Notice: Function _load_textdomain_just_in_time was called incorrectly. Translation loading for the acf domain was triggered too early. This is usually an indicator for some code in the plugin or theme running too early. Translations should be loaded at the init action or later. Please see Debugging in WordPress for more information. (This message was added in version 6.7.0.) in /home/newthl/www/tokyoheadline/wp-includes/functions.php on line 6121
【TOKYO HEADLINEの本棚】 | TOKYO HEADLINE - Part 2
SearchSearch

渋谷・新宿・銀座・上野…80年代と現在を定点観測『東京タイムスリップ1984⇔2021』

2021.07.19 Vol.743

 雑誌「平凡パンチ」特約フォトグラファーだった著者が、写真専門学校の卒業生有志で行った展覧会のために撮影した1984年の繁華街。コロナ禍でネガフィルムの整理をはじめたことで、時空を超えて現在の同位置・同角度からの写真を新たに撮影し、対照的に並べて比較した写真集が本書である。

 いつの時代も若者の街だった渋谷や新宿が、37年を経るとこんなにも変わるものなのか。著者がモノクロ撮影を主戦場としていたこともあって、経過した年月以上に失われた時間や風景を思わせる。当時を知る人には懐かしさやノスタルジーが、今の若い人には目新しさが感じられる構成。写真の下に添えられているキャプションにも、思わず「そうそう」とうなずいたり新たな発見があったり。

 現在の街並みは2020〜2021年にかけて撮影されているが、このコロナ禍の風景もきっと数十年後に懐かしむ日が来るのだろう。

1137日間にわたる国立競技場建設ドキュメント『国立競技場 Construction』

2021.07.19 Vol.743

 いよいよ始まる東京オリンピック・パラリンピック。その主会場となるのが、建築家の隈研吾氏が設計を手がけた「国立競技場」(=オリンピックスタジアム、新国立競技場)である。同所が誕生するまでの一部始終を、定点カメラにより撮影した写真集が『国立競技場 Construction(コンストラクション)』(一般社団法人共同通信社著、河出書房新社刊)だ。

 刊行する河出書房新社の所在地は、新しい国立競技場の目の前。同社の好立地を生かし、共同通信社が建設に向けた準備工事の始まった2016年10月から完成した2019年11月まで24時間、1137日間にわたって屋上にて定点撮影した。トータルで約16万枚にも及ぶ膨大な写真の中から厳選し、日本を代表するスタジアムが完成するまでのドラマを克明に描き出す。

料理家・谷尻直子と建築家・谷尻誠が夫婦でトーク『HITOTEMAのひとてま 第二幕』ができるまで

2021.07.09 Vol.743

 スタイリストを経て料理家となり、現在は渋谷区の予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰する谷尻直子。新刊『HITOTEMAのひとてま 第二幕』(主婦の友社)の刊行を記念し、夫で「HITOTEMA」の空間設計に携わった建築家の谷尻誠氏と同店から配信イベント「HITOTEMAのいま」を行った。主催は六本木 蔦屋書店。

“現代版のお母さん料理”をコンセプトに、週に一日だけ開店する「HITOTEMA」のレシピをまとめた書籍の第2弾。谷尻は「一作目から2カ年を経て、特にお客様に喜んでいただけたレシピをまとめたいなという思いで出版を決めました」といい、誠氏に「私が料理に興味を持ったのはかなり小さな頃ですが、それを仕事にするという思いはまったくなかった。誠さんに出会って『お店をやったらいいんじゃない?』と言ってくれて、この人が私を信じてくれるから、私にその力があるんじゃないかと自分を信じることができたんです」と感謝を述べた。

作家・辻仁成が息子に伝えるための渾身の家庭料理集『父ちゃんの料理教室』

2021.06.25 Vol.742

 息子が小学生の時に離婚し、シングルファーザーとなった芥川賞作家の辻仁成。本書はフランス在住の著者が、現在高校生となる息子にロックダウン下のパリの台所で始めた料理教室がベースとなっている。だが、いわゆる料理本を想像してページをめくると、予想外の構成に驚いた。

 たとえば、冒頭の「フランス風イカめし」の書き出しからしてこうだ。「あのね、なぜ生きるのはこんなに大変なんだろうって、思うことあるだろ?」本書は数字を順に振って、調理工程を説明しているといったレシピではない。親子の会話を通し、生きるとは、食べるとは、料理とは何かが描かれているのだ。工程の文章が文学的、会話調といったレシピ集はあるけれど、これはキッチンに救われたという作家が息子に伝えるための渾身の家庭料理集である。

 ひとつの料理につき3〜4ページの読み物と、最後に材料の表記があり、料理に託された生活の知恵が自然と身につく。著者本人が撮影したという写真がまた、あたたかみがあってすこぶるおいしそうだ。

『10年かかって地味ごはん。』10万部突破記念!和田明日香が感謝を込めて読者30名とオンライン飲み会開催

2021.06.21 Vol.742

 料理家で食育インストラクターの和田明日香が今年4月に出版した書籍『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が、発売から1カ月で累計発行部数10万部を突破するベストセラーとなったことが分かった。

 料理愛好家の平野レミの次男と結婚するまでは料理歴ゼロで、「キャベツとレタスは同じ葉っぱだと思っていたほど料理音痴だった」という和田。結婚後に毎日の食事を作り始め、現在では家族5人分の夕飯4品を、早炊きモードでお米が炊けるまでの36分間で作ることが可能なのだとか。そんな和田が迷わずおいしい料理を作れるようになるまでの長い道のりを思い出し、家族のために作り続けたレシピを「遊びに来た友達に話す感覚で書いた」のが本書。

「10年料理をし続けて、辿り着いたのは、名もなき地味なごはんばかり」という、茶色っぽい色合いの一見地味な料理たち。家族の歴史が詰まった懐かしくもしみじみおいしそうなレシピは、発売前に2度の重版が決定するなど料理好きから初心者までハートをわしづかみし、その後も順調に売れ続けた。

「明日香風の定番料理」「毎日開店! 居酒屋 和田屋」「家族が大好きな野菜料理」「和田家のキッチンへようこそ」の4章立てで、家庭料理からおつまみ、よく使う調味料やストック食材まで網羅。レシピ名も「たどり着いた肉じゃが」「わたしの都合の油淋鶏」「デジコギ?って言うの?」「今ちょうどいいおひたし」と親しみやすく、玉ねぎを炒める工程は「お肉やじゃがいもにとろとろ玉ねぎが絡む姿を想像しながら根気よく。」など、語りかけるようなやさしい文章もポイント。

 同書の10万部突破を記念し、30日まで「#地味なのは和田さんのせい」SNS投稿キャンペーンを開催。応募者の中から抽選で30名を著者の和田と過ごす〈一夜限りでオープン! オンライン居酒屋「和田家」で暑さを取っ払おう!〉へ招待、さらに応募者全員に書籍に未掲載の“地味ごはんレシピ”1品分のPDFがプレゼントされる。イベントの様子は後日YouTube「主婦の友チャンネル」にて公開予定。

“海の宝石”タカラガイの魅力に迫る決定版!『日本と世界のタカラガイ』

2021.06.17 Vol.742

 丸みのある形と光沢が特長で、その美しさや多彩さから「海の宝石」とも呼ばれるタカラガイ。海水浴場のお土産屋さんで、貝殻や笛、アクセサリーに加工されたタカラガイを見たことがある人も多いだろう。

 本書は亜種を含め日本近海で見られる91種と、世界の海で見られる165種の合計256種のタカラガイを収録した専門図鑑。さらにコレクション魂をくすぐるニューカレドニア黒化型・嘴型7種、近縁の7種の標本写真と解説も掲載した。識別ポイントや生息域、和名の由来、収蔵の経緯を記した解説も読み応えたっぷり。最新のデジタル技術を駆使してタカラガイの光沢、紋様、造形を表現した写真で、初心者からコレクターまでタカラガイの世界を堪能できる。

懐かしくて新しい!原田治さん「オサムグッズ」200点を収録した作品集『オサムグッズスタイル』復刊

2021.06.04 Vol.Web Original

 2005年に発行された伝説のイラストレーター原田治さんの作品集が、『オサムグッズスタイル(増補改訂版)』(パイ インターナショナル)として14日に復刊することが分かった。

チェッカーズに狂気し、『マイバ』に一喜一憂…70年生まれ女性限定カルチャー誌『昭和45年女・1970年女』創刊

2021.05.29 Vol.Web Original

 クレタパブリッシングより年齢限定マガジン『昭和45年女・1970年女』vol.1が31日に発売される。

萩尾望都の痛みと失われた大泉時代『一度きりの大泉の話』【TOKYO HEADLINEの本棚】

2021.05.14 Vol.741

『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』などの作品で知られる漫画家の萩尾望都。本書はこれまで封印してきた“大泉時代”と呼ばれるデビュー当時の話を、約12万字にわたって書き下ろした最初で最後のエッセイである。

 当時、萩尾らが暮らした練馬区南大泉の半長屋には、数々の女性漫画家や周辺人物が集い、親交を深めていたという。時系列で真摯に語られる家族関係、漫画への情熱、名だたる漫画家や編集者たち……そしてある“事件”が起きたことで萩尾は大泉をあとにし、二度と過去には触れなくなる。同時代に活躍した漫画家たちとの交流、文通したりアシスタントしたりしながら売れっ子になっていくエピソードは、少女漫画好きならば誰もが興奮することだろう。

 それだけに「『小鳥』の巣を描く」以降の話には胸が痛む。前書きに「私の出会った方との交友が失われた、人間関係失敗談」とあるが、誰しも経験のある青春時代の傷が瞬間冷却されているようで辛いのだ。収録の未発表スケッチや『ハワードさんの新聞広告』も必見。

世に出るかもしれなかった“幻の”ファミコンゲームに思いを馳せる『ファミコン発売中止ゲーム図鑑』

2021.04.20 Vol.740

 昭和レトロブームが叫ばれて久しい昨今、新たな懐かし本が誕生した。本書はゲーム雑誌の新作情報や発売予定リスト、広告などで発表され、その後さまざまな事情から発売されなかった“幻の”ファミコンゲームを紹介するガイドブックだ。

 第1章では雑誌や広告でタイトルやビジュアルが発表されたにもかかわらず、いわゆるお蔵入りとなってしまった発売中止ゲーム151タイトルを特集。第2章では無事に発売されたものの、事前情報と製品版で内容が異なるゲーム167タイトルが網羅されている。「図鑑」の名の通り過去の雑誌や広告を交え、イメージビジュアルやサンプル画面などの資料とともに、世に出なかったタイトルへの考察をまとめている。

 1985〜1994年当時の膨大な資料から発掘された“あるようでなかった”ソフトたちは、よくこんな資料を見つけたものだという驚きと、こんなソフトもあった(かもしれない)というノスタルジーに満ちている。章の後半はファミコンの趨勢にも言及され、コンピュータゲームの歴史書としても興味深い。

映画『すばらしき世界』のベースとなった実録小説『身分帳』

2021.03.19 Vol.739

 これまでオリジナル脚本にこだわって作品を発表してきた西川美和監督が、初めて原作ものに挑戦したことで話題の映画『すばらしき世界』。その原案となった本書は、直木賞作家の佐木隆三が実在の人物をモデルにしたノンフィクション小説である。

「身分帳」とは正式には「被収容者身分帳簿」といい、刑務所に収容された受刑者の入所態度や経歴、行動、家族関係などを詳細に記載した書類のことだ。主人公である山川一のような十犯六入、つまり前科10犯、入所回数6回のベテラン受刑者となると厚さは1mにも及ぶのだという。本書は人生の大半を刑務所で過ごし、13年ぶりに塀の外の世界に出た男の再出発を描いた物語だ。

 作品に惚れ込んだ西川は山川のモデルとなった人物に迫るべく、3年にわたるリサーチの末に舞台を現代に置き換えて脚本を執筆。長らく絶版だった本書も映画化に合わせて復刊した。後日譚の「行路病死人」や復刊にあたって西川が寄せた文章も収録され、映画と共に人生を考えさせられる一冊だ。

Copyrighted Image