一刻も早く新たなるエネルギー戦略を考えるべき
いよいよ来年度の予算審議が佳境に入ってきました。人口構成が大きく変わるなか、年金や医療、介護などの社会保障の設計を変えることはまったなしの状況であると、多くの国民も理解しているところでしょう。
来年度予算の中身は消費税増税を先取りし、年金基金という別財布から流用しての交付国債発行など、問題点も数多く、審議を深める必要があります。
本来なら、国民生活に直結する「社会保障」問題について大切な議論を重ねるべきところですが、田中直樹防衛大臣のあやふやな答弁に多くの時間とエネルギーを「安全保障」に費やす流れとなっています。
そもそも、防衛政策にまともに答えられない防衛大臣を任命するほうが問題です。任命権者である野田総理の責任こそが問われます。もう少し「お勉強」する時間を与えても、といった心優しい感想こそ、わが国の平和ボケの最たる結果ではないでしょうか。
現在の日本を取り巻く状況は、そうそう心優しいものではないのです。社会保障の充実も、国家の安全が守られてこその話です。
国民生活に直結するもうひとつの問題は電力料金値上げの流れです。企業向け電気料金を4月から平均17%値上げとされますが、例えばNTTの場合、グループ全体で年間50億〜60億円のコスト増となると発表しています。消費者への負担増につながる恐れは大です。
家庭用電力料金の値上げを含むと、消費税とのダブルパンチとなります。国際競争力の観点からも、由々しき状態と言わざるをえません。
原発を取り巻く環境は依然厳しく、このままでは4月にはすべての原発が停止します。その分、世界から火力発電所用の石油やガスを仕入れなければならず、おまけにイラン情勢の不透明感からエネルギー価格は右上がりときました。
どうやって自己防衛するか。
以前、日本中の照明をLED化すれば13基の原発は不要となる試算を紹介しました。節電、省エネを徹底することが最短の道です。企業なら、リース方式を活用して、徹底して照明のLED化を進めるのはどうでしょう。
そのための積極的な助成策こそ予算に盛り込むべきですが、そうはなっていない。どうも何を優先するべきか、感度が鈍いように思います。
エネルギー安全保障という日本にとって最も脆弱な部分を直撃した東日本大震災と福島第一原発事故。ならば、一刻も早く出すべきは、新たなエネルギー戦略でしょう。総力戦で臨みましょう。
(自民党衆議院議員)