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COLUMN | TOKYO HEADLINE - Part 35
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小池百合子のMOTTAINAI 『ワールド・ビジネスサテライト』25年の歩み

2014.04.13 Vol.615

 先日、私が初代キャスターを務めたテレビ東京の経済情報番組「ワールド・ビジネスサテライト」の25周年を記念する会に参加しました。

 1988年4月4日の放送開始以来、いつの間にか四半世紀を超える長寿番組、テレ東の看板番組に育ちましたが、当初は試行錯誤の連続でした。

 夜11時半から50分間、東京・ロンドン・ニューヨークの三極から最新情報を伝えるコンセプトでスタートしたものの、衛星回線がつながらない、途中で切れるなど、ハラハラドキドキの連続。朝の株式番組から深夜の新番組へ抜擢された私の役割は「回線が切れた場合にも、しっかり番組を続けること」と言い渡されたものです。ちなみに番組制作費の多くは衛星回線料に費やされました。

 それが今やタダ同然の回線料だというではありませんか。イノベーションの結果なのでしょう。当時はインターネットも携帯もほとんどない時代。各種検索も日経テレコンの機能を駆使して、放送開始直前まで端末にかじりついていたものです。時の流れを感じます。

 ロンドンはロイター、ニューヨークはウォール・ストリート・ジャーナルの各テレビ部門と連携し、イギリス人、アメリカ人のキャスターが英語で最新情報を伝えてくれます。私とのやりとりも英語で、それを同時通訳するしかけでした。同時通訳者は西山千さん、村松増美さんなど、超一流の皆さんでした。途中から放送開始時間を30分間早めて、ニューヨークのマーケット時間に合わせる工夫もされました。

 何よりも隔世の感があるのが、経済指標です。

 25年前の日経平均株価は2万6000円台、為替は130円台でした。アベノミクスで株価急騰と騒いでも、当時と比べると1万5000円に乗せるのがやっとの今は、まだまだといったところです。

 最も驚くのは石油価格です。1バレルたったの15$です。現在は100$程度ですから、7倍です。これまでの最高値は147$ですが、為替要因を加えても油価の変化こそが最も激しい。おまけに、原発停止で、エネルギーコストは卒倒しそうな膨らみとなっています。

 日々の経済指標に一喜一憂しがちですが、長期で見ると景色は変わってくるものです。

 80年代には、日本の対外貿易黒字が諸悪の根源のように言われたのが、今や貿易赤字が大きな課題です。経常赤字が加われば、かつてアメリカが抱えた「双子の赤字」状態に陥ってしまいます。

 他局が横並びで一つの事件を延々とカバーするのに比べ、WBSではドイツの金利問題を冒頭ニュースとして取り上げるなど独自路線を頑固に守ってきました。「人と同じ」をヨシとしない私にとっても快適でした。

 視聴率至上主義を離れて、質を高めた結果、数字もついてきた例だと思います。今後とも、信頼できる番組作りにまい進してもらいたいものです。

(衆議院議員/自民党広報本部長)

江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 【ネタあらすじ編】

2014.04.12 Vol.615

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

今日も食べ過ぎ東京グルメ探偵 エビストロ エビ殻荘(神楽坂)

2014.04.12 Vol.615

おいしいものがあると聞けば、調査に行かずにはいられない「東京グルメ探偵」。メタボを気にしつつも食べ過ぎてしまうのがたまにキズ。さて、今日のタレコミは…?

All the Best!! EXPG Report vol.12

2014.03.31 Vol.614

今回は先日リリースされた新曲『S.A.K.U.R.A.』のミュージックビデオについてお話したいと思います!!
新曲『S.A.K.U.R.A.』のミュージックビデオは、7人7通りのシチュエーションで、しかもPV撮影では三代目初となる殺陣にチャレンジしています!!
『S.A.K.U.R.A.』というタイトルなので、最初はバラードなどを連想すると思いますが、いい意味で期待を裏切ったバキバキのアッパーな曲です!!
 僕のシチュエーションは雨の中での殺陣でした!! 撮影当日の気温はなんと3℃でした…(笑)!! その中で、スプリンクラーの水を全身に浴びながらの撮影は、過去一番の寒さと辛さだったと言っても過言ではないです(笑)!! 下に落ちた水が凍ってましたからね!!
 けど辛かった分、映像はめちゃくちゃかっこよく仕上がってます!! ワイヤーアクションやタイムスライスなども取り入れているのでチェックしてほしいです!!
 最近の殺陣はとても進化しています!! 本来は相手を切ってるように見せるギリギリを通すのですが、近年ではガッツリ相手に当てる技法が主流みたいです!! もちろん安全なラバーの刀を使います!! 始めは相手に当てるのが怖くて何回も失敗しましたが、当てるのがだんだん気持ちよくなり快感に変わりました(笑)!!
 今回紹介したのは、僕のシーンのほんの一部なんで、ぜひミュージックビデオを見ていただいて、7人7通りの殺陣を見てほしいです!!
 チェックよろしくお願い致します!!

長島昭久のリアリズム 集団的自衛権について考える(その四)

2014.03.31 Vol.614

 さて、集団的自衛権を考えるこのシリーズも今回が最後です。この間、国会で若干の動きがありましたので、紹介しつつ本論の結論を述べたいと思います。
 まず、民主党は、3月4日、「内閣による憲法解釈について、・・・(内閣法制局による=筆者付記)従来の解釈との整合性が図られた論理的に導き得る範囲に限られ、内閣が、便宜的、恣意的に変更することは、立憲主義および法治主義に反し許されない」としながらも、「我が国を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、我が国の領土、主権、国民の生命及び財産を守る観点や安全保障に基づいて国際的な責任を果たすという観点からの新たな要請の有無を不断に検討し、(憲法解釈の変更も排除せず=筆者付記)必要な対応を取る」とする党見解をまとめました。その上で、個別具体的な事例に即して、我が国の安全保障にとりどのような自衛隊の行動が必要かを明らかにした上で、その諸行動を適否を憲法9条の解釈の範囲内で検証しようという作業を開始しました。
 一方、安倍政権では、4月にも出される「安保法制懇」の有識者提言を待って、与党内の協議を加速化させようとの基本方針でしたが、ここへ来て公明党や自民党内からも慎重論が噴出し、当初目論んでいた今夏の閣議決定の見通しはにわかに不透明となってきました。
 しかし、我が国をとりまく戦略環境は、悪化の一途をたどっています。尖閣をめぐり連日繰り返される中国公船の領海侵犯(背後には軍艦が控えています)、北朝鮮の核とミサイル脅威の増大、ウクライナをめぐり「力による一方的な現状変更」を試みるロシア等々。そういった深刻な環境悪化に対応するためにも、日米同盟協力の強化は火急の課題であり、そのための「日米防衛協力の指針」の見直し期限は年末に迫っています。
 尖閣をめぐる実効支配の強化や領土保全は我が国自身の努力で対処すべきことですが、それを超えた地域の安定や我が国の生命線であるシーレーンの安全確保は、米国との安全保障協力で対応しなければなりません。そのような中で、いつまでも集団的自衛権をめぐる国内(党内)論議に時間を費やし、「我が国に何ができるのか」を曖昧にし続けることは、国際政治におけるグローバル・プレイヤーとしてあまりにも無責任であると考えます。
 私は、この冷戦時代から積み残されてきた安全保障の重要課題を早期に解決するために、野党4党(民主、維新、結い、みんな)の有志議員とともに「外交・安全保障研究会」を立ち上げ、与野党の垣根を超えた現実的で建設的な政策提言と政治行動をめざして参ります。

(衆議院議員 長島昭久)

鈴木寛の「2020年への篤行録」 第6回 書を読み、仲間と語り合う4年間を

2014.03.31 Vol.614

 今回は大学の新入生の皆さんへ、メッセージを送らせてください。
 慶応義塾の普通部の校歌には、「いざよく学び いざよく遊び 少年の日を ともに惜しまん」という歌詞があります。受験勉強から解放されたばかりで、私が言わずとも「よく遊び」はしっかり実践されているでしょうが(苦笑)、大学生活は4年間という限りがあります。一生に一度しかないその時間を生かすも殺すも心掛け次第、というと説教臭くなってしまいますので、シンプルにアドバイスしましょう。私は常々、学生時代は「書を読み、友や師と語り、仲間と事を為す」を主眼にすることを奨励しています。
 デジタルネイティブ、いやスマホネイティブと言われる皆さんは、私が19歳だった80年代前半に比べても、膨大な情報に触れています。ニュースも新聞ではなく、ネットで閲覧している方が圧倒的に多いことでしょう。しかし日々流れる情報は「フロー」に過ぎません。それらを整理し、自分の中で体系づけて考えるには「ストック」である本に接すること。知識が教養となって深く自分の中に定着します。ウクライナからのクリミア独立問題は、1945年以来、少なくとも1989年以来の世界の秩序をゆるがす歴史の大転換、我々の予想を超える事態に発展するかもしれません。将来を見通すためにも教養が必要なのです。
 特に社会に出ると、重厚な本を読む時間がなかなか取れません。とにかく分厚い「古典」を一冊、あるいはハンチントンの「文明の衝突」やアーレントの「全体主義の起源」等の現代の本も恐らく後世の風雪に耐えて残る名著になるでしょう。多読、乱読してください。
 特にお勧めはアーレントです。最近、映画にもなりましたが、彼女はユダヤ人迫害の罪に問われた元ナチス幹部アイヒマンの裁判の傍聴録「イェルサレムのアイヒマン」という本を書いています。平凡な評論家なら“天下の大罪人”としてアイヒマンを断罪したでしょう。しかし彼女の慧眼を感じるのは「悪魔的な深さがない、彼は思考不能だった」と論評したところです。個人を責めるのではなく、思考が停止して善悪の判断ができなくなる恐ろしさを訴えました。思考する大切さを教えてくれます。
 そして大事なのは書で得た知識を元に周囲とコミュニケ—ションすること。師や友人との熟議を重ねることで、気付かなかった視点に触れられ、知識を知恵に変えられます。頭でっかちな学問だけでは、この複雑化する世の中を乗り切れません。ぜひ実り多い学生生活を送ってください。
(元文部科学副大臣・前参議院議員)

江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 【ネタあらすじ編】

2014.03.28 Vol.614

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

EXILE TETSUYA “男を上げる”Monthly Column supported by ANGFA DANCEの道

2014.03.17 Vol.613

 皆さんには旅をした記憶はありますか? いつもの生活では触れる事のない場所や時間や経験、出会いやハプニング……いろいろな刺激がありますが、それが多い旅をすると自分の世界が広がり、一生忘れることのできない記憶になります。
 僕が初めて旅をしたのは19歳の時です。この時期は、車の免許を取り、行動範囲や自分でできることも広がって、とにかく何か新しい刺激を求めていました。DANCEと出会ったのもちょうどこのころでした。特に思い出深いのが、ヒッチハイクで横須賀から高知県の四万十川を見に行くという旅で、近くの高速道路のサービスエリアから、“西へ西へ”と書いたボードを持ち、次々と車を乗り継いで進んでいくなかで、心優しい方たちと出会い、行ったことのない場所へ行き、たくさんの刺激を受けた初めての旅は、一生の記憶になりました。あの時に見た景色や、感じたことは今でも鮮明に思い出せます。
 4月16日にリリースされる、DANCE EARTH PARTYの『PEACE SUNSHINE』の歌詞はUSAさんが書いています。今までUSAさんが旅をして来たことで感じてきた“CHANGE THE WORLD”というテーマや今回の舞台のエッセンスがたくさん盛り込まれていて、本当にUSAさんらしい優しさやポジティブさが言葉としても躍っています。昨年の舞台から今までに僕も何度かUSAさんのDANCE EARTHの旅にはご一緒させていただきました。歌詞を初めて読んだ時、その時に一緒に見た景色や感じたことが、この曲の歌詞にはたくさん盛り込まれていると思いましたし、あの時の景色が鮮明に蘇ってきました。
 今回の舞台『Changes』では、この曲をテーマに、観に来ていただく皆さんをまたDANCE EARTH WORLDにご招待したいですし、この曲を聞いていただいた皆さんに、僕が見た旅の景色を、見て感じてもらえるようにお届けしたいと思っています。
 しかしこの『PEACE SUNSHINE』はBPM(曲のテンポ)がめちゃめちゃ速いんです! 今まで踊った曲の中でも1位確実の速さ。もちろん振りも速くて難しいステップを入れていたりと、DANCE EARTHならではの難易度です(笑)。先日、このMUSIC VIDEOを撮りました。今回のPARTYはEXILE TRIBEのメンバーで構成されています。EXILE NAOKI、GENERATIONS from EXILE TRIBEの関口メンディー、素敵に歌ってくれているDreamのShizuka、Aya、Ami、Erie、そしてEXILE USAさんと僕の8人です。今までに一度もなかった感覚でのDANCEは新鮮でいて刺激的でした。いつも見ることのできない、Dreamやメンディーの撮影風景にも驚かされました。特にDreamの4人は10年以上のキャリアがあるのでカメラの前に立った時のスイッチの入り方は、さすがだなぁと感じ尊敬しました。みんながそれぞれのグループで培ってきたものを、この仲間で相乗して更にカラフルな色を発して行きたいと思っています。『PEACE SUNSHIN』も、それをテーマソングにした舞台『Changes』もぜひ楽しみにしていてください……エガオ(笑)

『コカ・コーラ FIFA ワールドカップトロフィーツアー』特集連載第2回

2014.03.17 Vol.613

実はホンモノの公開は4年に2回だけ
 第10回大会から使用されている現在のトロフィーは、募集で選ばれたイタリア人彫刻家シルビオ・ガザニガ氏制作のもの。重さ6175グラムのうち約5000グラムが純金。ではその価格は…というと、現在の金買い取り価格でおよそ2000万円。とはいえこれはあくまで金としての値段。当然、実際の価値は計り知れない。サッカーファン以外にあまり知られていないのが“トロフィーに触れることができるのは歴代優勝国のチームと各国の国家元首のみ”ということ。触れるどころか見ることも難しい。現在、本物が優勝チームに渡されるのは表彰式の時だけ。表彰式後には本物はFIFA本部に戻され、優勝国にはレプリカが贈呈される。つまり本物を目にすることができるのは表彰式とトロフィーツアーだけなのだ。そんな貴重なトロフィーを世界各地で公開するツアーでは、トロフィーはルイ・ヴィトン社製の特注ケースに納められ、ボーイング社製の専用機で運ばれる。同乗するのはFIFAとコカ・コーラ社の各代表、そして一人何役もこなす専任チーム。訪問国滞在中、保管場所を知っているのも彼らだけ。そんなトロフィーの実物を間近で見るチャンスをお見逃しなく。

小池百合子のMOTTAINAI「両国に必ずプラスとなる日本とクウェートの連携」

2014.03.16 Vol.613

 東日本大震災から3年。
 今年も3月11日に天皇・皇后両陛下のご臨席のもと、三周年追悼式がしめやかに行われました。被災地を代表しての、3名のご遺族の弔辞は、壮絶な内容ながらも、静かに、淡々としたもので、それが、かえって会場の涙を誘っていました。
 民主党政権下で行われた1年目の追悼式では、皇室のお迎えもおざなりでした。外交団による指名献花では、200億円にも上る巨額な被災地支援を国民規模で行ってくれた台湾の代表者が外されるなど、問題が相次ぎました。
 3回目の追悼式は学習効果というよりは、安倍政権の細かな気配りが随所に見えました。皇室のお迎えも自然と起立で行われ、外交団などの献花も、大使を務めた期間順と、整然としたものでした。
 特に目を引いたのが、クウェートの議員団による献花が行われたことです。4名の国民議会議員が長い民族衣装に身を包み、献花をするさまは迫力がありました。
 クウェートは東日本大震災発生後、もっとも多額な支援を寄せてくれた国です。中身は原油500万バーレルの贈与や三陸鉄道南リアス線への車両3台など、太っ腹なもの。原油は日本全体の原油消費量の2日分、約400億円に相当します。台湾の支援額の倍にあたります。
 おりしもクウェート・日本友好議員連盟の皆さんが議員交流のために来日されていたことから、追悼式への出席が叶いました。50年以上の友好関係にあるクウェートの対日支援について、日本国内はもとより、クウェート国内でもあらためて認識してほしいものです。
 クウェートと日本の共通項は70〜80年代末ごろにかけ、それぞれの地域で光り輝いていたことです。クウェートは湾岸アラブ諸国でもいち早く開発が行われ、おしゃれな店やレストランが軒を並べるなど、憧れの国ではありました。政治が安定し、経済も順調、社会も活発でしたが、イラク・イラン戦争、湾岸戦争と地政学上も不安定になりました。いち早く民主化したものの、頻繁に選挙や内閣改造が行われ、首相や大臣がころころ替わる。産油国のクウェートで石油大臣の椅子が何か月も空席であったことも幾度かありました。
 クウェートの内なる戦いが続いている間に、まわりのアラブ首長国連邦(アブダビ、ドバイ)やカタールなどがスイスイと追い抜いていったということでしょうか。
 両国の議員連盟(日本側会長は小池)として、お互いにもう一度光り輝く国になるために、しっかり連携してくこととしました。
 けっこういいコンビになるかもしれません。

(衆議院議員/自民党広報本部長)

江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE

2014.03.15 Vol.613

 貧乏人の八五郎、長屋に引っ越したはいいが、部屋に置く家財道具が一切ない。そこで絵かきの先生にお願いして、壁に紙を張り、そこに家具の絵を書いてもらうことにした。「まずは床の間を描いてください。そうそう、うまいもんですね。で、その脇に金庫をお願いします。ちょっと扉を開けて、そこからちょろっと札束が見える感じで」。ずっと欲しかったものを、細かい注文をあれこれつける八五郎。「次は…箪笥をお願いしますね。そして茶箪笥も。その中には洋酒の瓶を並べて、一番下には羊羹をちょこっと置きたいな。でね、長火鉢の上には鉄瓶を乗せて、お湯が沸いているように、湯気を出しておいて下さい。あと、猫。動きがあったほうがいいから、そうだなあくびをしているところをお願いします。それから、脇には脱ぎっぱなしにした着物と、長押には先祖伝来の槍を一本…」。そんな八五郎の注文に呆れながらも書き終わると、なるほど立派な座敷が完成した。その夜、八五郎が寝ているところに、泥棒が忍び込む。ところがこの泥棒が近眼ときた。「長火鉢に鉄瓶がかかったままで、無用心だね。おっ、金庫の扉が開いて、札束が飛び出てるよ。どれどれ…」。手を伸ばすも、もちろんのこと札束はつかめない。「あれ?なんだ?箪笥の引き出しも開かないよ。おや、猫もずっとあくびをしたままだ。こりゃ、全部絵じゃないか!」。落胆するも、相手が“あるつもり”なら、せめてこっちも“盗ったつもり”になろうと、仕事を始めた。「一番下の引き出しを開けたつもり。大きな風呂敷を広げたつもり。風呂敷に引き出しの中の着物を入れたつもり。金庫の札束を取ったつもり。それを風呂敷に入れたつもり」。ひと通り盗ったつもりになると、「全部まとめて風呂敷を縛ったつもり。そしてそれを背負ったつもり」。そんな泥棒の気配に気付き八五郎が目を覚ました。しばらく様子を見ていたが「ずいぶんおかしな泥棒だね。そちらがそうくるなら、こちらも」と布団を跳ね上げたつもりになると「長押にかかっている槍を取りりゅうりゅうとしごいたつもり。そしてそれを泥棒の脇腹めがけ、ブスっと突き刺したつもり!」。泥棒、脇腹を押さえ、「イテテテ。血がだくだくと出たつもり」

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