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コラム | TOKYO HEADLINE - Part 221
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格闘家イケメンファイル Vol.63 湘南の太陽 日菜太(ひなた)

2016.12.26 Vol.681

「K-1のベルトという忘れ物を取りにいきたいんです」と、2017年2月25日に開催される「K-1 WORLD GP 2017 JAPAN ~初代ライト級王座決定トーナメント~」でのスーパーファイトに参戦が発表された日菜太。「他団体でいくつかベルトを取るなかで、K-1のベルトは取れていないという思いがずっとあった。K-1 WORLD MAXでベルトを取ることを目標にしていたが、自分が力をつけてきたと思ったときにK-1がなくなってしまって。その後、いろいろな所で頑張ってきたけど、どうしても取り残したっていう気持ちがあったんです。そんな気持ちを察してくれた山口代表がお願いしてくれたおかげで今回出場が実現しました。新生K-1は今盛り上がっているし、僕自身もそこに加わって、しっかり結果を残し、メジャーになりたいと思います」

 対戦相手は松倉慎太郎。

「新生K-1の初めてのリングであり、久しぶりのK-1での試合なので、相手は誰でも良かった。手を上げてくれた松倉選手は非常に若く、僕がK-1 WORLD MAXに出ている時に、K-1甲子園とかユースで戦っていた、K-1育ちの選手。すごくいい選手だと思いますが、僕にも目標とか野望があるので、ここではつまずけない。ですから何が何でも勝ちたいと思っています」

 格闘技との出会いは意外と遅い。

「小さい時に空手を習っていたんですけど、サッカーのほうが好きで、中高はサッカーしかやっていませんでした。大学もそのままサッカーをやろうと思っていましたが、高校で引退してから大学でサッカーをやるまで暇だったので、近所のキックボクシングのジムに半年ぐらいのつもりで入ったら、あれよあれよという間に今ここにいます(笑)。結局、個人競技のほうが好きだったんですね。団体競技って強いチームに入らないと勝てないんですよ。しかも監督に評価されないと試合に出ることもできない。その点個人競技は自分さえ頑張れば試合に出られるし、勝ちも負けも自己責任。それが妙に性にあっていた。身体能力やボクシング対応力は、そんなに高いほうじゃないと思います。それでも勝ってこられたのは、運とか努力じゃないでしょうか。自分で言うのもなんですけど、僕結構真面目なんですよ(笑)。練習もあまり休まないし、コツコツ積み上げてきたことが今の僕のスタイルを作り上げました」

 コツコツ磨き上げてきたキックが日菜太の武器だ。

「K-1では僕のキックを見せたいですね。僕みたいに蹴る選手は、今の新生K-1にはいないんじゃないですか。パンチの選手が多い中、僕のようなスタイルの選手は珍しいと思うので、楽しんでもらえたら。練習の8?9割ぐらいは蹴ってますから(笑)」
 セルフプロデュースも重要だと言う。

「自分で何かを切り開いていきたいという意識が常にあるんです。格闘家は個人事業主なので、これまで全部自分でスポンサーを取ってきましたし、いろいろな場所にも出て行きます。ホームページも自分で人に頼んで作ってもらいました。また、僕からチケットを買ってくれた人には、自分で作ったオリジナルグッズのプレゼントも。缶バッジとかキーホルダーとかクリアファイルとか。そういう細かい草の根活動が大事だと思うし、それをコツコツ続けてきた結果、僕の試合は大体平均で250人ぐらいは来てくれます。企業のトップの方にお会いしたら、営業マンとして雇いたいってよく言われますもん(笑)」

 2月の試合の先には大きな目標も。

「スーパー・ウェルター級初代王者の(マラット)グレゴリアンがベルトを返上したので、2代目王者のトーナメントがあるらしいんですよ。そのトーナメントに出場して、2代目王者になりたいです。そして初代王者のグレゴリアンと戦って勝って、さらにGLORYという団体のシッティチャイというタイ人王者も倒したい。シッティチャイは、グレゴリアンに3戦3勝している、多分今世界最強の選手。その彼とK-1王者の日菜太として戦って勝ちたいなと。それが実現したら、自分が世界最強と胸を張って言えると思う。そして世界最強のまま勝ち逃げします(笑)」

 K-1のリングに帰ってきた日菜太からファンへ。

「来年、2017年は多分、僕にとって最終章だと思うんです。本当に常に引退を意識して頑張る1年、2年になると思う。1年か2年かわかりませんが、どちらにしても残り何戦もできないと思っています。ですから、日菜太の格闘技人生の集大成となるこの1年、2年の試合を見逃さないでほしい。応援に来てくれた人が笑って帰ってくれるような試合をしたいといつも思っていますのでぜひ見に来て下さい」

黒谷友香「友香の素」vol.170 ハッピーバースデーな屋形船

2016.12.26 Vol.681

 2016年、師走のこの時期は、毎日が過ぎて行くスピードがほんとに早く感じられます。クリスマスパーティー、忘年会とイベント盛りだくさんで、バタバタと過ごし気が付いたら30日、もう1、2回寝たらお正月みたいなね。早い?。

 そんなイベントに忙しい月ですが、私はそこにもう1つ、自分の誕生日会が含まれます。先日、友人たちが開いてくれた誕生日会がありました。毎年レストランでのパーティーでしたが、今年は趣向を凝らし、なんと屋形船に乗っての誕生日パーティーでした。これ、お勧め! 誕生日会に限らず何かのイベントに屋形船はなかなか良いと思われます。船内に入ると掘りごたつに既にお料理がセッティングされていて、席についたらすぐ出発。浅草吾妻橋を出発し、幻想的にライトアップされた橋を潜りながら隅田川をお台場まで下ります。お料理は旅館の夕食に出てくるような感じ。固形燃料のミニお鍋あり、揚げたての天ぷらあり。誕生日会しかも普段なかなかない屋形船でというシチュエーションにテンションも上がり、盛り上がる私たち。思いっきり食べて飲んで、ワイワイしているといつの間にかレインボーブリッジ下に到着。そこからが最高でした。船はその場でしばし停泊。その間、私たちは外に出られます。屋形船の屋根にあたるスカイデッキに上がってみると、目の前には足元からブルーにライトアップされた大迫力のレインボーブリッジが迫り、その向こうには東京タワーもバッチリ見える東京、お台場、晴海埠頭の夜景が360度パノラマで広がり、その思った以上の迫力と美しさに思わず息をのみました。っとそこへ、なんと花火が! 冬の花火は初めてでしたが、冴え冴えとした冬の夜空に次々と花のように咲き乱れては跡形もなく消えて行く花火の美しさに、刹那の中に永遠を見ました。

 2016年も、残り僅かです。

【DJダイノジ あなたの好き、肯定します!】第9回:「超いいコンビだと思う」

2016.12.26 Vol.681

大地:『DJダイノジの深夜の回転体』の今年の放送も25日で終わり。今月も楽しかったあ。それに、楽だった(笑)。

大谷:またスージー鈴木さんに来ていただいてね。1984年の歌謡曲ベストテン、2016年の歌謡曲ベストテン、日本の編曲家列伝……全部、スージー鈴木さんが話してくれたという。

大地:『スージー鈴木の深夜の回転体』だね!

TH:スージー鈴木さんは2回目の出演。どれだけスージーさん好き?という印象です。

大谷:ねー。でもまたやりたい。だってスージーさん、面白いんだもの! 編曲家という角度から曲を聞くというのは11月の放送でもやったけど、スージーさんの解説が入ると、さらに面白くなっちゃう。いろんな音楽の聞き方、楽しみ方をもっと届けたいって思ったね。

大地:久保田早紀さんの『異邦人』を編曲してる萩田光雄さんの話なんてさあ!

大谷:最高っ!

大地:前回も同じことを話したけど、日本の編曲家の地位を上げてかなきゃいけない。

TH:さて、2016年も終わりますが、お2人にとって、どんな年でした?

大地:いろんな人と絡ませてもらって楽しかったですね。よく笑いました。最高っ!

大谷:今年はいろんなことが変わったんですよ、芸能界のルールとかもね。そういう意味で楽しかった。それはどうなのって言われるだろうけど、「テレビ出てないじゃんっ」て言われても正直それでいいかなって思ったんです。呼んでいただければ、全力でやります、もちろん。だけど、お笑いに限ったことじゃないだろうけど、テレビだから!ってこととか、テレビにあった夢っていうのはなくなってきてる。ライブもラジオも、Abemaのようなインターネットでも、どの現場でも楽しいんだ。

大地:ここ1?2年ぐらいかな、俺、ライブ終わると思うことがあってね。……自分で言うのもあれだけどさ、俺たち超いいコンピだなって(笑)」

TH:なにそれ、 “ムズキュン”なんですけど……!

大地:ネタやりながら、間違えた大谷さんがかわいく見えたりもしてきてね(笑)。

大谷:良いとは言えないけど間違えてもそれでいいって思ったりね。お客さんも笑っていて、ウケたからいいかって。

大地:人と比べなくなったんだよね。

大谷:新境地だよ、マジで本当にそう! 時々言われるの、忙しいのに、クラブイベントやらいろいろやって、新ネタも書いて、よくやってますねって。でも俺、楽しいからやってるんで(笑)。

TH:それ、最高っ! さて、2017年はどんな年にしましょう?

大谷:お任せしますよ、読んでる人に(笑)。いいんですか、俺たちをほうっておいて。ぶっちゃけ、俺たち一番面白いですよ!

大地:俺は、ずっと笑いながら…周りと比べずにね、やっていきたい……な。

※25日放送分はラジコのタイムフリー機能で1週間楽しめます。次回放送は2017年1月15日。

脱こじらせへの道 第37回 ネット上での情報の取り扱いには十分な注意が必要

2016.12.23 Vol.681

 今年の漢字一文字は「金」でしたね。
 リオオリンピックの金メダルに政治と金の問題など、言われてみれば確かにそのとおり。
 皆さんはどんな一年でしたか?

 個人的には、ゲス不倫や妊娠・出産、活動自粛や引退など、芸能関係の話題が豊富だったなぁという印象があります。

 今回はそんな折に必ずと言っていいほど引き合いに出される、「SNS」についてアンケートをとってみました。

 もはやほとんどの方が使っている「SNS」。
 ユーザーの皆さんからは、情報収集にTwitter、連絡手段としてLINEを使っているという意見がたくさん寄せられました。
 実際に私も、個人のTwitterで好きなアーティストをフォローしてライブやリリース情報を得たり、複数の友人とLINEグループを作って会話をしたりという使い方をしています。

 そのように複数のSNSを使っている人は少なくないと思いますが、それぞれのSNSには特性がありますよね。

 その中でもTwitterというのは、ちょっと扱いが難しい存在になっているように思います。
 ごく個人的なつながりだけの中で会話していたとしても、それがTwitter上であるというだけで全世界に広まってしまう可能性があります。
 勤務先の飲食店に有名人が来た、というようなツイートが問題になった例もありましたよね。

 インターネット上に何かを発信すると、それはもう「公」のことになってしまうのです。
 Twitterではさらに「匿名による拡散」という力を得て、ものすごい速さで広まっていきます。

 それを自覚している人は多くなってきていると思いますが、同時に気になったことがあります。
 それは、色々なニュースの報道のされ方です。

 何かニュースを見るたびに、「ネットでは?という意見が」「Twitter上では?という声も」という言い回しを必ずと言っていいほど見かけませんか?
 ネットの声は、たしかに世間一般の普通の方が発信しているものです。
 でも、その情報を言う人がマジョリティなのか?発言者に正しい情報が入っているのか?というのは非常に疑わしいところだと思います。

 実際、Twitterについてはなりすましの問題もありますし、事実かどうか分からないことがリツイートされ続けることによってあたかも事実のように認定されてしまうこともあります。
 テレビのワイドショーなどではネット上に転がっている話題や写真に飛びついて、直接取材をしなかったことでしばしば問題も起こっていたようです。

 そう思うと、一定数の発言とその本質は必ずしもイコールではありません。
 報道やメディアのこじれが生まれてしまうのではないかという懸念があります。
 最近でも、キュレーションサイトで根拠のない記事を掲載していたり、無断引用が話題になったりしました。

 私たちの目にする情報は、果たして本当に正しい情報なのでしょうか?
 これだけ情報が溢れているので、検索や収集だけでは誤った情報を得てしまうかもしれません。
 自分が正しいと思う情報をきちんと考えて、見て聞いて選ぶことが必要になっています。

一木美里のおいしくたべようの会 vol.19 「サンタクロースになりたくて」

2016.12.20 Vol.680

クリスマスウィークな今週、
TGC Night、YouTube Christmas Partyと、
たくさんDJさせていただいてとっても楽しかったです?
今日のテーマは“わたしのおもたせ”。

江戸瓦版的落語案内 垂乳根(たらちね)

2016.12.14 Vol.680

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

一木美里のおいしくたべようの会 vol.18『あなたに贈るヴィーガンスコーン』#グルテンフリー #ヴィーガンスイーツ #わたしのレシピ

2016.12.13 Vol.680

一木美里です。
12月もいよいよ中盤、年の瀬が近づいて、
年末だからこそ会える人たちもたくさんいて嬉しい毎日です。
今日は最近自炊で心がけているグルテンフリーのスイーツレシピを紹介します。

【長島昭久のリアリズム】トランプ政権を迎え撃つ我が国の覚悟

2016.12.12 Vol.680

「不動産王」転じて「暴言王」と称されたドナルド・トランプ氏が激戦の米大統領選を制すると予測できた人は世界中でもほんの一人握りではなかったでしょうか。すでに、「保護主義が加速するのではないか」「欧州に暗い影を落としている排外的な政治勢力がますます台頭するのではないか」「第二次大戦後にアメリカを中心に構築されたリベラルな国際秩序が崩壊するのではないか」などなど、有識者を中心に世界中で懸念が広がっています。我が国でも、ヒラリー・クリントン女史の勝利を前提に組み立てられてきた安倍外交が、肝心のTPPと日露関係で大きく変調を来しています。

 とりわけ、日米同盟の行方が気懸りです。2009年に起こった日本の政権交代でも日米関係が安定するのに約1年かかりましたが、今度は全く新しいタイプのアメリカ大統領の登場(8年ぶりの共和党政権という以上に、政治家でもなく軍務経験も持たない史上初の大統領の誕生)ですから、日米同盟の基本構造に大きなインパクトを与えることになるのは明らかです。現に、選挙キャンペーン中には、米軍の駐留経費負担や日本の核武装、防衛費などをめぐって歴代米政権とは全く異質の見解が示されました。
 しかも、巷間伝えられるところによれば、選挙後に会談したヘンリー・キッシンジャー博士はトランプ氏に対し「中国とのグランド・バーゲン」を働きかけたといいます。その意味するところはハッキリしませんが、ニクソン政権で同盟国の頭越しに電撃的な米中和解を実現させたキッシンジャー博士の発言だけに、これまでのアジア太平洋地域における国際秩序の根幹を揺るがすような「変化」が起こる可能性を覚悟せねばならないでしょう。最近のインタビュー記事で「同盟関係を考え直す必要がある」と明言しているキッシンジャー博士だけになおさらです。

 政権の中枢であり対外関係を取り仕切る国務、国防両長官がいまだに揃っていない段階でトランプ政権の外交・安全保障政策を予測することは困難です。しかし、キッシンジャー博士の言葉があろうがなかろうが、日米同盟が真に試されるのは対中戦略をめぐってであることは自明ですから、我が国のNSC、外務、防衛当局は一刻も早くトランプ次期政権のカウンターパートと的確なコミュニケーションを図る必要があるでしょう。

 日本は、これを機に、独立自尊の精神に立脚して、日米同盟の基本構造、アジア太平洋地域の平和と安定と繁栄の秩序づくりにおける自国の責任と役割について、今一度ゼロベースで考え直さねばなりません。いつまでもアメリカに依存した姿勢で乗り切れるほど今後の国際環境は甘くないと腹をくくり、トランプ新政権と対等の立場で同盟戦略を再構築して行くのです。
(衆議院議員 長島昭久)

格闘家イケメンファイル Vol.62 一度引退した激闘王 石橋佳大(いしばし・けいた)

2016.12.12 Vol.680

 先月行われたプロフェッショナル修斗公式戦 環太平洋フェザー級チャンピオンシップで岡田遼に勝利、王座を獲得した石橋佳大。今年のベストバウトとも称される激しい試合は、背水の陣で臨んだものだった。

「2度目のチャンピオンシップだったので、2回挑戦してダメだったら多分3回目はもう回ってこないだろうなと思っていた。これで負けたら引退かなと。ですから、今までで一番強い覚悟を持って挑めましたし、それまでの練習も本当に充実していました」と石橋。「1度目のチャンピオンシップは根津優太選手。その時は、試合後倒れてしまって全く動けなくなり、人生の中で一番苦しい思いをしたんです。でもそれがあったから、どれだけ疲れ果てても、ウオーミングアップだと思える。あの時は倒れたまま、このまま死ぬんじゃないかと思ってましたから。根津戦以上の苦しみはないと思い練習してきて、それが今のファイトスタイルにつながっているような気がします。今回対戦した岡田選手も前評判通り強くて、僕がどう攻めてもうまくいなされた。とにかく全局面で対処され、なかなか突破口が見つからない。今でもトータルの総合格闘家としての能力は岡田選手のほうが上だと思いますもん。勝因? うーん、場数ですかね。くぐってきた修羅場の数が違いますから(笑)」

 あくまで謙虚な石橋だが、その背景には大きな挫折があった。

「2009年にデビューしたんですが、5戦やって1勝4敗と成績がまったく振るわなかった。それで負けすぎて嫌になって2年間格闘技をやめていたんです。週に1回柔術クラスの指導をしていたので、現場監督のようにジムに顔を出すだけで、気持ちはやさぐれていた(笑)。本当にそれ以外は何にもやっていなくて…。しかし、2013年の夏にミヤオ兄弟という柔術の世界チャンピオンが日本のトーナメントに出場したのを見て、柔術ならちょっとやりたいなっていう気持ちになった。MMAはまだやる気にならなかったんですけど、柔術を始めると楽しくなってきて。それからまず体作りから始めていた時に、先日引退した菅原(雅顕/前世界バンタム級王者)選手からスパーリングの相手になってくれないかと頼まれて、パートナーを務めているうちに、それも楽しくなってきて(笑)。もう1試合ぐらいやってみて、それでダメだったら引退すればいいかと思って復帰しました」

 復帰後は気持ちの面で大きく変わったという。

「今思うと、デビューしてからの試合は“これで勝てるでしょ”ぐらいの気持ちで試合に出ていたような気がします。しかし、復帰してからは負けたら終わり、負けたら今後一切格闘技はやらないという覚悟でやっています。練習でも全部出し切ってやる。そいういう覚悟が以前とは変わったところですね。また、以前は秒殺してやろうと思って試合に臨んでいましが、今は全部出し切って判定ギリギリでもいいから勝とうという意識に変わりました。そう思うと不思議なことに、秒殺で勝っちゃったりする(笑)。復帰戦で1分ほどで勝ててから、それから5連勝してチャンピオンシップまで行けたので、気持ちの問題ってすごく大きいなと。常にあと1回負けたら辞めようと思い続けて、気がついたら勝ちを積み上げていたという感じです」

 デビュー後の敗戦がトラウマなのか、チャンピオンになっても、やすやすと実力を過信しない性格に。

「僕は戦績がいいほうじゃないんです。ランキングを見てもまだまだ自分が強いという自覚がない。確かにチャンピオンになってベルトは取りましたが、ベルトを巻いたからといって、自分が一番強いとは思っていないです。逆に、自分が最強だと思ったら、それ以上強くはなれない気がする。1勝4敗から這い上がってきた負け犬根性で戦ってきた気持ちは忘れないですね」

 今後は挑戦される立場だ。

「そうは言ってもこれからは狙われる立場だというのは、しっかり自覚しているので、常に戦える準備はしておきたいなと思います。地味な選手ですがベルトを譲る気は毛頭ないので、また激しい試合をして最後は絶対に極めて勝つ。自分では全然期待されていないチャンピオンだと思うので、これからも挑戦者の気持ちで頑張っていきたいと思います」

【鈴木寛の「2020年への篤行録」】第39回 トランプ現象はただのポピュリズムではない

2016.12.12 Vol.680

 早いもので今年の本コラムもこれが最後になりました。年の瀬にかけて、激動の2016年を象徴するようなニュースが相次いでいます。言わずもがなのアメリカの大統領選。数々の暴言もいとわなかったドナルド・トランプ氏が勝利し、6月に行われたイギリスの国民投票でEU離脱を決めたのに続いて、全世界に衝撃を与えました。

 ヨーロッパでも余波が続きます。本稿締め切り間際の12月4日、オーストリアの大統領選で、移民締め出しなどを訴えていた極右政党の候補者が敗れたものの、得票率が半数近くと、あと一歩まで勝利に迫りました。同日に行われたイタリアの憲法改正を問いかけた国民投票で、反対票が賛成票を上回り、改憲によって議会制度を改めようとしたレンツィ首相の退陣が決まりました。反対派を後押ししたのが、ユーロ離脱などの反グローバル政策を掲げる新興政党の「五つ星運動」でした。

 欧米で既存の政党を批判する勢力が躍進している背景として、ポピュリズムの激化を指摘する見方があります。ポピュリズムとは日本語で「大衆迎合主義」、つまり有権者の人気取りを最優先にした政策を掲げる政治手法で、たとえば厳しい財政状況を無視して税金を下げるような公約をします。日本では実感がありませんが、移民の流入が深刻な問題になっている欧米諸国では、治安の悪化や雇用が奪われることへの懸念から、移民の受け入れに消極的または反対する自国民も多く、「メキシコとの国境に壁を築く」と宣言したトランプ氏のように“現実離れ”した公約を掲げる候補者もいます。

 ここで私が感じるのは、世界各地で取りざたされる「トランプ現象」を、ポピュリズムと切り捨て、あるいは冷ややかに見ているだけでは、正確に事実を直視していないのではないか、ということです。米大統領選でクリントン氏勝利を確信していた日米のメディア、あるいは有識者と呼ばれるエリートの人たちが、なぜ予測を外したのか。あるいは、結果が出た後に「隠れトランプ支持者がいた」などと分析していますが、早くからトランプ氏の勝利を予測していた数少ない専門家の発信内容を確認すると、共和党の予備選挙参加者がうなぎのぼりに増えるなど党勢拡大の基調だったことが見落とされていた実態があるようです。

 私はアメリカの選挙の専門家ではありませんが、トランプ氏とその支持者たちをよく思わない既存のエリート層が数々の「不都合な真実」に目をつぶっていたのではないかという気がしてなりません。「トランプ現象」は俗説を疑って考えてみることの重要さと、本質に迫る洞察力と分析力を身につける必要をあらためて教えてくれたのではないでしょうか。

(文部科学大臣補佐官、東大・慶応大教授)

脱こじらせへの道 第36回 私は「こじらせ」たまま、生きていきたい

2016.12.09 Vol.679

 先日、作家の雨宮まみさんがお亡くなりになりました。
 著書「女子をこじらせて」で、「こじらせ」という言葉を使い始めた方。
 この著書によって救われたという女性も多いのではないでしょうか。

 そんな「こじらせ」という言葉も、現在は若干の独り歩き感があります。
 他人を揶揄する際に使われたりすることもあります。
 世間では「こじらせていること」=悪、という見方をされる場合もあったりしますね。

 では今一般的に使われている「こじらせ」とは、一体なんなのでしょうか。
 他人に対して、そして自分自身に対しては、「こじらせ」がどんな影響を与えるのでしょうか。
 今回のアンケートでは、今私たちが日常的に使っている「こじらせ」という言葉がどのような受け入れられ方をしているかが分かる結果となりました。

 まず驚くべきは、ほとんどの女性が「自分はこじらせている」と感じているということ。
 多くの女性が、自分自身に対して、世間と何らかの違和感を感じているということだと思います。

 また、そのこじらせの原因としては、2パターンあるようです。

 ひとつは、恋愛経験に関するもの。
「男性経験がない」「彼氏がいない」「結婚していない」「不倫している」
 といういわゆる”女性の幸せ”から遠のいているのでは、という不安からもたらされるものかと思います。

 そしてもうひとつは、「自分に自信がない」というもの。
 大人になるにつれお世辞を見分けられるようになったという理由もあるかもしれませんが、自分の女性性に自信が持てないから故のことかと思います。

 この2パターンを見ると、こじらせというのはそういった不安や自信のなさに「しばられてしまうこと」「固執してしまうこと」だと言えるのかと思います。

 不安に思うこと自体は誰にでもあるし、それだけで見れば別に問題ないと思うんですが、それにとらわれてしまう。

 その不安に思う事柄については、他の人から見たら、“それってうらやましい話じゃん”っていうものもあるんですが、そういうふうに考えられないとか考え方を転換できないことが、こじらせにつながっていくのではないでしょうか。

 たとえば先程のパターンで言えば、「仕事に熱中して婚期を逃してしまった」と本人が悩んでいることも、「社会で活躍できている女性」と他人が羨ましく見る場合だってあります。

 いずれにせよ、多様性のある現代では、これまで「当たり前」とされていたことだけが正解ではない場合もたくさんあります。
 女性でも起業してずっと働くだとか、シングルマザーとして生きるとか、数十年前では後ろ指さされていた生き方も、堂々と認められるようになっているのです。

 だから多くの女性が、これまでの「当たり前」と違和感を感じる生き方をしているのも当然。
 私たちはそれを「こじらせている」として卑下する必要はないと思うのです。

 もっと言えば、それを「こじらせている」生き方として肯定してくれたのが、雨宮さんだと思うのです。

 この連載のタイトルは、「脱こじらせへの道」。
 私はこの連載で、世間と違和感を感じているという意味での「こじらせ」の感覚を取り払い、堂々と生きることを目指していました。
 でも、「こじらせ」が世間との違和感と仮定すると、私は「こじらせ」たまま、生きていきたいと感じました。

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