落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
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【江戸瓦版的落語案内】ぞろぞろ(ぞろぞろ)
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
いぶし銀の2人が聞かせる粋な江戸前落語に桜も満開!「三遊亭小遊三・春風亭小朝 二人会」
笑点で人気の三遊亭小遊三と古典・新作・創作落語を巧みに操る技巧派春風亭小朝の二人会。泥棒、下ネタ、ハンサムキャラの小遊三だが、意外にも(?)落語は正統派。あのままの明るいキャラで、粋な江戸っ子を軽やかに演じる。対する小朝は、少年時代から“天才”と呼ばれていた落語の申し子。二つ目昇進からわずか4年、36人抜きで真打に昇進し、その実力を世間に知らしめた。また高座を精力的に務めるほか、プロデューサー的な役割を果たし、落語界全体を盛り上げている。そんな人気者2人の競演は、満開の桜のような華やかな高座になる事間違いなし!
【出演】三遊亭小遊三、春風亭小朝ほか
【日時】3月24日(土)13時30分〜
【会場】よみうりホール(有楽町)
【料金】全席指定 4500円【
問い合わせ】夢空間(TEL:03-5785-0380 ※平日10〜18時)
【江戸瓦版的落語案内 】たがや(たがや)
旧暦五月二十八日は両国の川開き。当日は両国橋付近で盛大に花火が上がり、橋の上は見物人でごった返し。花火が打ちあがると、あちらこちらから、「上がった、上がった。玉やぁ〜〜っ!」の掛け声がかかる。そんな中、本所のほうから、お供の侍2名と槍持ち1名を従えた身分の高そうな武士が馬に乗って通りかかった。
見物人であふれる橋を馬で通ろうなどとは、横暴の極み。すると、ちょうど反対側の広小路から道具箱と、割いた青竹のたがを丸めて輪にしたものを抱えたたが屋がやってきた。武士とたが屋が橋の中央ですれ違おうとしたまさにその時、見物人に押された拍子にたがを落としてしまった。落ちた拍子にたがを止めていた糸が切れ、青竹がシュルっと伸びると、馬上の武士の笠に当たりそれを跳ね上げた。笠は吹っ飛び、川の中へ。武士の頭には土瓶敷きの様な笠台だけが残り、鼻からは鼻血がツーッと…。武士はカンカンに怒り「この無礼者! 屋敷へ同道せよ!」。
屋敷に行ったら首がなくなるとあせったたが屋。どうかお許しを。病気の両親が腹をすかせて待っているので、何卒ご容赦下さい」と必死のお願い。しかし、何度誤っても「ならん!」の一言。あまりの物分かりの悪さにたが屋も堪忍袋の緒が切れた。「血も涙もねえ、目も鼻も口もねえ、のっぺらぼうの丸太ん棒め。二本差しが怖くて飯が食えるかってんだ、こんちくしょうめ」「なにッ」「斬るなら斬りやがれっ!」と啖呵を切った。これを聞いた武士はたまらずお供に「切り捨てろ!」。
刀を抜くお供だが、それがガサガサの錆び刀。稽古をさぼっていたため、刀を振り回すもへなちょこで、喧嘩慣れしているたが屋に、あっという間に刀を奪われた。次のお供は頭上から刀を振り下ろしたが欄干に刀が食い込んで抜けない。抜こうと焦っているところをさっき奪った刀でバッサリ。見物人からは、やんややんやの大喝采。いよいよ頭に血ののぼった武士が、馬から降り槍を構える。やぶれかぶれで振り回した刀で、突いてくる槍の首を切り落としたたが屋。武士が槍を捨て、刀に手をかけた一瞬のスキをつき、たが屋が一歩踏み込み、刀を横に払うと武士の首が宙天高くハネ上がった。
まわりにいた見物人は声をそろえ「上がった、上がった。たがやぁ〜〜っ!」
4つの個性が乱れ咲き。演芸まつりで寒さを吹き飛ばせ!
座・高円寺寄席「百花繚乱!四派そろい咲き」
この時期、高円寺で行われる「高円寺園芸まつり」。今年も高円寺駅を中心に、ホールやお店、お寺など約60カ所の会場で2月9日(金)から18日(日)まで開催されている。最後の2日は「座・高円寺寄席」と題し、「疾風怒濤 浪曲。講談新時代」(18日)、「古今東西の旅どうぞ、ごゆるりと。」(18日)、「百花繚乱!四派そろい咲き」(17日)が上演される。四派とは桂文治、林家彦いち、立川談笑、三遊亭兼好と一門の違うメンバーで、芸風もバラバラ。街全体も演芸色にそまった楽しい雰囲気の中、4人の個性が不思議な化学反応を起こす落語会へぜひ!
【出演】桂文治、林家彦いち、立川談笑、三遊亭兼好
【日時】2月17日(土)18時〜
【会場】座・高円寺2(高円寺)
【料金】全席指定 3000円、中学生以下1000円
【問い合わせ】座・高円寺チケットボックス(TEL:03-3223-7300 ※10〜18時、月曜定休)
【江戸瓦版的落語案内 】看板のピン(かんばんのぴん)
鉄火場で若い連中がサイコロのチョボイチを開帳。しかし、もうけた奴が先に帰ってしまい、さっぱり場が盛り上がらない。そこへ現れたのが土地の親分。「お前たち、まだこんなことをやっているのか。博打なんかやるもんじゃないぞ」と戒めた。しかし若い衆「親分だって若い時はやっていたじゃないですか。それより、しらけた場の流れを変えたいので、景気づけにひとつ胴をとってもらえませんか」と頼む始末。親分少しの間考え「訳あって42の時から博打はやめているが…俺ももう61。子どもに返ったつもりで、お前たちの相手をしてやるのもいいだろう」と承諾。昔取った杵柄で、壺皿を振ると、畳の上に鮮やかに伏せた。
「勝負は壺皿の中。さあ、張んな」。しかし見ると壺皿のわきにサイコロが飛び出しピン(1)の目が出ている。親分がボケてきたと思ったそこにいた全員がピンの目に張った。「おや、みんなピンなのか。勝負は壺皿の中だぞ。では、この看板のピンはこっちにしまっておいて、俺の見立てでは5だな」。そういって壺皿を開くと、親分の言った通り5の目が出た。「博打などというものは、こういう汚いものだ。これに懲りたら、お前らも博打なんてするんじゃないぞ。それに誰か一人でも俺にサイコロが外に出ていることを教えようってやつはいたか?
そういう料簡になっちまうのもいけねえ。金は全部返してやるから、さっさと帰りな」と言い残し賭場を去った。これに懲りて博打をやめるのが賢い奴だが、この方法で一儲けしてやろうという男がいた。早速、別の賭場に行き「おい、お前ら博打はやめろ」と親分の真似。「なんだい、いきなり。お前だって博打をやっているじゃないか」「俺は42の時にやめた」「てめえはまだ26じゃないか!」「俺に胴をとってほしいというなら仕方がない。子どもに返ったつもりでお前たちの相手をしてやるのもいいだろう」「誰も頼んでねえよ」。しかし、無理やり胴をとると怪しげな手つきで壺皿を振り畳に伏せた。「勝負は壺皿の中。さあ、張んな」。見ると脇へサイコロが転がり出て、ピンの目が見えている。それを見た男たち、もちろん全員がピンに張る。「おや、みんなピンなのか。勝負は壺皿の中だぞ。では、この看板のピンはこっちにしまっておいて、俺の見立てでは5だな」。そういって壺皿を開くと「…ああ、中もピンだ」
年の初めは“よってたかった”落語家たちの豪華競演でスタート!
よってたかって新春らくご‘18 21世紀スペシャル寄席ONEDAY
毎回豪華出演陣で人気の「よってたかってらくご」シリーズ。今年の1発目もにぎにぎしいメンバーがそろった。昼の部は、古典・新作を自由に操る柳家喬太郎に、お茶の間でもおなじみの立川談笑、何が飛び出すかわからない春風亭百栄、そして独演会のチケットが即日完売の春風亭一之輔。夜の部は、新作落語の奇才三遊亭白鳥に、若き古典の名手柳家三三、とにかく明るい林家きく麿、ニコニコ笑顔で毒舌を炸裂させる三遊亭兼好、女性新作落語の旗手三遊亭粋歌が登場。どちらを選んでも、めでたい年始めになること請け合いだ。
【日時】1月27日(土)13時〜、18時〜
【会場】よみうりホール(有楽町)
【料金】全席指定 4100円
【問い合わせ】夢空間(TEL:03-5785-0380、平日10〜18時)
寄席で楽しむニッポンのお正月
今年の“笑い初め”は、正月の寄席で落語はいかが!?
初めて行くにはハードルが高い…と思われる人も多いが、寄席の仕組みは実にシンプル。ふらっと行って、入り口でチケットを買い、あとは入ってただ楽しむだけ。正月は落語家たちの顔見世の意味もあり、短い時間に多くの落語家が出演するのでとってもにぎやか。他にも漫才、紙切り、奇術、曲芸などの色物が多く登場するので、寄席の楽しさを体験するにはもってこいだ。笑いにあふれた正月を満喫できること間違いなしの正月寄席をぜひ体験あれ! ※プログラムの名前は主任(トリ)
寄席のプリンセスがネタおろしに挑む!「春風亭ぴっかり☆の落語Labo」
アイドル並みのルックスと歯切れのいい落語で人気の女流落語家春風亭ぴっかり☆。春風亭小朝に入門、二ツ目に昇進するや精力的に活動し、寄席以外のフィールドでも人気者に。「大人AKBオーディション」では最終選考まで残り、話題を集めた。しかし、やはりぴっかり☆が一番輝くのは、高座の座布団の上。見た目だけではなく、芸にも華と品があり、二ツ目とは思えないしっかりとした実力も持ち合わせている。「春風亭ぴっかり☆の落語Labo」は、毎回ネタおろしに挑戦する隔月開催の勉強会。ネタおろし2席にゲストが落語1席を披露。噺家が一番緊張するというネタおろしで、どんな落語を聞かせてくれるのか。
【日時】12月26日(火)18時30分〜【会場】原宿アコスタディオ(原宿)【ゲスト】林家ひろ木【料金】2000円【予約・問い合わせ】春々堂(TEL:03-5447-2131)
落語と宝塚が異色のコラボ 元タカラジェンヌが落語に初挑戦!
TOKYO MXで毎週金曜日11時から放送中の人気番組「TAKARAZUKA CAFE BREAK」のスピンオフイベント『TAKARAZUKA CAFE BREAK presents〜「落語×宝塚」大湖せしるが落語に挑戦!』が11月22日、都内の会場で行われた。
イベントでは、宝塚ファンとして知られる落語家の立川らく次が宝塚落語を披露し、元タカラジェンヌの大湖せしるが、人生初の落語に挑戦した。
【江戸瓦版的落語案内 】はてなの茶碗(はてなのちゃわん)
京都の清水寺境内、音羽の滝のそばの茶店で品のいい老人が飲んでいた茶碗に目を止め、なにやらひねくり回すと、“はてな?”とつぶやき首をかしげ立ち去った。それを見ていた茶店の主人と、たまたま立ち寄っていた大阪から来ていた担ぎの油屋が色めき立った。実は先ほどの老人は、京都に店を構える茶道具商・茶屋金兵衛、通称茶金。茶道具や茶碗の鑑定では京都一の目ききで、金兵衛が目を止めただけで、その価格が何百倍にも跳ね上がると言われている。そんな金兵衛が首をひねったのだから、さぞかし値打ちのある茶碗に違いないと考えた。譲ってくれと迫る油屋に、絶対に譲らないという茶店の主人。
すったもんだの末、油屋が半ば強引に茶碗を手に入れた。翌日、油屋はその茶碗を手に、茶金の店へ。対応に出てきた番頭が一瞥しただけで、“値打ちがないのでうちでは取り扱えない”と門前払い。 “そんなことはない、ぜひ茶金に取次ぎを”と押し問答していると、騒ぎを聞きつけた茶金が何事かと出てきた。番頭同様、値打ちがないという茶金に油屋は“昨日、音羽の滝のそばの茶店で、この茶碗をひねくり回し首をかしげていたじゃないですか”と話すと、思い出した様子。“ああ…あの茶碗でしたか。いや、穴も傷もヒビもないのに、水が漏るんですわ。それで、どうしてやろう…はてな?と…首をかしげたまでのこと”。
がっかりと意気消沈した油屋に茶金は私の名前に三両出してくれたのだからと、その二束三文の茶碗を三両で買い取ってやった。この話を聞いた近衛関白殿下は、茶金が持参した茶碗を見て「清水の音羽の滝の音してや茶碗も日々にもりの下露」と歌を詠むとその短冊を付した。すると茶碗の値段がぐんと跳ね上がった。さらに、その噂は広がり、時の帝の耳にまで届いた。帝はその茶碗を見ると、“はてな”と箱書きし、下げ渡した。それにより、“はてなの茶碗”として、国宝級に昇格。ついには鴻池家の耳に入り、なんと千両で売れてしまった。茶金は油屋を探し出し、それまでの顛末を話して聞かせると、千両の半分の五百両を油屋に分け与えた。大喜びで帰った油屋だが、翌日数人の男たちと一緒に、何やら大きな荷物を持って、茶金の元へ。一体何事かと問う茶金に、「十万八千両の金もうけです」「何がや?」「今度は、水瓶の漏るのを持ってきた」