22 Vol.655

 2004年に初演されたKERAの最高傑作の一つともいわれる作品が、ナイロン100℃の大倉孝二、みのすけ、犬山イヌ子、三宅弘城、松永玲子に客演の八嶋智人というオリジナルメンバーが揃っての待望の再演。

 舞台は近未来の地球のどこか。もっというと、ひょっとしたらもう終わりかけているのかもしれない世界のどこか。時はクリスマスの夜から大晦日までのお話。クリスマスの夜にパーティーの計画を練る兄弟のもとに、弟が想いを寄せる女、謎の闇医者、兄弟の部屋を間借りしたいという女、ガスの点検に来たという男が訪れる。そして何かを失ってしまった6人によって、とりとめのない会話が繰り広げられる。

 前半こそ、いつものKERAらしい軽妙な空気で進んでいくのだが、後半にいくにしたがってシリアス度が増していき、やがてタイトルに込められた意味が徐々に分かってくる。

 KERAは「2004年当時はまだ世の中はマシだった。今のような弱ってしまっている状況でこんなに救いのない芝居を上演することはかなり酷であることは承知のうえでの再演」という。

 演ずる側、見る側とも意識も取り巻く状況も11年経って随分変わった。みんなが上演後にどんな感想を持つのか、興味深い作品だ。

絶望とか鬱屈の先に何が見える!? RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念『書を捨てよ町へ出よう』

2015.11.22 Vol.655

 東京芸術劇場では「アングラ演劇・小劇場演劇」の草創期である60〜70年代に発表された戯曲を、現在活躍する若手演出家が演出することによって新たな魅力を発見し、刺激的な作品を生み出そうという考えから「RooTS」というシリーズを展開している。

 過去にポツドールの三浦大輔がつかこうへいの『ストリッパー物語』、熊林弘高が清水邦夫の『狂人なおもて往生をとぐ』を手がけてきた。

 第3弾となる今回は、今年生誕80年を迎えた寺山修司の『書を捨てよ町へ出よう』にマームとジプシーの藤田貴大が挑む。

 これまで異ジャンルのクリエイターとともに作品を作ることの多い藤田だが、今回も第一線で活躍するさまざまなクリエイターが集結。なかでも小説『火花』で芥川賞を受賞した芸人の又吉直樹の映像出演は大きな話題を呼んでいる。

 同作は評論集、舞台、映画とそれぞれ別内容なのだが、今回は映画版をベースに、寺山を思わせるような人物を配した作りのものになる。注目の若手俳優・村上虹郎が初舞台にして主演を務める。

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