その年度に日本で公開された優れた映画を表彰する、日本映画界最大の祭典・日本アカデミー賞が今年も開催。近年は受賞が同じ作品に集中することが多かったが、今年は混戦で大盛り上がり! その華やかな授賞式の模様をリポート。
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チケット7分で完売! エディ・レッドメイン、ジャパンプレミアに登場
昨年『博士と彼女のセオリー』で一躍、若手演技派俳優のトップに躍り出たエディ・レッドメインが最新作『リリーのすべて』のPRで来日。9日、都内にて行われたジャパンプレミアに登場し、約1000人ものファンから大声援を受けた。
『リリーのすべて』は、1920年代に自分の中の“女性”に気付いた主人公が妻に支えられながら自分らしく生きようとする姿を描いた感動作。先日発表された第88回アカデミー賞では、主要4部門にノミネートされ、妻を演じたハリウッドの新星アリシア・ヴィキャンデルは助演女優賞に輝いた。
監督のトム・フーパー、妻のハンナ・レッドメインとともに姿を現したエディは、日本のファンの熱気にうれしそうな笑顔を見せ、真摯にファンサービスを行った。
このレッドカーペットイベントは20倍の倍率、ジャパンプレミアは7分でチケットが完売したことを知らされたエディは「わお!ありがとう!! 以前『レ・ミゼラブル』のプロモーションで短い間来日しましたが、日本をあまり満喫できなかったので、今回皆さんのサポートを直で感じることができてうれしいです」と大喜び。今回の来日では「朝4、5時に築地の競りを見に行こうとしたんですが、その時間は観光客が入れなくて、明治神宮を見に行ったんです。そうしたら、少し雨が降っていて、霧もかかり、とても美しい風景でした。そして、一番忙しい場所と聞いた渋谷にも行きましたが、早朝の5時45分だったので、誰もいませんでした(笑)」と笑いを誘った。
同作についてエディは「自分が初めて脚本を見た時、こんなストーリーは見たことがないと驚きました。20世紀最大のラブストーリーとも感じました」と熱く語り、日本のファンに自信作を届けた喜びをあらわにしていた。
『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国公開。
日本アカデミー賞、安藤サクラ&二宮和也が最優秀賞
第39回日本アカデミー賞授賞式が4日、都内にて行われ、各部門の最優秀賞が発表。最優秀主演女優賞に安藤サクラ、最優秀主演男優賞に二宮和也が輝いた。
「絶対に無いと思っていた」と、受賞に驚きを隠せない安藤。映画『百円の恋』では、自堕落な日々から抜け出しボクサーを目指す主人公の変化を、短期間の撮影で見事に演じ切った。ぼう然とした表情でトロフィーを握りしめた安藤は「この作品を見てくださった方に“こんなことになったよ”と伝えたい」と喜びをあらわにした。
吉永小百合と共演した『母と暮せば』で最優秀主演男優賞に輝いた嵐の二宮和也は、昨年の岡田准一に続き“ジャニーズ2連覇”となる受賞。「昨年、岡田くんの受賞の様子をテレビで見て喜んでいたが、だんだん悔しくなってきた。今日はいい酒が飲めそう」とニッコリ。岡田からも「これがゴールではないという言葉をもらった」と明かし、今後の俳優活動にさらなる意欲を見せていた。
ディカプリオ、悲願のオスカー受賞!!
第88回アカデミー賞授賞式が29日(現地時間28日)、アメリカ・ロサンゼルスののドルビー・シアターにて行われ、レオナルド・ディカプリオが初の主演男優賞に輝いた。
5度目のノミネートで念願のオスカーをもたらした主演作『レヴェナント:蘇えりし者』についてディカプリオは「この作品は信じがたいキャスト、スタッフの努力の賜物」と語り、昨年の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に続き、65年ぶりの2年連続監督賞受賞という快挙を果たしたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督についても「監督は過去2年間で映画の歴史を切り開き、時代を超越した」と絶賛。共演のトム・ハーディーをはじめチームを称え、喜びと感謝を語った。また大混戦の作品賞は『スポットライト 世紀のスクープ』が受賞。他、受賞のゆくえが注目されていた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は編集賞など6部門で最多受賞。長編アニメ映画賞でノミネートされていた米林宏昌監督作『思い出のマーニー』は惜しくも受賞を逃した。
【主な受賞結果】
作品賞:『スポットライト 世紀のスクープ』(日本公開4月15日)
監督賞: アレハンドロ・G・イニャリトゥ『レヴェナント:蘇えりし者』(日本公開4月22日)
主演男優賞: レオナルド・ディカプリオ『レヴェナント:蘇えりし者』
主演女優賞: ブリー・ラーソン『ルーム』(日本公開4月8日)
TOKYO HEADLINE 編集部オススメMOVIE part.4(vol.661より)
『セーラー服と機関銃 ― 卒業 ―』
高校3年生の星泉は弱小ヤクザ目高組の組長として仁義を通した後、組を解散しシャッター商店街で組長改め店長としてカフェを経営している。ごく普通の高校生活を送っていた泉だったが怪しい薬物入りクッキーの出どころを追ううちに再びヤクザの抗争に巻き込まれてしまう。
監督:前田弘二 出演:橋本環奈、長谷川博己他/1時間48分/KADOKAWA配給/3月5日より全国公開 http://sk-movie.jp/
TOKYO HEADLINE 編集部オススメMOVIE part.3(vol.661より)
『珍遊記』
天竺を目指して旅を続けていた坊主・玄奘は、偶然立ち寄った家のじじいとばばあに、天下の不良少年・山田太郎を更生させてほしいと頼まれ、宝珠の力で恐るべき妖力を封印するが、太郎を引き取ってともに旅をすることに。
監督:山口雄大 出演:松山ケンイチ、倉科カナ、溝端淳平他/1時間40分/東映配給/2月27日より新宿バルト9他にて公開 http://chinyuuki.com
TOKYO HEADLINE 編集部オススメMOVIE part.2(vol.661より)
『偉大なるマルグリット』
1920年、音楽会に参加した新聞記者・ボーモンは、その日の主役・マルグリット夫人の歌声に唖然とする。なんと彼女は絶望的なほどの音痴だったのだ。しかし儀礼的な貴族たちは拍手喝采。本人だけが、事実にまったく気づいていなかった…。
監督:グザヴィエ・ジャノリ 出演:カトリーヌ・フロ他/2時間9分/キノフィルムズ配給/2月27日よりシネスイッチ銀座他にて公開 http://www.grandemarguerite.com/
密室ミステリーでタランティーノ節が炸裂『ヘイトフル・エイト』
今年の映画賞でも絶賛相次ぐ、クエンティン・タランティーノ長編第8作目となる最新作! 鬼才タランティーノが新たに仕掛けるのは、なんと密室ミステリー!
長編監督デビュー作『レザボア・ドッグス』に始まり、西部劇に挑戦した前作『ジャンゴ 繋がれざる者』まで、映画愛に満ちたバイオレンス・アクションの世界を究め、カルト映画ファンから世界の一流映画祭までを虜にし続けるタランティーノ。彼が“自身の最高傑作”と語る、注目の最新作がついに日本上陸。舞台は山の上のロッジ、登場人物はワケありの7人の男と1人の女。人種も境遇もバラバラの8人、分かっているのは全員が嘘をついているということだけ—。果たして犯人は誰なのか。8人の素顔、そして本当の関係は。
どこに転がるか先の見えない展開、随所に冴えわたるブラックな笑い、怒涛のバイオレンス&アクションに観客は翻弄されまくり。しかし本作の最大の見どころは、緻密で巧妙に伏線が張り巡らされた極上の密室ミステリーであるということ。実はオープニングから、すべての会話や視線、何気ない身振りに、謎を解き明かすヒントが隠されている。
今回も、サミュエル・L・ジャクソンを筆頭に、ティム・ロス、マイケル・マドセンらタランティーノ常連組を揃えつつ、『デス・プルーフ』での怪演が印象的なカート・ラッセル、ベテラン演技派女優ジェニファー・ジェイソン・リーら個性派が集結。また種田陽平が美術を担当している他、監督が敬愛するエンニオ・モリコーネが全体の音楽を担当。
STORY:賞金稼ぎのマーキス、高額の賞金をかけられた女デイジー、彼女を連行中の賞金稼ぎルース、自称保安官のマニックス。彼らは猛吹雪を避けるため“ミニーの紳士用品店”へ。先客らとともにロッジで足止めされるなか、殺人事件が起こり…。
監督:クエンティン・タランティーノ 出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンス他/2時間38分/ギャガ配給/2月27日より新宿ピカデリー他にて公開 http://gaga.ne.jp/hateful8/ R18+
松井愛莉、ディーン・フジオカが参加。“今のふくしま”を伝える実話アニメ
東日本大震災から5年。福島県の“今”を伝えるオムニバスアニメ『みらいへの手紙〜この道の途中から〜』の完成披露試写会が15日、都内にて実施。作品に参加したモデル・女優の松井愛莉、製作に携わった福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦、アニメ制作を担当した福島ガイナックスの浅尾芳宣代表取締役、内堀雅雄福島県知事らが登壇した。
本作は、震災以降に県内で起きた出来事や県民のさまざまな思いを伝えたいと、実際のエピソードを10話のアニメにしたオムニバス作品。
冒頭、内堀知事は「来月で震災から5年。今の福島がどういう状況か尋ねられたとき、私は光と影が混ざり合っている現状をありのままに話すが、なかなか伝わりづらい。今、福島では風評と風化という矛盾した現象が同時に起きている。どうしたらと悩んでいたところ助っ人が現れて“アニメでありのままを伝えてみては”とアイデアを出してくれた」と明かした。箭内は「“あの日を忘れない”とよく言われるが“今を知る”のも風化に対抗する手立てになる」と製作に込めた思いを語り、浅尾も「どのエピソードもあえて完結させていない。自分たちも答えが見つからないものもそのままアニメにした。福島は次のステップに踏み出す途中なんだと伝われば」と語った。
また各話のタイトルコールを担当した松井は「私も10通の“手紙”を通していろいろな角度から今の福島を知ることができた」と語り、中でも「『カツオカンバック』の中でマリンタワーが描かれていてうれしかった」と地元出身ならではの感想を語った。また、本作にはストーリーテラーとして今ブレイク中のディーン・フジオカも参加。この日はビデオメッセージで「ときに一言一言の重さに声が出なくなりそうな思いも感じたが、自分が子供のころに行った場所を思い出すきっかけになった」と本作への思いを寄せた。
本編は福島県公式You Tubeチャンネルまたは特設サイトにて随時公開。アニメのテイストや表現もそれぞれ異なる十話を通して、人ぞれぞれに異なる思いを抱えながらも、未来へ踏み出そうとする福島の今を見つめてみては。
『みらいへの手紙〜この道の途中から〜』
【URL】 http://miraitegami.jp/
最新作『アーロと少年』はディズニー/ピクサー史上、最高クオリティー!
「今回来日して東京をあちこち見ることができたんですが、見るものすべてがインスピレーションを与えてくれました」と、ディズニー/ピクサー最新作『アーロと少年』のプロデューサーを務めたデニス・リームさん。ディズニー/ピクサーといえば『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』など世代を超えて支持される個性的で感動的な作品を生み出してきたスタジオ。
「スタッフたちも個性的な人々が多いですよ。今回、監督したピーターもその一人。彼はスタジオの中でも人気者で『カールじいさんの空飛ぶ家』の少年ラッセルなど、いくつかのキャラクターは彼をモデルにデザインされているんです(笑)」。
実は歴代の作品には、仮定がアイデアのもとになっているという共通点がある。今回の“もしも”は“もしも隕石が地球に衝突せず恐竜たちが絶滅することなく進化していたら”。『アーロと少年』の世界では恐竜たちが言葉や文明を持っており、人間は野生の生物という設定。怖がりな恐竜の少年アーロと、体は小さくても怖いもの知らずの人間の少年スポットが、さまざまな危険を乗り越えながら心を通わせ、成長していく。目を見張るのは、実写ではないかと見まがうほど臨場感にあふれた大自然の描写。
「映像の美しさは史上最高のクオリティーを誇ると思います。大自然の風景の中で、アニメ的なキャラクターを引き立たせながらも溶け込ませるバランスが難しいところでした。雲の一つひとつ、樹一本一本にこだわって描かれているので、スタッフにとっては気が遠くなるほどの作業でしたね(笑)」
世界最高峰のスタジオが誇る世界最高級の映像、そして物語に感動必至。
『アーロと少年』
監督:ピーター・ソーン 日本語吹き替え版 声の出演:石川樹、安田成美、松重豊、八嶋智人、片桐はいり他/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 配給/3月12日より全国公開 http://www.disney.co.jp/
山本舞香「卒業式に歌ってほしい」
今年の冬から放映中のJR東日本の「JR SKISKI」のCMで、天真爛漫な笑顔とクールなまなざしで、注目を集めている山本舞香。そんな山本が初主演を務める映画『桜ノ雨』が公開される。
「リハーサル中からずっと一緒だったので、共演者の方たちとはすごく仲良くなりました。空き時間にバランスボールで遊んだり、いじられキャラの広田(亮平)さんに虫を取ってもらったり(笑)。控室はいつもワイワイしていて、実際のクラスメートみたいな感じ。撮影は約2週間でしたが、短い期間で、これだけ楽しく演じられたことを考えると、すごくいい現場だったし、たくさんの方々に支えていただいたんだなって、改めて思いますね」
撮影の時の雰囲気を楽しそうに振り返る山本。同作品はボーカロイドで火が付き、ミリオンヒットを記録、今や卒業ソングの定番となった楽曲「桜ノ雨」がモチーフ。
「合唱は学園祭でやったことがありますが、恥ずかしくて全然歌えませんでした。でも今回全力で歌って、すごく楽しかったので、あの時にもっとちゃんと歌っておけば良かったなって後悔した。きっといい思い出になったんだろうなって。合唱のシーンは、みんなの歌声がひとつになってすごくきれいなハーモニーを奏でられたので、試写を見て感動しました。最後のほうのシーンなんですけど、ぜひ注目して見て、聞いていただきたいです」
出会いと別れ、そして旅立ち。卒業式シーズンにぴったりな作品。
「『桜ノ雨』は、卒業式を思い出す歌詞で、1曲歌うと絶対泣いちゃう。最初のピアノの伴奏からグッときます。ですから、たくさんの学校の卒業式でこの歌を歌ってほしいと思います。また、この作品は内気な子の成長物語だったり、家族や部活の仲間との関係だったり、いろいろな要素が詰まっています。それは普通の高校生と同じだと思うので、等身大の作品として、同じ年ごろの人にぜひ見ていただきたいですね」