東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決定し、早4カ月。本来なら史上最大のスポーツの祭典を迎えるはずだったアスリートたちは、今何を思うのか。引退や活動再開などさまざまな決断をする選手もいる中、現在の心境について、車いすラグビー選手の中町俊耶、小川仁士が語った。
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新型コロナウイルス感染拡大でスポーツ界は延期と中止の嵐
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために東京オリンピック・パラリンピックをはじめ、多くのスポーツの開催が延期、または中止となっている。
プロ野球は3月20日の開幕が延期となり、当初は4月24日の開幕を目指していたが、新型コロナウイルスの感染者が急増したことから4月3日になって再延期を決定した。斉藤惇コミッショナーは新たな開幕日決定は困難で、4月下旬から5月上旬に決定したいとの考えを示し「当初強く希望していた143試合の予定を減らすことも検討せざるを得ない」と公式戦の全日程消化が難しくなる可能性にもふれた。
そして4月7日に発令された緊急事態宣言により、日程の決定がなおも困難に。宣言の効力は5月6日まであることから開幕はそれ以降になるのだが、宣言の対象の7都府県に本拠地を置く、巨人、西武ら7球団にはこの期間中の練習をどうするかといった問題も発生。その間の活動状況によっては宣言明け=開幕というスケジュールはかなり難しいこととなった。
サッカーのJリーグは2月21日に開幕したものの、28日の第2節から中断。当初は3月15日までの延期としていたが、その後、4月3日再開に方針変更。しかし3月25日に行われたクラブ代表者による臨時実行委員会でそれも断念。J1は5月9日、J2は5月2日、J3は4月25日に再開する方針を決めた。しかし4月3日の臨時実行委員会ではこの日程も白紙に。村井満チェアマンは「少なくとも1カ月以上、間隔をあける」と述べていたが、8日にはJリーグが4月25日から5月27日までの全公式戦の開催延期を正式に発表した。5月30日以降の開催は未定となっている。
東京オリンピックが1年延期。来年7月23日開幕へ
今夏に開催されることになっていた東京オリンピック・パラリンピックが延期されることが3月24日、決まった。
同日、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話で会談し、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、開催を1年程度延期することで合意した。
五輪が戦争で中止になった例は複数あるが、延期は史上初めてとなる。
首相は会談後、首相公邸前で記者団に、「改めて中止はないことをバッハ会長と確認した」と強調。「完全な形で開催するために、緊密に連携をしていくことで一致した」と述べた。会談では首相が1年の延期を提案。その理由については「現下の感染症の広がりの状況を見る中で、年内(開催)は難しい」とした。
電話会談はバッハ氏側から打診。大会組織委員会の森喜朗会長、橋本聖子五輪相、東京都の小池百合子知事らも同席した。
新たな日程については大会組織委員会、東京都、日本政府が30日、IOCとの間で来年7月23日開幕、8月8日閉幕とすることで合意した。
従来の日程とほぼ同時期とすることで、運営計画を見直す際の負担を最小限に抑える。ウイルスの世界的な感染拡大はまだ収束が見通せず、できるだけ開幕を遅らせることでリスクを下げる狙いもある。国際競技連盟(IF)などからは暑さを避けるため、春から初夏までの間に開催を求める声もあった。組織委などは開催準備期間を長く確保するため、ほぼ1年延期が妥当と判断した。アスリートの準備期間も考慮した。
これに伴い、今年8月25日に開幕が予定されていたパラリンピックも、来年8月24日開幕、9月5日閉幕に変更された。
延期決定からわずか6日でのスピード決着となったが、クリアすべき課題は山積。
大会組織委員会の中村英正大会開催統括は「“いつ、どこで”がすべての準備のベースになる」と語るように五輪とパラリンピックを合わせ計43ある競技会場はじめ、関連施設の再度の確保が急務となる。43会場のうち、25会場は既存施設。重量挙げなどの会場となる東京国際フォーラムは来年7~8月の使用予約がすでに入っているといい、五輪での使用に二つ返事で応じられない施設は多いとみられる。再度の確保には補償金が必要となる恐れもある。
五輪・パラリンピックで約550万枚に上る販売済みの観戦チケットは有効となるが、延期によるキャンセルへの対応など、膨大な作業も待っている。
延期により発生する追加経費の負担をどうするかも大きな課題。東京都や国、組織委との分担協議は競技会場を抱える自治体も巻き込んで難航も予想され、相当額の公金投入は避けられない。組織委の森会長はIOCにも分担を要請する考えを示している。
カウントダウン【アフロスポーツ プロの瞬撮】
スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
小池百合子「全会場が完成。ハードの準備からソフトの準備へ」【TOKYO 2020 COUNTDOWN】
東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで、もう5カ月を切った。これから代表も続々と決まり、いやがうえにも盛り上がることになるが、今、この人はどんな思いでいるのだろうか? アスリート、スタッフ、大会運営に関わる方々にお話を聞く、このシリーズの第2 回は小池百合子東京都知事。(聞き手・一木広治)
東京五輪の柔道代表発表で落選選手思い井上監督が涙
全日本柔道連盟(全柔連)が2月27日、東京五輪日本代表12人を新たに発表した。
この日、東京都内で開かれた強化委員会では昨年12月のマスターズ、今年2月のグランドスラム(GS)パリ、同デュッセルドルフの3大会を終えた時点で2番手との差が歴然と判断した12選手について協議。全選手が委員による投票で代表決定の条件となる3分の2以上の賛成を満たした。
代表選考にあたっては、リオデジャネイロ五輪後の世界選手権や国際大会の成績による実績や対外国人選手の成績などが考慮された。
その結果、五輪2連覇を狙う男子73キロ級の大野将平(旭化成)や世界選手権2連覇中の阿部詩(日体大)ら新たに男女12階級の選手を代表に選出した。女子78キロ超級は素根輝(環太平洋大)が昨年11月に代表に決まっており、五輪実施14階級のうち、13階級の代表が決まった。残りは男子66キロ級のみとなる。
その男子66キロ級は丸山城志郎(ミキハウス)と阿部一二三(日体大)が競り合い、最終選考会の全日本選抜体重別選手権(4月4、5日・福岡国際センター)後に決まる。
会見では男子代表6人の名を読み上げた井上康生監督が涙を流す一幕もあった。
報道陣に五輪への決意を問われた井上監督は沈思し「いまは、ぎりぎりで落ちた選手たちの顔しか浮かばない状況です」と言葉を詰まらせ、選から漏れた者の名前を一人ひとり挙げるうちに、涙がまぶたを割った。しかし「こんな場所で一番やってはいけないこと。申し訳ありません」と取り乱したことをわび、「選手はプレッシャーを感じながら戦う。われわれも同じ思いをもって全力を尽くすのみ」と最後はいつもの戦う男の顔に戻っていた。
【TOKYO 2020 COUNTDOWN】根木慎志“車いすバスケのレジェンドが3600校に出向くわけ”
いよいよ今年開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。世界が東京を目指す中、いまアスリート、スタッフ、大会運営に関わる人は何を思うのか。第1回は、35年間、教育現場などでパラリンピックの価値を伝えるシドニーパラリンピック車いすバスケットボール日本代表の根木慎志さんに話を聞いた。
世界陸連が厚底シューズの使用を条件付きで許可
ワールドアスレチックス(世界陸連)が1月31日、規制の是非を議論していたナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズの使用を条件付きで認める決定をした。
この厚底シューズは男女マラソンで世界新記録が続出し、今年の正月の箱根駅伝でも大半の選手が使用していたことから大きな注目を集めていた。
靴底のクッション部分に挟みこまれた炭素繊維のプレートが高いクッション性と反発力を生み出す構造となっており、「ドーピングシューズ」と批判する向きもあった。
今回の決定では「靴底の厚さは4センチ以下」「埋め込むプレートは1枚まで」「市販品で誰でも購入できるもの」といった条件が付けられた。
東京五輪のマラソン日本代表は男女ともあと1枠が未決定。「MGCファイナルチャレンジ」の結果を踏まえて決定するのだが、今後は男子が「東京マラソン」(3月1日)、「びわ湖毎日マラソン」(3月8日)で2時間5分49秒、女子は「名古屋ウィメンズマラソン」(3月8日)で2時間22分22秒の設定記録を上回る必要があったことから、同シューズの使用の可否に注目が集まっていた。
設定記録を上回る選手がいなかった場合は男女ともMGC3位の大迫傑と小原怜が3人目の代表となる。
車いすバスケ除外の可能性?
国際パラリンピック委員会(IPC)は1月31日、国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)のクラス分けがIPCの定める基準を順守していないとして、同競技を東京パラリンピックの実施競技から除外する可能性があると発表した。5月29日までの改善を求めている。一方、IWBFのメーレンス会長は「あらゆる手段を講じる」などと談話を発表し、基準に適応する考えを示した。IPCは障害の軽い4.0と4.5のクラスについて、IWBFの定める基準を問題視している。
大相撲“五輪場所”開催
日本相撲協会は2月4日、東京オリンピック・パラリンピックの公式プログラム「大相撲 東京2020オリンピック・パラリンピック場所」を8月12、13の両日に、東京都墨田区の両国国技館で開催すると発表した。五輪後とパラリンピック前の期間に外国人や障害者らに伝統文化の大相撲を発信する。日本相撲協会によると、各日、幕内力士によるトーナメント大会を実施。それぞれの優勝者による優勝決定戦を行う。このほか幕内土俵入りなどを行い、日本語と英語で解説する。
Six months to go【アフロスポーツ プロの瞬撮】
スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。