浅草で新しい祭り「江戸まち たいとう芸楽祭(げいらくさい)」がスタートする。台東区にゆかりのある芸能や伝統文化を気楽に楽しもうというお祭りで、「夏の陣」(8~10月)、「冬の陣」(2019年1~3月)の2期に分けて展開する。大衆文化創造において重要な役割を果たしてきた台東区で育まれ、根付き、現代に継承されてきた芸能や伝統文化を、さらに次代へと受け継いでいくとともに、発展させるのが狙い。
30日、浅草の木馬亭で行われた記者発表会には、名誉顧問に就任したビートたけしが出席。台東区の服部征夫区長から「お帰りなさい、たけしさん! お待ちしていました」と温かく迎えられると、たけしは「ま、あの、帰ってきたわけではなくて。暇さえあれば浅草で飲んでいることが多いんですけど。最近はちょっと忙しくなって……」と、照れ笑い。「浅草は……自分が学校をクビになってたどり着いたところで……ここで芸人になった。だから自分の人生の半分以上は浅草の人情でできているようなもの。できれば時間の許す限り恩返しをしたいと思っている」と、やる気を見せた。
開催中は、浅草を中心に台東区内の劇場やホール、上野公園周辺、谷中、浅草橋、隅田川沿いなどを会場に、映画、演劇、演芸など、さまざまな催しが行われる予定。ワークショップや区内の中学校高等学校演劇部による公演なども行われる。また、浴衣散歩、歴史散歩などのプログラムもある。
浅草の思いを聞かれたたけしは、「子どものころ、浅草に行くのは遠足のようなものだった。中学生高校生ぐらいになると映画から演劇からなんでもあった街で、今でいうちょうど下北沢のような感じだった。山手線を通さなかったのがまずかったんですかね(笑)。時代なのか、若い者が下北沢のほうに行ってしまった。でも、東洋館とかが頑張ってくれて、お笑いとかは残っている。もうちょっとライブハウス的な、気軽に出られるもの。ロックバンドから落語から漫才から何でもでられるようなフリーな劇場を作っていただいて、それで若いやつがそこから出ていくというか、チャレンジできるようになれば、また浅草に若いやつが目立つようになると思っている」と、話した。
「さまざまな企画を立てているなかで大きいなと思っているのは、ボランティアのみなさん、区民のみなさんから盛り上がっていること」と、服部区長。「これからも区民のみなさんとともに、若手を育てられるように、伝統文化を継承していけるようにと思っている」と、コメントした。
会見には、顧問を務める浅草演芸ホール・東洋館会長の松倉久幸氏も出席し、浅草や浅草ゆかりの芸人について熱いトークを繰り広げた。