まずオファーをもらった時の心境は?
「私はシュートボクシング(SB)の選手で立ち技の試合しかしたことがないのでMMA(総合格闘技)は昔から見られないくらい、怖いものという印象があったんです。だから全然“ないな”って思っていたので、いきなりお話をいただいて、戸惑いとびっくりと不安しかなかったですね」
怖かった?
「打撃は“ボン”って当たって倒れるだけなんですが、MMAは関節技で骨が折れる瞬間なんかが分かるじゃないですか。そういうのがちょっと怖かったんです」
かつて大晦日に格闘技イベントが地上波で放送されていたときもあまり見ていなかった?
「姉が好きだったのでテレビはついていたんですが、遠目から見てるといった感じ。入場のシーンは好きなので見ていましたけど」
大晦日のテレビ中継に女子格闘家が出るのは初めて。女子の格闘技を初めて見る人、何気なくチャンネルを回した人の中には「女子格闘家=RENA」というふうに認識する人も多いだろう。責任重大だ。
「いや〜どうなんでしょう(笑)。でも女子格闘技はいろいろな選手がいてすごく面白いので、火付け役というか私を入り口として女子格闘技をたくさんの人に知っていただければと思っています」
対戦相手はイタリアのキックボクサー、イリアーノ・ヴァレンティーノ。立ち技の攻防が試合の大半を占めそう?
「そうなるとは思いますね。でもみんなを驚かせたいという部分もあるので、飛びつき腕十字といった関節技にもトライしていきたいとは思っています」
SBでは2009年に「Girls S-cup日本トーナメント」に初優勝して以降、世界トーナメントを計3度制覇。ワンマッチでも4年間負けなしのまま、今年はSB世界女子フライ級王座に就いた。今回は強い相手を求めての参戦という側面もある。
「最近、4年間くらい負けてなくて、挑戦するということがなかなかなかったので、そのタイミングでオファーをいただけたのもすごく大きいですね」
今回は自分を成長させる糧となる?
「寝技はすごく楽しいです。体の使い方次第で、力を入れなくても人間をころっと転がせたりとか、そういうのがすごく面白い。今までしていなかった練習をやらせてもらっていて、体がボロボロになっているんですが、総合の練習はSBの試合に必ず生きてくるので、この試合が終わっても練習は続けようと思っています」
シュートボクサーたちはSBという競技に並々ならぬ愛情とプライドを持っている。RENAもそう。そういう感情はどこから生まれてくるのか?
「なんなんでしょうね。シーザー(武志)会長の人柄もそうですし、競技的にも本当に面白いと心から思えるのと…なんですかね、理由なんて考えたこともないくらい好きなんです。SBのベルトを巻いていることに対するプライドはすごく持っていますし、有名にしたいという気持ちは大きいです」
RIZINでは「SBの絶対王者」といわれるアンディ・サワーもMMAに初挑戦。そしてSBルールで行われる試合も組まれる。SBをアピールする大チャンスだ。
「『FUJIYAMA FIGHT CLUB』(フジテレビで金曜深夜に放送中)でも、私とサワー選手を結構出していただいているんですが、それだけでも周囲の目がずいぶん変わってきているように思えるので、試合になったらもっと目立つんじゃないかなって思います。そういうのも出場を決めたひとつの要因なので、ぜひ勝ちたいですね」
目標にしたい選手、スタイルなんかは?
「藤井惠さんと佐藤ルミナさんの試合は見ちゃいますね。あとはロンダ・ラウジー。この前負けちゃったのは衝撃でした」
藤井恵に佐藤ルミナといえば秒殺のイメージ?
「そうですね。かっこいいイメージが沸いてきますね(笑)」
大晦日はせっかく練習しているんだからMMAの技で決めたい?
「“打撃で勝負するしかないな”って思っていたんですが、“一本取りたいな”っていう気持ちがだんだん強くなってきました」
初めてRENAを見る人もたくさんいる。どんなところに注目すればいい?
「入場は笑顔でルンルンで楽しんでいるので、そこは一緒に楽しんでいただければ。でもリングに上がったら顔つきも変わると思うので、そういう女子にしかない華やかさからのギャップを見てほしい。もちろん試合が始まったら、その内容も! 絶対にKOか一本で勝ちますから!!」
(本紙・本吉英人)