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大森靖子×根本宗子『夏果て幸せの果て』

2015.05.23 Vol.643

“新少女世代言葉”の魔術師といわれるシンガーソングライターの大森靖子と、現在、演劇界で怒涛の進撃を見せる劇作家・演出家・女優の根本宗子のジャンルを超えてのコラボレーションが実現した。

 これは劇中で大森の曲を使用するなど、かねてから大森のファンだった根本のラブコールから生まれたもので、短い歌詞の中にもしっかりとしたストーリーが描かれる大森の楽曲を題材とした作品となる。

 大森は主人公の「大森靖子」として出演。

 コンビニでアルバイトをしている大森靖子は、引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない(日常の)大森靖子と、なんでも思い通りになる(幻想の)大森靖子という、現実と幻想の自分が交差していた。バイトの時間が迫る中、連絡の取れない恋人を執拗に追いかけつつ、現実から逃避する大森の頭の中で願望と欲望の混ざった妄想が始まるのだった…。

 どの曲を使おうか?という打ち合わせの時に「『夏果て』でいきたい」(根本)、「私もそう思っていた」(大森)という具合に意思の疎通もばっちりだったという。この『夏果て』は大森がインディーズ時代に発表した名曲。曲のファンにはこの曲がどういう感じで演劇になるのか気になるところ。曲をまだ聴いたことのない人は観劇の前に聴いておくと、より楽しめる。

 また、若い女優陣に囲まれ、ただ一人の男性出演者である鳥肌実の存在も妙に気になる。

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