2月25日(日本時間)にはアメリカ最大の映画の祭典・第91回アカデミー賞授賞式が、3月1日には第42回日本アカデミー賞授賞式が行われ、その年を代表する映画作品の数々が表彰された。日本とアメリカ、それぞれの受賞傾向や部門の違いなどを比較して楽しみつつ、受賞・ノミネート作品の中にはBD・DVDリリースされているもの、劇場公開中や今後公開を控えているものも多いので、ぜひ自分で鑑賞してみよう。
米国アカデミー賞は“協調”と“多様性”に注目
アメリカでは、世界最大規模の映画の祭典、第91回アカデミー賞授賞式が日本時間25日、ロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催。今年は日本人監督作2作品のノミネートが日本でも話題に。授賞式前のレッドカーペットには、外国語映画賞にノミネートされた『万引き家族』の是枝裕和監督と、長編アニメ映画賞にノミネートされていた『未来のミライ』の細田守監督も登場。是枝監督は同じく外国語映画賞にノミネートされている『ROMA/ローマ』の「アルフォンソ・キュアロン監督とはパネルディスカッションを行うことができた。もっと時間があったら監督同士で突っ込んだ話をしたい」、細田監督は「シンポジウムで他のアニメーション監督とも話すことができた。ノミニー同士で称え合うのがアカデミー賞の素晴らしいところ」と他の映画人との交流も楽しんだ様子。華やかなレッドカーペットを終え、いよいよ授賞式がスタート。
オープニングアクトを飾ったのは『ボヘミアン・ラプソディ』が日本でも大ヒットしたクイーンと人気歌手アダム・ランバートによるメドレー。これにはハリウッドの映画人たちも冒頭から大興奮。その後も、『アリー/スター誕生』で共演したブラッドリー・クーパーとレディー・ガガが劇中曲を生披露するなど、パフォーマンスをはさみつつ賞の発表が行われて行った。外国語映画賞はアルフォンソ・キュアロン監督のネットフリックス作品『ROMA/ローマ』が、長編アニメ映画賞は『スパイダーマン:スパイダーバース』(公開中)が受賞し、惜しくも日本勢のオスカー獲得はならず。
脚色賞で念願のオスカー獲得となった『ブラック・クランズマン』(3月22日公開)のスパイク・リー(2015年に功労賞は受賞済み)は興奮の面持ちで「今日はブラックヒストリーにとって重要な日。まもなく大統領選。愛か憎しみか正しい選択をしなければいけない」とスピーチ。会場をややざわつかせながらも祝福の拍手を送られた。助演女優賞は黒人に対する差別という困難に立ち向かう恋人たちの姿を描いた『ビール・ストリートの恋人たち』(公開中)のレジーナ・キング、助演男優賞は黒人差別が公然と行われていた1960年代を舞台にした『グリーンブック』(公開中)で、粗野で無教養なイタリア男を用心棒に、差別の根強い南部を目指して旅をする天才黒人ピアニストを演じたマハーシャラ・アリが受賞。主演女優賞は『女王陛下のお気に入り』(公開中)のオリヴィア・コールマンが、主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディ』(公開中)のラミ・マレックが受賞。監督賞は『ROMA/ローマ』、作品賞は『グリーンブック』が受賞。
新たに司会を務めるはずだったケビン・ハートが過去の差別ツイート発覚により司会を辞退したことで今年も司会者不在での開催となったが進行に滞りなし。人気映画部門の新設案や技術系の4部門の放送短縮案が持ち上がっては見送られるなど、懸念要素もありつつ多彩な作品にスポットライトが当たり“祭り”感も満点。「多様性」がカギとなる作品が受賞する傾向が例年以上に高まった。