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スズナリ | TOKYO HEADLINE
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演劇界の二大コメディエンヌの揃い踏み『あれよとサニーは死んだのさ』月影番外地 その6

2019.11.25 Vol.724

 1995年に「劇団☆新感線」の女優・高田聖子が、劇団公演とは違った新しい試みに挑戦しようということで「月影十番勝負」というユニットを立ち上げた。

 公演ごとに気鋭の作家・演出家・俳優を集め、12年かけて2006年の第十番『約束』で区切りを迎えたのだが、高田自身「まだ勝負はついていない。もっと続けたい」という思いが募り、「月影番外地」として復活したのが2008年のこと。

 今回は脚本に劇団「はえぎわ」のノゾエ征爾、演出には木野花という布陣。木野は「月影十番勝負」時代の『僕の美しい人だから』以降、演出もしくは役者としてほぼ全作品に参加する最も高田が信頼を寄せる存在で、月影番外地にはなくてはならない人。

 物語では孤独な老後を迎えた者たちとそんな老人たちを「看取る」青年を描いていく。舞台はいつしか「孤独に死を迎える者を看取る」という「フリーの介護士」が社会の中で立ち上がり始めた近未来の物語。孤独死する者たちの姿は映像化され、その配信された動画には看取った人数によって看取りポイントなるものがつくようになる。その「フリーの介護士」は「ミトリーマン」と呼ばれ、人気職種となっていた――。

 ちなみにノゾエは長く世田谷区内の高齢者施設での巡回公演を続けているのだが、そんなノゾエが奇抜な設定のもと「老後」「孤独死」といったテーマをいかに表現するのかも興味深いところ。

 そして今回は『約束』以来13年ぶりに池谷のぶえが出演。高田と池谷という演劇界の二大コメディエンヌの揃い踏みが実現する。

目のつけどころが普通じゃない!!
ペンギンプルペイルパイルズ『靴』

2014.09.28 Vol.627

 作・演出家の倉持裕が主宰を務めるペンギンプルペイルパイルズ。昨年春から立て続けに外部での作・演出の公演があり、あまり意識はしていなかったのだが、実は1年8カ月ぶりの劇団公演。そして2年半ぶりの新作書き下ろし。

 あるところに左右の足のサイズが大きく違う女の子がいた。いつも靴を新調するときはサイズ違いのものを2足買わなければいけなかった。しかし高校に入って、靴のサイズが左右対称でぴったり同じ女の子と出会う。以降、2人は一緒に店に行き、同じデザインでサイズ違いの靴を2足買って片方ずつ交換することで、靴を無駄にすることはなくなったのだが…。

 今回はタイトル通り、彼女たちが靴に関わる事件を解決しながら、靴を脱ぎ履きしつつ冒険するお話。

 外部ではコメディー色の強い作品が多めの倉持だが、こちらは不条理な匂いを漂わせた作品。どっちもいいけど、こういう作品もやっぱりいい。

気になる再演『スズナリで、中野の処女がイクッ』月刊「根本宗子」

2014.05.11 Vol.617

 本紙の今年の最初の発行号で、今年最も活躍が期待される人としてインタビューした根本宗子。

 1月に下北沢の駅前劇場で『夢も希望もなく。』を上演した後は、劇団競泳水着、虚構の劇団と女優としての出演が続き、本公演がお預け状態になっていたのだが、5月23〜25日という短期間ながらザ・スズナリでの公演が決定した。上演するのは、昨年、新宿ゴールデン街劇場で上演され、売り止めの回が続出した『中野の処女がイクッ』。

 タイトルからは、ややよからぬ内容のお話を想像してしまいがちだが、お話はメイド喫茶の控室を舞台にそこに出入りする人間たちによって繰り広げられるさまざまな人間模様が描かれる。

 集団の中でもマイペースを崩さない者、集団になじめない者、自分の意思とは裏腹に調整役に回ってしまう者など、思わず自分を投影してしまうようなさまざまな人物たちが登場。彼女たちの行動にイラっとさせられたり、ハラハラさせられたりするのだが、その一方で彼女たちの不安定な心の揺れについつい引き込まれる。

STAGE 12月はスズナリ三昧!?

2013.12.09 Vol.606

モダンスイマーズ『死ンデ、イル。』

 作・演出を担当する蓬莱竜太の作る作品は人が生きていく中で避けることのできない機微、宿命、時代性にあふれている。
 その物語は時に重々しく、時に切ない。登場人物たちの背負わされた業の深さに、思わず前のめりになってその世界に引きずり込まれる感覚だ。
 今回は消えてしまった「彼女」をめぐる物語。その「彼女」を演じるのは新劇団員となった坂田麻衣。劇団としては“無骨な男たちの集団”というイメージがあった彼らだが、今回初めて新劇団員として女優を迎えた。

 これまで大規模なプロデュース公演や映像の世界での経験をホームである劇団公演にフィードバックしてきた蓬莱。劇団員としての女優の誕生で、製作過程に置いてより幅広い選択が可能になるに違いない。

 また今回の公演から「より多くの方々にモダンスイマーズを、演劇を、知ってもらいたい」という思いからチケット代を一律3000円とするという大きなチャレンジを始めた。「一度演劇を見て見たかった」なんて人はもちろん、チケット代高騰でついつい演劇から足が遠のいている人にも朗報だ。
 古山と小椋がWキャストでの出演となるので両バージョンを楽しんでもらいたい。

【日時】12月12日(木)〜22日(日)(開演は平日19時30分、土日15時。18日(水)と20日(金)は15時の回あり。21日(土)は19時30分の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演の45分前)【会場】ザ・スズナリ(下北沢)【料金】全席指定 3000円【問い合わせ】モダンスイマーズ公演事務局(TEL:070-5556-2722[HP]http://www.modernswimmers.com/)【作・演出】蓬莱竜太【出演】古山憲太郎、津村知与支、小椋毅 西條義将、坂田麻衣【客演】松本まりか、西井幸人、宮崎敏行/高田聖子

ノゾエ征爾

2012.05.07 Vol.550

岸田戯曲賞受賞

劇団「はえぎわ」『I'm (w)here』5月17日上演開始
演劇界の芥川賞ともいわれる「岸田國士戯曲賞」の今年の受賞者が3月5日発表され、ノゾエ征爾、藤田貴大、矢内原美邦が受賞した。29年ぶりの3人受賞だった。その中の一人、ノゾエ征爾が主宰する劇団「はえぎわ」は5月17日から新作公演『I'm (w)here』を下北沢のザ・スズナリで上演する。
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撮影・宮上晃一

 はえぎわは結成して13年。ノゾエは4月26日に行われた授賞式のあいさつで「13年は決して短くはなかった」と振り返り「重みを感じながら受賞させてもらった」と神妙に語った。ところがその頭には、なぜかソフトなパンチパーマがかけられていた。 「岸田戯曲賞というものに正面から対峙しているということを見せたかったんです」  パンチパーマがその姿勢の表れだったと? 「はい。僕なりに、がっぷり四つです」  このエピソードと「はえぎわ」という名前を聞くと、どんなイロモノかと思う人もいるだろうが、決してそんなことはない。確かに旗揚げ当初はアングラ系で際どいところを攻める作風で、そういう部分がピックアップされがちな劇団であった。しかし2010年に上演され、初めて岸田戯曲賞にノミネートされた『春々 harubaru ~ハスムカイのシャレ~』あたりから脚本を重視した作風に変わった。 「正直煮詰まっていた時期だったんですね。そして今一番したいことはなんなんだろうと考えた時浮かんだのが"自分の口から感情を吐露する"ということだったんで、自分が主役になって、一回全部吐き出してしまおうというのが『春々』だったんですね」  その次の作品『ガラパコスパコス』では老人介護の話を扱う。当時(現在も継続中)、高齢者施設にて巡回公演を行っていたことからヒントを得た。年齢が高い人にはちょっと泣ける作品だった。そして受賞作の『○○トアル風景』に続く。同作では壁にチョークでさまざまなものを書き込む手法を用いた。チョーク一本でその場を何にでも変えられるという演劇の深い可能性を表した作品。戯曲とともに秀でた演出の一本だった。 「ネタ帳には昔から"チョークで書く"というフレーズはあったんですけど、ああいう感じで小道具の代わりに使うというのは考えていなかったんです。この時は先にお話ができて、まず道具をなくしたいと思ってマイムだけでやってみたんですが、それもしっくりこなくて、書くのはどうだろうと思って書いてみたら、"こんなことも書ける。あんなことも書けるって広がっていって"かなりおもしろかったです」  そして今回のお話。タイトルが意味深。 「『I'm here』と言っているんだけど、(w)を入れることで2つの意味を持たせています。自分ではここだと言っているつもりなんだけど、ともすれば不安になるという、存在意義と居場所という2つが大きなテーマになってます」  帰国子女で引っ越しの多かった幼少期を過ごしたノゾエは「居場所」については独特の感覚を持っているようだ。 「サンフランシスコから帰ってきて兵庫、東京、横浜と移り住みました。横浜は小5の途中からなので結構長くは住んでいたんですが、あまりなじみがないんです。居場所っていろいろなとらえ方がありますよね。僕はいわゆるリアルな場所に対しての執着はあまりないんです。自分の意思と関係なく転校していたので、勝手に自分の中で場所というものに線引きをしてしまっている。昨年の大震災で、自分の土地にこだわるという事に関して考えさせられているというか、あの感覚というのは僕にとっては新鮮というか...。なので今回は関係性における居場所。それから生じる存在意義ということを書こうと思っています」  ノゾエ自身は特別意識はしていないのだが、この2つのテーマは今の日本ではとても重いテーマとなる。 「この前ニュースを見ていて、やっぱりそうなんだ、と思ったのが、震災で父母と妹を亡くして一人になってしまった大学生の男の子の1年経っての一言。"やっぱきついですよ"だったんです。持ち直してきてはいるんだけど、生の声ってこれなんだよなって思いました」  1年という時間が経って、冷静に物事を考えられるコンディションになってからこういう作品に出会えるのがいい――なんて話をしていると、ついつい湿っぽい話を予想してしまいそうだが「湿っぽいノリではない」とのこと。重そうなテーマをさらっとドライにやってのけるのがノゾエっぽい。  最後に冒頭のパンチパーマのくだりでどうしても説明しておかねばならないことがある。普通あんなことをするとウケ狙い、と思われがちだが、ノゾエの中では一切ふざけた要素がなかったという。それはノゾエの笑いに対するスタンスを聞くと納得する。 「僕の中では笑いが起こる状態というのがすごく大事なんです。冗談の気持ちで笑いを発生させたくない。あくまでみんなマジなんだけど、その姿がこっけいに見えてくるという形で笑いが起こせれば、と思っています」  今回も見終わった後に、いろいろと考えをめぐらされる作品になりそうだ。

はえぎわ『I'm (w)here』
【日時】5月17日(木)~23日(水)(開演は平日19時30分、土14時/19時。日14時/18時。千秋楽は14時開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】ザ・スズナリ(下北沢) 【料金】指定席 前売り3500円、当日3800円(学割あり)/自由席 前売り3300円。当日3600円(学割あり) 【問い合わせ】はえぎわ制作部(TEL:03-5467-4120 〔HP〕http://www.haegiwa.net/) 【作・演出】ノゾエ征爾 【出演】井内ミワク、町田水城、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、踊り子あり、川上友里、鳥島明、富川一人、山口航太、ノゾエ征爾(以上劇団はえぎわ)/金珠代、萩野肇/鈴木将一朗/笠木泉

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