格闘界のサラブレッドがついに総合に登場する。山本アーセンは、ミュンヘンオリンピックのグレコローマンレスリング57kg級7位の山本郁榮を祖父にもち、母親は元世界チャンピオンの山本美憂、叔父は総合格闘家の山本”KID”徳郁(HERO’S初代世界ミドル級王者)、叔母は元世界チャンピオンの山本聖子という格闘一家に育つ。13歳で単身ハンガリーにレスリング留学。オリンピックの強化選手に選ばれるなど、将来を期待されるレスリング選手だ。そんな彼が年末に行われる「RIZINファイティングワールドGP」に出場、総合格闘家デビューを果たす。
「自分自身、格闘技をやろうと思ったことは一度もなくて、いつも見る側で楽しんでいました。叔父の後ろについて一緒に入場したことはありましたが、基本的に見る専門(笑)。でも今回オファーをいただき、レスリングとはまた違う刺激があるんじゃないかなと思い、同じ戦うスポーツだし、格闘技も大好きだし、やってみようかなという気持ちが芽生えました。やってみたら案の定、感覚がストレートに違うし、筋肉痛になるところも違う、そして殴られたら痛いなと(笑)。ただ、それがすごく新鮮で、スポーツに対して、また熱が上がっています」
対戦相手はヒクソン・グレイシーの次男、クロン・グレイシー。 “山本ファミリーとグレイシー一族の戦い”と注目度も高い。
「オファーをもらった時は、対戦相手は決まっていなかったんですが、10月の終わりぐらいにクロン選手になったと聞いて“ああ、なるほどな”と(笑)。叔父もホイラー・グレイシーと対戦しているし、戦うファミリーで絆が強いところも似ているので、それでだろうと。確かにそうですが、試合をするのは僕とクロン選手なので、自分の中では個人の戦いだと思っています。リングの中では1対1ですから。でも、見方は自由なので、ファミリー対決と思っていただいても、日本対ブラジルと思っていただいても、楽しんでもらえるなら、全然気にしません」
叔父である山本”KID”徳郁の影響は?
「もちろん大きいです。今も叔父から総合を教わっていますし、というか僕は叔父を見て育ったようなものですから。それはレスリングだけではなく、ファッションや音楽にしてもそうです。叔父が聞いている音楽を聞いて、叔父のファッションを参考にする。だから最近渋めの格好が好きになってきちゃって(笑)。ハットをかぶったり、なんか一回りしちゃった(笑)。そのうち着物を着だすんじゃないかって(笑)。なので、昔叔父が“I BELIEVE”っていうスローな曲からハイテンポの曲につながる入場曲を使っていたので、僕もそのイントロは同じにして、2曲目は自分が好きな気分が上がる曲をつけようかなと思っています」
世界レベルの強い女性に囲まれて育った山本の好きな女性のタイプは…。
「細かい条件とかは特にありませんが、年齢は僕より上じゃないとダメですね。僕自身大人に囲まれて育ったし、小さいころに単身ハンガリーに留学するなど、自立するのが早かったので、若い子のノリについていけない。普通にしんどいです。って自分まだ19歳ですけど(笑)。年上の人ってダメなことはダメってちゃんと言ってくれるし、ちゃんとした大人だから一緒にいても疲れない。それにいいものはいいって教えてくれるし、その分僕もいろいろ教えてあげられるから、年上のほうが合うと思う」
年末、初の総合のリングでどんな試合を見せてくれる?
「僕たちスポーツマンは、エンターテイナーだと思うんです。夢もあるし。それはオリンピックで勝つことだったり、UFCの世界チャンピオンになることだったり、いろいろありますが、結局エンターテインメントにつながると思う。お客さんがいてこそできるわけですから。だから僕はお客さんが喜んでくれて、熱狂するぐらいの試合をしたい。そして、“ああ、やっぱり今年も年末に格闘技を見られて良かったな”って思ってくれれば。多くのトップ選手がたくさん出ますし、僕も少しでも盛り上げられたらなと思います」