未曾有の超高齢化社会に突入する日本。団塊世代が後期高齢者となる2025年には、認知症高齢者数は約700万人、5人に1人が認知症になるといわれる。
そんな中で発売された本書は、“認知症のある人には実際に世界がどんなふうに見えているのか”という視点から「旅のスケッチ」と「旅行記」の形式でまとめ、13のストーリーとして解説したもの。認知症世界には乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」や、誰もがタイムスリップしてしまう「アルキタイヒルズ」などが存在し、その世界を旅する旅人はいろいろなハプニングを体験するのだという。
驚いたのは、人間がいかにさまざまな情報や経験を組み合わせ、そこから判断・行動しているかということだ。大きな文字でビジュアルが多いので分かりやすく、ゲームの説明書や問題集のようなイメージでサクサク読める。いつか自分や身の回りの人が、認知症世界を旅する時のガイドとしてぜひ。