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落語 | TOKYO HEADLINE - Part 5
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【お笑い】秋の夜長に、ダブルのホワイトが大暴れ!?

2017.11.18 Vol.700

三遊亭白鳥・桃月庵白酒ふたり会“Wホワイト落語会19”

 三遊亭白鳥、桃月庵白酒による“Wホワイト落語会”。名前にちなんだわけでもないが、色白でぽっちゃりとしたビジュアルが似ている2人。しかし、そんなホンワカした雰囲気にだまされてはいけない。白鳥は動物やUFOが登場するキテレツな新作落語で観客を惑わせ、かたや白酒はニコニコと笑いながら、会場から出たら絶対に他言できないような際どい毒舌を吐きまくる。まったく対照的な落語を聞かせる2人だが、なぜか不思議な化学反応で、どちらのファンもトリコになってしまうWホワイト落語会。何が起こるか分からない、先がどう転がるかわからないという落語会では味わえないスリルに身を任せてみては?

【出演】三遊亭白鳥、桃月庵白酒
【日時】11月29日(水)19時15分〜
【会場】成城ホール(成城学園前】
【料金】全席指定 3500円
【問い合わせ】成城ホール(TEL:03-3482-1313)

【江戸瓦版的落語案内 】今戸の狐(いまどのきつね)

2017.11.09 Vol.699
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 初代三笑亭可楽に弟子入りした良輔という若者。前座修行をしていたが修行は厳しく、寄席のくじ売りだけでは到底生活が成り立たない。背に腹は代えられぬと、師匠から禁止されていた内職を始めた。良輔が住んでいた今戸は、江戸庶民が日常用いる素焼き土器・今戸焼の一大生産地。人形、猫、福助と並び、江戸は稲荷が多いため、狐の需要もまた多く、狐の彩色の内職をすることに。もともと器用な良輔には、仕事が舞い込み、毎日寄席が終わってから、せっせと内職に精を出していた。それを見ていたのが、良輔の家の筋向かいに住む小間物屋の女房。もとは千住(通称コツ)の女郎上がりで、近所では「コツの妻(サイ)」と呼ばれている。家計の足しに内職をしたいと思っていた女房、良輔に手ほどきを受け、狐の彩色の内職を始めた。一方、師匠の可楽は当時飛ぶ鳥を落とす勢いの人気落語家。寄席がはねたあと弟子は、その日の売り上げを持って可楽亭に行き、売り上げを数えるのが、日課となっていた。夜もふけて、外がシーンとしている中、可楽亭からはチャリーンと小銭を数える音。たまたま通りかかったやくざ者が、可楽亭で賭場が開帳されているとにらみ、強請ってやろうとほくそ笑む。翌朝、可楽のところに押しかけ「お宅で賭場を開帳し、サイコロの狐 (博打の一種)をしていることは知っているんだ。これを世間にバラされたくなかったら、金を出せ」とすごんだ。しかし、大の博打嫌いの可楽は「何かの間違いでしょう」と相手にせず、家の中へ入ってしまった。しかし「隠れて狐をやっていることはお見通しだ。口止め料を出しやがれ」と騒いでいると弟子の一人が「隠れて狐? はて、狐ができているのは良輔という兄弟子の所です」と教えた。やくざに乗り込まれた良輔。内職がばれたと焦り狐を戸棚に隠すと「時々寄るから、少し(金を)こさえてくれ」というやくざに「少しでは困るんです。(注文は)多いほうがいいので」 「そいつはありがてえ」と会話が微妙にかみ合ってしまった。
「今、静かだが(賭場が)できているのか」、「できてます」「どこで」「戸棚の中に」「戸棚? ちょっと見せてもらおうか」といって開けると泥の狐がずらり。「なんだ、こりゃあ?」「狐です」「馬鹿野郎、オレが探してんのは、骨の寨だっ」「コツのサイなら、お向こうのおかみさんです」。

責めの姿勢は変わらない。昇太落語の神髄がここに!  

2017.10.09 Vol.699

春風亭昇太独演会「オレスタイル」
 日本テレビの長寿&高視聴率番組「笑点」の6代目司会者に抜擢され、その名を全国区にした春風亭昇太。新作落語のトップランナーとして、若い世代の落語ファンからカリスマ的人気を誇る噺家だが、意外にも古典落語も多く持っている。独演会「オレスタイル」では、そんな昇太の新作、古典織り交ぜた高座が楽しめるとあって、客席はいつも超満員。普段着でふらりと登場し、オープニングトークで客席を温めると、前座がわりにゲスト落語家が一席。あとはノンストップの昇太祭りがスタートする。四角い座布団の中で暴れまわる、昇太落語をたっぷりとご堪能あれ。

【江戸瓦版的落語案内 】もう半分(もうはんぶん)

2017.10.07 Vol.698
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 千住の永代橋のほとりに、老夫婦が営んでいる小さな酒屋があった。流行らない店で、一年中貧乏暮らし。その夜も客は常連の棒手振り(ぼてふり)の八百屋の爺さんだけ。60歳半ばと思われるその老人、酒の注文を一度に頼まず、半分ずつする。まず茶碗に半分の酒を注文して、それを飲み干すと「もう半分」。理由を聞くと、注文を2度に分けて注いでもらい何度も飲むことで、量を多く飲んだ気がするという。

 結局「もう半分。へえもう半分」と何杯もお代わりをするのだが…。ある日、いつものように何杯か酒を飲み帰った後、店を閉めて主人が片づけをしていると、さっき老人が座っていたところに汚い風呂敷包が。持つと、ずっしりと重い。不審に思った店主が包みを開けると50両もあろうかと思う金が出てきた。貧しい身なりをした老人がこんな大金を持っているわけがない。きっと何か理由のある金なんだろうと思い、届けてやろうとするが、それを女房が押しとどめた。

「忘れる奴が悪いんだ。この金があれば、大きな店が出せる。もらったってバチは当たりゃしないよ」と主人を説得。そのすぐ後に、忘れ物に気づき慌てて戻ってきた老人が「頼む、返してくれ。あの金は娘が吉原に身を売って作ってくれたもの。頼む…」と涙を流して懇願しても、夫婦は知らぬ存ぜぬで、店から追い出してしまった。老人は悔し涙を流し、居酒屋夫婦を恨みながら大川へ身を投げてしまった。悪銭身に付かずというが、どうして。猫ババした金で大きくした店が大繁盛。奉公人も雇い、夫婦は悠々自適。さらに、あきらめていた子どもも身ごもり、月満ちて出産。

 しかし、この生まれてきた子がなんと、浅黒くやせ細り、眼光鋭くわし鼻。おまけに白髪まじりと、あの「もう半分」の老人の生き写し。それがギョロっとにらんだから、女房は衝撃のあまり気が触れて、そのまま死んでしまった。母親がいなくなったので、仕方なく乳母を雇うが、みな一晩で逃げ出してしまい、居つかない。何人目かにわけを聞き出すと、赤ん坊が夜な夜な行灯の油をペロリペロリとなめるのだという。その晩、主人が隣室からのぞいていると、丑三ツの鐘と同時に赤ん坊が立ち上がり、行灯の油さしから茶碗に油を注ぎうまそうに飲み干した。「おのれ、迷ったか!」と部屋へ飛び込むと、赤ん坊が茶碗を差し出し、「もう半分」。

200席の中からどれを?三遊亭白鳥落語会「白鳥ジャパン雪月花」 

2017.09.24 Vol.698

 志ん生の「びんぼう自慢」を読み、貧乏でも楽しく暮らせると憧れ、落語知識ゼロで三遊亭円丈に入門。古典に思い入れがなかったからこそ生み出された自由奔放な新作落語は、200席に上る。

 動物たちが活躍する「任侠流れの豚次伝」、ガラスの仮面をリスペクトした「落語の仮面シリーズ」、そのほか寄席での三題噺に、古典リスペクト作品など、いずれの作品も白鳥ワールドが全開。

 その中から、厳選して3作品を披露する同公演。落語初心者は「これが落語か!?」と驚き、落語ファンも度肝を抜かれること間違いなし! この公演が落語の未来を変える!?

【江戸瓦版的落語案内 】干物箱(ひものばこ)

2017.09.03 Vol.697
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 伊勢屋の若旦那、銀之助は大の遊び人。吉原の花魁にうつつを抜かし、毎日毎日遊び惚けている。さすがに堪忍袋の緒が切れた主人が、外出禁止令を出し、若旦那は謹慎中の身に。しかし毎日こう暑くっちゃたまらない。汗を流しに湯屋に出かけることだけは、なんとか許可してもらった。

 久しぶりの外出にウキウキしながら湯屋に向かう。しかしふとあることを思い出し、湯屋とは反対方向に進むと、そこは貸本屋の善公の家。実はこの善公、声色が得意だと評判の男。「おい、善公。お前、俺の声色はできるか?」「いよっ!若旦那。もちろんでございます。この前なんか、亀清での宴会でお前さんの声色をやったら、お宅の親父さんがあなたが遊んでいると勘違いして、怒ったぐらいですから」と言う。

 「そりゃ、好都合。実は俺がこれから吉原に行って花魁と遊んでいる間、家で俺の声色をして親父を安心させてほしいんだ」。一緒に遊びに行けると思った善公、残念がるも羽織一枚と小遣いをもらい引き受けることに。念のため、一緒に家に帰り外から善公が「お父っつあん、ただいま帰りました」「おお、今日は早く帰ってきたな。お帰り。早く寝なさいよ」。しめしめ、だまされた。銀次郎、安心して吉原に向かい、善公は玄関脇の梯子段を上り2階へ。「やれやれ、このまま何事もなく銀さんが帰ってきてくれればいいが…」

 しかし、そううまくは運ばない。「おーい、銀次郎。銀次郎や」と階下から親父の声。「今朝方届いた干物は、何の干物だった?」「(えーーっ、そんなの聞いてないよ)えっと、お魚の干物です」「ばかやろう、魚に決まってるだろう。じゃ、それはどこにしまった?」「あの、あの…干物箱に」「なんだい、干物箱って。とにかくそのままだとネズミがうるさくて仕方ないから、下に持ってきておくれ」「それは…。無理です。えっと、イタタタタ。お腹が痛くて」とごまかすが、様子がおかしいと思った親父が2階に上がってきてしまった。

 「やや、お前は善公。さてはせがれに頼まれたな」。その時、外から銀次郎の声が聞こえてきた。「善公、ちょっと窓を開けてくれ。実は財布を忘れちまって。引き出しの中に入っているから、そっと上から落としておくれ」。すると親父「この罰当たりめ。どこを歩いてやがる」その声を聞いた銀次郎「あはは、善公は器用だな。親父にそっくりだ」

【江戸瓦版的落語案内 】七段目(しちだんめ)

2017.08.28 Vol.696
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 芝居道楽な若だんな、日常の些細なことまで芝居口調になり見得を切ったり、家業そっちのけで芝居小屋に入り浸ったり。今日も今日とて朝から芝居見物に出かけ、なかなか帰ってこない。夕方意気揚々と帰ってきたところ父親である旦那が呼びつけていろいろ意見をしても、当の本人はどこ吹く風。

 逆に「遅なわりしは拙者が不調法」と忠臣蔵・三段目の定番のセリフで返してくる。そんな息子に旦那も我慢の限界。2階へ追い払い、軟禁状態にした。しかし、そんなことでへこたれない若旦那は、相変わらず芝居の世界に没頭。「とざい、とーざーい!」と奇声を発し続けている。これにはさすがに閉口した旦那が、小僧の定吉に申し付けて、芝居の真似をやめるように命じた。

 だがこの定吉、若旦那に負けないぐらいの芝居好き。ついつい「やあやあ若だんな、芝居の真似をやめればよし…」と芝居調子で部屋に行くと若旦那、一緒に芝居をする仲間ができたと大喜び。『かな手本忠臣蔵』の七段目・祇園一力の場面をやろうと言い出した。自分が平右衛門、定吉をお軽に芝居をしようと思ったが、小僧の身なりでは気分がでない。

 そこでやるからには衣装も整えようということで、箪笥から妹の赤い長襦袢を出し定吉に着せた。となると自分も気分を出すために、床の間から本身の刀を持ち出した。これに驚いた定吉「さすがに真剣はいけません。斬られたら死んでしまいます」と頼むも「決して抜きはせぬ。真剣のほうが、迫力が出るんでな。そんなに心配なら、ほれ、こうして刀の鯉口をこよりで結ぼう」と言うので、定吉は渋々了承。最初は楽しくやっていた2人だが、平右衛門が、妹・お軽が仇討ちを知ったことから、その本懐のために可愛い妹を手にかけるという場面で、どんどん気持ちが盛り上がる。「妹、命は貰った!」と叫んで真剣をつかむとじりじりと定吉の方に。

「若旦那、それを抜いちゃいけません」という声も耳に入らぬよう。こよりなど、とっくに切って、刀を振り回した。定吉、たまらず逃げ回り、そのはずみに階下へゴロゴロと転落。旦那が慌てて「定吉、大丈夫か?」と聞くと「私には勘平さんという夫のある身」とまだ芝居の続き。「馬鹿野郎。小僧に夫があってたまるか。変な格好をして、さてはあの馬鹿と芝居の真似をして、てっぺんから落ちたか」「いえ、七段目」

【江戸瓦版的落語案内 】湯屋番(ゆやばん)

2017.08.04 Vol.695
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 道楽の末、親許を勘当された若旦那が、出入りの大工・熊五郎宅の二階に居候をしていた。働きもせず、毎日ゴロゴロと寝ている若旦那に、熊五郎が奉公でもしてみたらと進めた。しばし考えてた若旦那、熊五郎の知り合い湯屋が奉公人を募集中と聞き、乗り気に。紹介状を持ち湯屋に行き戸を開けるなり、女湯に飛び込んだ。驚いた湯屋の主人、とりあえず外回りを頼むというと「いいですね。芸者を連れて温泉地の視察ですか」ととぼけた答え。燃料にするための木屑集めだと言うとキッパリと拒否。

「そんなことより、番台に座らせて」と図々しいことこの上ない。その強引さに仕方なく主人が昼飯をとる時間に、代理で座らせる事に。ところが、男湯には客がいるが、女湯は空っぽ。しかも男湯の客といえば、汚いケツで、おまけに毛がびっしり野郎ばかり。そんな現実から妄想の世界へ…。

そのうちに、いい女がやって来るんだ。その女がなんとこの俺に一目ぼれ。連れの女中に「あら、ごらんなさい。ちょいと乙な番頭さんだね」。うしし…照れるなー。ある日偶然その女の家の前を通りかかると女中が目ざとく見つけ、「姐さん、憧れの君、お湯屋の番頭さんですよ」って家の中に声をかけるね。すると女は、泳ぐように出てきて、「ちょっと上がっていって下さいな」って俺の腕をつかむんだ。

「いえ、それは困ります」「いいじゃないですか」「いやいや、それは…」と一人で手を引っ張ったり、引っ張られたり。「おいおい、番台に変な野郎がいるぜ」と、客が集まりだしてきた。そんなことにも気が付かず、一人芝居はエスカレート。家に上がり込むと、2人は盃をやったりとったり。その時ちょうどいいタイミングで雷が落ち、女は癪を起して気を失ってしまった。

そこで、盃洗の水を口移しで飲ませる。すると女は目を開き「今のは嘘」。ここでさらに芝居がかり、「雷様は恐けれど、二人がためには結ぶの神」「うれしゅうございます。番頭さーん」「馬鹿野郎、いい加減にしろ!」とうとう客がブチ切れた。「俺は帰る! 下駄はどこいった?」すると若旦那「はて? 見当たりませんね。じゃ、そちらの高そうな下駄を履いてお帰りなさい」「ほかの人の下駄じゃねえか。履いてったらそいつが困るだろう」「いえ、順に履かせて、しまいの人は裸足で帰らせます」

【江戸瓦版的落語案内】紺屋高尾(こうやたかお)

2017.05.22 Vol.691

 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

【江戸瓦版的落語案内】王子の狐(おうじのきつね)

2017.03.13 Vol.686

 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

落語界の裏側、全部バラします『そこでだ、若旦那!』【著者】立川談四楼

2017.01.08 Vol.682

 落語立川流の真打・立川談四楼によるエッセイ。ヘヴィ・メタル専門誌「BURRN!」に連載したコラムから抜粋し、加筆訂正し再構成した。著者は、いくつもの連載コラムやエッセイを新聞・雑誌等に持っている(持っていた)ほか、小説も多数出版するなど作家としても人気の落語家である。そんな談四楼が、自分の所属する立川流、そして師匠である立川談志の事はもちろん、落語会の裏話を赤裸々に暴露。例えば、弟子が師匠を殴り廃業した事件。話はそこで終わらず、その弟子はスルーっと別の団体の師匠のもとに行き、落語家を続けている。閉鎖的なところもある落語界での、この出来事は、ファンも何がどうなってそうなったのか分からないところがあったものの、何となく“そういう事もありなんだ…”とうやむやのままになっているのが現状だ。しかし、この本にはその師匠と弟子、引き取った師匠の実名のほか、事の顛末が詳細に書かれており、思わず“そういう事だったんだ”と納得させられる。もやもやしていた落語ファンは膝を打ち、落語を知らない人は、その人間関係や協会間の微妙なパワーバランスに驚きつつも、興味深く読める。また、談志をはじめ亡くなった落語家についても書かれているのだが、改めて読むと若くして亡くなった落語家がなんと多い事か。しかし、談志以外の落語家の多くは話題にもならないばかりか、新聞でもほんの数行の訃報記事しか出ない。談四楼は先輩、同期、後輩として彼らを身近に見ていた者として、それぞれの生きざまに優しい目を向ける。そんな魅力的な落語家の噺を聞きに、寄席に足を運びたくなる一冊。

【定価】本体1500円(税別)【発行】シンコーミュージック・エンタテイメント

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