作家・夢枕獏の代表作である『陰陽師』が今年30周年を迎えた。
『陰陽師』は平安時代の陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた小説。これまで1993年の岡野玲子による漫画化以降、ドラマ、映画、そして舞台といったさまざまなジャンルで作品化され、小説以外にも多くのファンを生み出し続けている。
そして今度は、夢枕獏による書き下ろし短編「?丸」に、フリージャズのピアニスト、スガダイローが曲を書くという、そんなまさかの組み合わせによるCDブック『?丸?陰陽師の音?』が9月21日に発表された。
これを記念して10月19日に文京区の求道会館でCDブック発売記念コンサートが開催される。
求道会館は明治、大正期の日本の建築家・武田五一によって作られたもの。武田はヨーロッパ様式主義一辺倒であった当時の建築界の中にあって日本建築の良さを大切にした世代のひとりで、求道会館は武田が日本建築の伝統を、自作に意図的に盛り込むようになった時期の作品。平成6年には東京都指定有形文化財となった。
煉瓦造の2階建てで、会館内部の正面には、純和風の檜造で銅板葺屋根の六角堂が配置され、その後方上部壁面に大アーチの石膏レリーフが描かれるなど、陰陽師の世界観にぴったりの建造物だ。
コンサートではCDブックに収録された曲はもちろん、夢枕獏の朗読、小説にも出てくる沈香などの平安時代から使われてきた香を使用した香りの演出も予定されており、陰陽師の世界をどっぷりと堪能できるプログラムとなっている。
なお本紙では次号(10月24日発行号)で夢枕獏×スガダイローの対談を掲載予定。
『陰陽師』30周年記念 夢枕獏×スガダイロー『?丸』発売記念コンサート
【日時】10月19日(水)18時30分開場、19時30分開演
【会場】求道会館(東大前)
【出演】朗読:夢枕獏、ピアノ:スガダイロー、ベース:東保光、太鼓:辻祐、龍笛:松尾慧【問い合わせ】VINYLSOYUZ LLC(TEL:090-4375-9747)