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脱こじらせへの道 第38回 女性の敵は…女性?

2017.01.13 Vol.682

 明日の1月14日でGIRL’S CHはオープンしてから4周年を迎えます。
 女性の「見たい」を後押しする女性向け動画サイトというコンセプトで作られたGIRL’S CHですが、大人の女性にサイトのことを伝えたい!ということで、この日成人式を終えた女性を招いて、サイトオープンのイベントをしたのが2013年のこと。
 あの日はものすごい大雪で、電車は遅れるし、タクシーは走ってないし……と大変な思いをしたのでした。
 そのおかげで、一生忘れることのない思い出となったのではありますが。

 というわけで、お正月が終わると、サイトオープンのことを思い出す私です。

 さて、皆さんお正月はいかがでしたか?
 2017年も変わらず女性と性について色々な角度から考えてみたいと思っています。

 早速、新年一発目はこんなアンケートを用意してみました。
  「もうすぐ冬……寒い時期の無駄毛処理、してますか?」

 昨年の秋頃にとったアンケートです。
 露出の増える夏はもちろん気にしている無駄毛ですが、冬は服の上からは分からない部分も多いので、女性同士でも 他の人がどうしているかは知らなかいことも多いのでは。
 今回は、「している」「たまにしている」が真っ二つに分かれるという結果になりました。
 いずれにせよ、人に見られる可能性がある場合は処理をするという意見が多いですよね。

 中には、「脱毛処理済み(または処理中)」という意見も。
 過去にはアンダーヘアの処理に関するアンケートをとったこともありましたが、その際も半数近くの方が脱毛済みとのこと。
 私が思っているよりもずっと脱毛が普及していることに驚いたのと同時に、多くの女性が「つるつる」「すべすべ」の肌に憧れているのだなということを再確認したのでした。

    ※そのときのアンケートはこちら。
   もうすぐ露出の増える季節…アンダーヘアの処理はどうしてますか?
      http://girls-ch.com/enquete/result.php?0074

「処理をすべき」という考え方が強く広まっているからでしょうか。
 GIRL’S CHでは、出演女優さんの毛(アンダーヘア)についての指摘がとても多いです。
 動画のレビューに、「もっと処理して」とか「人前に出る人は処理をすべき」という書き込みを見ることは少なくありません。

 作品によってはメーカー側から、
「性生活がご無沙汰な女性の設定だから、処理しすぎないでほしい」
「剛毛であることを作品に活かしたいから、処理せずそのままの状態でいてほしい」
 と希望する場合もあるのですが、そんな未処理の状態が許せないというユーザーの方もいるようです。

 女優さんについては、もちろん毛の処理だけでなく、体型やファッションにも厳しくチェックが入ります。
 身体は美しいスタイルが求められる傾向にあり、ファッションや小道具などはリアルさが重要なようです。

 とにかく、女性は女性に厳しい。

 日常でもそういったことを感じるシチュエーションはありませんか?

 以前もこのコラムで書きましたが、女性は普段からメイクをしたりファッションに気を遣ったりと、見た目にぬかりありません。
 その反面、気を抜いた女性の姿に魅力を感じるという男性が数多くいるというのも事実。
 AVは、男性に向けて作られているものが多く、男性ユーザーが出演女優さんに求めるものはとても幅広いです。スタイル抜群の女優さんももちろん人気ですが、そうでなくてもどこかに魅力を見出してくれます。アンダーヘアもまたしかりです。
 だから男性ユーザーからそういった意見をいただくことはほとんどありません。
 そうでなければ、同じ企画のシリーズがこれほど続かないはずですから。

 あるいは、自分が外見に気を遣っているのに、手を抜いている女性が「いい思い」をしているのが許せない。
 男優や監督に優しい言葉をかけられて、ちやほやされて、気持ちよくなっているのが羨ましくて妬ましい。
 もしそんな感情をもった女性がいらっしゃったら、「いい思い」に嫉妬している自分の性欲を認めてあげてください。

 ということで、無駄毛をネタに同性に厳しい女性の内面について考えていたわけですが、編集さんと話をしているうちに、この無駄毛についての男女の意識の違いというのは、ことのほか大きいということに気づかされました。

 女性にとってはとても重要で切実な問題なのですが、男性にとってはさほどでもないようです。最近は中性的なファッションをする方も多く、おしゃれにこだわりが強い男性は気にしているかもしれませんが、それでもまだまだ多数派とは言えません。

 自身もそうですが、女性は思春期の頃から「毛は剃るもの」「無駄毛は処理するもの」という意識が植え付けられています。まわりがそうしているから当たり前のようにそうしてきた、という感じでしょうか。
 テレビや雑誌で、体毛やヒゲのある男性はいても女性はみんなつるつるだから、自然と自分もそうなりたい、そうあるべきという意識が芽生えたのかもしれません。

 担当編集さんにとって、先ほどのユーザーさんの女優さんへのリアクションは新鮮であり、分からない感情のようです。
 最近はブラジリアンワックスが人気になったり、一般女性でもアンダーヘアを整えることは当たり前、パイパンにしている人までいますが、編集さんにとっては「???」だそうです。

 意外にも、SEXよりこの問題のほうが男女の意識の違いは大きいようです。そんなわけで、次回もまた男女の考え方の違いをクローズアップしてみようかと思います。

脱こじらせへの道 第36回 私は「こじらせ」たまま、生きていきたい

2016.12.09 Vol.679

 先日、作家の雨宮まみさんがお亡くなりになりました。
 著書「女子をこじらせて」で、「こじらせ」という言葉を使い始めた方。
 この著書によって救われたという女性も多いのではないでしょうか。

 そんな「こじらせ」という言葉も、現在は若干の独り歩き感があります。
 他人を揶揄する際に使われたりすることもあります。
 世間では「こじらせていること」=悪、という見方をされる場合もあったりしますね。

 では今一般的に使われている「こじらせ」とは、一体なんなのでしょうか。
 他人に対して、そして自分自身に対しては、「こじらせ」がどんな影響を与えるのでしょうか。
 今回のアンケートでは、今私たちが日常的に使っている「こじらせ」という言葉がどのような受け入れられ方をしているかが分かる結果となりました。

 まず驚くべきは、ほとんどの女性が「自分はこじらせている」と感じているということ。
 多くの女性が、自分自身に対して、世間と何らかの違和感を感じているということだと思います。

 また、そのこじらせの原因としては、2パターンあるようです。

 ひとつは、恋愛経験に関するもの。
「男性経験がない」「彼氏がいない」「結婚していない」「不倫している」
 といういわゆる”女性の幸せ”から遠のいているのでは、という不安からもたらされるものかと思います。

 そしてもうひとつは、「自分に自信がない」というもの。
 大人になるにつれお世辞を見分けられるようになったという理由もあるかもしれませんが、自分の女性性に自信が持てないから故のことかと思います。

 この2パターンを見ると、こじらせというのはそういった不安や自信のなさに「しばられてしまうこと」「固執してしまうこと」だと言えるのかと思います。

 不安に思うこと自体は誰にでもあるし、それだけで見れば別に問題ないと思うんですが、それにとらわれてしまう。

 その不安に思う事柄については、他の人から見たら、“それってうらやましい話じゃん”っていうものもあるんですが、そういうふうに考えられないとか考え方を転換できないことが、こじらせにつながっていくのではないでしょうか。

 たとえば先程のパターンで言えば、「仕事に熱中して婚期を逃してしまった」と本人が悩んでいることも、「社会で活躍できている女性」と他人が羨ましく見る場合だってあります。

 いずれにせよ、多様性のある現代では、これまで「当たり前」とされていたことだけが正解ではない場合もたくさんあります。
 女性でも起業してずっと働くだとか、シングルマザーとして生きるとか、数十年前では後ろ指さされていた生き方も、堂々と認められるようになっているのです。

 だから多くの女性が、これまでの「当たり前」と違和感を感じる生き方をしているのも当然。
 私たちはそれを「こじらせている」として卑下する必要はないと思うのです。

 もっと言えば、それを「こじらせている」生き方として肯定してくれたのが、雨宮さんだと思うのです。

 この連載のタイトルは、「脱こじらせへの道」。
 私はこの連載で、世間と違和感を感じているという意味での「こじらせ」の感覚を取り払い、堂々と生きることを目指していました。
 でも、「こじらせ」が世間との違和感と仮定すると、私は「こじらせ」たまま、生きていきたいと感じました。

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