デヴィッド・ボウイやOASIS、カート・コバーンの肖像画などで、音楽ファンや海外カルチャーファンにも名を知られるアメリカの現代画家エリザベス ペイトンによる、日本の美術館における初個展。近年では風景や静物、オペラからもインスピレーションを得るなどその表現を一層深め、各国で高い評価を得ており、本展では作家自ら厳選した42点を展示し、25年の画業を一望する。
ペイトンが主に手掛けるのは、自身にとって“憧れ”の存在だったり“美”を描いた肖像画や静物画。ロックスターなど、有名なカルチャーアイコンの肖像画が知られるが、ペイトンのユニークな点は、世にイメージが出回っているミュージシャンや歴史上の人物と、自身の恋人や愛犬、花などの身の回りの存在が、いずれもフラットな目線でとらえられていること。ロックスターも愛犬も等しく、そこに感じた美を、透明感のある特有の色彩や描線で描いていく。
小品も多いため、邸宅建築である原美術館の空間での鑑賞は、静けさの中の生をより生き生きと感じさせてくれる。