前作、セルフタイトルのセカンドアルバムが世界中のあらゆる層から支持を集めて、一躍その名をワールドワイドに知らしめたボン・イヴェール。最新作でもまた世界に散らばるファンの動きをストップさせてしまうような魅力あふれる楽曲を聞かせてくれる。少しダークで霧かかったようなサウンド。優しく響く歌声もまた、女性ボーカルのそれとは異なる透明感がある。本作はすでに国内外で盛り上がりを見せており、さらに彼の名前とサウンドを広く浸透させそう。ボーン・イヴェールは、米シンガーソングライター、ジャスティン・ヴァーノンのソロプロジェクト。今聞いておきたいアルバム、ナンバーワン。
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耳を澄ましちゃうアーティスト『One』堀込泰行
長く在籍したグループであるキリンジを脱退して新たにソロアーティスト/シンガーソングライターとして歩み始めた堀込泰行のファーストアルバム。希代のメロディーメーカーとしてミュージシャンたちからも信頼される彼。新しい一歩を踏み出した印である本作は、スキップしたくなる、視線をあげたくなるような作品。じわじわと視界が広がっていくとともに明るさを感じる『New Day』、ポップに弾けてハッピー、そしてウキウキする『Shiny』、ソロデビューシングル『ブランニュー・ソング』など10曲を収録した。アップテンポからしっとり聞かせるミッドチューンなどさまざまだ。聞き込みたい作品。
耳を澄ましちゃうアーティスト『レクイエム・フォー・ヘル』 MONO
日本を代表するインストゥルメンタルロックバンドであるMONO(モノ)は、国内のみならず海外でも高く評価されている。彼らのサウンドはリリカルで雄弁。言葉は使われていないのに壮大な物語が語られる。言葉に縛られないからこそ、風景や情景が浮かんでは消えていく。『レクイエム・フォー・ヘル』は彼らの最新作。プロデュースはもちろん、録音、ミックスもスティーヴ・アルビニが担当。マスタリングはボブ・ウエストンが担当している。アルバムに収録の新曲「Ely’s Heartbeat」は、バンドのアメリカのレーベルのオーナーに初めて子どもが誕生した際に制作されているといい、イントロにはその子どもの心音が使われているという。これは耳を澄ましちゃう!
耳を澄ましちゃうアーティスト『TOSS』 トクマルシューゴ
おもちゃ箱、童話、実験室……トクマルシューゴの音楽を表現するのには、むくむくとワクワクが“湧いてくる”ようなフレーズが使われる。が、実際に彼の音を聞くと一瞬で陳腐なものになってしまう。前作から4年のインターバルでリリースされる本作についても、同じ。いろいろな楽器、いろいろな音が連なって音符が飛び跳ね踊る彼のサウンドの特徴はキープしつつ、リスナーをじりじりとさせるほどのにぎやかさが加わった印象だ。本作では宅録中心だった前作までとは違って、さまざまなアーティストとコラボやフリーセッション素材や自らがこれまで作ってきた音をもとに再構築と破壊を繰り返したという。野心作。