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ニッポン放送 | TOKYO HEADLINE - Part 17
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大谷ノブ彦 カタリマス!第5回 「文化を嗜むよりも合理性が勝る」?

2014.09.29 Vol.627

 先日の放送(22日)で、車を特集しました。車を買う人が減っているというのはよく聞く話で、若年層ではそれが顕著になっています。番組中、鮫洲運転免許試験場の前で試験場から出てくる人にインタビューしたんですが、車を持っている人、いなかったですね。

 なぜ、こうなってしまったのか。番組に、自動車バラエティー評論家・小沢コージさんに来ていただいてお話を聞くなかで、いろんなものが腑に落ちました。車はもちろん、タバコやお酒、たぶん音楽もそうだけど、そういう嗜好品とされるようなものが切り捨てられていくような傾向は、「文化を嗜むよりも合理性が勝る」、そういうところにあるんですね。

 車を買うなら機能と合理性。これって、みんながとりあえず車を買っていた時代と一緒というか、地方で車に乗っている人たちと同じような感じじゃないですか? 今、車を持とうとすると、駐車場だとか、高速代だとか、車をちょっとだけとめておきたいだけなのにとめられないとか、面倒なことが多くて、便利な面よりも不便さが多くなってきてしまっています。それでも、車を持ちたいと思ってもらえるように説得するのは本当に難しいと思います。

 それで思ったのが、最近売り上げが伸びているアナログレコード。いま車を買うって、これと重なるんじゃないかな。配信だとかCDだとかより合理的なものがあるなかで、あえてアナログを買う。これって、カルチャーとして受け止めてるからだと思います。不便さゆえに奥行きがある、それを味わう。他人は「なぜ買うの?」「で、それって何」っていわれちゃうもの、言いかえれば、無駄とされちゃうものかもしれないけど、そういうのがカルチャー。車を持つという物語、語る余白のある車も、同じじゃないでしょうか。

 この話、「芸人のボケはいるかいらないか」問題にもつながってきて、身につまされます。ボケはいらない、リアクションだけしてくれればいい。ボケ処理の時間が無駄、合理的に情報だけ伝えてくれよって。ただ、その無駄とされる部分、余白から出てくる豊かさに人生を変えられた側としては、いろいろ考えてしまいます。

 カルチャーとして車を持つ。もっとそうなってもいいと思うんだけどなあ。僕が車を持つとしたら、そういう側面でのことになると思います。「家族で移動するための大きな車」っていうのでは、僕のライフを彩ってくれないような気がします。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第14回 ハワイに行きたい

2014.09.24 Vol.626

 箱根に行ってきました。23日、仙石原で『キキマス!』の公開生放送をしました。放送も楽しかったんですが、夜はそのままスタッフと一緒に箱根に留まって、旅気分を味わってきました。箱根って都心からも近いし、親しみのある場所。僕もそんな多くはないけど何回か行ったことがあります。最初はデートで。温泉に行きたいねって当時の彼女と行きました。そのころ、小田急線沿線に住んでいたから行きやすいっていうのもあったし、何よりもあのロマンスカーに乗りたかったんですよね。公開生放送には、連休最終日だったのもあって、たくさんの方に来ていただきました。ありがとうございました。

 旅は好きです。今は、うれしいことに、漫才やDJで日本各地いろんなところに行かせてもらっています。僕にとっては、それも旅なんです。仕事ではない旅もあります。計画を立てていくこともありますし、思い立って衝動的に旅に出ることもあります。例えば、あれは、ちゃんと稼げるようになったころだったから、2001年か2002年。空港に行ってその場でチケットを買って北海道に行ったことがあります。特にこれをやるってこともなくて、競馬だったか……パチンコだったかな。そこで勝ったら小樽に行こうっていって、小樽へ。加藤浩次さん(小樽出身)が行っていたっていう店に行ってみたりしました。そういうの、多いかもしれないな。仕事で大阪に行っても、ダウンタウンさんが食べてたっていううどんを食べて「これなんだー」って。この間、一番おいしいものは何かっていう回で書いたこととかぶりますけど、そういうのが加わるとぐっとおいしくなっちゃいますよね。

 旅の仕方もいろいろありますけど、僕はあまり計画を詰め込まない質です。「あそこも行きたい」「こっちも行かなきゃ」って観光地に行ってみるのは「あの写真と同じだ!」って確認作業をしているような気がしてしまう。なんかそういうんじゃないんだよなあ。僕は何もしなくていいんです。予定を立てるにしても、1つか2つで十分。これをやるぞ!って目的があった旅は、函館で朝の市場でイカを食べるっていうやつぐらいです。月曜の放送でした車の話じゃないけど、旅も合理的にするもんじゃないと思う。少なくとも、僕は休みに行くんだから。

 休みっていえば、そろそろ、お正月にハワイに行きたいですね。相方の大地さんはすごく言ってます。ハワイで何をしたいとか特にないんですけど、正月にハワイに行くってことが、どんな感じなのか体験してみたいなって。空港でワイドショーのリポーターに取材されてみたいんです。とにかく行ってみないことには、正月にハワイに行くことについて話をするにしても、「…でも、行ったことないんだけどね」っていうんじゃ、全然、伝わんない。行かないと、分かんないじゃないですか。
 

 とはいえ、次の年末年始ももうすでに仕事を入れてしまっているのでハワイは難しそうです。でも、いつか必ず行ってみたいですね。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第13回 こんなに動物が好きだった……

2014.09.18 Vol.626

 16日の放送、聞いていただけましたか?  火曜日のキキマスター、マキタスポーツさんが今週もお休みだったので、動物学の権威、新宅広二さんをお迎えして、動物の話で盛り上がりました。

 以前から、新宅さんっていうすごい人がいるんだってことは聞いてたんですけど、番組でお会いしてみたら、本当にすごい人でした。面倒を見る人は自分で決める、その結果、たいていの飼育員がジャニーズ系男子だっていうほど面食いのゴリラにも好かれるというルックス?、優しい語り口調、どんどん出てくる動物についての知識に驚きっぱなし。あれも聞きたいこれも聞いてみたいって質問が湧き上がってくるような感じで、僕自身がこんなに動物に興味があったのか、好きだったのかとびっくりしました。リスナーからの反応もすごかったですね。盛り上がりすぎて、一旦はお帰りになったにも関わらず引き留めて、最終的にはエンディングまで出演していただきました。

 ゴリラ、ワニ、カバ、ライオン、犬や猫、鳥、さらに虫まで、いろんな動物についてお話していただきましたが、どのお話もおもしろかった! 病院に行くという話をすると嫌がるし、おやつと言うと飛んでくるから、動物は言葉が分かっているのではないかというリスナーからのメールを受けての、「動物は言葉を理解しないけど、空気や表情は分かる」という実験エピソードを交えてのお話、驚きましたね。

 もう一つ、これは、さらっと話されたんだけど、動物のなかにもいじめがあるけど動物は仲直りの仕方を知っているという話。はっとさせられました。

 いじめについては、話題に上るし、いろいろ対策も考えられてるけど、たいていの場合、いじめっていうのは本来はないっていう前提で話されているんですよね。同級生を殺してしまったという話も、殺意を抱くことなんてないってところから議論が始まってる。でも、それって思考を止めちゃってるってことなんじゃないかな。そういうことはあるよってことを認めたうえで考えていかないといけない。そうやってくことで、自然治癒につながるというか……それがLIFEでしょって。それが、意志のある仲直りになっていくと思うんです。

 自分がこんなに動物に興味があったのかっていう発見ができたと同時に、『キキマス!』ってこういう番組なんだよなって確認もできました。いろんな話を聞いていく。なんだか原点回帰できたように思えます。気持ちも引き締まりました。 

 明日からもいろんなお話を聞いて、お届けしていきたいと思います。23日には箱根で公開収録も決まりました。そこでも、いろんな人にお会いできたらうれしいです。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第12回 本当に一番おいしいものって何だろう

2014.09.10 Vol.625

 THE MANZAI、認定漫才師に選ばれました。まずは、ほっとしています。これからのサーキットがどうなるかですけれど、どうしても決勝大会には出たい!ゴリララジオスターだけじゃない、漫才もやってるってところ、ちゃんと見せたいですから。

 そんなことを考えつつも、今、僕の頭をいっぱいにしていることが、もう一つあるんです。それは、本当に一番おいしいものは何なのかってこと。

 僕らの周りにはおいしいものがいっぱいありますよね。誰かが手をかけて育てた野菜だとか、天然酵母を使ったパンだとか、挙げたらきりがない。それにシチュエーションが足されちゃうと、他のどんなおいしい料理も負けてしまう。「さっきそこで揚がった魚をさばいたよ」なんて出される一品、北海道で飲むビールは何にも代えられないし、函館で夜景を見た翌朝5時に半分眠った状態で食べるいか刺しは甘さで目が覚めるほどうまい。どんなにおいしいパンだったとしても、焼きたてのちくわパンには負けちゃうと思うんです、きっと。そういうこと。

それで、シチュエーションだとか、新鮮だからとかいうのを取り除いて、平たい場所に並べたときに、一番うまいものとは何かって考えた時、きっとそれは、メシ、白い米がどんどんすすんじゃうものだと結論付けました。

 自分のグルメ道を振り返ってみると、若いころは間違いなく生姜焼き。最近は定番になったけど、マヨネーズを添えて出し始めた時、これはすごかったね。ごはん止まらない。I can’t stopですよ! 30歳を過ぎたころからはチャンジャ。ほんのちょっとの量で、ごはんが2口はいけちゃう。このパワー、すごすぎでしょ。

 42の今はというと、またあれが来てるんですよ、ウスターソース!白い飯をソースでびちゃびちゃにして食べるあれの再来といえるかもしれません。発端は、番組でも紹介したんですけど、今、大人気、手に入れるのも難しいというソースコ(SAUCECO)に九州で出会ってしまったこと。ウスターソースにタバスコに似た激辛の調味料が加わってるようなものなんですけど、これがすごい。どうやって食べるかっていうと、とんかつです。自宅でとんかつを作るときには、とんかつ肉ではなくて、生姜焼き用の肉を使っているので、揚げるとちょうどハムカツぐらいの厚さになります。あのペラっとした感じが、ソースコに合うんですよ。食べる前にとんかつを浸して……ソースコを味方につけるやり方です。これ、一番うまいものでしょう!

  ということで、11日の『キキマス!』では、一番うまいものは何なのか、リスナーと対決したいと思っています。みなさんの“ごはんがすすんじゃう君”メニューを『キキマス!』。

ダイノジ 大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第11回 草食男子こそラジオを聞け!

2014.09.03 Vol.625

 先週は聴取率調査のスペシャルウィークで、ニッポン放送『大谷ノブ彦 キキマス!』では「オールナイトニッポン伝説検証」という歴代のパーソナリティーの方をゲストにお招きし、当時のエピソードをいろいろお聞きするという企画をやりました。ビートたけしさんはじめ、多くの伝説のレジェンドに来ていただき、大興奮してしまい、そのままのテンションでロンブーさんとナイナイさんのオールナイトニッポンを拝見させていただき、約12時間もニッポン放送の中にいました(笑)。でもめちゃくちゃ楽しかったですね。そして改めてラジオのすごさに気づかされ、すごく勉強にもなりました。
 

 その昔、小林信彦さんが、ビートたけしさんのテレビにおけるカリスマ性は、実はラジオが支えているとおっしゃっていたんですね。ラジオのおかげで、たけしさんをカリスマと崇める深いファンがいる。そしてそのファンがいるから、大衆に入った時でもブレずにいられると。それは関根勤さんもそうで、そういう意味でラジオはすごい作用をもたらすメディアだなと思いました。その皆さんの姿をそばで見られて幸せであったと同時に、僕も来週のお昼はここに座ってしゃべっているんだなと思い、うれしい半面恐れ多い気持ちになりました。大変なプレッシャーですが、逆にやりがいもある。その立場に立てる喜びを帰り道、改めて噛み締めました。

 テレビとは決定的に画がないという違いがあるじゃないですか。それは一見欠点に思われますが、画が見えないからこそ文化的深度がある。落語もそうですよね。一人で全部演じていて、自分で映像化していく。何か気持ちを伝える時にも言葉から想像して、自分の中で映像化するっていうのは豊かな文化だと思うんです。だからなんでもかんでも説明過多になればいいというものではなく、また何でもかんでも見られればいいというものではない。その奥にあることを感じ取るためにはすべて見える必要はないんです。そういう意味でもラジオっていうメディアはほんとにいいなって。

 エロだってそうでしょ(笑)。直接的に見えなくても、その見えてこないことのほうがエロいこともある。僕は女の人の裸を簡単に見られない時代に生きてきたから、必死で妄想しましたよね(笑)。エロの種類がいろいろあったなって思います。今はすぐに見られちゃううけど、そんなふうに簡単に答えが出るのはどうかと思いますね。想像しないと実際見た時の感動が薄れるんじゃないかと。チラリズムぐらいでもちゃんと脳みそが補填してくれますから、大丈夫です(笑)。草食男子が増えていると言われているのは、全部見えているからですよ、脳みそ使って悶々としないとダメ。だから草食男子こそラジオを聴けと言いたいですね。

 あと、僕をラジオスターといじってくれるありがたたいテレビ番組『ゴッドタン』(テレビ東京系列)の次回放送は、僕がけちょんけちょんにいじられる回です。嫌われ界のレジェンド的な(笑)。ボロクソ言われて、めちゃくちゃ面白い回になっています。でも最後はちょっとホロッとして嫌な気持ちで終わらないので、ぜひそちらもご覧になって下さい。いじられるのは全然嫌じゃないです。むしろ劇団ひとりさんにこれからもいじって下さいとお願いしたいですね(笑)。

ダイノジ 大谷ノブ彦 カタリマス!(裏) 第10回 金言飛び出すスペシャルウイーク! 今日も『キキマス!』

2014.08.27 Vol.624

 スペシャルウイークが始まっています。ニッポン放送60周年ということもあって、今回はリスナー大感謝ウイーク。『キキマス!』では、「オールナイトニッポン伝説」として、笑福亭鶴光さん、松任谷由実さん、藤井フミヤさん、鴻上尚史さんなどなどのレジェンドを迎えて放送中です。

 前に書きましたけど、この企画は僕がずっとやりたいと思っていたし、スタッフにも「やろうよ!」って言い続けてきたものです。準備しながらドキドキとワクワクと緊張感でいっぱいになってましたが、いよいよ始まるってなると緊張感よりも「いい話を聞きたい!いろいろ聞きたい!」って気持ちが大きくなって、スタートからその気持ちで行けたかなって思います。リスナーにとっては、僕がどれだけ緊張してるかなんて、いらないでしょ。それよりももっと聞きたい話がある。

 番組では金言がどんどん飛び出してます。例えば、鶴光師匠の「エロ」と「グロ」。オールナイトや他の番組を含めて、師匠の番組を聞いたことがある人は知ってると思うけど、師匠の番組は「エロ」で知られてます。月曜に出演していただいたときにも出てきましたけど、師匠の「エロ」……いいんだなあ。ちょっと考えると、ああそうかってなる。ダイレクトじゃないんですよね。直接的だと「エロ」じゃなくて、「グロ」になる。このバランス、師匠だからできるっていうのもあるけど、やり続けて見出されたものでもあると思うんですよ。ユーミンのインタビューでも、苦しみながら、あがきながらずっとやり続けてるっていうね。貴重なお話も聞けました。

 こうやって話していると、すごく楽しいしワクワクするんだけど……これから俺、どうしていったらいいんだろうってちょっとヘコんだりもしてるんです。それぞれのオールナイトニッポンがどうやって作られていたのか、どんな気持ちでやっていたのかを聞いていくと、時代であるとか当時のラジオとリスナーの関係が見えてくる。そこには強い「共犯関係」があるんです。レジェンドのみなさんが番組をやられてた頃には、スマホやSNS、メールなんていうのもなかった。ハガキの文字からリスナーの姿が見えたそうです。番組でこの店を助けようぜ!っていったら2000人集まったりしたこともあるっていうのは、そこに行ったら面白いことに加われる、自分も仲間、共犯者になれるっていう気持ちがあるからでしょ。この間、番組で鴻上尚史さんのオールナイトニッポンの名物というか、伝説の企画だった早朝ジェンカをやりました。『キキマス!』の時間なんで早朝ではなくて昼間、ニッポン放送の玄関でジェンカを踊ったんですが、僕の予想を超えて20人集まりました。すごく楽しかったです。それを考えると、今も「共犯関係」になりたいっていう気持ちはあると思うんですよ。でも、「あー、やったんだ…楽しそう!」ってツイッター見てるだけじゃなくて、行っちゃおう、一緒に楽しんじゃおうっていう「共犯関係」、もっともっと大きくしていきたいんだけどな……どうしたらいいんだろう。

 今週はこうやって、楽しくお話を聞きながらもヘコむっていうのが続くんだろうと思ってます。所ジョージさん、関根勤さん、そして木曜にはビートたけしさん!も生登場します。月曜の松本明子さんが乱入なんていうようなサプライズもまだまだあるかもしれません。ぜひおききください!

ダイノジ大谷ノブ彦 カタリマス!
第4回 王道を引き受けて王道を行く、白鵬とキムタクにシビれた!

2014.08.18 Vol.624

 熱いですね、暑いじゃなくて熱い。『キキマス!』はさらに熱いです。先日はついに競馬も当てましたし、僕の熱も上がりっぱなしです。さてこの熱の理由、いろいろありますけど、僕にとっては白鵬と木村拓哉、この2人。今回はそのことについてお話しようと思います。

 満員御礼が続いて、相撲人気が戻ってきたって感じだった7月の大相撲名古屋場所。30回目の優勝を果たした横綱・白鵬にジーンとしちゃいました。白鵬って選ばれた男であり、横綱だと思うんです。八百長問題で相撲人気がガッと落ちた時、白鵬は横綱らしさを体現する、言いかえれば、相撲の歴史のなかで積み重ねられてきた横綱、王道の横綱として居なければならなかったんです。白鵬は大変な人格者ですし、それを引き受け、やり続けてきた。横綱らしさを背負い、王道の横綱として堂々と振る舞い、相撲を愛し抜いている。それなのに、30回目の優勝がかかった一番での日馬富士コール。それをする人の気持ちも分からないわけじゃないけど、言っちゃえば、白鵬はそれによってNOを突きつけられたわけです。それでも彼は、今も横綱をやり続けているんだって思うと……。しびれました。

 そんな白鵬の姿とダブっちゃったのが、『27時間テレビ』のキムタク、木村拓哉さんです。木村拓哉さんってずっと木村拓哉さん、ずっとカッコいいをやってきていて、これからもやっていかなきゃならない人。白鵬が王道の横綱なら「カッコ良さ」の王道、「カッコいい」の記号でもあります。90年代、コンパなんかにいくとたくさんいましたよ、聞いてもいないのに「キムタクのどこがカッコいいのか分からな〜い」って女。あれ、「私は他の女とは違う」っていうアピールで。そういう自意識過剰の女に使われる。その役割、どんだけ辛いんだよって思いますね。アイドルのキラキラした感じで、歌って踊ってぶっこいて、ドラマや映画に出演して、木村さんはずっとあがきながらもやってる。あがきながらもキムタクであり続けることを受け入れ、それをやってるわけです。

『27時間テレビ』は、ここ近年で一番視聴率が良かったそうです。ドラマ『HERO』の視聴率も上がっています。視聴率で語られ評価され、テレビを背負ってきたともいえる木村さんを称賛しろよ、やっぱりすげーって言えよって思います。

 王道に対してのカウンターって楽です。常識はずれなことをやれば今までと違うって言われるし。それだけやっていればカッコよくも見えちゃう。本当にかっこいいのは、王道を引き受け、王道として君臨する人、僕はそう思います。

ダイノジ 大谷ノブ彦 カタリマス!(裏) 第9回 オールナイトニッポン伝説を『キキマス!』

2014.08.14 Vol.624

 ここのところ、胃がキリキリしてます。14日に番組で初めての公開収録をやったんですけど「お客さん、来てくれるかな」って心配したりもして。……ただね、このキリキリの理由は分かってるんです。ええ、8月25日から始まるスペシャルウイークなんですよ!

 スペシャルウイークは、聴取率調査、つまり、どれだけ番組を聞いていただいているのかを調査する期間でもあるわけですが、『キキマス!』ではすごい企画を準備しているんです。特集タイトルは「オールナイトニッポン伝説検証」。みんな大好き、僕自身がこれ聞きながら育ってきたといってもいい、『オールナイトニッポン』を担当したパーソナリティーの方々をお招きして、当時のことや伝説のエピソードなどを伺っていきます。ずっとやりたいと思っていたし、スタート当初から言い続けてきた企画なんで、実現してうれしいしワクワクしているんですけども、緊張もしています。今は、当時どんな音楽が流れていたのか調べたりして準備しています。

 僕自身、いろいろな方の「オールナイトニッポン」を聞いてきました。それぞれいろんな思い出がありますけど、強烈だったのは、やっぱり、ビートたけしさん。本当にいろんなエピソードが残ってますけど、なかでもあれ、上海で列車事故があったときの放送は忘れられないです。修学旅行に行っていた高校生たちが巻き込まれたっていうニュースが入って、たけしさんがニュースを聞いてスタジオを去っちゃった。こんなことがあった後でやってらんねえよって。こんなことあるんだ、たけしさんってこういう一面もあるんだって思ったのを覚えてます。たけしさんがいなくなった後は、軍団の方が出たりしてね。他にも、本当にたくさんありますよ。良くない電波状況のなかで頑張って聞いてました。

 さて、再来週いらっしゃっていただけるのは、笑福亭鶴光さん、藤井フミヤさん、鴻上尚史さん、所ジョージさん、関根勤さん、そして、ビートたけしさんも決定しました。とにかく豪華です。どの方もほぼ初対面、なんですよ。ラジオで聴いていたあの声の人にラジオ番組で会える、『オールナイトニッポン』、当時のお話を聞けると思うと、すごいですね。当時の楽しい話はもちろんだけど、当時とは違うラジオというメディアの取り巻く環境の変化なんていうのも話題になっていくんじゃないかな。僕自身、いろんなことを聞いていきたいと思ってます。それが『キキマス!』という番組ですからね。

 8月25日から4日間、ラジオ愛にあふれた内容になることは間違いないです。ぜひお聞きください!

ダイノジ 大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第8回 若者よ、失敗しに行け!

2014.08.06 Vol.623

 前回もお話しましたが、フジロックに若い子たちが増えたというニュースはとてもうれしかったですね。それを聞いた時は、僕らが思っている以上に、今の若い子の中にもちゃんと音楽のアンテナをはっている子や新しい価値観に出会いたいって思っている子がいるんだなっていうこと。フェスがそういう子たちが楽しめる場になっていたっていうのがすごくいいなと思いましたね。僕らが勝手に“今の若い子はこういうの聴かないよね”とか、決め付けることが一番だめ。気づく人は気づくし、それを今年のフェスは象徴していたんじゃないかな。やっぱり現場で体感することって、とっても大事なことなんですよね。

 それはほかのどんなことでも同じ。以前、10代の子にオススメの映画ベスト3を選んでくれっていう仕事がきて、一応選んだんですけど、本音は10代のうちは自分の興味のない映画を観ろって言いたかった。失敗作をみるのも君たちに与えられた義務であり権利だと。失敗作を見るっていうことを体感することはとっても大事なんです。それを観たときに自分がどう感じるかが重要で、信頼できる人が勧めてくれたから観ようとか、そんなの10年早い(笑)。作品選びに慎重になるのは、時間のないジジイとババアになってからでいいんだから(笑)。恋愛でも失敗している人のほうが、絶対に大人になった時にそれを糧にしていい出会いができると思います。フェスだって、知らないミュージシャンをどんどん見ればいいいんですよ。個人にとってはつまらなく感じて辛い時間になるかもしれないけど、その先にある発見の方が断然多いんだから。まったく聞いたことがないアーティストにビビっとくるかも知れないし、それを発見出来た時のよろこびって言ったらない。自分のことがよくわかるし、感性を豊かにしてくれる。若者なんかまずいものを食ってもいいんだよ(笑)。まずかったっていう経験をちゃんとしたほうがいい。

 僕の失敗体感は、若い時に初めて行ったソープランド。出てきた女性があきらかに母親よりも年上で(笑)。表の写真と違うから聞いたら、あっさりと“25年前から一緒なのよ、ごめんね”だって(笑)。25年間も写真をリニューアルしてないってこともびっくりだけど、25年間もここで働いてるんだと思ったら妙に尊敬しちゃって、人生相談して帰ってきた。それで何がわかったかというと、そういう店には25年張られてる写真があるということ (笑)。そんなふうに失敗も消化して面白く話せるようになればいい。でもそれは体感しないとできないことですからね。若い人には、この夏はフェスを初め、いろんなものを見に行って失敗してこいと言いたいですね。

ダイノジ 大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第7回 勃発!果物問題。僕のリンゴは6分の1!

2014.07.31 Vol.622

 夏フェスが盛り上がってます。先週末、フジロックフェスティバルが終了しました。僕は行けなかったんですが、GotchやTOSHI-LOWさん、MAN WITH A MISSIONの盛り上がりだとか、アーケイド・ファイア(中日のヘッドライナー、カナダ出身のロックバンドで今夏世界中のフェスでヘッドライナーを務める)がたくさんの人を集めたこと、何よりも10代とか20代前半だとかの若い子たちがたくさん行っていたって聞いて、すごくうれしい。というのも、僕、今年は、フジロックにとって正念場だって思っていたんです。大人が多いフェスの印象でしたが、お客さんの世代交代もできたのかなって。それがうれしい。まだまだメガフェスが控えていて、『キキマス!』では今週、サマーソニックに出演するアーティストを楽曲とともに紹介していますので、ぜひお聞きください! ああ、アーケイド・ファイア、見たかったなあ……。

 さて、29日の放送は、夏フェスに負けないぐらい熱を帯びた番組になりました。お聞きいただいた方はご存じだと思いますが、この日のテーマは「マザコン」。男はみんなマザコンなんじゃないかっていう話でした。火曜のキキマスター・マキタスポーツさんと、大いに盛り上がったんですが、そのなかである問題が勃発しました。それが「果物問題」です。

 男性のみなさん、果物を自分でむきますか? 僕はむきません。ずっと母親がむいてくれたし、今は嫁がむいてくれます。最近では「むいてくれる男性もいる」そうですが、僕はやっぱり自分ではやらないなあ。最近はそうでもないけど、みかんでさえ、むいてほしいぐらい。僕はマザコンですか?

 むきかたも重要です。例えば、リンゴ。僕は大きめのサイズが好きなんです。口に入れたときにリンゴで口がいっぱいになるような。サイズとしては六等分ぐらいにしたぐらい。それが僕のリンゴなんです。なぜなら、母親がずっとそうやってむいてくれたからなんですよね。今は嫁がむいてくれた“大谷家のリンゴ”を食べていますし、うさぎにむいてくれたって、八等分、もっと薄くなってもむいてもらえればいただきます。だけど、なんか違うんだよなあ。バイキングなんかで薄いリンゴが出てくるとすごく腹が立ちます。

 キウイもそうですね。半分に切ってスプーンと一緒に渡されたりするのは違う。ちゃんと皮をむいて切って出される、それが僕のキウイなんです。きっとこれも母親がそう切ってくれたから。それにこだわるのは、僕がマザコンだからですか? 

 この問題、この日だけではやりきれなかった。また、やりたいと思います。 

ダイノジ大谷ノブ彦 カタリマス!第3回 映画『GODZILLA ゴジラ 』は試金石

2014.07.20 Vol.622

 今回は、1本の映画をご紹介したいと思います。それは、世界で大ヒット中の映画『GODZILLA ゴジラ 』。日本でも、いよいよ25日に公開されます。

 ゴジラといえば、ファーストゴジラと呼ばれる1954年の作品があります。ゴジラは、水爆実験など当時の問題から生まれてきたモンスター。人間が生み出した脅威の存在、社会問題として描かれました。子供のための映画というより、大人が見るべき映画だったと思います。一足お先に『GODZILLA ゴジラ』を拝見しましたが、今作は、そこに原点回帰しています。社会問題を取り扱い、メッセージ性が込められ…大成功していると思います。温故知新な作品でした。

 公開に合わせ、『キキマス!』で、映画に出演されている渡辺謙さんにお話を伺ってきました。いやあ、本当に素晴らしい方。日本のトップを走り、世界に向けて日本を代表する役者さん。自然体で、気さくで、新しいタイプのスターだと思いました。
 約20分という対談でしたが、なぜ出演を決めたのか、この映画の深みをどうとらえていたのかであるとか、いろいろなお話を伺ってきました。主演された大河ドラマ『独眼竜政宗』が大好きだったんで、その話もしたかったんですけど、映画の話で盛り上がってしまいました。24日に放送しますので、楽しみにしていてくださいね。

 さて、この『GODZILLA ゴジラ』ですが、カルチャーでもガラパゴス化する瀬戸際の日本の行方を占う作品だと思っています。クールジャパンなんていって世界に出て行っていますけど、日本のカルチャーの現実ってどうなんだって。映画を例にすると、『ウルヴァリン:SAMURAI』や『47RONIN』といった日本を舞台にしたハリウッド映画が続々公開されていますが、なぜか日本ではヒットしない。欧米では注目を集めるのにも関わらず、です。日本で受け入れられない理由はいろいろあるとは思うんですが、この現状によって、ハリウッド映画が日本を舞台にする必要がなくなってきている。だって、日本人が見ないんだから。日本人がアメリカで、世界で活躍している日本人を見ないんだから。この『GODZILLA ゴジラ』が日本で売れなかったら…っていう試金石になっているんだと思うんです。渡辺謙さんが出ていく意味も、そこにあるのかもなって思います。

 それも踏まえて、僕はこの夏、ぜひ『GODZILLA ゴジラ』を見ていただきたい、映画館に足を運んで、こんな映画を作っているんだって見てほしいと思っています。

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