五月晴れの下、今年も「こどもの日」を迎えましたが、子どもたちが心配です。
コロナ禍で迎えた「こどもの日」は、子どもたちにとっても、子育て家庭にとっても、不安とストレスで押しつぶされそうな辛いものとなってしまいました。
じっさい、児童虐待相談が激増しています。些細なことが原因で夫婦げんかが高じてDVの被害も急増しているといいます。現にフランスでは、都市封鎖が始まって以来DV通報件数が倍増。ベルギーでもデンマークでも、DV相談窓口への問い合わせが2倍から3倍に達したといいます。
都市封鎖まではいきませんが、自粛要請が続く緊急事態宣言下の日本も例外ではありません。専門家によれば、家族は外出自粛でストレスを抱えている上、学校の休校で教員が児童生徒の様子を直接確認できない現状では、深刻な虐待が起きている可能性が高いといいます。また、児童相談所でも、子どもたちの健康状態を確認するため虐待のリスクが疑われる家庭を職員が訪問したり、保護者に来所を求めても、コロナ感染を理由に断られてしまうケースが続出しているというのです。
このように、普段でも社会的に孤立する傾向のあるリスク家庭が、コロナ自粛の影響でますます孤立し、各家庭内で起こっていることがさらに見えにくくなっているのです。そのような状況は、「一律給付金」では救えません。辛うじて仕事と家事を両立させてきた、ひとり親家庭では、そもそも給付金を受け取るための手続きすらままならない状況に置かれているといいます。各市が児童扶養手当の上乗せを表明しているニュースを見ました。素晴らしいことなのですが、それが肝心な家庭にとって必要十分な支援となっているのか覚束ないのです。
そこで、私が今注目しているのが、兵庫県明石市の推進する「おむつセット定期便」や東京都文京区の「子ども宅食」です。これまでのような相談窓口を開設して連絡が来るのを待っているのではなく、積極的に各家庭まで出張って行って必要なサービスを直接届ける「アウトリーチ」型の子育て支援です。これは行政だけでは実現できません。子ども宅食であれば、食事を提供したり、運んだりといった企業や団体が諸力を合わせて実現しているのです。
アウトリーチ型の最大のメリットは、おむつや食事を届ける際に、家庭の様子を観察できる、問題を発見したら直ちに必要な支援につなぐことができるという点です。事件が起こるたびに虐待された子どもにどう対処するかという「川下」の方策に議論が集中しますが、それよりも、虐待そのものの発生を未然に防ぐため子育て家庭への直接支援(川上の対策)こそ、児童虐待防止の要諦ではないでしょうか。政治には、今こそ「川上」つまり子育て家庭支援にヒト、モノ、カネを投入できる仕組みづくりが求められていますので、全力で取り組んで参ります。