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WEAVER河邉徹 長編SF『アルヒのシンギュラリティ』は「心の問題描きたかった」

2020.09.12 Vol.Web Original

 3ピース・ピアノバンド「WEAVER」のドラマーにして、2018年に『夢工場ラムレス』でデビューした小説家でもある河邉徹。3作目となる小説『アルヒのシンギュラリティ』(クラーケンラボ)は、人間とAIを持つロボットが共生する街・サンクラウドを舞台に、天才科学者の息子・アルヒと幼なじみの少女・サシャを中心に、ロボットと人間それぞれの存在意義を見つめる長編SFだ。さまざまな表現手段を用いながら活動を行う河邉に、小説を書き始めたきっかけや創作の源泉について聞いた。

社会性は人間顔負け!『ゴリラのすべて』【TOKYO HEADLINEの本棚】

2020.08.16 Vol.732

どこをめくっても360度「ゴリラ」の本

 イケメンゴリラで有名なシャバーニを筆頭に、動物園の人気者「ゴリラ」。ギリシャ語で「毛深い種族」という意味の「gorillai」が語源と言われるゴリラは、人類との共通祖先から分かれ、人間に近い類人猿の仲間でもある。近くて遠い、知っているようで知らないゴリラの魅力を余すところなく紹介するムックが『ゴリラのすべて』だ。

 本書の大きな特長は、国内で暮らす全20頭のニシゴリラをプロフィール付きで紹介していること。さらに群れの中心となるオトナのオスゴリラの目印「シルバーバック」をアイコン表示。飼育員からの仔細なコメントもあって、1頭ずつの個性や表情の違いなどが理解できる。

 さらに日本のゴリラ研究の第一人者、山極寿一の監修による解説も充実。顔と顔を見合わせて対等な関係を築き、人間も顔負けの繊細な社会性を有するゴリラの生態をイラスト入りで解き明かす。アフリカの森で生きる野生のゴリラのグラビアも白眉。

 近年、野生のゴリラを取り巻く環境は特に厳しいというが、我々人間がゴリラから教わることは多い。

<<次ページは強くて優しくカッコいい『ゴリラのすべて』ギャラリー!

世界が分断する今だからこそ読みたい「食」の本『ハイパーハードボイルドグルメリポート』

2020.06.12 Vol.730

「緊急事態宣言」が解除され、おずおずと書店が開き始めた。この間にさまざまな書評で目にして、一番読みたいと思っていたのが本書だ。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は、テレビ東京で不定期に放送される異色のグルメ番組のプロデューサーである著者が、少年兵、マフィア、カルト宗教、スカベンジャーの「食」に密着した取材の裏側や心の内をまとめた書籍である。3年をかけて執筆したというだけあって、528ページにわたるぶ厚さに圧倒的な質量と熱量の言葉が綴られている。

 最低限の機材と荷物を携えてほぼ一人で行われるという取材中、見たことや考えたであろうことが本書に詰め込まれているのだが、にわかには信じられないエピソードの数々に、頭をガツンと殴られた後のようにしばし呆然としてしまう。一体これが仕事で行ったロケの最中に起こる出来事なのか、と。

 冒頭で「頭の中にはこの本がその終着点として想像されていた」と著者は語る。「料理は最も身近な魔法だ」とも。どんな場所にいるどんな人間でも腹は減って飯は食うのだ。新型コロナウイルスで世界が分断する今こそ、そんな当たり前の事実が胸に迫る。

斎藤工と『カメ止め』上田監督のスペシャルコンテンツも!本屋博がオンラインイベント

2020.05.04 Vol.Web Original

 新型コロナウイルスの感染拡大により、「ステイホーム」を合言葉におうち時間が続いているこのゴールデンウイーク。そんな中で今年、二子玉川ライズ・ガレリアで初開催された本屋の魅力と可能性を発信するフェス『二子玉川 本屋博』が、5日にオンラインイベント〈「オンライン本屋博」一日限定の特別イベント〉として帰ってくる。

ドーナッツ【沢村貞子の献立 料理・飯島奈美】

2020.05.01 Vol.Web Original

 献立は、昭和の名脇役と呼ばれる沢村貞子さんが残した約26年間の「献立日記」から。料理とレシピは、フードスタイリスト・飯島奈美さん(映画『真実』・ドラマ「深夜食堂」他超多数)。映画やドラマで数々の美味しい場面を彩ってきた飯島さんが、「日記」を見つめ、沢村さんと話をするように、自由に作りました。

※本記事は『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(リトルモア)より一部を抜粋、再編集したものです。

カレーライス【沢村貞子の献立 料理・飯島奈美】

2020.04.30 Vol.Web Original

 献立は、昭和の名脇役と呼ばれる沢村貞子さんが残した約26年間の「献立日記」から。料理とレシピは、フードスタイリスト・飯島奈美さん(映画『真実』・ドラマ「深夜食堂」他超多数)。映画やドラマで数々の美味しい場面を彩ってきた飯島さんが、「日記」を見つめ、沢村さんと話をするように、自由に作りました。

※本記事は『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(リトルモア)より一部を抜粋、再編集したものです。

グリンピースのポタージュ【沢村貞子の献立 料理・飯島奈美】

2020.04.29 Vol.Web Original

 献立は、昭和の名脇役と呼ばれる沢村貞子さんが残した約26年間の「献立日記」から。料理とレシピは、フードスタイリスト・飯島奈美さん(映画『真実』・ドラマ「深夜食堂」他超多数)。映画やドラマで数々の美味しい場面を彩ってきた飯島さんが、「日記」を見つめ、沢村さんと話をするように、自由に作りました。

※本記事は『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(リトルモア)より一部を抜粋、再編集したものです。

炒り豆腐【沢村貞子の献立 料理・飯島奈美】

2020.04.28 Vol.Web Original

 献立は、昭和の名脇役と呼ばれる沢村貞子さんが残した約26年間の「献立日記」から。料理とレシピは、フードスタイリスト・飯島奈美さん(映画『真実』・ドラマ「深夜食堂」他超多数)。映画やドラマで数々の美味しい場面を彩ってきた飯島さんが、「日記」を見つめ、沢村さんと話をするように、自由に作りました。

※本記事は『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(リトルモア)より一部を抜粋、再編集したものです。

にぎりずし【沢村貞子の献立 料理・飯島奈美】

2020.04.27 Vol.Web Original

 献立は、昭和の名脇役と呼ばれる沢村貞子さんが残した約26年間の「献立日記」から。料理とレシピは、フードスタイリスト・飯島奈美さん(映画『真実』・ドラマ「深夜食堂」他超多数)。映画やドラマで数々の美味しい場面を彩ってきた飯島さんが、「日記」を見つめ、沢村さんと話をするように、自由に作りました。

※本記事は『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美』(リトルモア)より一部を抜粋、再編集したものです。

新型コロナの知識ばかりではなく物の見方についての示唆にも富んだ一冊。『新型コロナウイルスの真実』岩田健太郎

2020.04.24 Vol.Web Original

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスにより、日本では4月7日に緊急事態宣言が政府から発令された。東京オリンピック・パラリンピック、中国の習近平国家主席の訪日といったさまざまな要因があったことから日本ではその対策が大きく立ち遅れ、感染の拡大にはいまだ歯止めがかからず、収束は見えない状況だ。

 五輪の延期が決まる前後の物言いからいまいち政府の言うことは信用できず、テレビのワイドショーも全面的に信頼するには至らない。そこはニュースも一緒。SNSに至ってはフォロワーもいない匿名のアカウントが政府の言うことを賛美・礼賛するかと思えば、その逆パターンもあり、やはり信頼には至らない。もっともすべてが嘘やデマかといえば、中には真実もあるからややこしい。

 そこで著者は言う。「情報・知識・事実が大切だ」と。そして柔軟な頭で自分で判断することが大切だということも。

 今の日本で著者の岩田健太郎氏のことを知らない人はいるだろうか? 万が一名前は忘れていても「ダイヤモンド・プリンセス号の中の感染症対策が全くできていなかったことをYouTubeでアップした人」といえば大概の人は「ああ、あの人ね」という存在であろう。

 本書はその岩田氏が“現在における”新型コロナウイルスの正体と感染対策を分かりやすく解説したもの。

「現在における」をあえて“”でくくったのは岩田氏があとがきの中で「緊急性のニーズが非常に高い本」と断りを入れていることと、本書の中で再三、新しい事実や検証結果が出てきたときにはフレキシブルに考え方や対応策を変えていくべきであるといった内容のことを言っていることを踏まえてのもの。

 とはいえ、そうそう簡単に覆されそうな内容ではなく、現在、新型コロナウイルスのさまざまな知識を得るためには最もフラットに頭の中に入ってくる本といってもいいだろう。

 また岩田氏は新型コロナウイルスに関わる一連の日本国内の騒動を通じて、日本社会の病巣も鋭く指摘。物事に対する思考法なども哲学的な要素も含んでおり、新型コロナウイルスの内容以外にもいわゆる「腑に落ちる」内容となっている。そういったところは特に巣ごもり中の読書に適した一冊といえる。

究極の裏芸能「花電車芸」の秘史『花電車芸人 色街を彩った女たち』

2020.04.23 Vol.729

 紀伊國屋書店新宿本店の新書棚を物色していると、何やら異様な迫力の帯が目についた。『娼婦たちから見た日本』、『黄金町マリア』、『青線』など日本の色街や娼婦を取材したルポルタージュに定評のある八木澤高明の新刊。今回のテーマはストリップ劇場とストリッパー、それも「花電車芸」を生業とする芸人たちだという。ペラペラと「まえがき」をめくると「まずは、女性器から火を噴く女の話からはじめてみたい。」とある。

「花電車」とは祭礼などで装飾を施され、無人で運行される電車のことである。本来の目的に使わない電車から転じ、ストリップなどで行われる女性器を使ったパフォーマンスのことも指すらしい。なかでも「ファイヤーヨーコ」がアルコールランプから炎を噴き上げる芸には圧巻だ。現在、この芸をこなせる女性は彼女ただひとりなのだという。かつては全国で300軒を超えたが、現在は20軒ほど残るのみのストリップ劇場。誰にも知られずひっそり行われる「花電車芸」を、息を潜めて見つめるような一冊だ。

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