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小池百合子のMOTTAINAI スポーツの世界でも国家戦略が必要です。

2015.01.26 Vol.635

 新年早々、中東のカタールに飛びました。ドーハでのアジア・ユース・ジュニア大会に日本ウェイトリフティング協会会長として、選手応援とアジア連盟(AWF)の選挙に出席するためです。

 大会では日本の高校生男女がメダル多数を獲得してくれました。現在17〜18歳の彼らです。5年後の東京オリンピックでの大活躍が期待できます。

 大会の合間にはAWFの役員選挙が行われました。中国、インド、アラブ諸国に中央アジアと、関係国は40か国を上回ります。
 会長はアル・マナ氏(カタール)が無投票で再選。ちなみに会長の任命により私は会長補佐に就任しました。直前会長はUAEの王子の一人でした。要はアラブ湾岸諸国のお金持ちです。

 重要ポストである事務局長には12年間同職を勤めてきたイラン人に代わり、イラク人のジャルード氏が選ばれました。実は、選任に至るまでの多数派工作が勝負です。国際連盟の副会長を務める夫を補佐してきたタイ人女性が事務局長選に立候補していましたが、直前に辞退し、代わりに副会長職を確保。同様に中国人候補者も辞退した結果、イラ・イラ対決となりました。
 日本はこれまで医療部会の理事1名であったのを理事職、技術職で各1名、計3名、私の会長補佐職を加えると4つのポストが確保できました。各国への根回しの成果でもあります。

 しかし、国際連盟(IWF)となると、日本はまったく手薄です。会長はハンガリー、事務局長は中国と枢要なポストには誰もいない。他の種目も似たような状況でしょう。

 昨年末、韓国がアジア・サッカー連盟(AFC)の年間フェアプレー賞を受賞したとの報道がありました。試合内容やピッチ内外でのマナー、サポーターの行動、警告数、退場数などを総合的に評価してのことだそうです。日本は2位。最優秀女子監督にU-17日本代表の監督、高倉麻子監督が選ばれたのみです。

 柔道着が青になり、試合がレスリングもどきになり、水泳のバサロ泳法が禁じられ、スキー・ジャンプの板が縮められ…。

 不利なルール変更に日本国内で非難の声が起こります。しかし、問題の本質は、ルール変更に憤る前に、ルール変更の場で堂々と日本の考えを示し、世界の仲間を味方につける作業が必要なのです。

 これはすべての分野に言えます。

 新ルールをけなげに、器用に守り、また成果を上げる現場の努力に役員などの経営陣、管理陣が甘えていてはいけません。競技の前に重要な国家戦略が必要です。
(自民党衆議院議員)

大谷ノブ彦 カタリマス! 第9回 「芸人」って何でもやるべきだと思う

2015.01.26 Vol.635

「芸人」っていう肩書き、いらねえなってよく思います。お笑いだけを追求する人っていう意味での「芸人」ね。『キキマス!』でも、このコラムでも何度か触れてきたことですけど、どんどんその想いが強くなってると感じています。

「芸人」という言葉を聞いた時、たいていの人が「お笑いをやっている人」って思いますよね。それはそうなんだけど、僕は、それだけじゃないって思ってます。で、調べてみたんですけど、ネタで笑わせることをやってる人が芸人っていうイメージはここ20年ぐらい。それ以前、例えば江戸時代とかもっと昔は、物を書いたり、社会問題について言及っていうか遠巻きに悪口を言ったりしていた。それって社会を揺さぶるっていうことが「芸人」の仕事として最も大事なことだったんじゃないかなって感じたんですよ。

「お笑いだけをやっている人」っていう今の芸人像を作ったのは、たぶん、僕も所属する吉本なんじゃないかなって思います。笑いを追求する、芸を追求するっていう芸人ロマンを与えて、その受け皿として劇場があり、芸人ロマンを担保に僕たちを働かせる(笑)。ある種のプロパガンダといえるかもしれません。もちろん、こういう姿勢も大事ですし、僕も求道者としての道はカッコいいと思う。ただ、その考え方って他人に強要した瞬間にとっても窮屈になります。吉本はそういう芸人の理想像を作ったから、いろんなものが出てくるなかで、それを守り続けなくちゃいけないところもあるんでしょうけど。
 で、そういう芸人像があるとき、僕ってどうなんだって思うんです。芸人でラジオのパーソナリティーってありなんですか、通販の番組を紹介するって芸人としてありなんですかって。DJを始めた時も芸人がこんなことしやがってって芸人に言われましたしね。必死だったし趣味でやってるとか言い訳もしましたけど、確信はあったんです。ダイノジだからできることがある、大谷ノブ彦だからできることがあるって。そう思ってやってきました。

 僕自身がそうだから言うんじゃないけど、芸人は何でもやっていいと思うし、やったほうがいいと思っています。そこには芸人としてのアウトプットがあるから、何をやるかっていうことよりも、考えの持ち方とか矜持のほうが大切だと思いますから。

 多様性を含んでいるのが「芸人」。そういう価値観を共有しないと、やばいんじゃないかなあ、今って。僕の多様性を評価する人でありたいっていう気持ち、こういうところからも強くなってるんだと思います。

江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 素人鰻(しろうとうなぎ)

2015.01.25 Vol.635

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第26回 僕たちには長渕剛が足りない!

2015.01.21 Vol.634

 今、僕たちに足りないのは長渕剛なんだっていう話が止まりません。このコラムでも今年最初の更新(「ラジオ界のボケになりたい」)でも長渕剛さんに触れていますけど、本当に止まらないんです。『キキマス!』でも火曜日にマキタスポーツくんが来ればその話。マキタスポーツくんとは他の現場でも、会えば年の暮れから長渕さんの話しかしてないんですよ。そんなこともあって先週13日の放送では、長渕さんについて熱く語りました。

  なぜ長渕さんかというのは、その更新(「ラジオ界のボケになりたい」)を見てもらうのがいいと思うんですけど、僕が多様性を評価する人でありたいということを意識するなかで、とても重要な存在なんですね。長渕さんはデビュー以降いろいろ変容していくなかで、優しい兄ちゃんから大衆のマスコット的な人になっていって……、ツッコミ側から完全にボケ側にまわっている。いろいろ言われることもあるけれど、なんていうのかな、そういう変化がエンターテインメントとしてできてた人なんだなって思うんです。そのあたりは、番組のポッドキャストでも聞けるので気になった方はぜひ聴いていただけたらと思います。リアルタイムで長渕さんを見てきたマキタスポーツくんと僕だからこその熱を帯びた話、楽しんでいただけると思います。

 さて、その長渕さん。今年の夏、富士山のふもとでコンサートをやるんです。静岡県富士宮市のふもとっぱらっていうところが会場なんですけど、そこに10万人集めて、オールナイト公演をやるっていう。10万人、オールナイトって……。どんなコンサートになるのか、まったく想像がつきません。それでも、行けば絶対何かが起きると思います。だって、長渕さんなんだから。

 ダイノジは2015年、長渕剛になると宣言しました。だから僕は、ふもとっぱらに行きます。マキタスポーツくんはもちろん、 脊山さん、そしてあなたも行くんです。そこで目撃者にならなくちゃいけないです。8月22日、約束の地で会いましょう。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第25回 答えって、ひとつじゃない。

2015.01.15 Vol.634

 ここ最近、多様性問題っていうの、あるなあって考えています。僕自身もそうですけど、時代そのものが多様性のほうが主流という時代になってきてるって思うし、いろんなことがその方向に向かってます。 『キキマス!』をやりながら思うんだけど、テレビも、ラジオもそうだけど、あるひとつの思想や思考に振り切るほうが人気が出てくるんです。いろんな考えがあってさ、そういうのもいいよねって。いろんなものがあっていいんだよねって、僕は思うんです。答えって、ひとつじゃないんだよって。

  例えば、アメリカのグラミー賞。主要4賞っていわれる「年間最優秀レコード」「年間最優秀アルバム」「年間最優秀楽曲賞」、そして「最優秀新人賞」の他にも、アレンジだとか、プロデューサーだとか、パッケージであるとか、たくさん賞があります。1つの曲でも楽曲としてであったり、ライブパフォーマンスとしての評価もあったり、評価のされ方もいろいろなんですよね。今年のノミネーションリストを見ても、多様性が認められているからこうなるんだなって思います。

 ONE DIRECTIONの人気もそうでしょう。オーディション出身で、とにかく歌がうまくて、楽曲も大人気です。楽曲を自分たちで作っていたり、演奏しているわけじゃない、アイドルじゃんっていう人もいるよ。だけど、そういうのをケンケンしてもさって、すげぇ思うんだよね。今はさ、その音楽は演奏している人が作ったものなのか、楽器を自分で演奏しているのか、自分で歌っているのかどうかとか、ぶっちゃけどっちでもよくて、いい音楽ならいいじゃないって評価する時代。評価をするにも、やり方は一つじゃない、答えはひとつじゃないってことなんですよね。

 13日の放送の『キキマス!トピックス』のコーナーで、今週末行われる「センター試験」を紹介しました。2020年度をメドに新しい試験が導入されるという話でしたけど、いろいろ変わるんだそうです。出題の方法が教科の枠を越えたり、回答の仕方もマークシートだけじゃなくて記述式にもなるとか、何度も受けられるようになるだとか。試験がその後の社会生活を送っていくうえで何を意味するのかっていう、本質的なところが問われていくんだろうね。これも、答えが一つではないってこと、多様性の方向に行ってるんだと思います。みんな、つながってるなあ。

ノッポン弟オススメ! from TOKYO TOWER vol.8

2015.01.11 Vol.634

 明けましておめでとう!

 今年も東京タワーは、楽しいイベントをたくさん開催するので、僕たちノッポン兄弟ともども、よろしくお願いしまーす!
 さて、早速だけど今開催中のロマンチックなイベントを紹介するよ。なんと!東京タワーでは、高さ150mの大展望台から見える「夜景」を背景に、3Dのプロジェクションマッピングを展開中なんだ。この高さでの3Dプロジェクションマッピングはもちろん日本で初めての試み。東京の夜景を見渡す大展望台1階西側フロアの窓に縦3m、横10mの半透過スクリーンを設置、実際の夜景の上に「街の光」をテーマにした3Dプロジェクションマッピングの映像を投影しているんだよ。キラキラと輝く東京の街の光から生まれた赤と青の2つの光の精。それを男女に見立てて、美しい夜景が広がる東京の上空で出会い、クルーズするように巡り、その2つの妖精が幸せになるまでの物語。天空に浮かぶ東京タワーや雪、そして最後には花火が上がって、まるで2人の幸せを祝福しているようなんだ。

 3Dプロジェクションマッピングのバックに透けて見える立体的な東京の夜景が映像とシンクロして本当に幻想的で、何度見ても楽しめるよ。冬は空気が澄んで、夜景が一番美しく見える時期。もし雪が降っても、それもまたキレイだと思うよ。夜景に幻想的な映像が投影される、そんな夢の空間を体験しに、東京タワーに遊びに来てね!

腕利き宣伝マンが猛プッシュ コレよ、コレ!木村範子さん

2015.01.11 Vol.634

 子供たちも思わず夢中になること間違いなしの映画『アマゾン大冒険〜世界最大のジャングルを探検しよう!〜』。宣伝を担当する木村さんいわく「普通、ネイチャードキュメンタリーというと、小さいお子さんでは飽きてしまったりするのですが、この作品は一味違います。ペットのサルがジャングルに迷い込んでしまい、大自然でさまざまなことを経験しながら生き抜いていくという“ストーリー仕立て”になっているんです。といっても、撮影は実際にアマゾンで行われていて、かなり本格的なネイチャー映画としても楽しめます。ネイチャー系に詳しい人からは、よく撮ったねと驚かれますね」。主人公サイ君役のサルの演技もすごいですよね。「実は演技させてるんじゃないんです(笑)。実際には保護センターにいるサルを起用して、さまざまな表情を撮影したものを上手く編集して物語に組み込んでいるんです。もともとこのフサオマキザルという種は頭のいいサルとして知られているんですが、その特徴を見事に生かしていて、ナレーターを務めていただいた田中直樹さんも頭の良さに感激してましたね。パンフレットには動物やアマゾンの情報をなるべく詳しく記載したので、子供たちの“ナゼナゼ攻撃”対策の虎の巻としてぜひ活用してください(笑)」。これならパパママも安心!

鈴木寛の「2020年への篤行録」
第16回 なぜ学ぶのか?「花燃ゆ」の松陰に思いを馳せる

2015.01.11 Vol.634

 あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。

 若い頃にミュージカル劇団の音楽監督を務めた経験がある割に、普段はテレビドラマをあまり見ないのですが、NHKの大河ドラマだけは政治家時代から時折見てきました。2015年の大河は吉田松陰の妹、杉文を主人公に描いた「花燃ゆ」。松陰の生き様に、私も大きく影響されましたので、今回の作品には格別の思いで楽しみにしていました。

 物語の冒頭で松下村塾が出てきましたが、まさにその場所が教育者としての私の原点です。20代の終わりに通産省から山口県庁に出向の折、現地を訪ねました。十畳と八畳半の二間しかない平屋建ての茅葺小屋に五十名もの塾生が学んでいたことにまず私は驚きました。ドラマでは久坂玄端と高杉晋作が「秀吉とナポレオンが戦をしたらどちらが勝ったか?」と議論していましたが、私も小さな畳の空間を眺めながら、ここで若人たちがどんなに白熱した議論をしていたのか思いを馳せました。それまでの私は法律立案や予算編成の仕事をしていて世の中は制度が作るものだと思い込んでいましたが、世の中を変えるのはそうした「制度」ではなく、「人」だということに気付きました。山口には2年ばかりの着任でしたが、その間、私は20回も通いつめては国づくりとしての人づくりを考えました。

 ドラマでは、後の松陰こと寅次郎が山鹿流の兵学者のホープとして長崎や江戸に遊学していた時代から始まります。途中、叔父の玉木文之進からスパルタ教育を受け、学者としての基礎を叩きこまれた少年時代が回想シーンとして挿入される等、初回は教育者としての生い立ちをしっかり描いていました。そのため、登場人物の信念をセリフの中に投影し、物語の基礎を固めんとするばかりの骨太な描写が印象的です。とりわけ初回のクライマックスシーン。幕府によって禁書とされた「海防臆測」の所有者に名乗り出るように玉木たちが藩校の学生たちに呼びかけたところで、寅次郎と若き儒学者、小田村伊之助(後の楫取素彦)が禁書を持っていたことを打ち明けつつ、「人はなぜ学ぶのか?」熱弁を振るったシーンには感銘を受けました。

「知識を得るためでも職を得るためでも出世のためでもない。人にものを教えるためでも、人から尊敬されるためでもない。己のためじゃ 己を磨くために人は学ぶんじゃ」。寅次郎がこう言えば、伊之助も「お役に就くためでも、与えられた役割を果たすためでもない。この世の中に己がすべき事を知るために学ぶのです」と同調します。

 折しも高校生にとっては受験、大学生にとっては期末試験のシーズン。当面はテスト対策の勉強に専念せざるを得ませんが、落ち着いたところでドラマでも見ながら「自分はなぜ学ぶのか?」と自問自答してみてください。違った視野から学問を考えるきっかけになると思います。

(東大・慶大教授、文部科学省参与)

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第24回 ラジオ界のボケになりたい。

2015.01.07 Vol.633

 年末年始も『キキマス!』はいつも通りに放送していたわけですが、一般的には今週から仕事始めなんでしょうか。この「カタリマス!」の連載も新しい年になって初めてですね。担当から「……ありがちですけど、新年の抱負なんかを…」というリクエストがありましたから、それから始めたいと思います。

 今年の抱負は、ラジオでボケになる、それを目指すってことです。

 年末にマキタスポーツくんと話してたんです。長渕剛ってスゲーなって。長渕さんって、気がつけば“ツッコまれる人”、“ボケ”になってるって思いませんか。いろんなところでいろんな人からツッコまれて、それがすげぇ面白いんです。
 

 長渕さんって時代によって変わる人です。いい兄ちゃん像をやってた時期、フォーク期があって、石井聰亙監督の『爆裂都市』とかに影響を受けてるんだろうなっていうマッドマックス期。『HOLD YOUR LAST CHANCE』のバンド期に、チンピラ・やくざ期、その後にはインドかぶれ期っていうのもあって、今はブルース・スプリングスティーン期ですよ。革ジャン着て体を鍛え、取材する前にもトレーニングをする。それってすごい面白いじゃないですか。全部突っ込ませるんだから。

 今、テレビに出ている人って、みんなツッコミじゃないんだよね。みんなボケなの。お笑いだけじゃなく、スポーツとか、他のジャンルもね。長渕さんもそうでしょう。そういう人たちを見て面白いって思うようになってるんです。僕も年末年始にテレビに出演させていただきましたけど、変な人っていうか、よく分かんない人でしたよね。テレビに出てるのにラジオラジオって言い続けてて。現場では滑ったって思いましたけど、見てて面白かったって言ってくれる人もたくさんいて。それでいいんだって思えました。

 だから、ラジオでもそれになりたい。普段からラジオを聞いていただいている人は、何やってるんだ、ふざけたことをしやがってっていう人もいるかもしれないし、マキタスポーツくんが言ってた “通りすがりの正義”を振りかざす人にも出会うだろうし、ツッコミがはいると思います。でも、僕は正しいか間違いかをジャッジするんじゃなく、ほとんどが正しいんだって言える、多様性を評価する人でありたいなって思うんです。もちろん自分のなかで一つか二つぐらい提示できる何かは持っていたいと思うけどね。

 僕は裸になりたい。まっさらになって、外圧によって変化していくことを楽しみたいんです。手始めに僕は、家の本、CDを捨てようと思ってます。

大谷ノブ彦 カタリマス!第8回 「こっち側の人間」とか、つまんない。

2014.12.22 Vol.633

 年も押し迫ってくると、いろんなベストテンが出てきてます。映画、音楽、本……とにかくいろんなものの今年のベスト、さらにはワーストまでもが発表されます。並べられた作品から、選んだ人の視点が見られるのはすごく楽しいんですけど……なんかこういうベストテンみたいなの、どうなんだろう。それが悪いわけじゃないけど、少なくとも僕のなかではピンと来なくなっちゃった。

 例えば、映画。僕が今年初めて体験したことに「劇場でこんなに笑ってる!」っていうのがありました。『劇場版 テレクラキャノンボール2013』と『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE 2』だったんですけど、この2作品、ベストテンにはほとんど顔を出してないんですよ。いわゆる映画じゃないってとらえられてるのもあるんでしょうけれども。10億円市場だっていう、確実に人が入ってる女子中高学生が見に行く映画がありますけけど、これも批評の対象にはなってないんです。

 こういうものをすべて一緒くたにして並べられないならベストテンみたいなのをやってもどうなのって思いませんか? 枠からはみ出しちゃったものは見ない、批評の対象にしない。誰かが決めた枠のなかで成立してるものを相手にするのって、1つのコミュニティーのなかでやってるだけじゃないかって思ってしまう……。「俺、そっち側じゃなくて、こっち側の人間だから」ってさ。新しいエンターテインメントって、その枠を飛び越えて出てくるものだと思うんだけどなあ。大ヒットした『アナと雪の女王』だって、作品の質感だけじゃなかったと思います。みんなで歌うだとかそういうもの含めてのものだったと思うんですよ。 

 そんなこともあり、今年は「映画って何だろう」「音楽って何だろう」「ロックって何だろう」、さらには「お笑いって何だろう」…ってことを改めて考えることが多かったし、「枠の中は対コミュニティー」っていうのが明確に出てきたと思っています。映画でも音楽でも何でも、いろんな作品があって、いろんな人がいて、そこで自分の役割をまっとうしている。だからこそ、面白さがあるなって思うんです。それなのに「こっち側の人間」とか言ってたら、つまんないでしょって。そういう思いが強くなった1年でした。番組でいろいろな人のお話を伺ったこともそう思うようになった大きな理由だと思います。
 さて『キキマス!』は年末年始も休まず生放送です。さらに僕、大みそかの特番もパーソナリティーを担当させていただきますので、よろしくお願いします。

小池百合子のMOTTAINAI 総選挙。隠れた助演賞は「サウジ、中国、そして労組」

2014.12.22 Vol.633

 第47回衆院選は自民・公明の与党が計326議席を確保し、衆院で3分の2の勢力を維持する結果となりました。
 私自身、地元(豊島・練馬)や応援に出向いた全国各地で確かな手ごたえを感じながら、目標の「あずさ2号(8時ちょうどの当確)」を達成することができました。

 あえて言えば、相手の姿が見えなかった。政権に挑戦する野党がなかったせいでしょう。

 野党側は安倍総理の奇襲作戦に翻弄されつつも、結果的には民主党が11増、維新で1減。次世代の党や生活の党の分が流れた計算になります。「確かな野党」の共産党が8議席から21議席へと躍進し、不満票の受け皿役となりました。
 今回の総選挙の主役は安倍晋三総理であることは紛れもない事実ですが、他に隠れた三人のバイプレーヤー、助演役が存在しました。

 第一にサウジアラビア王国です。

 選挙直前の11月27日、石油価格を決定づけるOPEC(石油輸出国機構)総会が開かれました。注目された原油の生産調整は調整役不在で見送りとなり、さらに油価は続落。スゥイング・プロデューサー役を務めるべきサウジアラビアが協調減産を実施していたなら、石油価格の上昇に加え、円安で拍車がかかり、特に地方での不満に火がついたことでしょう。なつかしい民主党の「ガソリン値下げ隊」が息を吹き返したかもしれません。中長期的にはアベノミクスへの影響もありますが、ここはサウジアラビア様、シュクラン・ジャジーラン(感謝)。

 第二に中国。サンゴの密漁で小笠原諸島近海にうじゃうじゃと出現した中国船の集団は安全保障や危機管理に疎い民主党への不信感を改めて思い出させてくれました。96年、台湾総統選挙で李登輝勝利を阻止したい中国軍が基隆沖にミサイルを撃ち込み、逆に李氏の地滑り的勝利へと導いた時と同じです。中国様、多謝。

 第三が労働組合です。

 アベノミクスの問題点は賃金上昇が消費税アップや物価上昇に追いついていないことです。本来、賃金アップの交渉にあたるのは労働組合ですが、現在の日本の労働組合の委員長は安倍総理自身です。政権奪還後、安倍総理は経済界に対し「賃金アップ」要請をし、最初に応じたのがコンビニのローソンでした。ローソならぬローソンが春闘の主役だったのです。労組のお株を総理が奪ったかたちです。

 官公労を激しく批判してきた維新の橋下氏と選挙で労組に依存する民主が突如統一候補を担ぐのも無理がありました。

 結果として、安倍総理は「あと4年」の政権運営権を確保しました。毎年のように社長が変わる企業はありません。ここはじっくり日本の国益確保とサステナブルな発展に取り組みたいものです。

(自民党衆議院議員)

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