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趣は違えど異端な2作品 | TOKYO HEADLINE
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趣は違えど異端な2作品 中野成樹+フランケンズ2016『えんげきは今日もドラマをライブするvol.1』

2016.06.12 Vol.663

 中野成樹+フランケンズは2003年の結成以来「翻訳劇」をメーンに上演を続けてきた。翻訳劇といっても彼らのそれは「誤意訳」と呼ばれる独特のもの。逐語訳にとらわれない翻訳、あらすじのみを死守する自由な構成、従来のイメージやマナーにとらわれない作品解釈で独自の物語を構築している。

 この独特の方法論と表現は、当初は伝統を重んじる向きからはよく批判の対象となっていたが、出来上がった作品のクオリティーの高さでそういう声を黙らせてきた——という感じ。

 最近は翻訳劇に加え、日本の近代戯曲やオリジナル戯曲も上演するなど幅広い活動をしている。

 そんな流れの中で今回は2つのプログラムを用意。

 Aは「ナカフラ流カヴァー・アルバム」と名づけ、シェイクスピア『夏の夜の夢』、モリエール『亭主学校』、森本薫『華々しき一族』のカヴァー3本立て。

 Bは「ナカフラ流ミックス・アルバム」と名づけ、ソフォクレス、シェイクスピア、チェーホフ、イヨネスコ、三島由紀夫、柴幸男、三浦直之といった古今東西の戯曲より名シーンをメドレー上演する。

趣は違えど異端な2作品 太宰治作品をモチーフにした演劇 第13回『逆光、影見えず』

2016.06.12 Vol.668

「太宰治作品をモチーフにした演劇」は平成16年から始まった三鷹市芸術文化センターの名物企画。そのタイトル通り、太宰の作品をそのまま、もしくはモチーフとしながら太宰のエッセンスにあふれたオリジナル作品を作り上げるというもの。

 今年はMCRが、太宰治の初期の短編『逆行』をベースに “どうにもならなかった男”が「何がどうして」どうにもならなかったのかを、明るい罵詈雑言を交えてにぎやかに振り返りつつ、結果、終末へと進んでいく様子をユーモラスに描くという。

 本作の作・演出を務める櫻井智也は太宰の初期の作品に漂う「満たされ無さ」という感覚が「自分が日々抱いている思いに、とても近い」ということから本作を選んだという。

 太宰といえば作家としては「無頼派」と称され、私生活では数多くの女性遍歴を重ね、自殺未遂を繰り返し、最後は入水自殺を完遂させるという筆舌に尽くしがたい人物。櫻井にも太宰と通底するところは間違いなくある。相変わらずナイスな人選。

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