東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決定し、早4カ月。本来なら史上最大のスポーツの祭典を迎えるはずだったアスリートたちは、今何を思うのか。引退や活動再開などさまざまな決断をする選手もいる中、現在の心境について、車いすラグビー選手の中町俊耶、小川仁士が語った。
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競泳の池江璃花子が世界にメッセージ「1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いてほしい」
「東京2020」1年前イベント開催
東京2020組織委員会が7月23日、ちょうど1年後に行われる東京オリンピック2020の開会式の開始時刻の20時に合わせ、世界に向けてのメッセージを発信した。
「一年後へ。一歩進む。〜+1(プラスワン)メッセージ〜TOKYO2020」と名付けられたこの日のイベントでは競泳の2016年リオ五輪代表の池江璃花子(ルネサンス/日本大学)が新国立競技場のピッチからメッセージを届けた。
池江がピッチにあるランタンを拾い上げ掲げるとそれを合図に会場の照明が点灯。その中で池江は約4分にも及ぶメッセージを朗読した。
そのメッセージの中で池江は「オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって特別なもの」として、オリンピック・パラリンピックが延期になったことでのアスリートたちの喪失感について語り、また自らの白血病との闘病とそれを支え、今は新型コロナウイルスの感染症とも闘う医療従事者への感謝の気持ちを伝えた。
ユニクロ初のチームアンバサダーに、スウェーデン五輪パラ選手ら。錦織「一緒に盛り上げるいけることうれしい」
ユニクロは22日、同社初となるチームブランドアンバサダーに、スウェーデンのトップアスリートら13名を迎えたことを発表。同日、「UNIQLO TEAM SWEDEN」結成発表会がオンラインにて行われた。
これまでユニクロはグローバルブランドアンバサダーとして、プロテニス選手のロジャー・フェデラーやスノーボード選手の平野歩夢ら、国内外6名の個人アンバサダーを迎えてきた。今回、初のチームブランドアンバサダーとして、東京五輪・パラリンピックでメダル獲得が期待されるスウェーデンのトップアスリートおよびレジェンドの計13名による「UNIQLO TEAM SWEDEN」を結成。ユニクロ商品の提供で、競技中や日常生活で選手生活を支える。
発表会では、13名のメンバーが紹介されたほか、個人アンバサダーであるプロテニス選手の錦織圭、車いすテニス選手の国枝慎吾から、それぞれ動画メッセージが送られた。
錦織は「チームスウェーデンが新たにユニクロファミリーの一員となり、一緒に世界のスポーツを盛り上げていけることをうれしく思う。来年東京オリンピックでぜひ会いましょう」とエールを送り、国枝は「2007年にノーベル賞の晩餐会で使われるストックホルム市庁舎で、プレーヤーズレセプションをしたことが思い出。毎日スモークサーモンを食べることを楽しみにしていた」と、スウェーデンでの思い出を語った。
国内最大級のパラ大会、2021年開催が決定
日本障がい者スポーツ協会は29日、国内最大級のパラスポーツ大会である「ジャパンパラ競技大会」のうち、4大会の開催とその日程を決定した。
ジャパンパラ競技大会は、同協会と競技団体が共催して開催する国内最高峰の大会で、大会記録は国際の公式記録として認定されるほか、海外選手にも参加資格がある。パラリンピックを目指す選手にとっては、代表選考や強豪国との実戦の場として、重要な位置付けの大会となっていた。
今年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、春に開催が予定されていたボッチャ、水泳、車いすラグビー、水泳の大会中止を発表。同協会は、各競技団体と協議を重ね、2021年に4大会の開催を決定した。なお、2020年開催予定の大会はなく、海外選手の参加は社会情勢を踏まえ、今後調整する見通しだという。開催が発表された大会は以下の通り。
車いすバスケ、東京パラ除外問題のその後。連盟が現状を報告
日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)は22日、報道関係者向けにリモート説明会を行い、同競技が東京パラリンピックから除外される可能性がある問題や、その要因となったクラス分けについて、現在の状況を報告した。
車いすバスケのパラリンピック除外問題の経緯
車いすバスケットボールのクラス分けを巡っては、今年1月、国際パラリンピック委員会(IPC)が国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)のクラス分けがIPCの定める基準を順守していないとして、同競技を東京パラリンピックの実施競技から除外する可能性があると発表。IPCは障害の軽い4.0と4.5のクラスについて、IWBFの定める基準を問題視しており、5月29日までに東京パラリンピックに出場する可能性のある同クラスのすべての選手を再評価するよう求めた。
発表を受け、IWBFのメーレンス会長は「あらゆる手段を講じる」などと談話を発表し、基準に適応する考えを表明。3月にはIPCとIWBFが共同で声明を発表し、再評価へのプロセスは順調に進行しているとした。その後、新型コロナウイルスの影響で再評価の手続きに遅れが生じていたため、期限を5月29日から8月1日に延期。IWBFによれば、現在、各国の対象選手134名のうち75%の選手の手続きが完了しているという。
説明会では、まずJWBFの宮本事務局長が現在の状況を報告した。1月のIPCの発表を受け、JWBFでは2月、全国の医療機関と連携して対象となる選手の医学的な書類や検査結果などをIWBFに提出。6月18日には、手続きが完了した選手の再評価の結果通知をIWBFから受け取ったとした。対象となった選手の人数や、結果の内容については、選手の気持ちやプライバシー配慮の理由から公表されなかった。
ブラサカ男子日本代表が活動再開。活動休止のコロナ禍で見えたもの
日本ブラインドサッカー男子日本代表の高田敏志監督が19日、報道陣に向けたオンライン説明会に出席。現在の男子日本代表チームの活動状況や、感染症対策、パラリンピックに向けた思いなどについて語った。
新型コロナウイルス感染防止のため、3月より活動を休止していたブラインドサッカー男子日本代表チーム。今月から協会が策定したガイドラインのもと、一部のメンバーで屋外トレーニングを再開した。
大迫や桐生が高校陸上界にエール!今こそ「追い抜くチャンス」
陸上競技選手の大迫傑や桐生祥秀らが12日、陸上に取り組む高校生を応援するライブ配信イベント「高校陸上オンライン・サミット・ウィズ・アスリーツ」を開催。インターハイ中止に直面する高校生にエールを送った。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国高等学校体育連盟は、今年夏に開催予定だったインターハイの中止を発表するなど、異例の夏を迎えることとなった高校陸上界。現在、様々な状況に置かれる高校生に向け、モチベーションの向上や競技に取り組むきっかけづくりを支援しようと、大迫傑、桐生祥秀、ハードル選手の寺田明日香が「日本生命 高校陸上ウィズ・アスリーツ・プロジェクト」を発足した。
プロジェクトの第一弾として12日、「高校陸上オンライン・サミット」が開かれ、発足メンバーの3人が登場。それぞれの現在の状況や、高校時代、また、現在の高校生に向けた想いや支援の方法についてディスカッションした。
バドミントン日本代表「フクヒロ」ペアがオンライン会見。コロナ危機乗り越え、新チームへ入団
「フクヒロ」の愛称で知られるバドミントン女子日本代表の福島由紀・廣田彩花ペアが4日、オンライン記者会見を開き、新チーム「丸杉Bluvic」への入団を発表した。
福島・廣田ペアは、高校卒業後から実業団選手としてペアを組み、2017年日本人選手として40年以来の世界選手権決勝進出を果たすなど、女子ダブルス界の注目ペア。現在、世界ランキング2位で、東京オリンピック日本代表選手の最有力候補でもある。しかし、今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、チーム全体が練習場所を失うなど、存続の危機に直面していた。
株式会社丸杉の杉山忠国社長は、「4月の連休前に、今井(彰宏)監督、吉富(桂子)コーチ、岐阜県バドミントン協会幹部の方が弊社を訪れ、全チームの会社が経営破綻し、チーム存続ができなくなった旨、説明を受けました」と経緯を説明。
岐阜県に本社を置く丸杉は、約30年に渡り自社バドミントン部を運営しており、今回新たに、選手や監督、コーチ、総勢16名を迎えることとなる。今後は「丸杉バドミントン部」と「丸杉Bluvic」の2チーム体制で、リーグ優勝などを目指していくという。
入団にあたり、福島は「この度、岐阜で60年の歴史がある丸杉に入社することになりました。東京オリンピックが延期になって、モチベーションを維持することに悩んだ時期もありましたが、丸杉への入社をチャンスと捉えて、これからも頑張っていきたいと思います」と、再スタートへの意気込みを語った。
IOCのコーツ氏が新型コロナの収束について「日本を信じている」
組織委とIOCがテレビ会議。会見はYouTubeライブ
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は4月16日、国際オリンピック委員会(IOC)とテレビ会議によるエグゼクティブプロジェクトレビューを開催した。
会議には日本側からは森喜朗・東京2020組織委員会会長、武藤敏郎・東京2020組織委員会専務理事・事務総長ら、IOC側からはジョン・コーツ委員長、クリストフ・デュビIOCオリンピック競技大会エグゼクティブディレクターらが出席した。
電話会議後の会見は森会長、武藤事務総長、そしてモニターでコーツ委員長が参加して行われた。なおこの会見は新型コロナウイルス感染症対策としてYouTubeライブで行われ、質問もチャットで受け付ける形となった。
この日の会議の内容は「1年延期を受けてどのような枠組みのもとで今後の準備をするか、どういう準備をするかを議論した」(コーツ氏)というもの。
ガバナンスについてはコーツ氏、森氏、武藤氏、デュビ氏の4人による「ジョイント・ステアリングコミッティー」を作り、統括。必要に応じて会合を開いていくという。これをサポートするためにIOC側は「Here we go」、組織委は「新たな出発」というそれぞれのタスクフォースを設立することを定めた。
そして2020年大会で決定していた会場と競技スケジュールはベストのものであったという判断から「それを踏襲することが望ましい」ということで組織委を含む日本側はそれぞれの会場の所有者に2021年大会時の使用の要請を行うこととなった。
パラ陸上日本選手権、9月開催を発表
日本パラ陸上競技連盟は13日、新型コロナウイルスの感染拡大で延期となっていた「第31回日本パラ陸上競技選手権大会」の開催日を発表した。
同大会は、WPA(ワールドパラアスレティクス)公認大会で、パラ陸上各種目の日本一決定戦。昨年はリオパラリンピックの走り幅跳び銀メダリスト・山本篤(T63/片大腿義足)や、ドバイ2019世界選手権で日本選手唯一の2冠を達成した佐藤友祈(T52/車いす)らが出場した。今日発表された開催日時は、2020年9月5〜6日の2日間で、会場は、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場。同大会は当初、5月30〜31日に開催予定だった。
5月2〜3日に国立競技場で開催予定だった「2020ジャパンパラ陸上競技大会」は、すでに中止が発表されている。
東京オリンピックが1年延期。来年7月23日開幕へ
今夏に開催されることになっていた東京オリンピック・パラリンピックが延期されることが3月24日、決まった。
同日、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話で会談し、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、開催を1年程度延期することで合意した。
五輪が戦争で中止になった例は複数あるが、延期は史上初めてとなる。
首相は会談後、首相公邸前で記者団に、「改めて中止はないことをバッハ会長と確認した」と強調。「完全な形で開催するために、緊密に連携をしていくことで一致した」と述べた。会談では首相が1年の延期を提案。その理由については「現下の感染症の広がりの状況を見る中で、年内(開催)は難しい」とした。
電話会談はバッハ氏側から打診。大会組織委員会の森喜朗会長、橋本聖子五輪相、東京都の小池百合子知事らも同席した。
新たな日程については大会組織委員会、東京都、日本政府が30日、IOCとの間で来年7月23日開幕、8月8日閉幕とすることで合意した。
従来の日程とほぼ同時期とすることで、運営計画を見直す際の負担を最小限に抑える。ウイルスの世界的な感染拡大はまだ収束が見通せず、できるだけ開幕を遅らせることでリスクを下げる狙いもある。国際競技連盟(IF)などからは暑さを避けるため、春から初夏までの間に開催を求める声もあった。組織委などは開催準備期間を長く確保するため、ほぼ1年延期が妥当と判断した。アスリートの準備期間も考慮した。
これに伴い、今年8月25日に開幕が予定されていたパラリンピックも、来年8月24日開幕、9月5日閉幕に変更された。
延期決定からわずか6日でのスピード決着となったが、クリアすべき課題は山積。
大会組織委員会の中村英正大会開催統括は「“いつ、どこで”がすべての準備のベースになる」と語るように五輪とパラリンピックを合わせ計43ある競技会場はじめ、関連施設の再度の確保が急務となる。43会場のうち、25会場は既存施設。重量挙げなどの会場となる東京国際フォーラムは来年7~8月の使用予約がすでに入っているといい、五輪での使用に二つ返事で応じられない施設は多いとみられる。再度の確保には補償金が必要となる恐れもある。
五輪・パラリンピックで約550万枚に上る販売済みの観戦チケットは有効となるが、延期によるキャンセルへの対応など、膨大な作業も待っている。
延期により発生する追加経費の負担をどうするかも大きな課題。東京都や国、組織委との分担協議は競技会場を抱える自治体も巻き込んで難航も予想され、相当額の公金投入は避けられない。組織委の森会長はIOCにも分担を要請する考えを示している。