2013年のヴェネチアビエンナーレで脚光を浴び、アジアのアートシーンをけん引する注目の作家リー・キットによる、日本の美術館では初となる個展を原美術館で開催。
リー・キットは1978年に香港で生まれ、中国への返還(1997年)を経て変貌していく故郷・香港でアーティスト活動をスタート。現在は台北を拠点に活動。アジアのみならず世界各国で作品を発表し続けている。
2013年、ヴェネチアビエンナーレ香港館の屋内外に展開した自在なインスタレーションは、ウォール ストリート ジャーナル紙が「必見の展示ベスト5」に挙げるなど、国際的な注目を集めた。
独特な出自を背景に持つリーは、アートという開かれた表現を通して自身のあり方を問い、自分が今を生きる世界と向かい合おうとしている。そして、展覧会を開催する場合、その街やその場所の空気、感情に静かに寄り添い、サイトスペシフィックな作品(=特定の場所に存在するために制作すること)を創り上げるのも彼の特徴。元は原家の私邸であり、第二次世界大戦を乗り越え、GHQ から返還された後に美術館として40年の時を重ねた原美術館で、リーがどのような“絵画”を描くのかにも注目だ。