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演劇 | TOKYO HEADLINE - Part 7
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菅田将暉「絶対的なカリギュラを作り上げたい」!『カリギュラ』に挑戦

2019.04.14 Vol.Web Original



 菅田将暉が舞台『カリギュラ』に挑戦する。13日、ホリプロが発表したもので、演出は栗山民也。菅田は「絶対的なカリギュラを作り上げたい」と意気込んでいる。

 アルベール・カミュ自身が“不条理三部作”と位置づける傑作戯曲のひとつで、暴君として知られるローマ帝国第3代皇帝カリギュラを題材にした作品。非の打ちどころがなかった皇帝カリギュラは、愛し合った妹が急死した日に姿を消すが、宮殿に戻ってくると、何らかの財産を持つものを区別なく殺し、その財産を没収するという宣言を出し、残虐非道な行為を繰り返すようになって……。

 菅田は上演決定に際して以下のようにコメントを寄せている。

「あの『カリギュラ』に手を出すということで震えています。もちろん良い意味で。どこまで何が出来るかはわかりませんが、身も心もさらけ出し、少しコントロールして、絶対的なカリギュラを作り上げたいなと思います。自分なりの、一つ生き様を。宜しくお願いします」

 11月から新国立劇場ほかで上演。

森田剛×岩松了の新作舞台『空ばかり見ていた』で描かれるのは「内戦下の恋愛」

2019.03.09 Vol.Web Original

兵士と恋人、そしてその兄。それぞれの思いが交錯
 V6の森田剛が主演を務める舞台『空ばかり見ていた』の公開ゲネプロが3月8日、東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンで行われた。

 同舞台は劇作家で演出家の岩松了氏の新作。かねてより岩松氏が森田にラブコールを送り続け、2人の顔合わせが実現した。

 今回、岩松氏が描くのは内戦下のなかでの「恋愛」。物語の舞台は内戦中の反政府軍のアジト。森田が演じるのはその反政府軍の兵士・秋生。秋生と恋人、その兄である軍の首領、仲間の兵士たちは強固な絆で結ばれていた。命の保証のない日々の中、恋人との結婚を意識しながらも一歩踏み込めない秋生。そんな秋生の胸の内を察し、兵士としてともに戦いたいと思う恋人。そんな中、絶対的な信頼を置いていた首領に対して不信を感じざるを得ない出来事が起こる。これをきっかけに強固に結びついていた絆にきしみが見え始める。

 森田は恋人との揺れる思いに加え、その兄への忠誠と不信という相反する感情に挟まれ苦悩する兵士を好演。

篠田麻里子演じる雪平、再び! 舞台『アンフェアな月』第2弾

2019.02.26 Vol.Web Original



 篠田麻里子が主演する舞台『殺してもいい命』が今年6月、池袋・サンシャイン劇場で上演されることが26日、発表された。2018年2月に篠田主演で初演された『アンフェアな月』の続編となる。

 原作は、小説家で、映画監督、そして人気脚本家でもある秦建日子による『刑事 雪平夏見 殺してもいい命』。秦が世に送り出した「刑事 雪平夏見」シリーズの第3作にあたる。シリーズ第1作の『推理小説』は、『アンフェア』というタイトルで、篠原涼子主演でドラマ化・映画化され、大ヒットした。

『殺してもいい命』は、左胸にアイスピックを突き立てられ、赤いリボンで結ばれたチラシを口に突っ込まれた状態で男性の遺体が発見されたことから展開。そのチラシ書かれていたのは「殺人ビジネス始めます」。さらに、その男は雪平がかつて愛した男で……。

 昨年上演された、原作の同シリーズの第2作目『アンフェアな月』は原作に忠実に舞台化され、成功の内に幕を下ろしている。本作は待望の続編となる。

 他出演に、松田凌、水谷あつし、中村優一、山口馬木也ら。

 6月21~30日の日程で全13公演。池袋のサンシャイン劇場で上演。チケットは、3月8日からオフィシャルHP先行がスタート。一般発売は4月13日。

女優・木乃江祐希が描くヴァンパイアをめぐる愛と復讐と女同士の戦い

2019.01.11 Vol.Web Original

舞台『ヴァンパイアバンド・ファイナル』下北沢の711で上演中
 NYLON100℃の女優・木乃江祐希が2016年に1人で旗揚げした団体「コノエノ」とコントユニット「7%竹」による合同公演『ヴァンパイアバンド・ファイナル』が下北沢の711で上演されている。

 木乃江は2016年に「体験型の演劇があってもいいのでは?」と思い立ち、自ら劇団を旗揚げ。「若い世代はただ座って演劇を見るのはつらいのではないか?」という発想から積極的に「コント」「マジック」、演出手法ならびに小道具としての「血飛沫」といったものを積極的に取り入れ、その作品はいわば見世物小屋感覚。

 また、間に挟むコントは7%竹の主宰・武藤心平、マジックはリアルマジシャンのRYOTAが監修するスタイルを取ることから、最近では「血飛沫マジック歌劇団」の異名も取るようになっている。

 そして本筋となる物語では「女子の友情」とそれに伴う女性心理の機微が描かれるのだが、今回はバンドマンをめぐる愛と復讐と女同士の戦いを描いたお話。

 登場するバンドが「ヴァンパイアバンド」ということで血飛沫はマスト。主演にはグラビアアイドルの黒木ひかりを据え、バンドマン役に本物のミュージシャン、LAID BACK OCEANのYAFUMIを起用という豪華な顔ぶれ。

 過去2回の公演ではフィクションとノンフィクションが混沌とした作品を上演。さまざまな波紋を呼び起こしながらも作品はギリギリのところでエンターテインメントに仕上げられてきた。では本作は? このギリギリ感も「コノエノ」の魅力。

 本作は13日まで同所で上演。

今回は女装で勝負! 劇団Rexy『黒服ドレッサー』公開稽古

2018.11.07 Vol.Web Original

有馬芳彦がガチ女装を披露
 女性向けアダルトコンテンツで活躍するセクシー男優を中心に結成された劇団Rexyの第7回公演『黒服ドレッサー』のゲネプロが11月7日、東京・下落合のTACCS1179で行われた。

 同作はキャバクラを舞台とした黒服たちとキャバ嬢たちの物語。ナンバーワンキャバ嬢モエのわがままに耐えかねた黒服たち。なんとかモエに一泡吹かせようと彼らが練りに練った作戦は女装してキャバクラ嬢になってナンバーワンを取り、モエの鼻っ柱をへし折ろうというもの。

 女装することになった黒服の海斗はメンバーの助言を受け徐々にいっぱしのキャバクラ嬢になっていくのだが、果たしてナンバーワンの座を奪い取ることができるのか…といったストーリー。

 今回は劇団初の女性キャストを迎えての公演となっている。

 女装する海斗を演じるのは劇団の看板俳優である有馬芳彦。作品の序盤こそ黒服で登場するが、途中からはドレスをまとい化粧をし、とガチ女装を披露する。

黒田勇樹×ガリガリガリクソンのよもやの”初共演”が実現

2018.08.23 Vol.Web Original

ガリクソンは「何かあったら呼んだ黒田勇樹が悪い!!」とコメント
 本紙ウェブで「黒田勇樹のHP人生相談」を連載中の黒田勇樹によるプロデュース公演「スーパー名探偵のファイナル事件簿」にお笑い芸人のガリガリガリクソンが急きょ出演することとなった。

 これは本番直前の出演者降板に伴うもの。

 黒田とガリクソンはSNSを通じて互いに励まし合うようになった仲で、今回が初対面になるという。

 公演期間中、黒田自身もシークレットゲストとして登場予定があり、そこではガリクソンとの”初共演”も実現するもよう。

 ガリクソンは主催者を通じて「いや、お前かよ!と言うお客様もいらっしゃるかもわかりませんが、私はチケット料金に含まれておりませんので御安心ください。今の僕に声かけるなんて狂ってる!!何かあったら呼んだ黒田勇樹が悪い!!」とコメントしている。

「スーパー名探偵のファイナル事件簿」は黒田が脚本・演出を担当するハイスピードダンシングアクションコメディ。8月28日より東京・四谷にある三栄町LIVE STAGEにて上演される。

【インタビュー】岩井秀人 「ハイバイ」が代表作『て』『夫婦』を同時上演

2018.07.19 Vol.Web Original

 劇作家で演出家、俳優の岩井秀人が主宰を務める劇団、「ハイバイ」が今年、結成15周年を迎えた。この節目の年に代表作である『て』と『夫婦』の2作品を8月に東京芸術劇場内の2つの劇場を使い同時上演する。この大きな企画を前にした岩井に話を聞いた。

【インタビュー】小澤雄太が最新主演舞台で壬申の乱「前提、覆したい」

2018.06.08 Vol.Web Original

 小澤雄太(劇団EXILE)の最新舞台『暁の帝~壬申の乱編~』が27日、幕開けする。古代最大の内乱とされる「壬申の乱」を描く古代エンターテインメントで、小澤が演じるのは大海人皇子(おおあまのおうじ)。古代ならではの少し混乱した人間関係のなかで内乱を起こすという役どころだ。小澤は「前提を覆す作品にしていきたい」と、意気込んでいる。

台東区に新しい祭り誕生でビートたけしが名誉顧問に就任 浅草中心に映画、演劇、芸能目白押し! 

2018.05.30 Vol.Web Original

 浅草で新しい祭り「江戸まち たいとう芸楽祭(げいらくさい)」がスタートする。台東区にゆかりのある芸能や伝統文化を気楽に楽しもうというお祭りで、「夏の陣」(8~10月)、「冬の陣」(2019年1~3月)の2期に分けて展開する。大衆文化創造において重要な役割を果たしてきた台東区で育まれ、根付き、現代に継承されてきた芸能や伝統文化を、さらに次代へと受け継いでいくとともに、発展させるのが狙い。

 30日、浅草の木馬亭で行われた記者発表会には、名誉顧問に就任したビートたけしが出席。台東区の服部征夫区長から「お帰りなさい、たけしさん! お待ちしていました」と温かく迎えられると、たけしは「ま、あの、帰ってきたわけではなくて。暇さえあれば浅草で飲んでいることが多いんですけど。最近はちょっと忙しくなって……」と、照れ笑い。「浅草は……自分が学校をクビになってたどり着いたところで……ここで芸人になった。だから自分の人生の半分以上は浅草の人情でできているようなもの。できれば時間の許す限り恩返しをしたいと思っている」と、やる気を見せた。

 開催中は、浅草を中心に台東区内の劇場やホール、上野公園周辺、谷中、浅草橋、隅田川沿いなどを会場に、映画、演劇、演芸など、さまざまな催しが行われる予定。ワークショップや区内の中学校高等学校演劇部による公演なども行われる。また、浴衣散歩、歴史散歩などのプログラムもある。
 
 浅草の思いを聞かれたたけしは、「子どものころ、浅草に行くのは遠足のようなものだった。中学生高校生ぐらいになると映画から演劇からなんでもあった街で、今でいうちょうど下北沢のような感じだった。山手線を通さなかったのがまずかったんですかね(笑)。時代なのか、若い者が下北沢のほうに行ってしまった。でも、東洋館とかが頑張ってくれて、お笑いとかは残っている。もうちょっとライブハウス的な、気軽に出られるもの。ロックバンドから落語から漫才から何でもでられるようなフリーな劇場を作っていただいて、それで若いやつがそこから出ていくというか、チャレンジできるようになれば、また浅草に若いやつが目立つようになると思っている」と、話した。

「さまざまな企画を立てているなかで大きいなと思っているのは、ボランティアのみなさん、区民のみなさんから盛り上がっていること」と、服部区長。「これからも区民のみなさんとともに、若手を育てられるように、伝統文化を継承していけるようにと思っている」と、コメントした。

 会見には、顧問を務める浅草演芸ホール・東洋館会長の松倉久幸氏も出席し、浅草や浅草ゆかりの芸人について熱いトークを繰り広げた。

【インタビュー】尾上右近が現代劇に初挑戦!「新しい経験にワクワクしています」

2018.05.30 Vol.Web Original

 最近はバラエティー番組などにも出演、人気急上昇中の歌舞伎俳優・尾上右近。勝手が違う世界に戸惑っているかと思いきや…?

「素の自分を出さなきゃいけないので、人間力が試されている気がします。バラエティーでは特に自分をいいタイミングで出す瞬発力が必要だと思いました。出さなきゃいけないけど、出さないという出し方もある。その辺り自由なので楽しいですが、まだ全然慣れませんね」

 彼の名前が一躍有名になったのは、2017年『スーパー歌舞伎II ワンピース』の公演。本番中に負傷した四代目市川猿之助に代わり、同公演に出演していた右近が終演まで主役を務めあげた。

「昨年猿之助さんの代役をさせていただいたことで、多くの方に知っていただけるようになったと思います。その舞台を務めたことで、今までどんなことを感じて何をしてきたのか改めて分かりましたし、その上で今自分に足りないものが何なのかもよく分かった。あのような状況で知っていただくということはあまりない事ですが、自分としてはこれまで通りやっていくだけだと思っています。自分はもともと歌舞伎役者の家に生まれたわけではなく、歌舞伎役者をやりたくて、自分で選んでやっているので、まだまだやりたい事がたくさんあります。大きな夢もあるし、経験してみたい事もいっぱいある中で、自分の事を知っていただき、新しいお仕事ができるのはすごくうれしいと素直に思います」

 右近の家系は華やかだ。父は清元宗家七代目清元延寿太夫で、曽祖父は六代目尾上菊五郎。さらに、従兄弟に十八代目中村勘三郎、祖父に昭和を代表する映画スター鶴田浩二を持つ。

「曽祖父が歌舞伎役者だったので、歌舞伎にはすごく近い環境の中で育ちました。その中で、小津安二郎監督が撮った『鏡獅子』という映画をたまたま3歳の時に見て、それをやりたいと強烈に思ったんです。鏡獅子というのは歌舞伎舞踊で、曽祖父の六代目尾上菊五郎がその映画の中で、それを踊っていた。それやりたいがために舞踊や歌舞伎の稽古を始めましたし、自分が今ここにいるすべてのきっかけが、その曽祖父の踊りを見たことでした。うまくは説明できませんが、本当にすごく強烈にひかれて、その役をやりたいという気持ちになったのを今でもはっきりと覚えています。もともと、清元という邦楽の家でしたので、その稽古も始めて、どんどん古典的なものにものめり込み、子役として歌舞伎の舞台に立たせていただく機会もいただくようになりました。その中で演じる事の楽しさにも目覚め、そこからずっと役者でありたいという気持ちが続いています。右近という名前を襲名させていただいた時は、自分の思いがつながったなと思いました。それに関しては運もあるし、タイミングもありましたが、自分はとても恵まれているなと感じますね」

演劇界の次世代をリードする2人が奇跡の邂逅 ーー前川知大(作)× 長塚圭史(演出)

2017.07.29 Vol.695
この夏、Bunkamuraシアターコクーンで上演される舞台『プレイヤー』で作・前川知大、演出・長塚圭史というとても興味深い組み合わせが実現する。ほぼ同い年で次代の演劇界をけん引するであろう2人に作品のこと、お互いのことについて聞いた。
演劇界は出身校やワークショップでのつながりといったさまざまな要素で関係の近い劇団とか濃い人間関係というものがあったりする。そういったことがきっかけで思わぬ客演が実現したり、というのも演劇ファンのひとつの楽しみだ。そういう観点でみると、この2人がタッグを組むと聞いて「ああ、こういう組み合わせがあるんだ!」と思った人も多かっただろう。

■前川「他人の演出している現場は行く機会がないので興味深い」
ーーもともと2人の接点というものは?

前川知大(以下、前川):作品を見て、楽屋に挨拶にうかがう、というくらいしかありませんでした。それをするまでも随分時間はかかっていますけど。でも長塚さんの作品はずっと見ていました。

ーー具体的にはどのへんの作品から?

前川:僕が劇場に見に行ったのは再演の『イヌの日』からかな。そのころは長塚さんは阿佐ヶ谷スパイダースばかりではなく、プロデュース公演もがんがんやっていた時でした」

長塚圭史(以下、長塚):僕がイキウメの作品を見るようになったのは小島聖さんが出演していた『眠りのともだち』という作品から。あれはいつごろですか?

前川:2008年ですね。

長塚:『イヌの日』の再演は2006年だから、だいたい10年くらい前ですね。

ーーこうやって1つの作品を作ることになった2人だが、長塚は1996年、21歳の時に阿佐ヶ谷スパイダースを旗揚げ。前川は2003年、29歳の時にイキウメを旗揚げとスタートにはずいぶんタイムラグがある。

前川:旗揚げが29歳の時。演劇自体はその2年前くらいから始めていたんですが、それまではあまり演劇活動はしていなかったんです。だから演劇界にあまり友達がいない (笑)。

長塚:そんなことないでしょ(笑)。

前川:いや、本当にあまり付き合いがないんですよ。ハイバイの岩井(秀人)君くらいだと思う。同じ2003年に旗揚げで同い年。なんとなくお互いに作品を見る機会があって、うちの浜田(信也)がハイバイの初期によく出させてもらったこともありました。本当にそれくらい。

ーー2人はその後、特に接点を持つこともなく今回まで?

長塚「僕はイキウメ自体は、最初に見たときはそんなに繰り返し見るようにはならなかったんですが、この5〜6年は7割くらいは見ていると思います。年に2本くらいやっていますよね。公演数が多いので全部には行けていないんですが、年に1回は見ています。好きなので」

■長塚圭史を演出に選んだワケ
ーー今回は、同世代の作家・演出家の顔合わせというのが企画の始まりだったとのことだが…。

長塚:僕の印象だと前川さんの作品でというのが先に決まっていたと思います。

前川:そうだったかもしれないです。作・演出ではなく作だけでという話をいただいて、そして誰と組みたいかという話があって、“では長塚さんにお願いしたいです”という流れでした。

ーーどういう理由で長塚圭史の名を?

前川:ここ最近、いろいろな作家さんの作品の演出をやっていらっしゃるんですが、そういう作品を見ていて面白いと思いました。それで自分の作品を委ねてみたいと思いました。

長塚:前川さんは明らかに作家性の高い演劇人だと思うし、最近の僕はどちらかというと演出をする率が高いから必然的にこうなったという気はします。

ーー前川は2014年に『太陽2068』という作品で蜷川幸雄さんの演出を経験したことがある。あの時とはやはりプレッシャーといったものは全然違う?

前川:そういうところはあります。脚本の準備段階から長塚さんとはディスカッションをしてきましたし、稽古に入ってからも意見交換をしながらやっていますので。

ーー準備期間が1年間あったという。

前川:いろいろなアイデアが出て、いろいろ変わっていきましたよね。

長塚:そうですね。変化していきました。

ーーその中でイキウメで初演した『PLAYER』をやろうということになったのは?

前川「夏だから怖い話をしようということになって(笑)。最初はそれくらいの発想でした」

■『プレイヤー』は“怖い話以上の怖さ”を描いている
ーーこの作品を劇中劇にという発想は?

前川:これは長塚さんから出てきたアイデア。台本を読んで、これをどう伝えるか。伝え方という部分、演出に直結するアイデアなんかは打ち合わせの中からですね。

ーー話していく中で響きあうものがあった?

長塚:『PLAYER』は作品自体が死者を演じるというか、プレイする、再生するというお話だったので、演劇との直結を感じました。一般人の人たちが巻き込まれていくという要素がこの作品にはあるんですが、その物語性だけで押そうとするとシアターコクーンというサイズになると難しいような気がしたんです。演出家というのはそのための装置を投げかけるのが役割。その装置の規模をどれくらいにするかということなども含めてですね。

それで劇中劇というアイデアを出したら、前川さんがすぐに乗ってくれたし興味を示してくれたので、そこからどんどん話が進んでいきました。でも別に劇中劇をどうしてもやりたかったというわけではないんです。プレイヤーという作品に最適なものを探っていくという作業の中で劇中劇にたどりついたということでした。

ーー前川は劇中劇というアイデアを聞いてどう思ったのか。

前川:もともとあるオカルト話みたいなものに、演劇的な手法によって、お客さんが何を見ているのか分からなくなるような、そういう不安感のような怖さがもう一つ乗っかるので、それはすごく面白い構成になるなと思いました。怖い話以上の怖さ、本当に不安にさせるようなものが出るんだろうな、と思って、すぐに乗りましたよね。

ーー死者の言葉が、生きている人間を通して「再生」されるという設定。こう文字にすると、「ん?」と思う人も多いだろう。それくらい演出は大変そうだ。

長塚:みんなに言われます。“これどうやってやるの?”とか“このシーン、どうするの?”って(笑)。

前川:そんなに?(笑)。

ーー初演時もそういう苦労はあった?

前川:それはね…確かにめちゃくちゃ大変でした。でもその時よりはうまく書けているんじゃないかなって思っているんですけど(笑)。

■良い脚本を描くために集まったキャスト陣
長塚:全体的にいいチームが集まったと思います。稽古も面白くやれている。僕自身は一緒にやったことのない人たちばかりなんですが、わざとそういう人たちを集めたところもあります。フェアな感じにしたかったから。前川さんの作品に慣れている仲村トオルさんと安井順平さんも面白いキャスティングです。2人が直接、前川さんとやりとりすることはあるだろうけど、基本的には演出の僕を通すわけだから、まあちょっと奇妙でユニークなバランスが生まれるんじゃないかと。

ーーキャスティングに関しても2人の希望が通ったという感じ?

長塚:キャストに関しては僕のほうが候補をあげて、前川さんに話をするという形で進みました。前川さんは“気の合う人でやっちゃっていいですよ”と言ってくれたんですが、前川さんが面白く脚本を書けるかどうかということが重要だったので、わりと細かく“これでいい?”ということは聞いたりしていました。そうすると“それだとイメージが広がるね”とか言ってくれて、ストーリーの軸自体はどんどんできていった。またそこにはまっていく俳優さんを制作側と僕が提案していった。

ーー仲村と安井の起用は、やはり前川作品を知る人が何人かいたほうがいいという考えから?

長塚:負荷がどちらにもかかっていいんじゃないかと思いました。僕自身の緊張感も高まるし、うまい関係性が取れれば2人からいろいろな話も聞けるし。

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