「小学校5年生ぐらいかな、プロレスが大好きだったんですよ。もう引退してしまったんですけど、アメリカ人のスタンハンセンというレスラーが特に好きで、夜中に夢中でテレビを見ていました。だから小さいころはプロレスラーになろうと思っていたんですけど、いろんな格闘技を見に行くようになって、今の道に至っております。中学校の時に柔道、高校ではレスリング部でした。プロの格闘家は、柔道やレスリング経験者は多いですよ。もちろんやってない人もいますが、手っ取り早く強くなろうと思ったら、経験者のほうがいいんじゃないかな。でも対戦相手が柔道経験者だから、アマレス経験者だからという苦手意識は特にないです。相手の性格では、やりやすいとかやりにくいっていうことはあります。僕が苦手なのはガツガツ来る奴。怪我しそうでちょっとやりづらいじゃないですか(笑)。僕は全然イケイケじゃなく、むしろ地味ですから。怪我せず、相手にも怪我をさせずがモットーなので。って言ったら格闘技やめろって言われちゃいますね(笑)」
一見、順調に格闘家として歩んできたように見えるが、デビュー戦はほろ苦い思い出が。
「僕は修斗でプロになったんですけど、修斗の場合は、アマチュア修斗というのがあって、その大会で上位になるとプロになれるんですね。それで23歳でプロに昇格し、デビュー戦に挑んだんですが、一本負けしちゃったんです。関節を決められて。それで、ちょっとこれは甘くないぞと(笑)。でも修斗の2戦目でも負けちゃって、3戦目でやっと勝ったんです。それが24歳の時。実は今週末の6月28日に大阪のBODYMAKERコロシアム第2競技場で行われる「VTJ 5th in OSAKA」という試合に出場するんですけど、その会場こそ、プロ初勝利を収めた第3戦が行われた場所なんです。10年ぶりに同じ会場で試合をするという巡り合わせにも驚きですが、ある意味縁起がいい会場でもある。でもその時も勝ったとはいえ、しょっぱい試合で(笑)。もう、ひたすら勝ちにこだわって、神戸から応援に来てくれた友達が“つまんないな”って(笑)。でもつまらなくても勝てばいい。負けるほうがショックですもん。とりあえず、勝ったから友達もつまらないとか言えるわけで。これ、負けていたら周りも言いにくいですからね。負けた上につまらないって、ほんと、それが一番最悪でしょ(笑)」
6月28日に行われる試合に向けて静かに闘志を燃やす。
「去年、怪我で13カ月試合を休んでいたんです。そんなに休んだのは初めてで、今年の2月に復帰したんですが、自分のイメージと全然違っていて。自分では結構仕上がっているなって思っていたのに、全然動けなくなっているし、スタミナも切れた。練習はしっかりやっていたつもりだったので、愕然としてしまって…。それからは、一から鍛え直すつもりで、新しい道場に出稽古に行かせてもらったり、面倒をみてもらったりしました。今度こそ完全に仕上がっている手応えはあります。これで負けても、それは相手のほうが強いということだから、仕方がないと思えるぐらいしっかりできている。2月とは全然違う感覚です。僕は年間3回ぐらい試合をしていたので、そんなに休んだことで戦い方が分からなくなっていたところもあった。自分のスタイルを忘れてるぞって。僕の勝ちパターンは、雰囲気を作る。俺が勝っているぞっていう雰囲気(笑)。心理戦に持ち込んで、試合をうまく自分のペースに引き寄せるというか。そういう自分のスタイルを忘れていたような気がします」
イケメン格闘家として女性の人気も高い美木だが、気になる女性のタイプとプライベートでの楽しみは…。
「好みのタイプ…うーん、静かな人ですかね。喜怒哀楽が激しい人は苦手かも。喋らないという意味じゃなくて、あまりうるさくされると疲れてしまう。女優さんだと石田ゆり子さんとかいいですよね。うるさくない、しっとりとした大人の女性がいいですね。僕、結構細かいんですよ。最近自分の細かさにびっくりする(笑)。特にジムをやり始めてから、きれい好きになった。練習のことで怒ったりはしないんですけど、ジムの掃除だけは口うるさい(笑)。プライベートでの趣味は特にないんですよ。ただ、最近ちょっと凝っているのがコーヒーと読書。コーヒーは家でもちゃんとペーパードリップでいれています。コーヒー豆を買ってきて自分でいれるのがマイブームですね。読書は、好きな革製品のブランドでブックカバーを買ったんです。2万円ぐらいの。僕、基本的に形から入るので、それをつけると本を読みたくなる。ブックカバーをしているだけでちょっとオシャレに見えるし、それに自分で入れたドリップコーヒーを飲んだら間違いないでしょ(笑)。そんな不純な動機でしたけど、それで読書が好きになりました。電車の中とかでスマホをいじっているより、いい感じに見えるじゃないですか。そんな知的な一面も出していきたいなと。ここ、ちゃんと書いてくださいね(笑)」