歴史的な文脈を踏まえつつ、自らの解釈で歌舞伎を現代風にアレンジし、上演する木ノ下歌舞伎。
今回上演する『三人吉三』は昨年秋、「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」で初演された話題作。京都での2回だけの上演とあって、再演を望む声も多かった作品。
『三人吉三』は黙阿弥の代表作。黙阿弥の死後、一部をカットしたり、見せ場が豊富な部分のみが上演されることが多かったのだが、木ノ下歌舞伎による『三人吉三』は現行の歌舞伎では上演されない『廓』を舞台にした物語や、初演以来約150年ぶりとなる『地獄の場』の上演を含むものとなっている。
歌舞伎では3人の吉三郎に視点が集まる作品となっているのだが、そのへんを復活させることで、吉三郎たちと彼らを取り巻くさまざまな人たちを描く群像劇としての面白さを引き出し、全く新しい『三人吉三』を作り上げた。
そんなわけで本作は全3幕、途中休憩を含み上演時間約5時間の大作となっているのだが、そうめったに見られるものではないので、この機会は逃したくないところだ。