宮城聰セレクトによる「東京芸術祭直轄プログラム」10月18日からスタート
東京・豊島区池袋を中心に開催してきたフェスティバル/トーキョーをはじめとする4つの舞台芸術事業が集まって2016年から開催されている「東京芸術祭」が、今年も9月1日から開催中だ。
今年からこの東京芸術祭に総合ディレクターとして宮城聰が新たに就任。これまでの4つの事業に加えて、宮城がセレクトした全6演目からなる「東京芸術祭直轄プログラム」を立ち上げた。
そのスタートを飾るのが、10月18日(木)開幕の『野外劇 三文オペラ』。
日本でもなじみのあるブレヒトの戯曲を大岡淳による新訳で、イタリアを代表する演出家の一人ジョルジオ・バルベリオ・コルセッティが自らオーディションした日本人キャストで、池袋西口公園を舞台とする野外音楽劇で上演するという、宮城の肝いりの企画となった。オーディションで選ばれたのは「ナイロン100℃」の廣川三憲や「柿喰う客」の淺場万矢ら。多彩でありながらも海外の演出家の目線ならではで、国内ではなかなか見られない配役となっている。
この公演について宮城は、「いまの東京には、“劇場に行く楽しみを知っている人”と“それを一切知らない人”の2種類の人々がいます。そこで、劇場を飛び出し、囲いさえ作らずに上演し、チケット代は“三文”というわけにはいきませんが、ワンコインにします。遠巻きに眺めるぶんにはタダです。そういう方々に音だけでも楽しんでもらえるよう、音楽劇を選びました。途中から観ても良いし、途中で立ち去ってもかまいません。ただし、クオリティは一流でなければ意味がありません。“敷居が下がったぶん、クオリティも下がった”となっては、演劇とは面白くないもの、という先入観を広げる役にしか立ちません」と語る。ワンコインという破格の公演のため既にチケットは完売しているが、宮城のコメントの通り、無料の鑑賞エリアが用意されている。通りすがりの人も一流の演劇を楽しめるという、芸術祭=お祭り的な体験ができるはず。